尾上菊之助インタビュー~7つの転機と八代目菊五郎襲名への思い『團菊祭五月大歌舞伎』『六月大歌舞伎』歌舞伎座で開催

2025.4.11
インタビュー
舞台

尾上菊之助

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2025年5月より2ヶ月にわたり、歌舞伎座で「尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露」興行が行われる。菊之助が八代目尾上菊五郎を、菊之助の長男・尾上丑之助が六代目尾上菊之助を襲名。菊之助の父・七代目尾上菊五郎は菊五郎のままで、ふたりの菊五郎が舞台に並び立つ。

親子で迎える大名跡の襲名披露興行に先駆けて、菊之助に話を聞いた。“菊之助時代”を、7つのキーワードで振り返るインタビューとなった。

なお、6月4日(水)16時開演「夜の部」は、イープラスの貸切公演となる。

■五代目菊之助として最後の舞台

ーー五代目尾上菊之助として最後の舞台は、『仮名手本忠臣蔵』(Aプロ 早野勘平「五・六段目」、Bプロ 塩冶判官)。千穐楽は、Aプロの勘平ですね。

3月公演の初日あたりは、お役を勤めることに精一杯で「これが菊之助として最後の公演だ」とあまり意識していませんでした。けれども中日を過ぎた頃から、およそ30年間お世話になった名前で、歌舞伎座でお芝居ができるのはこれで最後だと思うと寂しさが込み上げてきました。千穐楽のすぐあと、31日には、神田明神でのお練りがございます。そこへ向けて気持ちが切り替わるのでしょうね。 

ーー30年の菊之助時代を振り返り、今のご自身に繋がる転機はありますか?

数えきれないほどあります。

・菊之助襲名の時の『弁天娘女男白浪』と『春興鏡獅子』
・蜷川幸雄さんとの出会い
・坂東玉三郎のおにいさんとの『京鹿子娘二人道成寺』
・第四期歌舞伎座の閉場

・『摂州合邦辻』の玉手御前
・新作歌舞伎『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』『風の谷のナウシカ』『ファイナルファンタジーX』
・岳父・中村吉右衛門から教わった『義経千本桜』の知盛(渡海屋銀平実は新中納言知盛)

どれも大きな転機だったと思います。

尾上菊之助

1.弁天小僧と鏡獅子(1996年)

ーーいま挙げてくださった7つのトピックスについて、順にうかがいます。菊之助襲名の時の『弁天娘女男白浪(以下、弁天小僧)』と『春興鏡獅子(以下、鏡獅子)』についてお聞かせください。当時菊之助さんは18歳でした。

「もっとできなければいけなかった」という思いが強く残った公演です。それまでも「もっとできなければ」と稽古に励んできたつもりでしたが、まるで足りませんでした。「菊之助」という名前の器に、自分が見合ってないことを痛感しました。

ーー18歳で、そこまで厳しい評価されたのには何かきっかけが?

自分と父の弁天とを比べて。比べる相手が良くなかった(笑)。弁天小僧であれば「もっと父のようにできなくては」、「五代目(菊五郎)さんは、19歳で大評判をとったのに」と落ち込み、『鏡獅子』にいたっては、六代目(菊五郎)さんの映像を観て、「なぜ自分はこう踊れないのだろう。ものすごく稽古しているのにな」と悩んでいました。

ーー弁天小僧は、五代目のために河竹黙阿弥が当て書きした役でしたね。六代目は、踊りの神様とまで言われた名優。

良くないですよね、比べる相手が(苦笑)。そのような先人たちに照準を合わせ、憧ればかりが強く、苦しかったです。けれども、それほど純粋に憧れる存在があり、それが自分の先祖であるなら、目指して努力していかなければならないと思えました。菊之助としての最初のターニングポイントであり、スタート地点でした。

ーー今でも、比べることはありますか?

