ミュージカル『ウェイトレス』製作発表会見~高畑充希「魅力的な楽曲とストーリーが幅広い年代に刺さるはず」 

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アメリカ映画「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」(2007 年)をベースに製作された、妊娠・出産・離婚・自立・養育など女性の人生の岐路を描いたブロードウェイミュージカル『ウェイトレス』。人間味豊かなキャラクターたちが織りなすミュージカル・コメディは2016年ブロードウェイ初演で大きな話題を呼び、全米ツアーや英ウエストエンド公演も実施された。

本作を観劇した高畑充希の熱意が実って行われた2021年の日本初演も大盛況となり、2025年、4年ぶりとなる再演が行われる。主人公ジェナを演じるのは2021年に引き続き高畑充希。さらに、森崎ウィン、ソニン、LiLiCo、水田航生、おばたのお兄さん/西村ヒロチョ(Wキャスト)、田中要次、山西惇と豪華キャストが集結する。

12月15日に開催された製作発表会見には、メインキャラクターを演じる高畑充希(ジェナ役)、森崎ウィン(ポマター医師役)、ソニン(ウェイトレス仲間のドーン役)、LiLiCo(ウェイトレス仲間のベッキー役)が登壇。高畑は前回がコロナ禍での公演だったことに触れ、「再演ができることが嬉しいです。声を出せる状態で皆さんと一緒に楽しみたいですし、新たなキャストの皆さんと作っていくのもワクワクする」と語った。新キャストの森崎は「初演を観て、すごく感動しました。個人的に大好きな作品で、宮野真守さんが演じたポマター医師役を引き継げるのが嬉しいです」と笑顔を見せた。同じく今回から参加するソニンは「ブロードウェイで見た時から大好きで、出演できるのが夢のようです。私の演じるドーンは冴えないオタク。最近演じることがなかったタイプなので楽しみたいです」と語り、LiLiCoは「前回の公演、50歳でミュージカルデビューをしました。(姉御肌の)ベッキーらしくみんなをまとめていきたいです」と意気込んだ。

高畑充希

高畑はブロードウェイやウエストエンドで『ウェイトレス』を観劇し、出演を熱望していたという。本作の魅力を聞かれると、「まずは楽曲の圧倒的な魅力があります。とてもキャッチーで、一回観ただけでも、口ずさみながら劇場を後にできる。ただ、楽曲は明るいけれど、ストーリーはいろいろなことに巻き込まれながら自分を見つけていくというもの。ジェナはいろいろなものを混ぜ込んだパイを作る天才というキャラクターですが、ジェナ自身も悲しいことや辛いこと、いろいろなものを混ぜ込んでなんとか美しい人生にしていく。特別ではない人たちが作り上げる特別な物語なことが刺さりました」と語った。

森崎ウィン

お気に入りの楽曲を聞かれると、LiLiCoは「全部。強い楽曲もあれば歌い上げるものもあるし、どれも素敵」と悩みだす。「自分のソロ曲ではジェナの表情を見ながら歌うんですが、その時の表情が素敵で歌詞を忘れそうになります(笑)」と話して高畑を笑わせる。森崎は「ポマター医師とジェナが歌うBad Idea。ハモっているけど、綺麗なハーモニーというよりはそれぞれの思いが先行していて。美しさと危うさがある楽曲をどう作っていくが楽しみ」と語ると、ソニンも「私もBad Ideaが大好き。あとは後半のジェナのソロ曲のShe Used To be Mine。あの曲にジェナの全てが詰まっているから泣きそうになる」と熱弁する。「ポップに描かれているけど、ジェナの置かれている立場は結構ダーク」と話すソニンに高畑も頷き、「ブロードウェイのイベントで男の子が歌っているのも見たことがあるんですが、誰が歌っても素晴らしい楽曲です」と楽曲を絶賛していた。

ソニン

また、初演の思い出を聞かれると、LiLiCoが「私は声が大きいみたいで、ずっとtoo loud!と言われていました」と笑わせる。また、コロナ禍の初期だったこともあり、コメディ作品だが客席は声を抑えていたという。高畑、LiLiCoともに、今回は思い切り笑ってほしいと観客に期待を寄せていた。

新キャストの森崎は「パイを作るということ自体、僕にとっては身近ではないのですが、一人の女性の人生という点にすごく感銘を受けました。異国で生まれた作品ながら、持ち帰るものがたくさんあった。魅力が詰まった作品です」と熱く語り、ソニンも「ブロードウェイで見た時、劇場に入った瞬間パイの匂いがしました。私たちの世界の物語だという入り口がそこにあって。ミュージカルって劇的なストーリーも多いけど、この作品は自分自身や身近な人たちの物語として見ることができます」と話す。

高畑、ソニン、LiLiCoは製作発表会見の前に、FNS歌謡祭でも楽曲を披露した。LiLiCoの「息ぴったりでしたよね」という言葉に高畑とソニンが頷き、「新参者なのでドキドキしていました」と語るソニンに、高畑とLiLiCoが「全然問題なし!」と太鼓判を押す。会見でも息のあったやりとりを繰り広げ、「すごくバランスのいい3人だと思います」と自信を見せた。

LiLiCo

最後に、初めて本作を観る方々に向けて伝えたい魅力を尋ねられた高畑は、「初演の時は、観に来てくださった方から、“楽しかったけどポスター詐欺だよ!”と言われました。ビジュアルはポップだけど、実際は家庭内暴力や望まない妊娠、介護などの社会問題が盛り込まれています……っていうと観たくなくなっちゃうかな(笑)。観たくないものを混ぜ込んで甘く焼き上げたような作品で、“テーマパークみたいだった”といってくれる人もいれば、“自分の人生を見ているようだった”と言ってくれる方もいました。私の父親世代も楽しんでくれたので、幅広い年代に刺さる作品になっていると思います。準備はいらないので、劇場に体感しに来てほしいです」と呼びかけた。

本作は2025年4月9日(水)〜30日(水)まで東京・日生劇場、5月5日(月)〜8日(木)まで愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール、5月15日(木)〜18日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、5月22日(木)〜29日(木)まで福岡・博多座で上演される。

取材・文・撮影=吉田沙奈

公演情報

ミュージカル『ウェイトレス』
 
■脚本:ジェシー・ネルソン ■音楽・歌詞:サラ・バレリス
■原作映画製作:エイドリアン・シェリー
■オリジナルブロードウェイ振付:ロリン・ラッターロ
■オリジナルブロードウェイ演出:ダイアン・パウルス
 
■出演:
高畑充希 森崎ウィン ソニン LiLiCo
水田航生 おばたのお兄さん/西村ヒロチョ 田中要次 山西惇
岩崎巧馬 茶谷健太 堤梨菜 寺町有美子 照井裕隆 中嶋紗希 永石千尋
中野太一(スウィング) 中原彩月(スウィング)

■製作・主催:東宝/フジテレビジョン/キョードー東京
■共同制作:バリー&フラン・ワイズラー

■作品公式 WEB サイト https://www.tohostage.com/waitress/
 
■日程・会場:
2025年4月9日(水)〜4月30日(水) 日生劇場
2025年5月5日(月)〜5月8日(木) 愛知・Niterra 日本特殊陶業市民会館フォレストホール

2025年5月15日(木)〜18日(日)大阪・梅田芸術劇場メインホール
2025年5月22日(木)〜5月29日(木)福岡・博多座
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