木津つばさ二度目の「変身」に毛利亘宏もハマり役と太鼓判! 木津つばさ×毛利亘宏「ライドカメンズ The STAGE」インタビュー
2024年5月にリリースされたばかりのアプリゲーム「ライドカメンズ」が早くも舞台化! 脚本は原案アプリの世界観構築・メインシナリオを手掛ける高橋悠也と内藤祐介、演出はメディア問わず特撮作品に携わり数多くの演劇作品を手掛ける毛利亘宏が担当。魅上才悟/仮面ライダー才悟役は、2022年・2023年に「風都探偵 The STAGE」でフィリップ役を演じた木津つばさが演じる。
本作は複数の仮面ライダーが登場する点も見どころ。山野光、新正俊、中西智也、川上将大、田淵累生、伊万里有が仮面ライダーに変身するほか、高塔雨竜役の湊丈瑠、舞台オリジナルキャラクターとして古谷大和、作品中でサポーター的役割を務める執事・藍上レオン役として廣瀬智紀が出演。2.5次元舞台で活躍するキャスト陣が集結する。
「風都探偵 The STAGE」に続き、再び仮面ライダーの世界でタッグを組むことになる毛利と木津に、挑戦満ちる本作への思いを聞いた。
「ライドカメンズ The STAGE」(C)「ライドカメンズ The STAGE」製作委員会 (C)石森プロ・東映 (C)BANDAI
――原案は今年5月にリリースされたばかりのアプリゲーム「ライドカメンズ」。本作の舞台化のお話を聞いた際のお気持ちはいかがでしたか。
毛利亘宏(以下、毛利):「これは大変だぞ」と。これまで数々の仮面ライダーをやってきましたが、今回はなんせ素顔が透けて見えるマスクですからね。
木津つばさ(以下、木津):そうなんですよ。だから、俳優本人が仮面ライダーに変身してアクションをするっていうのがきっと1番の醍醐味ですよね。
毛利:そうだね。
木津:ヒーローアクションをアクション部の方々に教えてもらいながらやらなきゃいけない。前回(「風都探偵 The STAGE」)演じたフィリップは意識を失って倒れたら運んでもらって、あとは袖で応援っていう感じで……。
毛利:戦わない役だったもんね。
木津:そうなんですよね。戦いの場にいなかったので(笑)。今回はガッツリ戦うことになるので、そこは見どころになるのかなと。
――演出が毛利さんと聞いていかがでしたか。
木津:もちろん嬉しかったですよ! これは何度も言っているんですが、毛利さんには役者として生まれたての状態の頃に本当に厳しく導いていただいて。
毛利:それよく言ってるけど、僕はあんまり記憶にないんだよね(笑)。
木津:っていつも言われちゃうんですけど(笑)。去年も何度かご一緒させていただきましたが、こうして来年も成長した姿を見てもらえるというのは、役者冥利に尽きるなと思っています。
――毛利さんは木津さんの出演を聞いてどう思われましたか。
毛利:絶大な安心感と信頼がやっぱりあるので、よかったなと。
木津:(謙遜して)いやいやいや……。でもそう思っていただけていてよかったです。
毛利:それに、「風都探偵」のときよりも役に合っているというか。
木津:たしかに。
毛利:才悟というキャラクターを演じている姿が想像できる。すごくハマるだろうなと思ったので、これは作品が成功するための要素として、大事な軸になるなと思っています。
木津:ありがとうございます!
――「たしかに」とのことですが、木津さんも原案アプリゲームで魅上才悟という人物に触れてみて、共感できる部分があった?