なくなりました。大谷翔平さんではありませんが「憧れるのをやめましょう」と。もちろん今でも常に憧れを持ち、稽古し、舞台も観ます。「こうならなければ」と奮い立たせてくれるのは、やはり父や祖父や岳父です。しかし憧れた状態で舞台には立てません。

先人たちが作り上げてきたものを、稽古でとにかくやり込む。やり込んだ上で学(まね)ぶ。100%に近い状態まで型と心が一致してきた時、その型から離れることができる。守破離ですよね。 時間のかかることですが、そこまでやり込むことが大事なのだと思います。

2.蜷川幸雄との出会い(2000年、2005年)

ーー演出家、蜷川幸雄さんとの出会いについてお聞かせください。2000年、蜷川演出によるギリシア悲劇を扱った超大作『グリークス』に出演されました。菊之助さんにとって、初めての現代劇の舞台でした。

それまで私は歌舞伎で型の継承、型から学ぶ役の心を勉強してきました。しかし蜷川さんのもとで型から離れ、台本の文字から浮かび上がってくる役の心情で、役を作り上げることを学ばせていただきました。これは、歌舞伎の原点。歌舞伎も、初めから型があったわけではありません。

ーー2005年7月には歌舞伎座で、蜷川さん唯一の歌舞伎作品、『NINAGAWA十二夜』が上演されます。

蜷川さんは、「歌舞伎は演出はしない」とおっしゃっていました。それでもお願いし、「菊之助と心中するつもりで歌舞伎の国に留学する」とお引き受けくださったんです。

他に類を見ない素晴らしい舞台をお創りになり、世界で活躍され、演劇界の巨匠と呼ばれた蜷川さんが、当時27歳だった私の熱意と心がどこへ向かっているのかを見定め、力を貸してくださった。ご自分が現代劇を演出する時の助手やスタッフはほとんど連れず、単身で歌舞伎に来てくださいました。挑戦し続ける姿勢、そして我欲ではなく、若い人に力を貸す姿勢も、大きな学びとなりました。また、新作歌舞伎を作る経験を通し、自分自身の古典歌舞伎の引き出しの足らなさも痛感しました。

今ほど新作歌舞伎が頻発していなかった時代でしたが、この2か月前に歌舞伎座で、(十八世中村)勘三郎のおにいさんと野田秀樹さんの新作歌舞伎『野田版 研辰の討たれ』が再演されていました。その稽古場を見学させていただいた時、「こうやって創り上げるんですね」と私が言ったところ、勘三郎さんに「何言ってるんだ、次はお前がやるんだよ!」と言われ、気持ちが奮い立ったことを覚えています。

尾上菊之助

3.玉三郎との『二人道成寺』(2006年)

ーーその翌年の2月、玉三郎さんとの『京鹿子娘二人道成寺』が初演されます。

祖父の尾上梅幸には『三人道成寺』を教えていただきました。父とは『男女道成寺』や『二人道成寺』もやらせていただいています。そして玉三郎のおにいさんは、ふたりの白拍子花子が陰と陽、ふたりで一つとなるような『二人道成寺』を新たに創り上げられました。この時、あらためて道成寺の背景、歌詞、踊り分け方、女方の心構えを学び、舞台にどう向き合うべきか、全てお話しくださり大変勉強になりました。初演で終わらず、4回再演させていただけたことも大きかったです。

ーー梅幸さんや菊五郎さんの道成寺と、玉三郎さんの道成寺で、違いを感じるところはありますか?

道成寺は、本当に人により千差万別なのですよね。祖父の白拍子花子は“陽”、『娘道成寺』の”娘”で踊る印象があります。玉三郎さんと踊らせていただいた時は、白拍子花子という娘の“白拍子”としての印象が、より強く表れて感じられました。

なによりの違いは、私自身だと思います。祖父、父との『三人道成寺』の時は15歳。食らいつくのに必死でした。父との『娘道成寺』『二人道成寺』、玉三郎さんとの『二人道成寺』。その時々で私の肉体も精神状態も変わり、作品との向き合い方、深さも変わってきたと思います。これからも大切に踊っていきたい作品です。

ーー5月は新・菊五郎さん、新・菊之助さん、そして玉三郎さんによる『三人道成寺』です。

祖父が一番喜んでいるかもしれませんね。丑之助の人生において、女方の最高峰である玉三郎のおにいさんと踊らせていただくことは、とても大切な時間になると思います。一緒に踊る時間は、何物にも代えられません。私自身、今でも1人で踊っている時に、玉三郎のおにいさんが横にいらっしゃるような感覚になることがあるんです。

4.第四期歌舞伎座閉場(2010年)

ーー2010年4月、歌舞伎座が建て替えのために一度閉場しました。菊之助さんの「転機」と感じられた理由をお聞かせください。

子どもの頃から慣れ親しみ、1年を通して毎月歌舞伎が上演されていた劇場が一度閉まる。ホームグラウンドがなくなることに強い不安を感じました。新橋演舞場がありますから歌舞伎を上演する機会はありましたし、3年後には新開場すると分かっていたのに。

なかでも、毎年5月に歌舞伎座で続けられてきた團菊祭。これは父や十二代目(市川團十郎)のおじさまが、守り続けてきたものです。次の世代として、團菊祭をどう守っていくべきなのか。継続していけるのか、とまで考えました。

尾上菊之助

ーーその不安と、どう向き合われましたか?

