舞台『ノンセクシュアル』シングルキャストの立道梨緒奈、神里優希、小柳心が公演や共演者について語りつくす
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ーーシングルキャストとして2つのバージョンを演じられるのは大変ではありませんか?
神里:結構、違いますもんね。
小柳:もう全然違う。
神里:だから、こんなこと言うのはあれなんですけど、覚えられない。なんか、動きが。
小柳:わかる。
神里:同じセリフ喋ってるのに、一生覚えられない。よくないけど(笑)。
小柳:あんまり僕もやったことないですけど、ダブルキャストは、似たようなというか、同じようなポジションの選手が来る、はずなんですけど、全然違う二人が来ちゃったから、毎回全部道具変えていかないと。「ああ、こっちか、こっちか」みたいな感じで、こっちがアタフタしちゃうっていうのはあるよね。俺は自分がボールを投げればいいけど、二人は違う人と恋愛をしなきゃいけないわけじゃない、毎回。その大変さはあるよね、ふたりには。
立道:だから、こっちでやりかた、固まっても、こっちでは全然違う~。あれぇ? 同じ話やってんだけどなぁ、って。(爆笑)。
小柳:で、セリフ飛ぶじゃん(爆笑)。入ってます、入ってます。セリフは入ってるんです。でも、あれ? おかしいなっていう。
立道:で、落ち込むっていう。
小柳:そう。何回やっても「セリフは入ってんだよな。おっかしいな」ってなるんだよなぁ。わかるわぁ。この会話、できてよかった。俺だけじゃなかったんだっていう。よかったぁ(笑)。
小柳心
立道:3人がね。
小柳:シングルキャストとして。
神里:いいタイミングでした。
小柳:ほんといいタイミング。ここで、この話ができてよかった。
ーー鯨井康介さんは、どのような演出家さんですか?
神里:小柳さんはもう長いお付き合いをされてるんですよね
小柳:僕はもう、二十歳くらいから知ってるんですけど、だから、なんでも言えちゃうから。こういう時でもそうですし、普段からそうなので、二人からみてどうなのかなっていうのを知りたいですね。二人は康介の演出を受けたことはある?
神里:僕は初めてです。
小柳:演者として関わったことはある?
神里:はい。
立道:私はまったく初めましてですね。なんか、すっごく気をつかってくださってるんだろうなぁって感じながらやってます。その褒め言葉、嘘なんじゃないかなぁ、みたいな(一同爆笑)。ほんとに思ってる? それ。みたいな。でも、すっごく素敵な方なんだろうと思うし、お芝居上手いし。
(左から)立道梨緒奈、神里優希
小柳:あ、ここに関しては、この話、是非書いて欲しいのと、この話に関しては貼り紙してほしいくらいなんですけど(笑)。僕、別の作品で、ある監督と仕事をした時に、アクション系の作品だったんですけど、振付師がいて、殺陣師がアクションをつけました。で、僕ら、演者がやりました。そこに監督がきて、いやぁ、こうなんだよなぁってやって見せた時に、一番強かったんですよ。その時に僕らが学んだのは、監督が一番強いって、なんて迷惑なんだって話なんですよ。この現場も、あいつがお芝居がうまいって言うのが、ほんとよくないっていうことがある!(笑)
立道:ほんとに!
小柳:よくない!
神里:(爆笑)。
小柳:それをやってる時の康介はすごく楽しそうだし、確実に正しいし。思い描いているビジョンとか、やって欲しいことはめちゃくちゃ正しいからこそ、すっごいむかつくなぁみたいな(笑)。
神里:上手っすよねぇ。
立道:うまいんだよなぁ。
小柳:あれはもう、敬意をもって「迷惑」ですね(笑)。
立道:間違いないです。
鯨井康介
小柳:「別にそれ、やろうと思ってたし」みたいな。なんかべつに、できっし。で、それをなぞったらなぞったでさ、「あ、そこまでなんだ」。逆に「よかったよかった」って言われるとさ。
立道:(間髪入れずに)嘘つけ!(大爆笑)
小柳:だよね、そうなるよ。嘘つけってなるよ。
神里:だからもう、僕は信じることにしてます。「嘘つけ」って思いつつも、「いい」って言ってくれてるんだから。外れてはいないんだろうなっていう。いい路線にきてるんだろうなって。
小柳:そうか! 外れてたら言うもんね。
神里:そう。外れてたら細かく言ってくださるんで。
立道:確かに! 私もそのマインドでいけばいいんだ。
小柳:逆のマインドだよね。外れてないっていうのはいい考え方だよな。
立道:そうしよう。今日からそれでいきます。
ーーお客様へのメッセージを込めて、舞台『ノンセクシュアル』の魅力を存分に語りあってください。
神里:僕、考えてきました!(スマホを取り出す)
立道:え? それ、全部今回の質問のやつですか? ちょっと画面見せて?
小柳:うわぁ、めちゃくちゃちゃんと考えてる!
神里:僕こうしないと喋れないんですよ。こうしても喋れてないですけど。
小柳:わかった、じゃあ、それ読もう。それに沿って俺たちも話すよ。
(左から)小柳心、立道梨緒奈、神里優希
神里:ありがとうございます。では参ります(笑)。メッセージですね。「サブタイトルにもあるように、愛と執着は何が違うんだろう、と、僕も稽古場でそれを探しております。同じ人間でもそれぞれが違うセクシュアルを持っていて、それぞれの愛が交差しあうが故にコミカルになったり、それがサスペンスな方向に行ったり。紙一重な展開というか。これがなければ愛は狂った方向にいかないのに、みたいなことを感じられる作品です。お客様には、複雑に狂った感情になってもらって、でも楽しんで、いろいろ考えていただけたらいいなと思います」
立道:素晴らしい!(囁く)
神里:合ってます?