木津:彼自身の心の奥底は、まだ謎も多いので読み取れていない部分もあるんですが……。トーンが落ち着いているところは、少し似ているのかなと思います。才悟はフィリップとは全然違うキャラクターなんですよね。フィリップは天才で、頭で考える前に言葉が出てくる。才悟は“あまり感情を表に出さない”というところがキーポイントとしてあって、今回の台本を読ませていただくと、彼が成長していかなければならない局面に何度もぶつかっていくことになるんです。才悟は感情は表に出てこないけど、ちゃんと考えて、何を伝えるべきかという思いが頭の中にしっかりある子だと思うので、そういう部分はこれからの稽古でいろいろ試して作っていけたらいいなと思っています。
――仮面ライダー作品の舞台化に縁のあるお二人にとって、仮面ライダー作品を舞台化することの醍醐味はどんなところに感じていますか。
毛利:“仮面ライダーが目の前にいる”っていうこの感覚は、やっぱり映像では味わえないものなんですよね。舞台ではいろんなギミックを使って仮面ライダーに変身しますが、ここをうまくやればやるほど、テレビで観ていた仮面ライダーが目の前に現れるという興奮をお客様に味わってもらえる。そういう意味ではとても意義のあるアプローチだなと思ってやらせてもらっています。
木津:僕もそうですが、僕たち役者は仮面ライダーに憧れてこの世界に入っている人がすごく多いと思うんです。なので、役をいただき、さらに「変身」と言わせていただけるのは、本当に夢のような体験で。勇気をもらう側から与える側になったんだと思えることは、仮面ライダー作品に携わる醍醐味だなと思います。
――初めて舞台上で「変身」と言えた日というのは……。
木津:忘れられないですよ! 本当に震え上がりましたね。やっぱり夢でしたから、仮面ライダーになることって。毛利さんと出会って1年後くらいかな。ご一緒したときに、毛利さんに「僕も変身したいです!」って言ったこともあります(笑)。
毛利:あったね。「俺に言っても無駄だよ」って言ったけど(笑)。
木津:そうなんですよね。だから、もう自分で頑張るしかないと。そうして、ここまでたどり着けたという思いもあるので、またこの作品で「変身」と言わせていただけるのは、本当に夢のような体験だなと改めて思います。
――違う仮面ライダーへの変身が経験できる役者さんというのも、そう多くないですよね。
木津:めったにないですよね。
毛利:2つはなかなかないね。
木津:マサくん(和田雅成)とか?(※和田さんは 『仮面ライダーベイル』と「風都探偵 The STAGE」にて、タイトルロールの仮面ライダーに初めて2回変身)前回、「風都探偵」でマサくんが2回目の変身をしたじゃないですか。で、今回は僕が2回目なので、もしかしたらこの作品の中から2回目の変身をする人が現れるかも!?
毛利:ハハハ。そうだね、あるかもしれないね。
――先ほど毛利さんも仰っていましたが、変身者の素顔が見えるマスクというのは、この作品ならではの挑戦となりそうです。
毛利:まずマスクの造形がすごいじゃないですか。あのデザインを見たときに、「この造形を実現するのは無理なんじゃないか」って思ったんですよ。それくらい、立体にするのが困難そうなデザインで。
木津:とくにマッドガイはあのデザインじゃないですか。でも、実際に仮面ライダーシリーズに参加されている方が造形として入ってくださって、全部再現してくださっているんですよ! 僕もいちファンとして、フィッティングのときからずっと興奮していました。「僕専用ですか!?」って。
毛利:もう痩せたり太ったり、体型も変えられないよね。
木津:そうなんですよ。かなりぴっちりとジャストサイズで作っていただいたので、本番中はお腹いっぱいご飯を食べるのはやめとこうかなと(笑)。
――みなさんのスーツ姿も楽しみですし、さらにライブパートがあるという点もどんな作品になるのかなと気になっています。
毛利:「こんなにやるんですね」というくらい、がっつりとしたライブパートを予定しています。
木津:本当に「こんなにやるんですね」と思いました。仮面ライダーとしても、演劇としても、新しい挑戦になるんじゃないのかなと。
毛利:そうだね。
木津:ライブがある作品って、本編とライブとでバランスが取れるように、どちらかを重くして、もう一方を軽めに作って……というパターンが多いんです。でも今作は、本編もがっつりと演劇をして、その後にがっつりとライブもやるので、果たして僕たちの体力が残っているのか!?と(笑)。
――どんな楽曲になるのかも楽しみです。
木津:ちょうど先日、楽曲を聞かせてもらったところなんですが、すごくかっこいいです!