建て替えの3年間で、自分がどれだけ新しい歌舞伎座にふさわしい役者になれているか。3年間の計画を立て、どのような役を自分で勉強しなければいけないのかを考えました。「この月はここに出る」と目標を書き、やりたい役をバーっと表にして。

ーーノートにまとめて?

この時はエクセルで。

ーー歌舞伎俳優の方もMicrosoftエクセルを!?

使うんですよ(笑)。ワード、エクセル、新作歌舞伎のプレゼンにはパワポ(PowerPoint)も。この時はA列に3年分の1月から12月までを入れ、その隣りに自分が目指す役を並べて。父がこの年齢の時には何をやっていたかなども参考にしました。その多くは叶わなかったと思うのですが、「この役をやるために、何が足りないか。どうしたらいいか」を考え、向き合うきっかけとなりました。間違いなく一つの転機となりました。

5.初役の玉手御前(2010

ーー結果として、歌舞伎座建て替え中の團菊祭は、2010年、2011年、2012年の5月に、大阪松竹座で行われました。2010年の團菊祭で、菊之助さんがお勤めになられたのが、先ほどお話に出た『摂州合邦辻』「合邦庵室」の玉手御前です。

玉手御前は、祖父が当り役としてきた、義太夫狂言の女方の大役です。同じ月には父が『梅雨小袖昔八丈』「髪結新三」をかけ、私は玉手御前の他にも、初役で勝奴と『本朝廿四孝』「十種香」の腰元濡衣を。大阪のお客様がどうご覧になるのかも心配でした。

ーーお客様の反応は覚えていますか?

大変な緊張感、精神状態の中でやらせていただいたものですから、思い出せません。

ーー同じ年の12月、日生劇場での通し狂言『摂州合邦辻』でも玉手御前を勤められました。

玉手御前は、様々な解釈のある難役です。玉手の俊徳丸への思いが、「本当の恋なのか、偽りなのか」で語られることも多いですが、私はどちらかという話ではないと思っています。「合邦庵室」だけで観ると、玉手御前の心情がコロコロ変わり捉えにくいと感じられるでしょう。けれども作品の背景、玉手が後妻となった経緯など、全体的なところから考えれば、「合邦庵室」はすべて紐解けると思っています。大阪での初演では、そこまで深く解釈できず、祖父の解釈を文献で読み、文楽の豊竹咲太夫師匠や玉三郎さんにお話を伺い勤めました。義太夫狂言の女方の大役として、ひとつ転機となりました。

6.吉右衛門から受け継いだ知盛(2015

ーー義太夫狂言の立役では、2015年に『義経千本桜』の渡海屋銀平実は新中納言知盛(2015年7月)を演じました。

時代物の立役でここまでの大役は、経験がありませんでした。自分でも思い切った冒険だったと思います。けれども三大義太夫狂言と言われる『仮名手本忠臣蔵』、『菅原伝授手習鑑』、『義経千本桜』は、すべての役を理解しなくては、という思いがあります。また、音羽屋というと今は世話物をご想像くださるお客様も多いかと思いますが、『義経千本桜』の三役(知盛、いがみの権太、源九郎狐)は、六代目菊五郎もやっている役。もともと目指してるところではあったんです。

岳父・吉右衛門に「知盛を教えてください」とお願いをした時、岳父は「自分の知ってることだったら何でも教える」とおっしゃってくださいました。台詞の抑揚の付け方、形はもちろん、最後に、碇を持ちあげて海へ飛び込むやり方も、「こうやるんだよ」とその場で洋服のまま、実際にポーンと飛んでみせてくださって。全てを惜しみなく教えてくださいました。

そして岳父に知盛を教わるのと同じ時期に、父からは世話物の中でも私が一番の目標としていた『新皿屋舗月雨暈』「魚屋宗五郎」を教えてもらっていたんです。時代物と世話物、両方の大役を教わり、私にとって間違いなく転機の年だったと強く意識しています。

