佐藤流司&橋本良亮「最後まで仲良く突っ走る」~舞台『近松忠臣蔵』インタビュー
-
ポスト -
シェア - 送る
(左から)橋本良亮、佐藤流司
武士を捨て町人に寄り添うように戯作者となった近松門左衛門。赤穂藩の筆頭家老として藩政を担い、忠臣として歴史に名を残す大石内蔵助。二人の男の友情をロック・サウンドとともに綴る、舞台『近松忠臣蔵』が5月30日に開幕する。
本作は、近松門左衛門の末裔である、近松洋男氏の『口伝解禁近松門左衛門の真実』を元に、門左衛門と内蔵助の二人が歴史の流れに飲み込まれながらも、真逆ともいえる異なる生きざまで30年に及ぶ友情を貫いた、男同士のドラマを描く。
大石内蔵助を演じるのは、数々の舞台で常に躍進を続ける佐藤流司。そして、近松門左衛門はA.B.C-Zの橋本良亮が担う。二人は、2023年上演の音楽劇『逃げろ!』~モーツァルトの台本作者ロレンツォ・ダ・ポンテ~(上演台本・演出:鈴木勝秀)でも共演を果たしており、再び男同士の友情を熱演する。上演台本・演出は鈴木勝秀。鈴木は、2019年に『THE BLANK!~近松門左衛門空白の十年~』にて、二十代の近松門左衛門の波乱万丈の青春期、大石良雄と赤穂塩の専売と販路開拓事業に励み、そこで結ばれた門左衛門と良雄の友情を描いており、本作はその続編となる作品だ。音楽は大嶋吾郎が務める。
今回、佐藤と橋本が作品への意気込みを語るインタビューが到着。『逃げろ!』以来、プライベートでも親交があるという二人が本作に挑む想いを聞いた。
ーー音楽劇『逃げろ!』の公演中に演出の鈴木さんから今作のオファーがあったそうですが、オファーを受けたときの心境を教えてください。
橋本:嬉しかったです。『逃げろ!』の公演中、みんなで食事会をしていたときに、スズカツさん(鈴木)と「このメンバーでまたやりたいね」という話をしていたんですよ。そのときから、スズカツさんの中ではきっともう決まっていて、「次はこれでいきたいんだよね」とおっしゃっていたんです。なので、実際にお話をしっかりいただいたときは、「ついに来たか」となりました(笑)。
ーー食事会のときから「忠臣蔵」のお話だということも決まっていたのですね! 佐藤さんはいかがでしたか?
佐藤:全く同じ気持ちです。一緒に食事に行かせていただいて、そのときに「忠臣蔵」をやりたいというお話をされていたので、いずれやれたらいいなと思っていました。こうしてビジュアルを撮影して、形になったことで、改めてまた実感が湧いてきています。
ーー『逃げろ!』ではお二人も手応えを感じていましたか?
橋本:評判がすごく良かったですし、有難いことに連日満席を頂戴していたので、手応えはありました。何より、また一緒にやりたいなと思っていました。
佐藤:毎回、スズカツさんの現場は少数精鋭ですが、『逃げろ!』は特に役者の底力が見える場面が多かったと思います。今回はさらに出演者が少ないので、より自分たちの力を発揮できる作品になるのではないかと感じています。
ーー前回の共演ですでに息もぴったりですね。
橋本:仲良いですよ。『逃げろ!』のときは、初めての共演だったのでそれなりに緊張していましたが(笑)。僕も流司くんもすごく人見知りだったんです。ただ、話しかけていくうちにだんだんと距離感が縮まっていって。
佐藤:初めて「飯食い行きましょうよ」と誘ったとき、(橋本は)たまたま次の日が朝早い日だったらしくて、断られたんですよ、俺(笑)。
橋本:それもあって、きっと気まずかったんだよね(笑)。でも、そのあとは、東京でも週に何回かご飯に行ったり、地方では毎日のように一緒にご飯を食べたり。それくらい仲良くさせていただきました。流司くんは飲むと気が強くなるんですよ。なので、僕は年上でよかったなと思いました(笑)。
佐藤:あははは(笑)。普段は隠しているんですよ(笑)。
橋本:『逃げろ!』で共演した(弓木)大和くんに愛のある言葉でいろいろな話をしていました。面倒見がいいなと。今回は、事務所の後輩の瀧(陽次朗)が出演するので、よろしくお願いします。
佐藤:楽しみです。
橋本:本来、1番年上の僕が言わないといけないところを、流司くんが言ってくれるのですごく助かっていました。
ーー佐藤さんから見た橋本さんの印象は?
佐藤:酔うとスキンシップの程度がおかしくなる人です。ずっとくすぐってくるんですよね(笑)。なので、とりあえず、やめてもらうために「すみません、すみません」って謝ってました(笑)。
橋本:あははは(笑)。そういえば、よく言ってたね(笑)。でも、僕が昨年、体調不良で休んでいた時期も気を遣ってくれて、よく誘ってくれていました。なかなかタイミングが合わなくてご飯にもいけませんでしたが、今回、ようやくご一緒できるので楽しみです。
ーーじゃあ、今回も飲みに?
