「今の全て出し尽くした作品」カラノア、個性が光るEP「ネオンテトラ」で新たな一歩へ

2025.8.12
インタビュー
音楽

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3ピースバンド・カラノアが新作EP「ネオンテトラ」をリリースした。昨年8月に新体制となり、音楽性もこれまでのロックテイストからポップス、オルタナ、ロックなど、さまざまなジャンルの要素をクロスオーバーさせる方向へと変化してきた彼ら。今作にはテレビ東京7月期ドラマNEXT『雨上がりの僕らについて』の主題歌「aquarium」、新体制初で作った楽曲「MIREMIRE」をはじめとする全5曲を収録。SPICE初登場の2023年4月以来、約1年4ヶ月ぶりのインタビューとなる今回は、雄大(Vo.Gt)に新作EPについてはもちろん、近況や新体制における心境やクリエイティブについて話を訊いた。

「もっとバンドを大きくしていきたい」新体制になり、芽生えた責任感

ーー新体制になって色々と変化があったと思うので、まずはその辺りをお聞きしていこうと思います。昨年8月末から新体制になりました。雄大さんの心境的にはいかがでしたか?

僕個人で言えば、よりバンドについて深く考えるようになりましたね。「これからも自分がバンドを背負っていくんだぞ」「このバンドを絶対もっとデカくするぞ」「何かあったら僕ががっつり背負っていくぞ!」みたいな気持ちが大きくなりました。

ーー曲作りはもともと雄大さんの作りたいものに皆でアプローチしていくやり方だったと思うので、そこは同じなんですよね。

そうですね、好きにやらせてもらってます。でもそれこそ新体制になったので、せっかくなら新しいことをやろうみたいな気持ちになっていて。今までやったことのないことに無理矢理、手を出してみる瞬間が多くなったように思います。

ーー無理矢理、手を出す?

例えば、全然聴いてこなかったジャンルの音楽をめちゃくちゃ聴いて吸収して、それをアウトプットするとか、自分のボキャブラリーにないことを自分なりに無理矢理形にしていくみたいなことは多くなりました。これはかなりポジティブな意味で。

ーー自分の範囲外のところに手を伸ばしていくのは、ワクワクするタイプですか?

かなりワクワクしました。より制作が楽しくなりました。

ーー樹(Ba)さんとかずき(Dr)さんも?

ふたりともめちゃくちゃ楽しそうに、新しいことをやってくれてます。

ーー責任感が強くなったという意味で、雄大さん自身のクリエイティブは変わりましたか?

前までは自分の内面を直接表現することがほとんどなかったんですけど、少しずつ今までやってこなかった、避けてきたものも取り入れるようになりましたね。ラブソングがちょっと多くなったりもしました。

ーー前回のインタビューでシングル「愛でたし。」(2023年4月)はストレートなラブソングで、身を削って書いたとおっしゃっていました。その意識が変わったということですね。

そうですね、変わりました。「愛でたし。」をリリースした時に「自分、ラブソング書けるんだ」と許された気持ちになったのもあるんですけど、少しずつストレートな表現もできるようになってきました。やり方がわかってきたと言うと簡単だけど、「自分自身の勝手がわかってきた」みたいなところは、もしかしたらあるかもしれない。

ーーでは、苦しみながら歌詞を書いたりすることは、今はあまりないですか?

未だにめちゃくちゃ苦しみながら書く時もありますね。ただ、それにしっかりと向き合えるようになりました。「苦手だからやらない」とかも全くなくて、「ちょっと苦手意識はあるけど、やってみたらめっちゃ良かった」ということが連続してあったので、苦しみながら制作する良さもまた知ることができました。

ーー自分の内面を出していくにあたり、何か参考にした音楽やカルチャーはありましたか?

ほんとに色んなジャンルの曲を聴くようになって。歌詞は特に影響を受けたことはないんですけど、曲調はかなり、聴き始めたアーティストさんからインプットさせてもらうことが増えました。

神は細部に宿る。自身の楽曲の強み

ーー雄大さんの曲の強みは何だと思いますか?

これは受け売りの部分もあるんですけど、細かいところに神は宿ると思っていて。細かいアレンジだったり、「誰も気づかないでしょ」というところまで全部こだわるのは僕の音楽の強みだと思うので、大事にしたいです。

ーーそれは、弾き語り時代から心がけていることですか?