尾上菊之助

7.ゼロから立ち上げた新作歌舞伎

ーーそして新作歌舞伎『極付印度伝 マハーバーラタ戦記(2017)』『風の谷のナウシカ(2019)』『ファイナルファンタジーX(2023)』も、菊之助時代の大きな転機に。『NINAGAWA十二夜』から、少し期間が開きました。

古典の基礎がなければ新作なんて、とても太刀打ちできるものではありません。常に新作となるものを探しつつも、古典の修業に打ち込む時期が続きました。その間には、私の力が及ばず頓挫してしまった新作歌舞伎の企画もありました。

ーーそのような中で、初めに実現されたのがインドの叙事詩「マハーバーラタ」の歌舞伎化です。演出は宮城聰さん、脚本は青木豪さんでした。

2014年に、宮城さん演出のSPAC 『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』を観て、これをぜひ歌舞伎にと。宮城さんは静岡を拠点にされていたので、私は歌舞伎座での公演が終わると東京から静岡へ通い、宮城さんと一対一でスクリプトの相談をさせていただいたり。そして東京に帰り、仲間と手分けしてボイスレコーダーの録音をパチパチパチと。

ーーパチパチパチと……?

ワードで議事録を(笑)。企画を立ち上げ、打ち合わせを重ね、ゼロから作品を創っていく過程を経験しました。日印友好交流年ということで実際にインドへ行かせていただいたこと、歌舞伎座に駐日インド大使も観にきてくださり大変喜んでくださったことも嬉しかったです。

ーーその2年後、2019年に『風の谷のナウシカ』を歌舞伎化されます。

『マハーバーラタ』と同時期に、『ナウシカ』の話が立ち上がりました。「次に新作を創るなら、自分が好きなジブリの世界を歌舞伎にしたい」と企画書を持ってプロデューサーの鈴木敏夫さんのところへご相談にうかがい、実現しました。

ーーは即日完売。新橋演舞場で、昼夜通し上演という上演スタイルも話題となりました。

昼夜の通し狂言をやってみたかったんです。道具の出し入れなど、新橋演舞場のスタッフの方も大変だったと思うのですが、皆さんが力を貸してくださり上演が叶いました。

ーーそして2023年の『ファイナルファンタジーX』です。

コロナ禍に、自分が元気をもらったゲーム「ファイナルファンタジー」を、“未来への希望”というテーマで新作歌舞伎にしたいと思いました。松竹さんの製作協力、TBSさんが舵を取ってくださり、IHIステージアラウンド東京でやらせていただきました。新作歌舞伎を創るほどに、受け継がれてきた古典の名作の素晴らしさを感じます。

ーー女方、立役、踊り、世話物、時代物、そして新作歌舞伎。今お話しいただいたターニングポイントを辿ると、現在の菊之助さんの芸域の広さに繋がりますね。

近代になり五代目さん、六代目さんが世話物を完成させました。しかし代々の菊五郎の歴史を紐解いていくと、三代目さんは鶴屋南北と怪談物や仕掛けものを。さらに遡り初代さんは『雷神不動北山櫻』の雲の絶間姫(くものたえまひめ)から始まり、江戸へ出てきてからは由良之助、菅原道真公、松王丸を得意としていました。時代時代の菊五郎が、得意なものを花開かせてきた流れがあります。その意味でも時代物、世話物、舞踊に磨きをかけていかなければいけないなと思ってます。

尾上菊之助

■6月は新・菊五郎と新・菊之助の『連獅子』

ーー5月から、歌舞伎座で2か月連続の襲名披露興行が行われます。七代目菊五郎さんはこれまで通りご自身の名で舞台に立ち、菊之助さんは八代目として菊五郎を襲名されます。「尾上菊五郎」さんがふたりになると少しややこしそうですが、周囲からは、七代目菊五郎さんはもともと「七代目さん」「音羽屋さん」と呼ばれていたため、さほど混乱はないとの声も聞きます。菊之助さんのことは、これから「八代目さん」とお呼びしてよいでしょうか?

