JUNNAが2024年を振り返るオフィシャルインタビュー

インタビュー
音楽
2024.12.20

2024年6月からスタートした『JUNNA ROCK YOU TOUR 2024 〜Hitch-Hike〜』を11月20日の福岡公演でエネルギッシュに締めくくったJUNNA。今回のインタビューは終演直後の熱気冷めやらぬままDRUM Be-1の楽屋で行ったもの。このツアーのために書き下ろした「スタートライン」に込めた想い、ライブの延期が決まったときの心境、初めてのアジアツアーの思い出などなど、盛りだくさんだった2024年を振り返りつつ、2025年に向けての決意も語ってくれた。

――今回のツアー『JUNNA ROCK YOU TOUR 2024 ~Hitch-Hike~』を終えたばかりですが、今どんな気持ちですか。

本当にいろんなことがあったツアーでしたが、こうして振替公演まで走り切ることができてよかったなという達成感でいっぱいです。6月の名古屋公演から始まったんですけど、そのときは“とにかくみんなに歌を伝えなきゃ”という気持ちで必死でした。でも途中から“もっと歌詞を大事に歌いたいな”という気持ちも出てきて、そこも意識しながら、このツアーをまわっていきました。MCも最初の方は結構グダグダで、かなり長く喋ってしまったこともありましたが、だんだん良い塩梅にできたかなと思います。

――8月の東京公演も観させていただき、心の底から歌うことを楽しんでいるようなJUNNAさんの姿が印象的でした。

そうですね、今回はセットリストを初めて自分で組んだことも大きかったと思います。今までは割と周りのスタッフさんに手を加えてもらっていたんですけど、このツアーではベースから自分で作って「これでやりたいです、できますか?」と相談しつつ、島田(昌典)さんにもアレンジしてもらって実現させてもらったので。本当に今の自分が歌いたい歌を、今みんなに伝えられているなという感覚は、最初から最後まで変わらずにありました。

――福岡公演のMCでも「綺麗に歌うんじゃなくて、やっぱりJUNNAはロックなんだ」とおっしゃっていましたが、そういうコンセプトもあって、このセットリストを組んだんですか?

みんなにとっての“良い歌”の基準はわかりませんが、歌が上手いな、音源通りだなと思ってもらえるライブも私は好きなので、どこかでそういうものを届けたい気持ちがずっとありました。これまでは失敗しちゃいけない、音を外したらいけない、と自分を自分で縛っていた感じだったんです。でもこのツアーでは、曲によって変化を見せられるようなセットリストにしたかった。この曲ではしっとりとか……最後の福岡公演ではしっとりがなかったんですけど(笑)、“この曲では歌を聴いて欲しい”とか“この曲は言葉を聴いて欲しい”とかいろいろと自分で考えながらどんどん変化をつけられるセットリストだったんです。

――「風の音さえ聞こえない」が2曲目というのも驚きでした。

ここはスタッフさんとも一番話し合ったところで(笑)。「本当に2曲目でいいの?」って言われて。でも私は「ここに1回入れてみるという面白さがあるんじゃないかと思う」と伝えたら「わかった、じゃあリハーサルでやってみて、あまりにも飛ばし過ぎだなと思ったら変えよう」って話になったんですけど。結局そのまま行くことになりました。今まではライブのラストブロックに入れて、ロックに終わるというのが定番になってきていたので、それをちょっと1回ここで崩して2曲目に持ってきたらどうなるんだろうというワクワクが自分のなかでありました。だから、ライブをやってみないとわからなかったんですよ。1曲目に「Unite」がきて、“2曲目は何だろう?”ってときにいきなり「風(の音さえ聞こえない)」で盛り上がれるか!?……って空気になる可能性もあったんですけど(笑)。私はみんなを信じていたし、実際にみんなめちゃくちゃ盛り上がってくれて。2曲目に持ってきた意味があったなと思いました。

――このツアーのために作られた新曲「スタートライン」も、ツアー中に歌っていくごとに成長を感じたんじゃないですか?

そうですね。最初は歌詞ができて1週間後からツアーが始まるという状況だったので、ギリギリまで試行錯誤して本番を迎えた感じだったんです。ツアーが始まってからは、初めて聴いてもらう新曲だから、みんなの反応を気にしながら歌っていました。でもいろんな会場で歌うごとに、盛り上がってくれる方だったり、聴くことに徹してくれる方だったり、それぞれのスタイルで聴いてくれて、それも嬉しくて。みんな何かを受け取ってくれているんだと思いましたね。もっと盛り上がれる曲にしても良かったかなとか途中で思ったりもしたんですけど、今日の最終日を終えて“これで良かったな”と思えました。自分が今歌いたい、みんなに伝えたいと思った曲はこれなんだって、なんか正解を見つけられた気がして。ライブをやっていくなかで、そこはすごく良かったなと思いました。