さっき受け売りと言ったんですけど、弾き語りをやっていた時代に出会ったシンガーソングライターと仲良くなってからですね。とんでもない人に出会って、その人の言葉がめちゃくちゃ響いて意識が変わりました。

ーーバンドになって、1人で作っていたものがサポートの永田涼司さんを含めた4人で作るようになり、細部といえども違うところに目が向いてきたりはしましたか?

僕がほんとに一生こだわって作ってるので、かずきと樹も共鳴してくれてるのかな。わからないけど、ふたりともすごく細部までこだわるようになってくれて、曲に対しての繊細な話がしっかりできるようになりました。見ている方向が同じだからこそ、3人でどんどん横並びで成長していってる感覚はありますね。

ーー最近の音楽シーンの傾向として、楽曲のイントロが短くなっていますが、今作を聴いてカラノアもイントロ短めで作っておられるのかなと思いました。トレンドを気にされたりはしますか?

そうですね。特に新体制になってからは、トレンドを気にして曲を書くのも面白いなと思いました。「最近こういう曲流行ってるんだ。じゃあやってみよう」で、「ハマったら最高」みたいな。苦手意識や「やりたくない」は捨てて、柔軟に楽しさを見出すようになってますね。

ーー音楽に関わること全てが楽しそうですね。

全部が嬉しくて仕方ないです! 超前向きです(笑)。

ーー「だんだんやりたいことができるようになってきた」ともおっしゃっていましたが、雄大さんの「音楽でやりたいこと」を言語化するなら?

すごく現実的な話になるんですけど、クオリティの高い楽曲を短期間で量産できるようになったら、もうめちゃくちゃ楽しいんじゃないかなと思ってて。今は多分10分の1以下、10分の0.5もできてないところにいて、やっと少しずつできるようになってきたので、これからが楽しみです。

ーー2~3ヶ月に1枚はリリースされているので、曲作りは早い方だと思っていましたが。

結構苦しんで作ることも多いので。今年になってすごい人たちにたくさん出会って、「僕も早くそれをできるようになりたい」という気持ちになりました。

ーー「すごい」と思った人がいたんですか?

いました。それこそサポートをしてくれてる永田さん。今回アレンジにも参加してもらってるんですけど、曲も作れるしミックスとかもできちゃう人で、ギターも上手くて。そんなにすごい人が身近に現れたら、もう盗まざるを得ないなと思って(笑)。

ーー永田さんが良い影響を与えてくださってるんですね。

本当に運命ですね。人柄もめっちゃ良くてすごく尊敬できる人です。今、バンドがますます楽しいです。

最もテンションが上がる瞬間について

ーー先日Xで「いくらでもこだわれるな、音楽。流石におもしろすぎる」と呟いておられましたが、音楽の1番の面白さはなんですか?

曲作りに対しての面白さになるんですけど、曲を作る時、1個の音にしてもアレンジの仕方にしても、アレンジを詰める中で何パターンも試すんです。例えばメロディーだと40~50個ぐらい作って捨ててを繰り返すんですけど、「これだ!」とバチッとハマった瞬間が楽しくて仕方がないです。そこから5分ぐらい動けなくなりますね。繰り返し聴いて踊ったりして(笑)。あの瞬間はたまんないです。

ーーメロディーを出すのにどれぐらいかかるんですか?

曲によってパッと良いメロディーが出てくる時もあるし、めちゃくちゃ時間がかかるのだと、半月ぐらい悩んで悩んで、結局出てこなくて1回休んで、また2~3週間悩んでみたいなのはありましたね。あれは苦しかったな。その分メロディーが決まった時は嬉しかったです。

ーー1個「これだ」というピカイチのフレーズが決まったら、そこから広げていくんですか?それともAメロから順番に作っていくんですか。

何となくトラックをバーッと作って、気分の乗るところからメロディーをつけていくんですけど、Aメロから乗せることが多いですね。さっきのこだわりの話に戻ると、めちゃくちゃ良い曲って、特にBメロがすげえ良いなと思うことが多くて。こだわりたいからこそ先にBメロまでの盛り上がりを作る。Aメロから作ってBメロを飛ばす時もあれば、Bメロをそのまま作る時もあります。もちろんその後のサビが良くないと、「Bメロは良いのにサビが良くない」と落ち込みますけど(笑)。だからサビもBメロも同じく命をかけてます。

ーー作るのと歌うのとライブするので、1番テンションが上がるのはどの瞬間ですか。

作ってる時ですかね。ミックスが完パケした時と、ライブでアドレナリン出まくって叫んじゃってる時がトントンぐらい(笑)。

ーーライブも好きなんですね。

はい。あの瞬間はやっぱり忘れられないです。

ーー歌うのはどうですか。

カラオケとかにはあまり行かないんですけど、歌うのもめちゃくちゃ好きですね。

ーー根っからのクリエイター気質という感じがしますね。

かもしれないですね。ものづくりは大好きです。

ーー確か、お兄さんも作曲されるんですよね。

そうなんです。弾き語り時代はライブも一緒にやってました。

ーー「こんな曲ができたよ」と聴いてもらったりするんですか?