八代目菊五郎となりますから、「八代目さん」ですね(笑)。ただ、私の中で「八代目」と言えば、文楽の竹本綱太夫師匠をまず想像してしまうんです。皆さんから「八代目」と呼ばれるような菊五郎にならなくては、と思います。

ーー6月4日には、夜の部にてイープラスの貸切公演があります。

夜の部、いいですね! 市川團十郎さんによる歌舞伎十八番の内『暫』があり、皆さんにご出演いただく『口上』があり、私と丑之助(新・菊之助)の『連獅子』があり、最後に尾上松緑さんの『芝浜革財布』。歌舞伎の王道の演目が並んでいます。歌舞伎を存分に味わっていただけると思います。
 
ーー『連獅子』では、八代目さんと新・菊之助さんの共演にも期待が高まります。

『連獅子』は、親子愛を描いた作品です。役としては、狂言師右近と左近のふたりですが、それを実際の親子が踊ることで、親子の絆がより印象的に見えてくると思います。2年前にも『連獅子』はやらせていただきましたが、丑之助は身体も大きくなりました。毛振りも含めて、その成長を見ていただき、そして親子愛を感じていただければと思います。 

ーー丑之助さんには、どのような菊之助さんになってほしいと思われますか?

丑之助は『マハーバーラタ』での立廻りをきっかけに、それまで以上に歌舞伎を好きになったようです。歌舞伎が好きだという気持ちを忘れずに、のびのびとやってくれれば。日頃の稽古では、どうしても私は厳しくなりますし、色々と詰め込んでしまいます。けれども、言われたことを守らなくてはとプレッシャーの中で舞台に立つのではなく、言われたことを踏まえ、舞台では心情を大切に、自由に表現してほしい。舞台はやはり自由な方がいいですから。

ーー菊之助さんご自身も、そのマインドでお芝居を。

自分ができてるかどうかは、分かりません。ただ私の場合、楽しむというよりは、役を生きていることに“生きている”という実感を覚えます。最近になってからでしょうか。だんだんと、そう感じられるようになってきました。

ーー最後に、イープラス貸切公演を楽しみにしているお客さまへ一言お願いします。

昨年12月に『あらしのよるに』の貸切公演がありましたね。その時、歌舞伎が好きで演劇が好き、という方がお集まりくださっている空気があり、我々も大変力をいただきました。今回『連獅子』に出てくださる中村獅童さんも、その時「毎日イープラス貸切でお願いできませんか?」なんて、おっしゃっていたくらいです(笑)。6月も、人気演目が並んでおりますので、歌舞伎をお楽しみいただければと思います! 

ーー歌舞伎座から始まる襲名披露興行、楽しみにしております!

菊之助の名で過ごす日々も残り少なくなってきましたが一日、一日を大切に過ごし、襲名に向けて気を引き締めてまいりたいと思います。

<イープラス貸切公演>は6/4 夜の部! 貸切公演ならではの特典もあり

『團菊祭五月大歌舞伎』は、2025年5月2日(金)~27日(火)。『六月大歌舞伎』は、2025年6月2日(月)~27日(金)の開催。
 

取材・文=塚田史香    撮影=山崎ユミ

公演情報

松竹創業百三十周年
尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
『團菊祭五月大歌舞伎』
 
日程:2025年5月2日(金)~27日(火)
会場:歌舞伎座
 
【休演】12日(月)、22日(木)

 
昼の部 午前11時~

一、寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)
 
三番叟:尾上松也
三番叟:中村歌昇
三番叟:中村萬太郎
三番叟:尾上右近
三番叟:中村種之助
附千歳:中村米吉
千歳:中村雀右衛門
翁:中村又五郎
 
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
 
武蔵坊弁慶:市川團十郎
富樫左衛門:
尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
亀井六郎:尾上松也
片岡八郎:尾上右近
駿河次郎:中村鷹之資
常陸坊海尊:市川男女蔵
源義経:中村梅玉
後見:市川右團次
 
河竹黙阿弥 作
三、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
大川端庚申塚の場

お嬢吉三:中村時蔵
お坊吉三:坂東彦三郎
夜鷹おとせ:中村莟玉
和尚吉三:中村錦之助
 
四、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
三人花子にて相勤め申し候

白拍子花子:尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
白拍子花子:
尾上丑之助改め尾上菊之助
所化:大谷友右衛門
同:市村萬次郎
同:河原崎権十郎
同:市川門之助
同:坂東彦三郎
同:坂東亀蔵
同:市村竹松
同:坂東新悟
同:大谷廣太郎
同:中村児太郎
同:大谷廣松
同:市村光
同:市川男寅
同:中村玉太郎
同:中村歌女之丞
同:中村吉之丞
白拍子花子:坂東玉三郎

