一人芝居としての新たな挑戦へ 梅津瑞樹を表す色は「どどめ色」~SOLO Performance ENGEKI『MAGENTA』インタビュー

2025.4.4
インタビュー
舞台

梅津瑞樹

画像を全て表示(6件)


2025年4月16日(水)~5月25日(日)に東京、愛知、福岡、大阪にて上演されるSOLO Performance ENGEKI『MAGENTA』。2021年よりスタートした東映による一人芝居企画第4弾には、梅津瑞樹が出演する。過去2回の本プロジェクト参加を経たことで生じた役者としての変化と変わらぬもの、新たな挑戦となる今作への意気込みを語ってもらった。

ーー“SOLO Performance ENGEKI”へは3作目の出演。ご心境からお聞かせください。

ご厚意で機会をいただいていることは大前提として、僕の中ではもう恒例行事になりつつあります。お祭りというか、誕生日のような感じですね。「そろそろ来るな」というよりは、次やりましょうと言われて「前回からもう2年経ったのか」「ということは、32歳になったのか」という心境です。2年ごとの開催という点では、夏季と冬季を合わせたオリンピックと同じ間隔。“ウメリンピック”ですね。

梅津瑞樹

ーーいずれは“SOLO Performance『ウメリンピック』”なんて構想も?

ないです(笑)。でも、ゆくゆくは演劇祭みたいなことをやれたら楽しいですよね。フェスのように3つくらいテントを立てて、それぞれで違う演目をやって……もちろん、出演は僕一人で(笑)。それくらい、一人芝居は個人的に楽しみにしている催しです。自分のために作品を書いていただくことには毎回「こんな贅沢なことがあるんですか!?」という気持ち。演劇ユニット「言式」では僕が脚本を書いていて、(橋本)祥平に対しては「お前なら面白くできるだろう!」という想いを込めている。その気持ちが、この一人芝居では皆さんから向けてもらっているんだと今ならわかる。すごく幸せなことです。

ーー一人芝居は、ご褒美的な位置づけなのでしょうか。

役者として、こんなに楽しいことはないんですよね。もちろん見に来てくださる人がいる前提ではありますが、劇場に来た人は僕を見ることしかできないわけじゃないですか。一挙手一投足すべてを自分一人がコントロールできるというワクワク感や「全部ここで見せてやるぞ!」って気持ちは当初からずっと持ち続けています。「ちゃんとお金を取るものとしてやれるんだ」っていうのが最初は大きくて。当たり前のことではありますが、自己満足の域を出ない作品ではなく、自分も相応に取り組まなきゃいけないという気持ちでした。初めの動機から、今はもうだいぶ変わってきていて。なんでしょうね……僕にとって、一人きりですべてを表現するのが許されるっていうのが大きいんです。そういう意味では、自分の表現を、自分の中から発掘する場ではあるのかもしれません。

梅津瑞樹

ーー前作の『HAPPY WEDDING』(2023年)では非常に多くの役を演じられていましたが、精神的にも体力的にも相当スタミナが必要だったのでは?

演劇だからできるんです。同じ時間マラソンをしてくださいって言われたら、僕はできない。要は、自分の好きなことだからやれているんでしょうね。とはいえ前回も、前々回も滝のような汗はかいていました(笑)。『HAPPY WEDDING』でいうと、客席から結婚式に乱入する場面はすごかったですね。ダウンジャケットを着ていたので(笑)。ただ喋っているだけなのに、こんなに息が上がるものかと自分で驚いていました。

ーー今作『MAGENTA』において、梅津さんからは何かリクエストされたことはありますか?

今作は明確なものはありませんでした。この取材の前日に初稿が届いたばかりで、読ませていただいて「こういう感じの脚本になったんだ」と実感しているところなんです。

ーー読まれたてのご感想をぜひお聞かせください。

重たいですね。1、2作目もじつは決してハッピーな話ではなかったのですが、今回は如実にハッピーではありません(笑)。悪い意味では、コメディ要素のような気の抜ける余白みたいなものを楽しみにされている方にとって、今作はだいぶ毛色が違うと感じられるでしょう。いい意味では、僕の役者としての本質的なステータスがより剥き出しになる作品になるのかなとは思っています。今回は一つの役を、年齢を変えることなく開幕から幕が下りるまで突き詰めていく。その難しさに加え、この作品を約1時間半にわたって板の上で見せるための技量が問われる舞台になるのかなと。すごくやりがいのある作品だなというのは、読んだときに感じました。この作品を見た方に満足感をもって劇場を後にしてもらえる役者は、きっと素晴らしいといえる存在なのではと。少なくとも自分の価値観としては、ちゃんとそこに到達したいと考えているところです。

梅津瑞樹

ーー挑戦的な舞台になりそうですね。

僕の心境としては「次のお題が来たな。やってやろうじゃないの」と。楽しいんです、難しそうなことをやるのは。今作は、何を見せるべきか難しいなとすごく思ったんです。多くの作品は主題が明確で、観客や役者にとてもわかりやすく提示されているもの。今作は、今のところそうではない。見てくれた方に何を持って帰ってほしいと思って演じるかを明確にするのが難しい作品だと思います。