僕、兄がふたりいて、兄弟のグループLINEがあるんですけど、1番に報告しますね。デモができた時に「今こんなん作ってるよ」と投げたら「やば!」って返ってきて嬉しいんです。たまに「俺、ここでこういうテイストきたら気持ち良いわ」と言ってくれる時があって、それも参考にさせてもらいつつ作ってます(笑)。

夢が叶った、念願のタイアップ曲「aquarium」

ーー今作『ネオンテトラ』は、「ここまで色んな曲が出てくるのか」と驚くほどバラエティ豊かな5曲でした。1曲目の「aquarium」はテレビ東京7月期ドラマNEXT『雨上がりの僕らについて』の主題歌ですが、Xでの呟きを拝見するに、書き下ろしの制作も楽しそうですね。

めちゃくちゃ楽しかったです。

ーー作り方はいつもと違いました?

違う部分もありつつ。ただ、物語を曲で表現するのは好きで、もともとやってた部分もあったので、それをフルに活かせました。

ーーポップながらも壮大で、風景描写が思い浮かびますね。1番2番、間奏、落ちサビ、ラスサビとしっかり展開する中でも、やはりBメロに命をかけたんですか?

そうですね、サビまでの盛り上がりを工夫しました。1番は1分以内というドラマの尺の関係で、そこまで大きな展開は作れなかったんですけど、それでもサビまでの盛り上がりは「短いからこそ、ここに全部持ってこよう」みたいな気持ちで取り組みました。

ーー尺が決まっていることが、ひとつのモチベーションになったり?

ほんとにそうです。お弁当に具材を詰める感じ(笑)。「どれだけ詰めてやろうかな?この配置でどうやったら綺麗に美味しくなるだろう」と考えるのは楽しかったですね。

ーー王道ポップスとも言える楽曲になっていると思いますが、こだわりポイントはありますか?

ここまでのポップスをやるのは本当に初めてだったので、日本の流行っているポップスのコード進行を参考にして、結構気を遣って作りましたね。あとポップスで多く使われるシャッフルビート、いわゆる跳ねるリズムを意識して、爽やかに作り上げたのはこだわりです。作品自体も甘酸っぱいラブストーリーなんですけど、主人公がネガティブな性格で繊細な部分があったので、爽やかだけじゃない、少し憂いを帯びた切なさも表現できたらなと。ちょっとした生々しさやストレートな表現にもこだわりました。

ーー落ちサビも良いなと思いながら聴いていたんですが、落ちサビはいかがですか?

落ちサビ、僕も大好きです(笑)。実は、1番最初のデモでは落ちサビの雰囲気をサビに持ってきていて。「やっぱり違うか」となったのをもう1回落ちサビに持ってこれた嬉しさもありますし、我ながら上手くハマったなと思いましたね。思い描いていた、壮大で少し寂しいイメージに持っていけたなと思う部分です。

ーーシンセやピアノはDTMで入れているんですか?

「aquarium」の鍵盤はDTMで、実はLとRでエレピとピアノを同時に出していて。あまりピアノっぽく聴こえないようにしたくて、リズム要素のイメージで入れたりしました。楽しい曲になりました。

ーータイアップは良い経験になりましたか?

本当に夢で、憧れそのものだったので。音楽を始めてから「テレビで流れてるこういう曲を作れる日がくるのかな」と思っていて。当時は「すごいな」と言って見ていたものを、自分がやることになった感動がすごかったですね。実際テレビで流れた時「ほんとにやらせてもらったんだ」と実感がわいてきました。

音楽においての壁は全て取っ払って曲を作る

ーー「やさしいね」は揺れ動きを感じる楽曲です。歌詞は不穏な感じも、あたたかさもあって。「<やさしいね>は誰に向けて言ってるんだろう?恋は盲目的な感じなのかな」と、想像を膨らませながら聴いていました。

歌詞もこだわりました。この曲は物語ベースに進んでいくんですけど、少し後ろを歩く控えめな主人公がいて、「傷つかない言葉を使ってくれてありがとうね、優しいね」みたいな。でもそれが果たして本当に優しさなのかと。結局そういうのもわかっちゃうから傷つくけど、「ほんとにその気持ちはありがたいよ」みたいな皮肉を込めた、それでいてあたたかいお散歩曲です。人の心を少しだけリアルに描いた曲ですね。一応題材は春のラブソングで、プラスファンクです。

ーーファンクはカラノア的にはチャレンジですか?

