梶浦由記インタビュー「楽しいことだけやっていっても、もう許してもらえるんじゃないか――」
今年も『Yuki Kajiura LIVE』がやってくる。作曲家・梶浦由記の音楽を堪能できるこのライブも今回で21回目のナンバリングを迎える。「~60 Songs~」と銘打たれた今回のライブはどういう内容になるのだろうか? 今年還暦を迎える梶浦由記に新設された仕事場で話を聞いた。
――今回は『Yuki Kajiura LIVE vol.#21~60 Songs~』のお話をお伺いするのですが、ナンバリングライブも21回目、昨年の11月のアジアツアー以来ですが、国内では約1年ぶりの開催です。改めてこの一年はどんな一年だったのでしょうか?
昨年はアジアツアーをやりながらここに引っ越したんです。仕事場も地下に作ったので、それを使えるようにするまでが結構忙しかったですね。やっと今、本格稼働しているんですけど、この半年くらいは、仕事場のために頑張っていたのかな、みたいな感じの印象ですね。
――そんな作業環境にも慣れてきたところがある感じでしょうか。
そうですね。ともかく細かい作業が一つ一つ便利になりました。色々な作業を効率化できて本能的に動けるようになったのが本当に楽ですね。
――今回はちょっと間が空くとはいえ、『Soundtrack Special』を加えて全10公演となります。かなり数が多い気もしますが、とはいえ昨年はかなり稼働されている印象があったので、今回のステージ数も素直に受け入れてしまいました。
昨年はアジアも行ったし、そのあと『Fate/stay night』20周年記念コンサートもやりましたし、その前に『FictionJunction Station Fan Club Talk&Live vol.#3』もあったので、ずっと動いている感覚はあったかもしれませんね。昨年は日付的には飛び石みたいな感じで、1本やったら3週間ぐらい空くとか、そういう日程もあったので、今年はぎゅっと詰まっているかな。
――ちょっとタイトなスケジュールかと思いますが、準備は徐々に進まれている感じでしょうか?
やっと選曲をしています。実は今度のライブでやるための曲を作っていて、それも含めて今セットリストを組んでいます。
――今回は「~60 Songs~」と銘打たれていますが、どのような内容になるのでしょうか?
まず私、今年還暦なのでどうしようか、という話から始まって。せっかく迎えるのにスルーするのもなんだよね、でも還暦記念ライブも嫌じゃない? って言って(笑)。でもせっかく今まで支えてくださったファンの皆様とお祝い気分にもしたいし、60っていうのをうまくどうやって取り入れようかというのをプロデューサーと相談して、じゃあライブ全体で60曲やるライブを組めばいいんじゃないかと。「~60 Songs~」にすると、1年ごとに積み重ねてきた年月みたいな感じで、なんとなくうまく収まるんじゃないかしらっていう。
――とはいえライブで「60曲演奏します」というのは相当インパクトがありますね。
でも全部が新曲ではなくて、今までやってきた曲もかなり多いし、うちのバンドの人たちは慣れているので。3日でとんでもない曲数をやるライブとか、今までも結構色々とやってきたので、60曲くらいではみんなビクともしないです(笑)。
――さすがフロントバンドのメンバーは凄いですね……。
みんなが優秀だからこそできることですけどね。リハなんて下手したら一回合わせて「はい、出来上がり」みたいな感じになっちゃうこともありますから。
――長年、梶浦さんと積み重ねてきたものが確実にありますね。
本当にその通りで、私のライブって歌ものだけではなくて、サウンドトラックからのインストゥルメンタル曲に英語や、造語のコーラスが入っている曲もある。そうすると、もともとドラム、ギター、ベースが入ってない曲もあるし、弦ベースの曲もあって。じゃあ、それをどうやってバンドアレンジしていこうか、という部分に関しては、数を重ねてみんながテクニックを身につけてきたので、アイデアがまとまるのがすごく早いんですよ。
――なるほど。
だから、60曲やるためのリハーサルという部分では、今やっているフロントバンドメンバーズと、頼りになる歌姫たちだからこそ、この日程でできるんです。どんなに優秀な素晴らしいプレイヤーさんを集めても、初めましての方々だと、多分3倍ぐらいリハをやらないといけないんじゃないかな。
――そうですよね。リハが本当に大変そうだなって思いましたが、蓄積があるからやれるんですね。
リハをまとめてくださるプロデューサーがドSなんですよ。「じゃあ合わせてみましょう、あっ、できましたね! はい次!」みたいな感じですごいスピードで進めてくれる。バンドメンバーだけだと同じ曲を何度もやりたくなるんですよね。でもそれだと全くリハが終わらないので、スタッフのご協力のもとに進めていますね。
――今回KAORIさんも帰ってきますし、歌姫のラインナップもリニューアルされている部分があります。梶浦さんの中で変えていこうと思っている部分はあったりしたのでしょうか?
