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ペダステシリーズ最終公演、舞台『弱虫ペダル』Over the sweat and tearsが開幕

2024.9.2
ニュース
クラシック
 

ゲネプロレポート

ハンドル一本でロードレースを舞台上に描き出す、その表現技法が驚きをもって迎えられ、大きな感動で受け入れられた「ペダステ」。観客の応援を力に12年間駆けてきたシリーズの最終公演だ。

怒涛の走り出しで、劇場は瞬く間にインターハイ3日目の熱気に包まれる。総北高校、箱根学園、京都伏見高校。三つ巴かと思われたレースに、新たな刺客として待宮栄吉率いる広島呉南工業高校が登場。待宮は後方集団を操り、チームの垣根を越えて隊列を組む「協調」によって先頭を狙う。「集団」の迫力や「協調」の強みなど、「ペダステ」ならではの表現が続々。本役と兼ね役を往復しながら登場し続けるキャストもおり、総力戦の覚悟がみなぎる。

しかし総合優勝を狙う最終日は、一枚のジャージを誰よりも早くゴールに届ける戦い。レースが進むにつれて一人、また一人と力を使い果たしたメンバーがチームから離脱していく。己の全てを込めて走り切った選手からこぼれ出る本音と、それを受け止める仲間たち。それぞれの想いが全身から伝わってくる。鳴子章吉の意地、今泉俊輔の成長、御堂筋翔の矜持。真波山岳が魅せる羽ばたきと、全てを託されてひたむきに走る小野田坂道。

楽曲が選手を鼓舞し、照明が道を照らす。パズルライダーたちがスロープを巧みに動かし、レース展開を作る。走りや演出、見せ方全てに積み重ねてきた歴史が感じられる。土台を大切に磨き上げ、更に重ねる努力を欠かさなかった座組の力だ。そしてたやすく乗りこなせるものではないその土台に、今作のキャストたちはしっかりと立っている。実感を込めてセリフを発し、全力を振り絞って走っている。この生身の熱量こそ「ペダステ」最大の魅力。涙と汗の向こう側を目指してひた走る、彼らの輝きを劇場で感じてほしい。

文:片桐ユウ

公演情報

舞台『弱虫ペダル』Over the sweat and tears
 
◆原作:渡辺航『弱虫ペダル』(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
◆脚本・レース演出メソッド創作/監修:西田シャトナー
◆演出:鯨井康介
◆音楽:manzo
◆劇中歌「恋のヒメヒメ☆ぺったんこ」
作詞:渡辺航 作詞補佐・作曲・歌:桃井はるこ
◆レース演出協力:河原田巧也
 
◆公演日程:
2024年8月31日(土)~9月8日(日) シアターH
 
◆キャスト:
総北高校
小野田坂道 役:島村龍乃介 今泉俊輔 役:砂川脩弥 鳴子章吉 役:北乃颯希
巻島裕介 役:山本涼介 金城真護 役:川﨑優作 田所迅 役:滝川広大
 
箱根学園
福富寿一 役:髙﨑俊吾 荒北靖友 役:相澤莉多 東堂尽八 役:フクシノブキ
新開隼人 役:百成瑛、村上渉※ 泉田塔一郎 役:青柳塁斗 真波山岳 役:中島拓人
※全公演、2名で1役を演じます
 
京都伏見高校
石垣光太郎 役:鐘ヶ江洸 御堂筋翔 役:新井將
 
広島呉南工業高校
待宮栄吉 役:元木聖也 井尾谷諒 役:熊沢学
 
パズルライダー
パズルライダー監督:伊藤玄紀 パズルライダー:山口拳生、若林佑太/一瀬悠 河野智平
 
◆公式X:@y_pedalstage
◆クレジット表記: ©渡辺航(秋田書店)2008/ 舞台『弱虫ペダル』製作委員会