それこそいっぱい曲を聴くようになって、The 1975を聴いて「うわ、ファンクやりたーい!」みたいな(笑)。ネオファンクというんですかね、山下達郎さんまではいききらない、壮大なファンクをずっとやりたくて。それも永田さんと相談しつつ、良い雰囲気で軽快なお散歩ソングができたなと思っています。

ーーその時やりたいと思ったことをハメてみるんですね。曲作りにおいて、実験的な側面もありますか?

はい。「普通この音入れないよな」というのも試して入れてみたら曲にマッチしたり。めちゃくちゃ実験してますね。

ーー縛りがないんですね。「何でもやれる」という感じがお話から伝わってきます。

ほんとにその通りで、壁みたいなものは全部取っ払いたいなと思ってます。「音楽をやってるなら、色んなことをやっちゃおう」みたいな気持ちはやっぱり大きいですね。

ーー先ほどポップスにおけるコード進行を意識されたとおっしゃいましたが、音楽理論的なセオリーを気にしたりされますか?

音楽理論は僕はそこまでわからないので、音が当たっていなければいいかなって。例えば半音と半音で気持ち悪いサウンドになってなければ、自分が気持ち良いと思ったものを信じようというスタンスでやってます。

ーー「ice」はとにかく美しい曲で、MV込みで最高ですね。細かい作り込みが光っているというか、音数は少ないけれど、1音に宿るこだわりがありそうだなと思いました。

嬉しい。「ice」は「足し算をせず、できる限り引き算してアレンジでがっつり詰める」というコンセプトがあって、ほんとに0.5秒のレベルまでこだわってる箇所は多いです。音色もめちゃくちゃこだわりました。

ーーピアノがとても綺麗ですね。

美しい曲を作りたくて、ピアノを入れたくて。ここまでがっつりピアノが出てくる曲も今までなかったので、これもまた新たなチャレンジです。最終的には音数少なく、ピアノ1本ぐらいのレベルまでいけたんですけど、当初のデモはもう少し複雑で、うまく引き算できました。

ーー前回のインタビューで「歌詞は陰がある方が美しい」とおっしゃっていたのを、この曲ではよく感じました。<それが愛でも、はたまた害でも><哀で満たしていたい>とか。<「居たいよ」「その手、離してよ」>の落ちサビにあたるパートは会話のようで、感情がかき乱される感覚になりました。

ほんとにそうですね。これも歌詞を書くのは苦しかったです。自分の中からめちゃくちゃ持ってきて、苦しんで書いたからリアルで綺麗な曲ができたのかなと思います。

ーー氷が溶けていくだけのMVも本当に綺麗でした。究極のシンプルですが、完成度の高さが素晴らしいですね。

嬉しいです。良いですよね。僕もあのシンプルさにやられました。

ーー監督さんがアイデアを出されたんですか?

完全に自主制作です。チーム皆で「どんなリリックビデオにしようか」と話して。朝から夕方にかけて、ひたすらアイスが溶けているところを撮影して、そこに歌詞を載せようかと言ってやってみました。しかもタイトルが出てくるタイミングも最高で、結果的にめちゃくちゃ良い映像になって嬉しいです。

ーー次の「Paradise」はギミック満載で、以前のカラノアの雰囲気も踏襲しつつ、新しいことをやっている印象を受けましたが、この曲はどう作っていかれたんですか。

実はイントロは2~3年前ぐらいからずっとストックとして持っていて、今回ようやくフルを詰めたんですけど、ちょうど締切の関係で、同時進行でめちゃくちゃ曲を作って追い詰められてて。すごくストレスを溜め込んでいたので、この曲で解放させました(笑)。夏リリースだったので、「とりあえずノリの良い曲を作りたい」から始まって、結構やりたい放題やらせてもらった解放の1曲ですね。「絶対に休ませないぞ」という気持ちで、1曲を通して一生踊れる曲を作りたいという気持ちはありました(笑)。

ーーMVでメンバーさんは弾くのが大変そうだけど楽しそうで、先ほどお話されたバンドの空気の良さがそのまま表れているようでした。

その通りだと思います。レコーディングも皆でめっちゃ盛り上がりました。あれはすっごく難しくて、まだライブで披露してないので、今から緊張してます(笑)。

ーー早口ボーカルもカラノアの代名詞的なイメージですが、得意なんですか?