過去の『Yuki Kajiura LIVE』でも歌い手さんたちは変わってきたし、その度にゲストさんも変わるので、そこに関して構えはそんなに無いですね。新しい方が来てくださったら、その方がかっこよく見えることをやりたい、という部分は変わっていないし、この曲にどういう風に加わってもらったら、この人がかっこよく見えるかな、とかは常に考えています。もちろん主役が多いので、全曲全員に見せ場を作るのは難しいんですけどね。でも歌い手さんが変わるということについては、パート割りが変わってくるという部分はあって。
――そうですよね、梶浦さんの楽曲は特に複雑なパート割りだと思っています。
同じ曲を3人でやったり、ゲストさんを含めて5人でやったり、4人でやったり、かと思えば1人で歌ったりすることがあるので、1つの曲に対して歌の譜面が5種類くらいあるんですよ(笑)。今回はどのバージョンで歌いますかね? みたいなところからリハが始まるので、バージョンが増えれば覚え直しになるし、そこは大変な思いをさせている気はします。バンドメンバーは演奏としては変わらないけど、歌はね。
■ゲストボーカルへの印象は?
――今回は多彩なゲストボーカルさんの見どころの一つだと思っています。KOKIAさん、ASCAさん、JUNNAさん、そして鈴木瑛美子さん。せっかくなのでそれぞれのボーカリストの印象もお聞きできれば。
KOKIAさんは本当に私が仕事を始めた頃に、デビュー前のKOKIAさんと仕事したことがあるんですよ、まだ学生さんだったはず。その時になんて素晴らしい歌い手さんなんだろうと思って、またご一緒にと思っていたんですけど、なかなかご縁に恵まれなくて。でも2022年に劇伴を手掛けたNHKドラマ『風よ あらしよ』という作品が劇場版として公開が決定し、新たにエンディングテーマを作ることになり、本当に久しぶりに声をかけさせていただきました。一昨年の『Kaji Fes.2023』にも出ていただいたんですけれども、あれは準備期間が2週間くらいしかなかったので、KOKIAさんと一緒に舞台に上がっている喜びをかみしめる余裕もないまま終わってしまった。それがすごくもったいなかったので、今回は一緒にステージに立つという喜びを感じながらご一緒したいですね。
――KOKIAさんがいるとそこだけ空気が変わる感じがありますよね。
そう、雲間から違う光が射してきたような。そういうKOKIA空間を堪能させていただこうかなと思っています。
ASCAさんは声も歌もすごく可愛らしい方で、私が一緒にお仕事させていただく時って、私視点のASCAさん像なので、彼女の本当の持ち味というか、普段の活動とちょっと違う形で音楽を作らせていただいている気がしているんです。それが楽しいし、ASCAさんもなんとなくその辺を楽しんでくださっている気がするんですよ。
――ASCAさんはデビュー曲からかなり雰囲気のある楽曲を歌っていますし、ジャンルレスに歌えるシンガーさんという印象がありますね。
私がASCAさんとやる時は、無精髭を生やした北欧っぽいベースのお兄ちゃんと、癖のありそうなキーボードとかを後ろに2人従えて、その間に赤いドレス着て歌っているお姉さん、みたいなそういうイメージ(笑)。ちょっとだけアンニュイで、ハスキーなんだけど、なにかキラキラ光る粒も飛んでいるようなあの声がとても素敵だと思っていて。ちょっとだるそうなバンドサウンドとすごく合う声だと勝手に思っているので、そういう曲も歌っていただいています。話していてもとっても楽しい方なので、単純にまたお会いできるのが楽しみです。
――ASCAさんの歌声のイメージはまさに同じような印象です、では次はJUNNAさん。
JUNNAさんは初めてお会いした時、こんな若くてこんなに上手い人いるんだなって本当に驚いたんです。ただピッチが良くて、声が良くてっていうだけじゃなくて、なんか音楽をすぐ噛み砕ける上手さというか、こんなに若いのにこういうグルーヴをすぐ体に入れちゃうんだ、っていう驚きがあったんです。どういう音楽を聴いて、歌って来たらこうなるんだろう? というか。
――梶浦さんから見てもJUNNAさんの上手さって特筆すべきものなんですね。
若い方特有のグルーヴじゃないですよね。すごいリズム感がいいし、音楽を掴むのがめちゃめちゃ早い。お会いした時はすごい無口な方で、この間、JUNNAさんのSNSを見たら「私このごろ人見知りじゃなくなりましたので、みんな期待していてね」みたいなことを書かれていたので、人見知りじゃないJUNNAさんと再会するのが楽しみです(笑)。前にゲストに来ていただいた時もそんなにちゃんと話す余裕とかなかったので、本当に楽しみ。
――では鈴木瑛美子さんの印象はいかがでしょうか?