毛利:テレビの仮面ライダーシリーズと同じチームが楽曲制作をしてくれているので、いわゆる“本物”ですよね。
――では、シリーズファンお馴染みのあの雰囲気の楽曲を、パフォーマンスとともに楽しめる?
毛利:まさにそのままですね。計6曲、歌も踊りも演出ももりもりで披露する予定なので、かなりのボリュームになるんじゃないかな。
木津:量としてはかなりありますよね。それを覚えたうえで、当然、お芝居もあるので……。最高の年末年始ですね、ハハハハハッ!
――今回は仮面ライダー才悟としてのアクションもありますしね。
毛利:なので、この人が1番大変だと思います。ふふ。
木津:その大変さも、精一杯楽しませていただきます!
――毛利さんは木津さんの役者デビュー当時からご存知とのこと。「風都探偵 The STAGE」での木津さんの姿は、毛利さんの目にはどう映りましたか。
毛利:「ちゃんとした俳優になったな」と。
木津:まるでちゃんとしてなかったみたいじゃないですか(笑)。でも、本当に初めてセリフを言ったのが毛利さんの前で、当時はちゃんとしてるとかしてないのレベルじゃなかったです。
毛利:そうなんです。何者に育つか分からないヒナの状態だったので、「こんな立派な綺麗な鳥になって」という感動が、「風都探偵」のときはありました。
木津:いやいやいやいや……。
毛利:自分で考えながらストイックに役を突き詰めて、同時に舞台全体のことも考えて。いろんなことができる役者に成長していて、すごく嬉しかったですね。きっといろんな現場で苦労して、その都度乗り越えて。彼がここまで成長するために頑張ってきた彼の時間に敬意を表します。
木津:いやぁ、本当にありがとうございます。
――毛利さんとの作品づくりにおいて、木津さんはどんなことを感じましたか。
木津:出会った当時は分からなかった、毛利さんの優しさや温もり、演劇に対する愛を、やっと感じ取れるところまでくることができた。そのことが嬉しかったです。当時は何も分からなかったんですが、改めて毛利さんのもとで演劇に向き合える時間を過ごせることが幸せですね。
――個性豊かな仮面ライダーたちが複数登場する作品です。気になる仮面ライダーやお気に入りのキャラクターはいますか?
木津:1番気になるのが藍上レオンですね。何事にも真摯に向き合える人で、でも、不思議な側面もあって、自然と吸い寄せられて、いろいろ考えさせられるところがある。それは才悟自身もそう感じているんじゃないかなと、アプリゲームをプレイしながら感じていました。舞台版では、智紀くん(藍上レオン役の廣瀬智紀)と久々にご一緒できるのも嬉しいですし。
毛利:智紀、ぴったりだよね。気品のある感じとか。
木津:本当に他に考えられないくらいぴったりですよね。レオンってボケとツッコミ的な役回りもあって、そういうところも本当に智紀くんに合っていて。智紀くんが稽古にどんなレオンを持ってくるのか、すごく楽しみだし、気になる存在です。
毛利:僕は荒鬼狂介がすごく好き。
木津:おぉ~! いいですよね。
毛利:舞台版でも活躍するので楽しみですね。マッドガイはキャラクターが強いので、ジャスティスライドが食われないようにしないとね。
木津:そうですね。しかも、マッドガイを演じる兄さん方(荒鬼狂介役の川上将大、神威為士役の田淵累生、阿形松之助役の伊万里有)が……(苦笑)。
毛利:あの兄さんたちは、隙あらば好き勝手する人たちだからね。
木津:ですね。僕は全員知っている兄さんたちなので、好き勝手やっていたら「おい!」といけますけど、若手の子たちが遠慮しちゃわないように、僕が「道を開けろ」とやっていかないといけないなと思っています。いざとなったら毛利さんに「先生、あの人たち静かにさせてください」って言おうと思います。
毛利:アハハハッ(笑)。