橋本:行くでしょうね、絶対。
佐藤:行かないわけにはいかないですね。
ーー鈴木さんの演出についても教えてください。お二人ともこれまで何度も鈴木さんとご一緒していると思いますが、鈴木さんの演出の魅力をどんなところに感じていますか?
佐藤:唯一無二の世界観を作られる方だなと毎回、思います。脚本を読むだけでもスズカツさんにしか出せない世界観や空気感を感じます。脚本も音楽っぽいんですよ。スズカツさんは音楽が好きな方なのですが、セリフのリズム感が洋楽っぽい。今回の作品では古い日本語が出てくるので、それが音楽のように脳内に入ってくる感覚があって、スズカツさんらしいなと思って読みました。
橋本:全く一緒です(笑)。読んでいるうちにグッと物語が入ってくるような感覚があります。音楽も素晴らしくてお客さんを飽きさせない演出をされるので、出演している僕たちもすごく楽しいです。きっとスズカツさんは僕たちのことを信じて台本を作り上げてくださったと思うので、その期待に応えたいですし、前回を超えていかないといけないと思います。今回は、前回に比べて、稽古期間が短いと聞いているので、集中して作り上げていきたいと思います。
ーーお稽古場では、鈴木さんはどんな演出をされていますか?
橋本:最初は「自由にやって」とおっしゃってくださいます。もし、違ったらきちんと言ってくれますが、否定はしない。僕たちの芝居を受け入れてから直していくので、すごく稽古しやすいです。
佐藤:立ち位置や振り付けも任せると(笑)。
橋本:そうそう(笑)。アクロバットを任されたときは、どうしようってなったよね(笑)。「踊りからアクロバットよろしく」って言われて。
佐藤:聞いたことがない演出で(笑)。
橋本:「流司、どうする?」って。「一回考えよう」と。あれは面白かったね。振付師さんもいないから、自分たちで考えないといけないことも多いんです。今回もきっと何かしらあると思いますよ。
佐藤:『逃げろ!』では(サリエリ役の篠井)英介さんが日本舞踊を踊っていましたよね。モーツァルトとダ・ポンテの話なのに(笑)。そのくらい自由にやらせてくださいます。
ーー本作のビジュアル撮影のときに鈴木さんからお二人に作品についてのアドバイスがあったとお伺いしていますが、それはどういったお話だったのですか?
橋本:この物語自体が、スズカツさんが作られた『THE BLANK!~近松門左衛門空白の十年~』の続きを描いたストーリーなんだそうです。それで、今回の1曲目は、『THE BLANK!』の最後の曲だと聞きました。
佐藤:へえ、そうなんですね、知らなかった。めちゃくちゃ難しい曲でしたよね。
橋本:難しいと思う。(大嶋)吾郎さんとも何度もご一緒させていただいていますが、また今回も吾郎さんの曲からスタートする作品になります。
ーー大嶋さんの楽曲の印象はいかがですか?
橋本:レパートリーや引き出しがたくさんある方だなと思います。その場で音をつけたり、スズカツさんからの「ここにちょっとアクション入れて」というリクエストにも、すぐに応えていて、稽古がすごく楽しいですよ。本番中にもアドリブが入ったり…。
佐藤:それもまた、かっこいいんですよね。吾郎さんも洋楽がすごく得意な方なので、だからスズカツさんと相性がいいんだろうなと思います。王道のロックも今どきの音も入っていて、幅広くいろいろな世代に刺さる曲を作られていると思いました。俺はいつも音楽で感動できたらそれが1番いいと思っていますが、吾郎さんの音楽にはまさに泣かされることが多いんです。すごく信頼しています。
ーー最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
橋本:僕自身もめちゃくちゃ楽しみにしています。日本の歴史ものと聞くと、難しい話なのではないかと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、気軽に観ていただきたいです。もし、途中で「難しい」と感じたら、流司くんと僕の仲の良さだけを観ていてください。そうすれば、きっと物語に入りやすいと思います。最後まで流司くんと仲良く突っ走っていけたらと思います。
佐藤:来ないと始まらないと思いますので、「来い」としか言いようがないです(笑)。我々のこのバディとスズカツさんのタッグは、前回の作品で成功例を出していますので、あまり多くを語らず、いい作品なのだと改めて思わせてやろうかなと思います。
スタイリスト:吉田ナオキ(佐藤流司)/ 野友健二 (UM)(橋本良亮)
ヘアメイク:有藤萌(佐藤流司)/ 奥山信次(barrel)(橋本良亮)
インタビュー:嶋田真己
公演情報
主催:エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ/クオーレ/サンライズプロモーション東京
企画:クオーレ