鈴木瑛美子さんはプロデューサーのアンテナに引っかかった人で紹介をいただいたんですけど、最近の楽曲の傾向って、細かい音をいかにピッチよく歌っていくかっていう作りも多いかと思うんです。昔みたいに歌が上手い=ロングトーンで力強く歌う、という時代じゃないので、ロングトーンでボリュームがあってドーンと歌う方を見つけるのが昔ほど簡単じゃないんですよ。
――確かに今のヒット曲の傾向はそうかも知れませんね。音符が細かくて、高低色んな音に飛ぶというか。
そう、そういう中で『Yuki Kajiura LIVE』って日本語の曲だけじゃなくて、造語とか英語の曲もあるし、ロングトーンだけで構成されている曲も多いんです。4人とかでハモる時に、速いテンポの曲でも美しいロングトーンで4小節きっちり伸ばせないと成り立たない、みたいな部分もあるので、そういった意味でも鈴木さんみたいな歌のテクニックを持っている方はとても貴重ですね。それに何といっても声がいい。今ミュージカルをやられているのでお忙しいんですけど、受けていただけて嬉しいです。
――ちょっと話題はずれるのですが、今話題に出ました、最近のヒット曲を梶浦さんとしてはどう思われているのか気になります。
時代によって色々と変わっていくものだと思うので、そこに良し悪しとかそういった感覚は一切ないですよ。ただ今の音楽の傾向が比較的音符が細かいものが多いというだけで、全ての曲がそうだという訳でもないですし、素敵だなあと思って聴いている曲も沢山ありますし。単純に私が作りたい曲が、音符がそこまで細かいものだけではないというか。それに加え、私のライブで演奏する曲は日本語の曲だけではなく、劇伴、BGMとして作った曲も多いんです。そういった曲には1ページ全部全音符しかない、おまけにタイ(楽譜上で同じ高さの音符を線で結び、一つの音として演奏することを指示する記号)がすごくかかっているようなページも結構あるので(笑)。それを4声で歌っていたりもするので、そういう楽曲をガッチリ歌っていただける方っていうのは大変ありがたいんですよ。
――そういう意味でも鈴木さんはぴったりですね。
あと『Yuki Kajiura LIVE』はちょっと舞台的な要素があるというか、サウンドトラックの曲って、思った以上に大げさに歌わないといけないんです。造語の曲とかを平坦に歌ってしまうと、面白くないんですよ。なのでミュージカルとかに慣れている方だと、そういうところもきっと得意なんじゃないかと期待しています。
■少しよそ行きな『Soundtrack Special』になるかもしれない
――8月の10日、11日は『Soundtrack Specialat the Orchard Hall』としての開催もあります。『Soundtrack Special』の開催は久しぶりですね。
そうなんです。『Soundtrack Special』は会場や、私の都合もあってしばらく開催できていなかったんですけど、そろそろやりたいねという話になって。でも今回、普通のライブと『Soundtrack Special』の間が1週間しか空いてないんですよ。もうバンドメンバーと「ここやばくない?」って今から言っています。
――そうですよね。スケジュールが詰まっている分、リハなども厳しいですよね。
『Soundtrack Special』は全部曲が変わるので、1週間の間にワンステージ分の曲と構成を全部頭に入れなきゃいけないってことなんです。「やばい! 地獄!」って言っていますけど、凄く楽しいですね。
――地獄だけど楽しいんですね。
そう、『Soundtrack Special』と組み合わせて60 Songsなので楽しみます。でも逆にサントラ楽曲を入れると60曲で収まるのかっていう懸念もあるんですよ。もし曲が60曲超えちゃったら、3曲続けてやってメドレーにして、これで1曲です。と言い張ったりするかもしれません(笑)。
――『Soundtrack Special』と通常のライブのテンション感の違いはどういうものなんでしょう?