――賑やかな稽古場になりそうですね。では、“仮面”にちなみ、お互いの「意外と○○な一面」を教えてください。
毛利:木津は謙虚に見えて、舞台上では意外と我が強い、かな(笑)。少年社中の舞台でも、あるセリフを言うのに「そこまでタメる?」っていうくらいタメて言ったことがあって。引っ込み思案に見えて、舞台上では意外と強気なところがあるなと。
木津:本番に入るとついつい(苦笑)。それを許してくれる毛利さんの寛大さに甘えている部分もちょっとあります。
毛利:(笑)。
木津:タメたその先に新しい何かが掴めそうな感覚もあって、ワクワクしてしまっている自覚はあります(笑)。
――毛利さんの意外な一面はいかがでしょう。
木津:毛利さんは意外と可愛らしい方だなと、最近感じています。毛利さん、僕に対しては二等辺三角形かなっていうくらい鋭く刺すように指導してくださるんですが(笑)、当時から周りのお兄さんたちには接し方が柔らかくて。その頃から、「実は可愛らしい方なのかな……」と思っていたんですが、最近そういった一面を僕にも見せてもらえるようになって嬉しいです。でも、演劇への熱さは変わらず持ち続けている姿が、僕は大好きです!
毛利:いやぁ、嬉しいですね。
――お二人のこの信頼関係のもとに作られていく「ライドカメンズ The STAGE」。新年にふさわしいエネルギッシュな作品になりそうですね。
毛利:そうですね。原案がアプリゲームで、それぞれドラマを背負った仮面ライダーがたくさん出てくるというところで、今まで作ってきたものとは一味違うものになるんじゃないかなと思います。なんといっても、この作品で初めてお客様は「ライドカメンズ」の仮面ライダーたちがリアルに動いているところに触れることになる。そういった部分も、驚きを持ってお送りできたらなと思っているので、ぜひとも期待していただければと思います。
木津:脚本を読ませていただいて、“理想と現実”というものがすごく刺さるストーリーでした。僕自身も小さい頃は仮面ライダーになれるという夢を抱いていましたけど、大人になってそれが簡単なことではないという現実を突きつけられる瞬間もあって。この物語の登場人物もそれぞれに過去と現在と未来があって、自分が思い描く未来に向かっていくためには、過去と向き合って乗り越えていかなくてはいけない。そこはこの作品で伝えなければいけないことの一つなのかなと思っています。困難があったとしても、前を向いて勇気ある一歩を踏み出せば、自分が思い描いている未来になるんじゃないか。そんな期待を感じ取ってもらえるような作品になればいいなと思っています。年始の忙しい時期かとは思いますが、ぜひこの「ライドカメンズ The STAGE」で一緒に、1年の始まりを過ごせたらと思いますので、応援よろしくお願いします。
スタイリスト=石橋修一(木津つばさ)
ヘアメイク=野口悠
取材・文=双海しお 撮影=山口真由子
公演情報
■原案 「ライドカメンズ」
■脚本 高橋悠也 内藤祐介
■脚色・演出 毛利亘宏(少年社中)
■出演
木津つばさ 山野光 新正俊 中西智也
川上将大 田淵累生 伊万里有
湊丈瑠 古谷大和 / 廣瀬智紀
内藤五胤(世が世なら!!!) / 佐藤誠一 鼓太郎 滝山翔太 西山和輝
中西奨 八巻紀一 夛田将秀 池田優樹 横山慶次郎 吉岡将真
2025年1月11日(土)~1月26日(日) 東京:サンシャイン劇場
2025年1月30日(木)~2月2日(日) 大阪:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
■全席指定 9,800円(税込) ※未就学児入場不可
■公演特設HP https://stage-ride-kamens.com/
■公演公式X @st_ride_kamens(https://x.com/st_ride_kamens)