――このツアーが始まる前のタイミングがJUNNAさんにとって、まさに「スタートライン」だったということですか。

はい、ここからがまたJUNNAの始まりだなと思っていたから、最初に出てきた歌詞が《スタートライン》という言葉でした。そのままこれをタイトルにしようと思って、この言葉に沿った歌詞を書きました。それは私が大学を卒業したことも大きかったですね。今までは学生とこの仕事と、どちらも大事だったし、どちらも一生懸命やってきたけど、やっぱりどこか学生でいる自分に甘えていたというか。仕事はしていますけど、学生でもあるし、まだちょっと許してもらえるよねみたいに思っちゃっていた自分がいて。でも今年に入って仕事だけになって、そんな甘い考えじゃダメだなってようやく気付かされて。もっと前から気づいていればよかったんですけど。だからこれからの自分への覚悟を込めて作った曲が「スタートライン」でした。

――ちなみに今日はリハーサルも観させていただいたんですけど、本番前はどういうことを考えていますか。

あんまり何も考えないようにしています。考えれば考えるほど、ちゃんとやらなきゃと思っちゃう気がして。それが自分の課題でもあるなと思うんですよ。MCでもお話したんですけど、『JUNNA ROCK YOU TOUR 2023 〜Dear⋯〜』のときは自分的にもすごく良い歌が歌えて、いろんな演出もあって、今歌える歌を最大限歌えていると思っていたんです。あのツアーはそういう作り方で良かったと思っているんですけど。それが終わってスタッフさんたちと次のツアーをどうしようかと話しながら、まずは前回のツアーを振り返ろうと。そこで私が一番最初に思ったのは“昔の自分がいなかった”ってことなんですね。なんか昔の、10代の頃のライブのスタイルは本当に何も考えてなくて、どこまで自分が歌えるかとか、どこまで体が持つかとか一切考えてなくて。それが良いのか悪いのかわからないですけど、でもデビュー当時はそれで良かったんだと思うんです。もちろんちゃんと歌を届けなきゃいけないのに途中で崩れちゃったり、ダメなところもあったりしたんですけど。でもあの頃のがむしゃらに歌を歌っていた自分に帰ってきて欲しいなって『JUNNA ROCK YOU TOUR 2023 〜Dear⋯〜』を終えて思った自分がいて。だから今回のツアーではそれを取り戻したいみたいな気持ちがどこかにありました。もちろん成長することはすごく良いことで、ボイトレに通ったり、筋トレをしたり、いろんな面で自分の体を作っていくのはすごく必要なことだと思うけど。忘れたくない気持ちが今回のツアーで戻ってきて欲しいと思っていたので、リハーサルでもあんまり考えすぎないようにしていました。

――しかもJUNNAさんは、楽屋でも声出しをしないんですね。

いろんな方に本番前に楽屋で声出ししないという話をすると「やったほうがいいよ!」ってよく言われるんですけど(笑)。なるべく本番前に歌いたくないんですよ、本番で全部のエネルギーをウワッと出したいと思ってるから。本当はやったほうがいいのもわかってるんですけど……デビュー当時からこのスタイルはほとんど変えてないですね。

――今回のツアーは9月にアジアツアー『JUNNA ROCK YOU ASIA TOUR 2024 〜Hitch-Hike〜』を挟む形になりましたけど、中国での公演はいかがでしたか。

中国は初めて単独でライブをさせてもらったんで、お客さんがどんな盛り上がりなのか想像できなかったんです。でも日本のファンの方と変わらずすごい熱量で来てくださる方が本当に多くて嬉しかったです。9泊10日で5公演やってきたんですけど、私は家族や心を許した人としか過ごすのが苦手なので、スタッフの皆さんやバンドメンバーの皆さんとこんなに長い時間を過ごすなんて、アジアツアーが始まるまでは不安だったんですけど、もう全然そんな心配は要らなくて。アジアツアーを終えて帰る時には「え、もうお別れですか!?」っていうくらい寂しかったです(笑)。お客さんにもバンドのメンバーの皆さんにもスタッフさんにも本当に助けられて、とても良い経験をさせてもらいました。日本ではなかなかないような過酷なスケジュールのなかで挑戦させてもらえたことがすごく嬉しかったし、それをやり切れた自分に自信が持てました。そんな経験を24歳でやらせてもらえたことが本当にありがたいです。

――アジアツアーを経て、こうして福岡の振替公演で『JUNNA ROCK YOU TOUR 2024 〜Hitch-Hike〜』最終日を終えることができました。途中でライブが延期になったり、ピンチも乗り越えてのツアーでしたね。

