​ 「真っすぐ、かっけーバンドになりたい!」kobore、憧れの先輩・SHE'Sと対バン、白熱の競演で超満員の京都を熱くする

2025.3.3
レポート
音楽

撮影=Toshinari Tani

画像を全て表示(16件)

kobore『FLARE TOUR 2025』2025.2.24(MON)京都・KYOTO MUSE

koboreは現在、昨年11月27日にリリースした5thアルバム『FLARE』を携えて『FLARE TOUR 2025』を4月5日(土)まで開催中。同ツアーは前半を対バン、後半をワンマンで行う全21公演で、2月24日にはKYOTO MUSEにて前半のセミファイナルを迎えた。ソールドアウトとなった同公演のゲストは、所属事務所の先輩であるSHE'S。2組は互いに全力のパフォーマンスで火花を散らしつつ、長い付き合いだからこその舌戦でもファンを楽しませた。約2時間30分、合計26曲となったこの日の模様を紹介する。

SHE’S

撮影=Toshinari Tani

先行は先輩のSHE’S。マーチングドラムでひきつけ「The Everglow」でポップに幕を開けると、「追い風」、「Cloud 9」と続けて彼らの色を濃くする。井上竜馬(Vo.Key)の声も服部栞汰(Gt)のギターも時に哀愁をまとい、コーラスはアンセミックに。英語詞は耳心地よくファルセットはせつなく響き、観客の手が揺れると、次は「Blowing in the Wind」の軽快でのびやかな一面。井上もリラックスした様子で歌い、クラップもやむことがない。

撮影=Toshinari Tani

またMCもくだけたムードでkoboreについて。井上は「(佐藤赳に)初めて会った時、高校の時の彼女がSHE’Sが好きで、僕も聴いてました!って言うてた」と早々に笑わせ、「あん時のかわいかった赳が、今やサングラスかけて……」と話すが、「久しぶり会ったけど、かわいかったな」とツンデレ。

撮影=Toshinari Tani

そしてやさしい「If」の物語で心を温めたあとは「Ghost」へ。ギターがひずんで観客の集中も高まり、たっぷりのアウトロでは4人が全開放のアクト。満点の聴きごたえで圧倒すると、「Crescent Moon」で大人の世界へ誘ってから再びMCに。話題は2組の音楽の違いにもおよび「(koboreのように)2ビートとかないけど……いつかやろうか。おっさんになって解散しますってなった時」(井上)、「それで、もっかい火つくかもしれんし」(服部)、「つかない(笑)。なんやこれ!で終わるねん」(井上)と爆笑の予言を残し、「Kick Out」のスケール感で高揚させたらついにラストスパート。

撮影=Toshinari Tani

しかも井上が「合ってる?」と観客に聞きながらkoboreの「ヨルノカタスミ」をひと節サービスし、全員を笑顔にしてから「Grow Old With Me」と「Dance With Me」へ。晴れやかな祝祭の音像がクラップを大きくし、最後はだれもが弾んでワイパーもコールも。まさに最高潮で熱いバトンをかわいい後輩につないだ。ちなみに取材席の横にはkobore・佐藤の姿が。服部のギターが炸裂するたび、声を上げて盛り上がっていたことを報告しておく。

撮影=Toshinari Tani

kobore

撮影=Toshinari Tani

先輩の好演を受けて立つkoboreは、伊藤克起(Dr)が天を指さし、佐藤赳(Vo.Gt)が拳を掲げて登場。人気曲「幸せ」で大合唱を起こしてスタートダッシュをかける。また「エール!」 、「HEBEREKE」、「Don't cry anymore」と勢いよく連ねて疾走し、佐藤は「SHE’Sに酔いしれてんじゃねえぞ!」とファンを煽ったうえ、安藤太一(Gt)もたきつけてギターも痛快。会場にはコールやシンガロングがあふれ、拳も次々突き上がり、熱気もすさまじい。

撮影=Toshinari Tani

撮影=Toshinari Tani

加えてMCでも佐藤は「やってくれたなSHE’S!」と対抗心をむき出しにしたかと思えば、「生まれ変わったらあの人になりてえんだよ。ピアノ弾いてよ、歌いてえんだよ」と井上のマネも。そして完売となった今日の公演については「やばくね? 狭い部屋でさ、書いた歌詞がここまで届いたんだぜ。めっちゃうれしいわ!」と語り、次は「ためいき」と「メリーゴーランド」を。やわらかなボーカルやきらめくメロディ、さらにスピード感や髪を振り乱す佐藤の姿でまたも観客を夢中にしたら、間髪入れずに今度は浮遊感あるギターも印象的な「ジェリーフィッシュ」のレトロフューチャーな質感。オーディエンスが大いに弾んで堪能すれば、佐藤からは「すげー景色だ」のひと言が。