立道:合ってます、合ってます(囁く)。
小柳:なんか…面白くツッコめる場所なかったな。
立道:探したんすけどねぇ~(笑)。
小柳:すっごく探したんだけど、なんにもなかったっすわ。
立道:昨日の夜から考えて…。
小柳:でも、愛と執着はなにが違うんだろうっていうのは、おもろいテーマだよね。蒼佑の行動って究極なはなし、生い立ちの話が仮に全部なかったとしたら、あれくらいヤバイやつっているよね、なんか。いかつい奴。ストーカーになっちゃう的な。
立道:実際そういう事件もあるくらいですからね。
小柳:その手前だったとしてもさ、暴力に向かうこともあり得るだろうし。「なんで離れるんだよ!」みたいな。それはもはや愛じゃなくて執着だけどさ。だから、その辺は出来上がった時に見てみたいもんね。正面から。どれくらい愛の話なんだろうって。
立道:うん。
神里:確かに。
小柳:俺、最初に塔子が、あれこれいろいろやるじゃない? 塔子が一番愛の担当なんだよなぁって思って見てるの。なんか強がったりしても愛してるし、相手のこと考えてめちゃくちゃ愛してるんだけど、愛してるが故に、あのトンチンカンにあんなことされたら、うんまあ、そこまでいっちゃうか~みたいな。すごい、楽しいなぁと思ったりするんだよな。相手のことを考えてて。秀樹は自分のことも考えてるみたいなところが見えるんだよなあ、と思ったりしてて。愛の話の中に、蒼佑っていうヤベえ奴が来た時に、全部が崩れていく様っていうのを見てて、なんか持って帰るよねっていうか。ほんとに愛してるのかな、執着してるだけなんじゃないかな、みたいなことを思いますよね。どう? 存分に語り合うっていう。
(左から)小柳心、立道梨緒奈、神里優希
立道:でも、なんか一人ひとりの発表みたいになってるもん。
神里:最初の僕のがあんな感じだったから…。
小柳:でも、あれが結構、芯、食ってるんだよなぁ。
立道:私は塔子が一番感情移入できるだろうなと思ってる。
小柳:わかる。
立道:一番ノーマルに近い。っていうかノーマルか。女が男を好きだし、一番感情移入できるの。今回配信はないけど、絶対、配信じゃないです、この作品。絶対、生だなって思います。この空間を5人で作り上げる、この会話の緻密さとか空気とかは、絶対これ生だなって稽古しながら感じてますね。
神里:セットもね、横に客席があったり。
小柳:覗き見てる息苦しさみたいなものは、すごいあるもんね。いいだろうね。急に向かいの人が見えた瞬間の、ハッとする感じとかね。見ちゃいけないものを見てしまっている感じとかね。
神里:絶対、緊張しますよね、お客さん。その緊張を前半でぶち壊していきたいなと思ってて。コミカルなシーンがちょっとあるので。そこで心をがっと掴んでいきたいなっていう感じはあります。
小柳:まあ、その、俺がコミカル担当みたいにはなってるけど、俺が出るまでだいぶ時間があるから、みんな頑張ってね。
神里:コミカルと言いつつも、言い合ってる内容はそんな、ギャグみたいなことを言っているわけではないから、それが今回の難しいところだなって。大爆笑を取れる場所もないし。そうじゃなくて、ふっ、ってなれる時間が、前半に一つでも増えればいいなって。
小柳:やっぱ前半の一番面白いところはさ、塔子の「は?」だよね。
立道:だってそうなりますもん。でも、そこに全部込め過ぎないようにしよっ(笑)。
小柳:もしも見に来てくれた人が、演出家がなんか興に乗って出てきたらみんな石投げてくれていいですから。でも、康介もそうだと思うんですけど、アドリブなのかセリフなのかわからないっていう感じが好きだと思うんですよ。ふわぁっと入って伝わっていくような。そういうのは映像では伝わらないと思いますし、そういうことが本番やってるうちに何度もありそうだなっていう舞台ではありますね。
(左から)小柳心、立道梨緒奈、神里優希
【おまけ】
ーー内容が重複するかと思い飛ばした質問があったのですが、神里さんが原稿をご用意されていると伺ったので、是非お聞かせいただきたいと思います。「全体の座組はどんな雰囲気ですか?」
神里:あ、そこはあんまり書いてなかったです。
小柳:でも書いてはあるんだ?
立道:読んで読んで、聞きたい。
神里:ええっと「鯨井さんと小柳さんが全体を引っ張ってくださっている感じがとてもあって」って、ここで終わってます。
小柳・立道:(爆笑)。
立道:一文も完成してない(笑)。
神里:ここからは話の流れに委ねようと思って。
小柳:あえて書かなくても伝わっていくと思ったんだ。じゃあ、それは合ってたんだね。
立道:正解。
小柳:あ~面白かった!
撮影:NORI
公演情報
映画のR-15と同程度のセクシュアルな表現があるため、15歳未満の入場をお断りします。
[会場] 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
2月8日(土) 12:30 O / 16:30 A
2月9日(日) 12:30 A★ / 16:30 O
2月10日(月) 14:00 A / 19:00 O
2月11日(火祝)12:30 O / 16:30 A
2月12日(水) 14:00 O
ゲスト:相葉裕樹
【O=Ornithorhynchus anatinus -かものはし-】
新井將
星元裕月
立道梨緒奈
神里優希
小柳心
松村龍之介
加藤ひろたか(柿喰う客)
立道梨緒奈
神里優希
小柳心
[上演台本] 潮路奈和
一般:8,700円(全席指定・税込)
[共催] 横浜赤レンガ倉庫1号館