7月7日の静岡公演が終わって、全然調子がいいじゃんって思っていたら、次の広島公演の1日前くらいに急に声が出なくなって。今までそんなことなかったし、こんなに長いツアーをやったことがなかったので、そういう経験をしたことがなくて。最初は“声が出ない、明日のライブどうしよう”という絶望感がすごくて。もちろん体調を崩すことは誰にでもあると思うけど、ライブを飛ばしたことが今までの人生でなかったので、ライブができないってなったときは自分自身に“なんでこんなことになったんだ”という気持ちもありつつ、だけど公演前日に(中止・延期が)決まったから来てくださる予定だった皆さんへの申し訳無さもすごくありました。広島と福岡と、あと仙台も。前日から来て泊まっていた方もたくさんいたと思うんで、それが本当に申し訳なくて。みんな私のために時間を取って、すごく楽しみにしてくれていたのに、その気持ちを裏切るようなことをしてしまったという気持ちが本当に大きくて。「明日のライブを中止にします」と言ったときに、みんなが本当にあったかくて。もちろん心のなかでは“なんでだよ”って思っている人も絶対いたと思うんです。“行きたかったな”って残念な気持ちをみんな持っていたはずなのに、私にかけてくれる言葉は全部やさしくて、その言葉に本当に救われたし、手紙もたくさんもらって、休んでいる間に全部読んで、本当にみんなに支えられてるなと感じました。そして“みんなありがとう”って思いました。7月20日の千葉公演からツアーを再開したときも、病院の先生に「声は治っているから歌えるよ」って言われていたんですけど、やっぱりメンタルが追いつかなくて。自分の中でも治っていることはわかっているし、歌えるはずなのに、千葉公演の最初の方は、ほんとに思ったより声が出なくて。“なんで?”って⋯⋯。もう治っているはずなのに、と思いながらライブをやっていたら途中からみんながすっごい勢いで盛り上げてくれたんです。あの日の「FREEDOM〜Never End〜」でみんなの声を聞いて、パワーをもらって私の声が治ったんです。そこでようやく元の自分が戻ってきたなと感じましたね。声って精神的なものに影響を受けるし、それを支えてくれるのはみんななんだなっていうのを今回あらためてすごく感じました。千葉公演の「FREEDOM〜Never End〜」は、このツアーでも忘れられない経験になりました。

――そんな経験を踏まえて、JUNNAさんのなかで変わったことや変えたことは何かありますか。

喉のケアを以前よりやるようになりました。自分の体は自分にしかわからないから、自分でいろいろと試していかないと、と思って。家でも喉に良いハーブティーを毎日1杯は飲むとか、リハーサル後に喉に良いシロップを絶対舐めるようにしたり。自分のなかで今までルーティンは作ってなかったんですけど、さすがに喉のケアのルーティンを作ったほうが良いと思って、やるようになりました。

――ただがむしゃらに歌っていた頃の気持ちで歌いたいし、でもそれには日々のケアも必要だし、という。

なんか矛盾してますよね(笑)。そうなんですよ、無謀なことをやるためにはこれが必要だったんだなって気付かされました。計画性のある無謀さっていうか。“やってやるー!”っていう気持ちだけじゃダメなんだなと思って。

――2024年はこうして素晴らしいライブ納めができました。この1年を振り返ってみて、いかがですか。

2024年を振り返ると、ひたすらライブをやっていた1年だったなと感じています。大学を卒業してアメリカ留学をして、帰ってきたらすぐにツアーで、気持ち的にも大きな変化がありました。これから自分がやりたいことをたくさん見つけられた1年でもあったので、来年は更なる変化に向けての準備をしていきたいなと思っています。早く新曲が聴きたいとか、次のツアーを発表して欲しいと思ってくださっている方もいると思いますが、まずは自分自身としっかり向き合いながら新しい自分を見つけて、それをまたみんなと共有できるときが来年も絶対にあると思いますので、楽しみに待っていてくれたら嬉しいです。

――自分と向き合って、新しいJUNNAを見つけたい?

そうです。今までは割とライブにしても曲にしても、何か提案をいただいて“やります!”って感じで進んできて、それで良かったんですけど。これから長く歌い続けていくには、それだけじゃ何か足りないのかなと思って。自分が好きなアーティストのライブを今年たくさん観させてもらったんですけど。そんななかでみんなは私のどういうところが好きで、どういうところが観たくてライブに来てくれるんだろうとかすごく考えました。“これが観たいからJUNNAのライブに行く!”という強い気持ちをみんなに持ってもらえたら嬉しいから、今は自分でそれが何なのか、見つけ出そうとしている感じです。来年また何かを見つけた自分でみんなに会えたらと思いますし、ライブは大好きだし生きがいなので続けていきながら、新しいことにも挑戦していきたいと思っています。

取材・文=上野三樹 

>>ツアーファイナル福岡公演ライブレポートはこちら

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