石黒賢、岡本圭人ら出演の青春群像劇『反乱のボヤージュ』稽古場レポートが到着 演出は鴻上尚史

2025.4.24
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学生寮存続の為、闘う寮生と舎監の名倉(石黒賢)との心の交流を描く青春群像劇『反乱のボヤージュ』。テレビドラマの脚本を数多く手がけたヒットメーカー野沢尚の傑作小説で、2001年にテレビ朝日系にてドラマ化され注目を集めたこの作品が、この度はじめて舞台化する。演出には、社会を切り取る鋭い視点と斬新な演出スタイルで知られる鴻上尚史。原作の緻密でスリリングな展開や人間模様を現代的な視点も加え創り出す。2025年5月6日(火・祝)の開幕を前に稽古場レポートが到着した。

かつて機動隊に所属していた元警察官で、学長補佐に拾われるかたちで寮取り締まりのため舎監となった名倉憲太朗役に石黒賢。父親の借金問題に追われ寮生活をする医学部一年生の坂下薫平役に岡本圭人。理学部三年生の江藤麦太役に大内リオン。口は悪いが料理の腕は確かな食堂担当の日高菊役に南沢奈央。廃寮を推奨する学長補佐の宅間玲一役に益岡徹。かつての学生襲撃事件で名倉と共に闘った久慈刑事役に加藤虎ノ介。薫平をはじめとする学生たちは寮生活を満喫していたが、名倉の着任により統制がはじまる。

自らの居場所を守るため、学生たちが立ち上がるラストシーンの稽古が進められていた。
立ち稽古の2巡目となるこの日は、演出の鴻上尚史が、細かな演出をつけていく。
この作品は、学生それぞれが抱えている葛藤に真摯に向き合い、舎監と共に乗り越えていくことで成長していく姿が端々に描かれる。石黒は台本をはじめて読んだ時の印象を「原作の良いセリフを鴻上さんが生かしてくださっている」と語っていたが、深みのあるセリフの数々を、名倉が持つ意志の強さと共に見事に演じていく。学生たちに社会問題の苦みを伝える場面は、観る人の心に深くメッセージとして刺さるだろう。

ストーリーテラー的な一面を持つ役柄をつとめる岡本。
長ゼリフが多く難しい役柄だが、演出家に1つ1つ細かく質問をし、また自分の考え方を伝えながら、薫平という役を落とし込んでいく姿が印象的だった。同じく寮生を演じる大内は、演劇作品で先輩と関わることが初めてという。今回演技面では様々なアドバイスを岡本からもらい、とても刺激になっていると話す。

学生運動の場面で、鴻上は40年ほどの舞台演出の経験と知恵を活かし、お客様にスペクタクルを見せますと意気込む。役者らの熱量ある演技で既に迫力あるシーンになる予感を感じるが、舞台機構、美術の力も加わることでどのような見え方になるのか期待したい。
円熟味を増す演技で名悪役を演じる益岡徹。存在感を見せる加藤虎ノ介。男勝りな女性を見事に演じスパイスを加える南沢奈央、実力派俳優らが芝居により一層厚みを加えていく。

優柔不断で戦闘には不向きな寮の自治委員長の司馬英雄(小日向星一)。弁がたち、大学側との交渉では寮生側との急先鋒となる本多真純(駒井蓮)。応援団長の葛山天(小松準弥)、寮内のマドンナ的存在の田北奈生子(谷口めぐ)、音楽で薫平たちを鼓舞する沖田(前田隆太朗)、サッカー部のエースで、日高菊が好きで食堂に通い詰める茂庭章吾(財津優太郎)、強引な取り立てをする消費者金融会社の立花(渡辺芳博)、田北のつきまとい行為をする神楽(葉山昴)らも、個性が豊かで魅力的。
それぞれが抱える葛藤を共感しながら見ることが出来る。

身をもって社会との闘い方を教える名倉の姿、強く優しい大人を求めているがゆえに激しく大人たちに抵抗する学生たちの姿。社会問題の苦しみもあわせもつ豊饒な作品を是非劇場で。

『反乱のボヤージュ』は、新橋演舞場にて5月6日(火・祝)から16日(金)まで。大阪松竹座にて、6月1日(日)から8日(日)まで。

公演情報

舞台『反乱のボヤージュ』
 
日程・会場:
<東京公演>2025年5月6日(火)~5月16日(金)新橋演舞場
<大阪公演>2025年6月1日(日)~6月8日(日) 大阪松竹座

原作:野沢尚(『反乱のボヤージュ』集英社刊)
脚本・演出:鴻上尚史
 
出演:
名倉憲太朗・・・石黒賢
坂下薫平・・・岡本圭人

江藤麦太・・・大内リオン
司馬英雄・・・小日向星一
本多真純・・・駒井蓮
葛山天・・・小松準弥
田北奈生子・・・谷口めぐ
沖田・・・前田隆太朗
茂庭章吾・・・財津優太郎
立花・・・渡辺芳博
神楽・・・葉山昴

久慈刑事・・・加藤虎ノ介
日高菊・・・南沢奈央
宅間玲一・・・益岡徹
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