『Soundtrack Special』の方がちょっと気楽というか、比較的マニアックなお客様を相手にしている感覚はあります。ナンバリングしている通常のライブの方がちょっとだけよそ行きですね。普段のツアーMCでは、初めましてのお客さんを仲間外れにしてしまうような、いわゆる内輪ウケ的な事やマニアックすぎる話題は絶対避けようと気をつけているんですけれど、『Soundtrack Special』ではほんの少し、砕けちゃってもアリなのかなっていう感覚なんです。でも今回はオーチャードホールでの開催なので、オーチャードで緩いのは良くないんじゃないかな、ちょっと今回は少しよそ行きな『Soundtrack Special』にしようかなって思っています。久しぶりの会場でもあり、アットホームというよりは格調高いイメージの会場ですしね。
――やはりオーチャードホールで開催となると心持ちも変わると?
ちょっと今回はMCも少し硬い感じにしなきゃいけないかしら? とかね。最後のところは舞台に登ってみてお客様と対峙して判断することになると思うんですけど。
■ライブに対して執着が出てきた
――以前お話を伺った時に、「ライブは劇伴作家としてはご褒美なんです」とおっしゃられていたのがすごく印象に残っていまして。近年はライブも活発に行われている印象がありますが、ライブに対する考え方やスタンスが変わってきた部分というのはあるのでしょうか?
執着が出てきましたね。やっぱり始めた頃は「ご褒美」だったんです。頑張っていたら貰えた嬉しい「おまけ」のような。私の仕事はもう昔も今も作曲だと思っているので、ライブはどこかしら仕事じゃないんですよ。不真面目に聞こえちゃったら申し訳ないと思うんですけど、やっぱり“やらなきゃいけないこと”よりもっと嬉しい“楽しいこと”なんです。背中を丸めて猫背になって曲を作ったご褒美みたいなもの。
――前もおっしゃられていましたね。
だって、自分が作った曲を最高のプレイヤーさん、歌い手たちに演奏してもらって、歌ってもらって、お客さんが笑って、聞いて、拍手してくれる、って、死んでどんな楽園に連れて行かれても、それより幸せな場所には絶対行けないと思っているんです。それは今でも同じなんですけど、やればやるほど楽しさも分かってくるし、バンドメンバーや歌い手さんとの絆もできてくる。すごく愛しい場所にどんどんとなってきて、こんなにライブに執着すると思ってなかったぐらいの思いが生まれてきたというのはありますね。
――愛着が生まれたからこそ、毎年やりたいと思われているというか。
昨年、仕事場を変えて「私この先何をやりたいんだろう?」って考えたんです。今後音楽を続けていくうえで何が必要なんだろうと思った時、正直60歳なのでやらなくてはいけないことがあまりないっていうか、やりたくないことは、もうやらなくていいんだなと思って。
――好きなことだけをやるというか。
そう、やっぱり30~40代の時は、将来のために、当時やりたくないと思っていたこともむしろ積極的にやってみたんですよ。全然自分に合わないような気がするけれど、経験のために、という感じで。でもそういうことって、実際やってみたらものすごく楽しかったり得るものも非常に多かったり、自分の視野の狭さを大きく反省する結果になることの方が多かったんですけれど、でも還暦を迎えるということは、仕事を変わらずできるのがあと15年くらいって思った時に、もうこの先「好きでやりたいこと」だけで十分埋まってしまうなと。もう先のために頑張らなきゃっていうことはやらなくていいんじゃないか、と思ったんです。楽しいことだけやっていっても、もう許してもらえるんじゃないかと(笑)。じゃあ、何がしたいか? と考えた時に、ライブをやりたいと思ったんです。
――楽しいこと、やりたいこととして「ライブをやりたい」ということが残った。
ライブだけは最後の最後まで続けたい、と思えたんです。そういう欲が自分であることにも改めて気がついて、本当に楽しいんだなって。それと同時に60歳を超えたら老後かもしれませんけど、こんな良い老後を昔、想像もしてなかったんですよ。この幸せをかみしめるという意味でも、来てくださった皆さんに最高の音楽をお届けする手間を省いてはいけないなと。一つ一つ丁寧に、これからあとvol.いくつまでいけるのかはちょっとチャレンジですけど、めちゃめちゃ楽しみながらやりたいですね。
――梶浦さんが還暦を迎えられるというのが改めて驚きです。これまで梶浦由記という存在に対して、年齢を意識していなかったんだな、と今思っています。
ずっと還暦って言ってるけど、実のところそこまで年齢は意識してないんです。でもリスタートを切るきっかけってあった方がいいじゃないですか。そうじゃないとずるずる惰性で物事を進めてしまう。色々なことを惰性にしないために「還暦だから気持ちを新たに!」みたいに言っている感じですね。
――気持ちを切り替えるタイミングとしての「還暦」ということですね。
そうです。きっかけは何でもいいんですよ。それが今年は還暦であるっていうだけ。正直に言うと60歳になったというネガティブなことは全然なくて、何か今年を記念するようなことがあると、エネルギーに変えやすいというか。
――それは凄くわかります。エネルギーとしての何かのきっかけがあるというのは大事ですよね。
その方が記憶にも残るんですよ。学生の時は高校何年生とかあったけど、大人になると果たしてあれが5年前のことだったのか、10年前のことだったのか、おぼろげになっちゃう。でも還暦イヤーと言っておけば、あれは60歳だから何年前か、みたいに思い出せるかなって。ちゃんと旗を立てていけるのはすごくいいですよね。
――とはいえ、お忙しい中、体調管理も大事だと思います。何か気をつけている部分とかあるんでしょうか?
