西野カナ、7年振りの全国ツアーファイナルで交わした約束「これからもいっぱい頑張りたいと思います」
西野カナ
西野カナ『Fall In Love With You Again Tour 2025』2025.06.22(sun)さいたまスーパーアリーナ
西野カナの全国ツアー『Fall In Love With You Again Tour 2025』最終公演が6月22日、さいたまスーパーアリーナにて開催された。2019年の活動休止を経て、2024年6月に約5年半振りとなる活動再開を発表した西野。2018年の『LOVE it Tour 〜10th Anniversary〜』以来、実に7年振りに行われた本ツアーは、4月の大阪公演を皮切りに全国6都市で計12公演が実施された。
ツアーのメインキャラクター“ダブルハートちゃん”が西野を探し続けるアニメーションムービー上映に続いて、ステージには紫の藤の花が垂れ下がったアーチ状ステージセットの下に、純白のドレスを纏った西野が登場。「EYES ON YOU」からライブをスタートさせると、美しいピアノの音色に乗せて伸びやかな歌声を会場中に響かせていく。続く「Best Friend」では、ステージ照明と連動して客席のフリフラペンライトがピンクに光る演出も用意。曲中、オーディエンスとの絆を確かめ合うように西野が〈好きだよ、大好きだよ〉と心を込めて歌うと、客席からは悲鳴のような歓声が沸き起こった。
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2曲歌い終えると「今日はファイナルやから、このツアーの思いを全部出し切って。いろんな曲をやるから最後まで楽しんでいってね!」と、観客に呼びかける西野。「もしも運命の人がいるのなら」ではブレイクパートで会場が暗転すると、彼女のドレスが青く光り出す演出もあり、壮大なサウンドに合わせてファンタジックな世界観が展開される。また、「Darling」では曲の進行にあわせてドレスが虹色に輝き、曲の多幸感に華を添えていく。
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バンドメンバーのインストパートを経て、ステージ後方のスクリーンにビーチが映し出されると、ピンクのチェック柄ワンピースに着替えた西野が「Believe」や「パッ」を歌い継いでいく。続く「イントゥ・ミー」では淡いブルーのミニワンピース姿に早着替えしたかと思えば、ステージ背景がおかしの国へと変化すると、今度は王冠を身に付けた女王風ファッションに着替えた西野が「UNZARI」「candy」を、ダンスを交えてパフォーマンス。さらに、背景が時計をモチーフにした世界観に様変わりすると、今度はマジシャン風衣装に着替えた西野が「Abracadabra」でアリーナ中央のサブステージへと瞬間移動するマジックを披露し、観客を大いに驚かせた。
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“ダブルハートちゃん”によるアニメ映像を挟んで、サブステージにはモノトーンのドレス&眼鏡姿の西野がソファーに腰掛けながら登場。夜を思わせるシチュエーションの中、「Funny」を艶やかに歌い届けていく。また、ミディアムバラード「君に会いたくなるから」ではミラーボールの光が会場中を照らし、幻想的な空間を作り上げていった。2曲歌い終えた西野は観客とコミュニケーションを図りながら、この特別な空間を心の底から楽しんでいるように見える。そんな中、代表曲のひとつ「会いたくて 会いたくて」のイントロが始まると、フロアからは大歓声が湧き上がり、観客はこの曲を切なくもエモーショナルに歌い上げる西野の一挙一動を食い入るように見守り続ける。
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西野がこれまで巡ってきたさまざまな世界をドライブする映像を経て、ライブもいよいよ中盤戦へ突入。暗闇の中、ひとり佇む彼女にスポットライトが当たると、ライブはそのまま「好き」から再開する。序盤こそスクリーン演出などを排除したシンプルな構成だったが、サビでステージ上の照明がまばゆく光り、曲のクライマックスで客席のフリフラペンライトが一斉に点灯するというメリハリの効いた演出も用意。ミントグリーンのドレス姿の西野は、続く「Dear…」でも優しく美しいボーカルで会場を温かく包み込み、オーディエンスを魅力し続けた。
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「時間はあっという間で、次が最後の曲になります」と西野がオーディエンスに告げると、会場は「えーっ!?」と不満の声に包まれる。すると、西野の「『えーっ!?』じゃなくて?」に応えるように、観客は「イエーイ!」と返す一幕も。このような微笑ましいやり取りを経て、西野は「普段は家で練習したりと孤独な時間のほうが多いけど、こうしてみんなに会えると、みんなから元気をもらえて頑張れているんやなって気付けて、もっと頑張ろうと思ったし、人間としてもアーティストとしてももっと成長したいと思いました」と素直な気持ちを伝える。そして、「至らないところが多い人間ですけど、みんなにいっぱい元気を届けられるように、これからもいっぱい頑張りたいと思います」と感極まりながら告げると、応援してくれるすべてのファンへの感謝を込めて「私たち」を熱唱。客席が温かみのある白いペンライトで染め上げられ、アットホームな雰囲気の中ライブ本編は終了した。
観客による「Together」の合唱が自然発生する中、スクリーンには旅を続ける“ダブルハートちゃん”がついに西野と再会するアニメーションが流れ始める。すると、ダンサーや“ダブルハートちゃん”を引っ提げた西野がステージに再登場。「トリセツ」や「また君に恋をする」を歌いながら、ツアーのメインビジュアルに用いられたスイーツを模ったバルーンとともに花道を練り歩く。中でも、「また君に恋をする」後半では西野の「歌おう!」を合図に、会場が一丸となって歌声を重ねていく。さらに、5月9日に配信リリースされたばかりの新曲「With You」も披露され、客席はアンコールにふさわしい盛り上がりを見せた。そして、「時間はあっという間で、次が本当に本当に最後の曲。真夏の暑い曲、みんな盛り上がってくれますか?」のメッセージとともに、ラテン色の強い「Esperanza」で情熱的な歌を届けて、ライブはフィナーレを迎えた。
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メンバー紹介を経てダンサーやバンドメンバーがステージを去ると、ステージにひとり残った西野から12月17、18日にクリスマスライブ『ソニーフィナンシャルグループ presents Kana Nishino Special Live “Christmas Magic”』がKアリーナ横浜で開催されることが告げられ、会場は歓喜の声に包まれる。これで本当にツアーも終わり……かと思いきや、「新曲持ってきました!」の一言に客席は再び湧き上がることに。そして、埼玉公演が初披露となる未発表新曲「マジカルスターシャインメイクアップ☆」でフロアにポジティブな空気を充満させて、西野カナ約7年振りの全国ツアーは完結した。
昨年の活動再開以降、今ならではの表現を交えながら彼女らしい歌を届け続ける西野カナ。今後も楽曲リリースやライブなどさまざまな形で、我々を魅了し続けてくれるはず……今回のさいたまスーパーアリーナ公演はそう強く実感させてくれた1日だった。
取材・文=西廣智一