 
夜の部 午後4時30分~

一、義経腰越状(よしつねこしごえじょう)
五斗三番叟

五斗兵衛盛次:尾上松緑
錦戸太郎:坂東亀蔵
伊達次郎:中村種之助
亀井六郎:尾上左近
泉三郎忠衡:河原崎権十郎
九郎判官義経:中村萬壽

二、 
八代目尾上菊五郎
        襲名披露 口上(こうじょう)
六代目尾上菊之助

尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
尾上丑之助改め尾上菊之助
幹部俳優出演
 
河竹黙阿弥 作
三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
浜松屋見世先の場より
滑川土橋の場まで

〈浜松屋見世先〉
 
弁天小僧菊之助:尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
日本駄右衛門:市川團十郎
南郷力丸:尾上松也
浜松屋倅宗之助:中村萬太郎
番頭与九郎:市村橘太郎
狼の悪次郎:片岡亀蔵
鳶頭清次:尾上松緑
浜松屋幸兵衛:中村歌六

〈稲瀬川勢揃い〉
 
弁天小僧菊之助:尾上丑之助改め尾上菊之助
忠信利平:坂東亀三郎
赤星十三郎:中村梅枝
南郷力丸:尾上眞秀
日本駄右衛門:市川新之助

〈極楽寺屋根・滑川土橋〉

弁天小僧菊之助/伊皿子七郎:尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
日本駄右衛門:市川團十郎
狼の悪次郎:片岡亀蔵
関戸の吾助実は大須賀五郎:市川九團次
岩淵の三次実は川越三郎:片岡市蔵
青砥左衛門藤綱:
七代目尾上菊五郎
 
 
 

公演情報

松竹創業百三十周年
尾上菊之助改め 八代目
 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
『六月大歌舞伎』

日程:2025年6月2日(月)~27日(金)
会場:歌舞伎座
 
昼の部 午前11時~
 
一、元禄花見踊(げんろくはなみおどり)
 
阿国:尾上右近
山三:中村隼人
 
菅原伝授手習鑑
二、車引(くるまびき)
  寺子屋(てらこや)
 
〈車引〉
梅王丸:尾上丑之助改め尾上菊之助
松王丸:中村鷹之資
桜丸:上村吉太朗
藤原時平:中村又五郎
   
〈寺子屋〉
松王丸:尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
武部源蔵:片岡愛之助
千代:中村時蔵
春藤玄蕃:中村萬太郎
戸浪:中村雀右衛門
園生の前:中村魁春
        
三、お祭り(おまつり)
 
鳶頭:片岡仁左衛門
芸者:片岡孝太郎
        
夜の部 午後4時15分~
 
一、歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)
 
鎌倉権五郎:市川團十郎
那須九郎妹照葉:中村雀右衛門
鹿島入道震斎:中村鴈治郎
成田五郎:市川右團次
茶後見:市川中車
清原武衡:中村芝翫
桂の前:中村魁春
加茂次郎:中村梅玉

二、
八代目尾上菊五郎
       襲名披露 口上(こうじょう)
六代目尾上菊之助

尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
尾上丑之助改め尾上菊之助
幹部俳優出演

河竹黙阿弥 作
三、連獅子(れんじし)
 
狂言師右近後に親獅子の精:尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎
狂言師左近後に仔獅子の精:
尾上丑之助改め尾上菊之助
法華の僧蓮念:中村獅童
浄土の僧遍念:片岡愛之助

四、芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)

魚屋政五郎:尾上松緑
大工勘太郎:坂東亀蔵
左官梅吉:坂東彦三郎
大家長兵衛:河原崎権十郎
政五郎女房おたつ:中村萬壽
 
 

<イープラス貸切公演>

菊之助さんにイープラスポーズをしていただきました!!

日程:2025年6月4日(水)
会場:歌舞伎座
時間:午後4時15分~ 夜の部
 
プレオーダー】
受付期間:2025/4/11(金)12:00~2025/4/16(水)23:59
の詳細・お申込みはこちらから
専用URL: https://eplus.jp/kabukiza250604-epkk/
 
料金(税込)
1等席 23,000円
2等席 18,000円
3階A席 8,000円
3階B席 6,000円
1階桟敷席 25,000円
※1階桟敷席でのお茶のサービスはございません

☆<e+貸切公演>ならではの特典あり
襲名披露のお祝いに貸切公演ならではの特典としてプラみちゃん饅頭をご来場者全員に一つプレゼント!
※事情により、変更する場合もございます。

 
イープラス貸切の広報担当「プラみちゃん」、X(旧Twitter)で最新情報発信中
関東の公演情報 @eplusplm_kanto
関⻄の公演情報 @eplusplm_kansai
九州の公演情報 @eplusplm_kyushu
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