ーー脚本の赤澤ムックさん、演出の毛利亘宏さんとのタッグにも期待が高まります。

赤澤さんは今回が初めてご一緒するのですが、きっと脚本家としての色が濃い方なのだろうという印象です。セリフの感じや言い回しが、僕としては初めての手触りでした。演出次第でどうとでもなれる、黒からグレーに至るまで色を変えられる作品。これまで毛利さんとご一緒してきた作品とは世界観がかけ離れたものなので、こういう作品になったときにどう演出をつけられるのか非常に楽しみなんです。二人きりで過ごす稽古場も(笑)。

ーータイトルにもなっている“マゼンタ”。色としては、どんな印象をお持ちでしょうか。

紫と赤の中間、個人的には好きな系統です。自分の生活の中で大きく色という要素が影響するのは服だと思うんですけど、そういう点ではマゼンタというカラーには若者のイメージがあります。黒と組み合わせることで10代から20代前半の方が好みそうなストリート系。僕も持っていました。

ーーちなみに、梅津さんご自身を色で表現するなら?

演じてきた役のイメージから、きっと皆さんは青や銀を想像してくださるんだと思いますが……僕自身としては、はるか昔に同じ質問をされたときに「どどめ色」って答えたことがあります。どどめ色って、マゼンタと同じような紫系の色なんです。今作のタイトルを見たとき、何周かして帰ってきた感覚でした(笑)。自分の好きな色とはまた違うんですよ。人から見た自分の性格や喋った感じの印象みたいなものを言語化すると、きっとどどめ色。濁音が与える印象も含めて、いい感じに僕らしい気がします。

梅津瑞樹

ーー今回は東京公演だけでなく愛知、福岡、大阪でも上演されますね。

嬉しいですね。自分の配信番組などで「名古屋はスルーされがちなんです!」とコメントをいただくこともあったので、今回ようやくできます。来てくださいとおっしゃいましたよね? 今回行きますよ! 絶対見に来てくださいね、名古屋の皆さん(笑)! 福岡も楽しいところですよね。僕、胡麻鯖が好きなんです。居酒屋にあったら頼んじゃうんですけど、よく考えたら生ものなので公演中は食べないようにしなきゃいけませんね。最終日に食べます。大阪はもう、第二の我が家のような感覚。ただ、梅田芸術劇場で一人芝居……「正気ですか?」とは思っていますが、この劇場で一人芝居をやり切ることができたのなら、誇りに思ってもいいと思えるという気持ちで臨もうとしております。

ーー公演は4月~5月の春。梅津さんにとって、どんな季節ですか?

新しい環境に身を置かなきゃいけない記憶が残りがちで……どちらかというと、苦しみの季節ですね。一から関係を構築していかなきゃいけない辛さがあって。でも、新しい出会いに希望を見出す方もいらっしゃいますもんね。新しいことを始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ーーありがとうございます(笑)。最後に、公演に向けて意気込みとメッセージをお願いします。

この作品が上演される頃には、新しい季節になっていますね。変化があったり、変化がなくても周りが変わっていくことで取り残されているような気になってしまったり。そんななかで、僕はこうして2年越しにまた一人芝居に挑戦する機会をいただき、今も毎月のように劇場にいる。2年前と同じシアターサンモールに立てる……変わらずにいられることが、僕にとってはちょっと誇りであったりするんです。皆様に変化があってもなくても、僕が変わらずにいることが皆様にとっての安心材料になれたら。とはいえ、僕も不安に思うことはあるんです。役者という仕事は水物で、一寸先は闇なので。そんな僕の安心を担保してくださるのは、皆さんが劇場に来てくださること。よろしければ劇場にお越しください、僕しかいないので(笑)。兎にも角にも、今作も絶対に面白いものをお見せします。劇場でお待ちしております。

梅津瑞樹

ヘアメイク=渡邉真夕   スタイリスト=小田優士


取材・文=潮田茗     撮影=荒川潤

公演情報

SOLO Performance ENGEKI『MAGENTA』
 
■脚本 赤澤ムック
■演出 毛利亘宏(少年社中)
■出演 梅津瑞樹
 
■日程・会場 
2025年4月16日(水)~4月27日(日) 東京:シアターサンモール
2025年5月10日(土)・5月11日(日) 愛知:メニコン シアターAoi
2025年5月17日(土)・5月18日(日) 福岡:西鉄ホール
2025年5月24日(土)・5月25日(日) 大阪:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
 
※各会場、開場は開演60分前より
※本公演ではLIVE配信を予定しておりません。
 
<全席指定>
プレミアム席 9,800円(税込)
S席 7,800円(税込)
※未就学児入場不可
 
 
■公演特設HP https://solo-engeki.com
■公演公式X @EngekiSolo
  • イープラス
  • 梅津瑞樹
  • 一人芝居としての新たな挑戦へ 梅津瑞樹を表す色は「どどめ色」~SOLO Performance ENGEKI『MAGENTA』インタビュー