中井貴一が日本映画界の名匠に 舞台『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』全キャスト、公演ビジュアルが解禁
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パルコ・プロデュース2025 『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』
2025年6月8日(日)~29日(日)東京・PARCO劇場、その後、7月に大阪・福岡・熊本・愛知にて、パルコ・プロデュース2025『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』が上演される。この度、全キャスト、公演ビジュアルが発表された。
本企画は、映画監督行定勲が、中井貴一に「ぜひ、小津安二郎監督の、昭和の映画界の話を演劇作品にしたい」と熱烈オファーを出したところから始まった。第一報で発表済みのタイトル『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』にある“先生”とは、名匠、小津安二郎監督がモデル。映画界と演劇界で縦横無尽に活躍し続ける二人がタッグを組みおくるのは、小津監督作品へのオマージュであり、フィクション。
日本映画界を代表する監督の一人である小津安二郎。伝統的な日本の美の追求とカメラマン出身ならではの独自の撮影スタイルで、多くの名作を遺した。代表作として知られる『東京物語』(1953年)は、公開から70年以上経った今もなお世界中の映画ファンを魅了し続けている。中井家と小津監督は、家族のような親交があり“祖父”のような存在であったとのこと。そんな中井家に伝わるエピソードや思い出を織り交ぜ、当時の古き良き映画界への想いを重ね、そこに流れていた豊かな時間を“小津調”で、演劇作品として舞台上に紡ぎ出す。
脚本を手掛けるのは劇作家の鈴木聡。無類の映画好きで小津作品にも造詣が深い鈴木と、映画監督・行定勲が、<映画>という<虚構>をつくる者の、現実と回想と幻想を<演劇>という<虚構>であぶりだす。行定・中井・鈴木で打合せを重ねたのち、鈴木が注目したのは、小津監督を取り巻く5人の女性。生涯独身を貫いた小津監督の美意識は、様々な立場の女性たちとのかかわりのなかで醸成されたのではないかということを軸に、物語は展開していく。
既報の通り、“先生”を取り巻く女性5人には芳根京子、柚希礼音、土居志央梨、藤谷理子、キムラ緑子。“先生”の相棒的脚本家役には、升毅と確かな実力を持つ精鋭が集結した。これに加え、撮影所の面々として、久保酎吉、松永玲子、山中崇史、永島敬三、坂本慶介、長友郁真、長村航希、湯川ひなら、ベテランから若手まで個性豊かな俳優の出演が決定。
そしてこの度、公演ビジュアルが解禁となった。小津監督のトレードマークでもあるピケ帽をかぶった中井貴一のメインビジュアル、そして、小津監督作品の世界観と時代感を意識した雰囲気と構図で、とある撮影現場で記念写真を撮ったという一コマのイメージビジュアル。中井貴一演じる“先生”が所縁のある5人の女性と盟友の脚本家に囲まれる様子に、舞台への期待が高まる。
昭和と映画を愛するすべての人へ。
苦悩する名匠の一日をユーモアと味わいたっぷりに描く。
昭和30年代。テレビ時代を迎え、映画はその黄金期を終えつつあった。「先生」と呼ばれる日本映画界の名匠・小田昌二郎(中井貴一)は新作の撮影を始めたが調子が出ない。娘のように可愛がる食堂の看板娘・幸子(芳根京子)の婚約の報告を受けさらに撮影を引き延ばす小田。脚本家の野崎(升毅)や名女優・谷葉子(柚希礼音)も心配顔だ。皆の前では粋な振る舞いをする小田だったが内心は混乱していた。もう齢だ。健康が優れない。これが最後の一本になるかもしれない。その恐れが小田の心の中から関わりのあった女たちの幻を引き出す。元芸者・花江(キムラ緑子)、戦争未亡人・和美(土居志央梨)、銀座のホステス・千代(藤谷理子)。いつしか小田自身も記憶の中に引きずり込まれて……。
あの頃の映画はこうだった。あの頃の人間はこうだった。昭和の洒脱な大人たちから現代への素敵なメッセージ。
鈴木聡 コメント
小津監督の映画はユーモアとせつなさいっぱいで、そして何より、美しい。監督の演出力はもちろんなんだけど、登場人物の一人一人が美意識というか人生の美学のようなものを持っているから、のような気がするんですね。だから貧しくても平凡でも美しい。それは、すべてを失くした焼け跡から人間の生活をやり直そうとした昭和(20年代~30年代)という時代の美しさなのかもしれません。『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』は、晩年を迎えた映画監督が、交際のあった女性たちの幻想に悩まされ撮影現場で立ち往生する、という可笑しな一日を描いた物語。主人公は「小田先生」であり、あくまでもフィクションですが、小津映画や小津監督の人生に大いにインスパイアされています。それを小津監督と深ーい関りがおありになる中井貴一さんが演じ、映画にも演劇にも深ーい愛情をお持ちの行定勲さんが演出してくださる。楽しみ過ぎます。昭和という時代や映画がお好きな方も是非!
行定勲 コメント
近代日本映画史に密接に関わっている名優、中井貴一さんが語る話には、日本映画の礎となる著名な人物がたびたび登場する。なかでも中井さんの父、佐田啓二さんと中井さんのお母様の結婚にまつわる話に、巨匠小津安二郎監督が絡んでくるエピソードに私は最も心を掴まれた。いつかこの話をモチーフにした作品を作りたい。憧れの日本映画全盛期を舞台にした物語を。
そこに共鳴してくださった名脚本家、鈴木聡さんがその時代の日本映画のバックグラウンドを調べている中で、小津映画の核となる人々の姿が浮かんできました。小津安二郎を神格化するのではなくひとりの人間として魅力的に、小津に名付けられた中井貴一が現代に繋いでいく。
私なんぞがそこに関わっていいものかと、戸惑いながらも、巨匠が映画と真摯に向き合う姿を描ける幸せを噛み締めながら悩みながら演出させていただく所存です。映画監督のはしくれである私にもある孤独と苦悩をユーモアを交えて描こうと思います。これは、小津版の『8 1/2』になるのではいかと密かに思っています。
巨匠を惑わす5人の女性たちには、この上ない多彩な女優が集まった。演劇ファンはもちろんのこと、映画ファンも楽しめる舞台を目指します。お楽しみに!
中井貴一 コメント
元々は、何かの打ち合わせのおり、私が我が家と小津安二郎監督との繋がりを、うっかりお話ししたことがこの企画の発端(笑)。
ご存知の方も多いと思いますが、その繋がりは深く、私にとって深過ぎるが故に、お引き受けする事には躊躇もありました。
しかし、映画人として、舞台で「人間・小津安二郎」を残したいという行定監督の強い言葉で、出演を決めさせて頂きました。
私が1歳の歳に亡くなった小津先生ですから、似せようにも記憶がありません。ですので、物真似ではなく、幼い頃から、我が家に伝わる小津イズムを胸に、精一杯演じたいと思っております。
あちらの世で、先生にお会いした時に、怒られない様に。
まだまだ、どうなることやら分かりませんが、私のモットーである、エンターテイメントを大切に、面白い舞台になりますよう務めさせて頂きます。
では、劇場で。