実は私、すごい人生を変えたんですけど、寝るようにしたんです。今まで結構なショートスリーパーだったんですよ。一日平均して多分4~5時間ぐらいだったんです。でも一昨年から昨年くらいにかけて、ひたすらエネルギー切れが頻発するようになって、これはもう体力が落ちているのだなということに気づいたんです。その頃ちょうど大谷翔平さんが超睡眠みたいなことを言い出しているのを知って。
――一日10時間以上眠る、というやつですね。
そうです。そうか超睡眠か! と思って、よく寝るようにしてみたんですよ。朝早く起きちゃっても、もう一回寝るみたいな形で7~8時間は寝るようにしたんです。そうすると結構元気なんですよ。ただ1日が短い!
――それはそうなりますよね(笑)。
もう本当に困ってしまって。今まで4時間しか寝てなかったのに8時間寝たら、1日が4時間減っちゃうんですよ。0時に寝ようと思うと、前まではそれくらいの時間から仕事を始めたので、仕事を始めようと思った時にもう寝なければいけなくなる(笑)。今なんとか明るい時間に仕事をするように必死で体を慣らしているところです。
――これまでは夜に作業されることが多かったのですか?
あんまりちゃんとした時間に寝なかったんですよ。基本的に仕事を始めたら眠くなるまでやるっていう生活をしていたので。自営業の人ってそういう方は多いと思う。昼とか夜じゃないんですよね。やれるときにやれるだけやる、みたいな感じ。36時間寝ないこともあるし、疲れていれば2時間くらい寝ることもあるし。そんな生活だったのを朝ちゃんと起きて、生活のルーティーンをちゃんと作って生きようと思っています(笑)。
――では、最後にライブを楽しみにしている方にメッセージをいただければ。
ライブの回数を重ねるごとに、一回一回の大事さをしみじみと感じるようになってきました。今回の「~60 Songs~」というライブも一回しかないライブなので、60曲を心を込めてお届けしたいと思っています。ぜひ受け取っていただけたら嬉しいです。
取材・文:加東岳史
ツアー情報
『Yuki Kajiura LIVE vol.#21~60 Songs~』
Guest Vocal:ASCA、鈴木瑛美子
・7月27日(日)大阪・NHK大阪ホール
Guest Vocal:JUNNA、鈴木瑛美子
・8月1日(金)東京・昭和女子大学人見記念講堂
Guest Vocal:KOKIA、鈴木瑛美子
・8月2日(土)東京・昭和女子大学人見記念講堂
Guest Vocal:JUNNA、鈴木瑛美子
・8月10日(日)東京・オーチャードホール ※Soundtrack Special公演
Guest Vocal:鈴木瑛美子
・8月11日(月・祝)東京・オーチャードホール ※Soundtrack Special公演
Vocal:LINO LEIA
・8月16日(土)愛知・COMTEC PORTBASE
Guest Vocal:ASCA、鈴木瑛美子
・8月17日(日)愛知・COMTEC PORTBASE
Guest Vocal:KOKIA、鈴木瑛美子
・8月23日(土)埼玉・大宮ソニックシティ大ホール
Guest Vocal:KOKIA、鈴木瑛美子
・8月24日(日)埼玉・大宮ソニックシティ大ホール
Guest Vocal:ASCA、JUNNA、鈴木瑛美子
<公演に関するお問い合わせ>
大阪公演:キョードーインフォメーション
0570-200-888 (平日12:00~17:00/土日祝休業)
東京公演:キョードー東京
0570-550-799 オペレータ受付時間
(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
愛知公演:サンデーフォークプロモーション
052-320-9100 (12:00~18:00)
埼玉公演:キョードー東京
0570-550-799 オペレータ受付時間
(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)