撮影=Toshinari Tani

撮影=Toshinari Tani

そしてここで小休止。佐藤は「俺にとって(今季の)初雪は京都でした。これ忘れらんねえぞ」と口にし、「たしかあの日も雪、冬の曲を」とセンチメンタルな恋の歌「ドーナツ」で空気を一変する。じっくり聴かせて涙腺を刺激し、最後の<言葉にできません>のフレーズの余韻も強烈だ。そんななか佐藤が「20歳のころ、バンドを本気でやろうと思って大学やめた。それから10年、30歳になったらやめようと思った。今年29なんだけど、まだ俺、20歳の時より音楽やりてえわ。まだまだ曲書けるって思うの」と思いを言葉にして続く「リボーン」で熱を放出。

撮影=Toshinari Tani

観客を釘付けにしたら「パーフェクトブルー」、「君にとって」、「熱狂」という猛攻でより高みへ。フロアの歌声も大きくなって興奮の度合いも上昇の一途。文字どおりに熱狂が渦を巻く。4人も息が上がったようで、呼吸を整えながら佐藤は「いっぱい笑えた? いっぱい泣けた?」と問いかけ、「SHE’Sは俺の元カノが聴いてました(笑)」と井上のMCにかぶせ、「SHE’Sになりたかった! そのほかにも(なりたいバンドが)いっぱいいた。ONE OK ROCK、RADWIMPS、BUMP OF CHICKEN。10年間バンドやってわかったよ。もう俺は憧れにはなれねえんだ。俺はお前にとっての佐藤赳であり続ける。俺らはお前にとって4人でkoboreであり続ける。そうやって真っすぐ、かっけーバンドになりたい!」と宣言。

撮影=Toshinari Tani

撮影=Toshinari Tani

撮影=Toshinari Tani

直後「STRAIGHT SONG」の2ビートで何度でも暴れてバンドの矜持を示したら、最後は「この夜を抱きしめて」で描く青春。メンバーはリミッター解除のプレイで、田中そら(Ba)はステージに突っ伏すようにもなるが、ミュートでは「いつも頑張ってる、お前ら。やり切らねえとな、俺らも」、「いつもこの音が憂うつをぶっ飛ばしてくれる。だからやめらんねえよ。やめらんねえよな!」と佐藤が話して弾き語り、その光景を焼き付けると、そこから再度急浮上する劇的な展開で多くの拳を上下させ、夢の中に人々を残すようにして4人は舞台から去っていった。

撮影=Toshinari Tani

しかし、彼らの名前を呼ぶ声が続き始まったアンコールはゆるいトークからで、SHE’Sのメンバーをいじり返してワイワイ。「ごっつ楽しかったわ」(佐藤)の関西弁も飛び出すが、態勢を立て直すとまずは温もりある「BABY」を。メッセージは丁寧に伝えられ、ピンスポットライトを浴びて放つ歌声は強くやさしく。そしてオーラスには井上のアドリブにこたえるように「ヨルノカタスミ」がセレクトされ、感傷的なバラードがギュッと胸を締めつける。予想に反するエモーショナルなラストナンバーにすべての人が息をのむようにして全16曲のライブは終わりの時を迎えた。

今回のツアー前半ではSHE'Sのほか、キュウソネコカミやreGretGirlら全10組と競演し、さらにパワーを増したであろうkobore。3月7日(金)、仙台から始まる後半のワンマン9公演にも期待せずにはいられない。

取材・文=服田昌子 撮影=Toshinari Tani

ツアー情報

『FLARE TOUR 2025』
※終了した公演は省略 ※下記公演はすべてワンマン
 
2025年3月7日(金) 仙台 MACANA
open 18:30 / start 19:00
 
2025年3月9日(日) 札幌 cube garden
open 17:30 / start 18:00
 
2025年3月15日(土) 金沢 vanvanV4
open 17:30 / start 18:00
 
2025年3月20日(木・祝) 高松DIME
open 17:30 / start 18:00
 
2025年3月22日(土) 福岡 BEAT STATION
open 17:30 / start 18:00
 
2025年3月23日(日) 広島 ALMIGHTY
open 17:30 / start 18:00
 
2025年3月29日(土) 梅田 CLUB QUATTRO
open 17:15 / start 18:00
 
2025年3月30日(日) 名古屋 CLUB QUATTRO
open 17:15 / start 18:00
 
2025年4月5日(土) 渋谷 Spotify O-EAST
open 16:00 / start 17:00
 
料金 : 前売り スタンディング ¥4,000-

リリース情報

5th Album『FLARE』
2024.11.27(水)Release
https://lit.link/koboreflare#
 
(初回限定生産版 ジャケット)
 
<収録曲>
1. 熱狂
2. エール!
3. Don’t cry anymore
4. ためいき
5. ドーナツ
6. スウィートドリーム
7. BABY
8. メリーゴーランド
9. パノラマガール
10. KIDS
11. パーフェクトブルー
12. STRAIGHT SONG
13. 突然閃光少年少女
14. 36.5 ※映画「ココでのはなし」主題歌
15. リボーン
16. 愛が足りない ※CDのみ収録

公式サイト:https://kobore.jp/
  • イープラス
  • SHE’S
  • ​ 「真っすぐ、かっけーバンドになりたい!」kobore、憧れの先輩・SHE'Sと対バン、白熱の競演で超満員の京都を熱くする