札幌交響楽団が広上淳一(指揮)、外山啓介(ピアノ)とともに東京公演を開催

2025.1.20
コラム
クラシック

札幌交響楽団 (C)Y.Fujii


2025年2月3日(月)サントリーホール 大ホールにて、『札幌交響楽団 東京公演 2025』が開催される。この度、札幌交響楽団、そして公演について紹介するコラムが届いたので紹介する。

『札幌交響楽団 東京公演 2025』

札幌交響楽団は1961年創立。通称は「札響(さっきょう)」。
60年余りの歴史の歳月はそんなに長くないようで、しかしながら人生に当てはめてみれば、それと同じく十分豊かな時間である。そして人生と同じく、その時間の中には様々な出会いがある。

オーケストラというものは不思議なものだ。それが根差す土地の風土と無縁ではいられない。寒冷な土地ゆえに清涼な空気をその音としてまとった札響には、北の大地=北海道唯一のプロ・オーケストラゆえの相応しい出会いがあった。特に作曲家と。
今回の東京公演では、札響の“友情指揮者”広上淳一とともに、これらの出会いを紐解いていくひと時となるだろう。

曲目を1つずつ見てみれば、まず日本の生んだ国際的な2つの個性——武満徹と伊福部昭。この2人はとても対照的だ。静と動。そんな2人は札響と縁が深かった。
武満は「自分の音色を一番理解しているのは札響だ」と言ったそうだが、札響は1968年に《弦楽のためのレクイエム》を演奏して以来、持ち前の透明感ある音をもって、オール武満のプログラムや作品初演、ヨーロッパ公演でも彼の曲を演奏するなど、武満作品を最重要レパートリーとしている。今回演奏される、黒澤明が監督した映画『乱』の音楽は、作曲者の武満の推薦で札響が録音をしたエピソードをもつ。

生命感溢れるダイナミックな音楽を書いた伊福部は、北海道で生まれ育ち、その創作にはアイヌ民族の影響が濃厚だ。今回の《リトミカ・オスティナータ》のもつエネルギーの氾濫は、やはり札幌生まれのピアニスト・外山啓介と札響ならではの演奏となるはず。

海外における北の大地、北欧はフィンランドに生まれたシベリウスの音楽が、札響のサウンドとマッチするのは想像に難くないだろう。実際これまでも札響は様々な指揮者たちとの共演でシベリウスの名演を残してきた。7つの交響曲の中でも、特に人気のある深遠壮大な第2番は、今回の東京公演で札響にとって60回目の演奏となる。まさに札響の名刺代わりの1曲だ。

多彩な名匠、巨匠たちとともに歩み、今や大きな飛躍を遂げている札響の「今」に期待したい。

公演情報

『札幌交響楽団 東京公演 2025』
 
日程:2025年2月3日(月)
会場:サントリーホール 大ホール
 
出演
指揮:広上淳一(札響友情指揮者)
独奏:外山啓介(ピアノ)
札幌交響楽団
 
プログラム:
武満徹 「乱」組曲
伊福部昭 リトミカ・オスティナータ~ピアノとオーケストラのための
シベリウス 交響曲第2番 ニ長調 op.43