韻を踏むのも好きなんです。いっぱい言葉を詰めて歌うと、口が気持ち良い。

ーー特に2番の<street>と<wake up!>の歌い方は面白かったです。

僕、ヒップホップも聴いていて、ヒップホップでは曲間の相槌で「Ey」とか「aha」と言ったりしてて「何かそういうの欲しいな」と思って。streetってそのまま言うのも嫌だし、気持ち良い方に感覚のまま突き進んだらそうなった。とても変わった曲になりましたね。

ーーノリの良いシンセサウンドも印象的でした。

リードシンセをここまでイントロに持ってきたのも初めてなので、将来は自分でもリードシンセを弾きたいですね。それかサポートギターに弾いてみてもらいたいな。ライブで生のシンセが入ると楽しいだろうなと思いつつ。

ーーちなみに雄大さんはボカロを聴いたりされますか?

僕、ボカロ大好きです。確かに言われてみれば、「Paradise」はボカロっぽいアレンジがありますね。

憧れの先輩アーティストを招いて行う自主企画ライブ

ーー最後に収録されている「MIREMIRE」は新体制初の曲で、過去を振り返りつつも前向きな雰囲気を感じさせる楽曲ですね。

「MIREMIRE」というタイトル自体は造語なんです。「MIRE=泥」という意味らしくて、それを2つ繋げて「泥々」にしました。あとは曲を書いてた時に『MIREDOMOMIREZU TOUR』(2024年11月東名阪ツアー)を回っていたので、「MIREDOMO」のMIRE、「MIREZU」のMIREも合わせてタイトルにできたら面白いなと。やっぱり新体制1発目だったので、悲しみながらも前向きになれるような応援ソングを作りたいと思って。どうしても綺麗に見えちゃう過去と、そうじゃない今との乖離した葛藤があっても、絶対に未来には進んでいかなきゃいけない。「ぬかるみに足を取られても進んでいくんだぞ」と自分自身に向けて歌った曲でもあるなと感じてます。

ーー書いている途中で「これは自分に向けても書いているな」と気付くんでしょうか。

「誰かの背中を押したい」という想いで書き始めたのが、いつの間にか書いてる途中で「自分の背中を押せるような曲になってるな」と感じるようになりました。

ーーカラノアからは、まだこれからどんどん色んなものが出てきそうだなという期待がありますが、ひとまず今作はどんな1枚になりましたか?

おっしゃっていただいた通り色んな曲をやりたいんですけど、まだ形にできる実力がないので、今作は今の僕が持っている最大限のボキャブラリーを、一旦全部出し尽くしたEPになってます。やりたいこともまだまだいっぱいあります。既にすごい曲ができているので、楽しみにしててください。

ーーそして9月12日(金)に渋谷eggmanで、雨のパレードと大橋ちっぽけさんを招いた自主企画『カラノア Presents Log Book Fest. Vol.2 ~NEW EP 「ネオンテトラ」Release live~』が開催されます。どんなライブになりそうですか。

高校生の時から雨のパレードさんも大橋ちっぽけさんもずっと聴いていて、そんなアーティストさんが出てくれるなんて未だに信じられないし、正直全然想像ができないんですけど、間違いなくヤバい日になる気がしてます。多分めちゃくちゃ緊張すると思います(笑)。でもまずは憧れの2組を楽しんで、憧れではあるけど先輩の胸を借りすぎず、良い意味で追いつけているというか、3組の足並みが揃った企画になったら嬉しいですね。3組の化学反応が起きたら自信になりそうですし、そんなまとまった1日にできたらいいなと思います。

取材・文=久保田瑛理 撮影=ハヤシマコ

リリース情報

デジタルEP「ネオンテトラ」
2025年7月9日(水)リリース
▼収録曲(全5曲)
01. aquarium
02. やさしいね
03. ice
04. Paradise

ツアー情報

『カラノア Presents  Log Book Fest. Vol.2 〜NEW EP 「ネオンテトラ」Release live〜』
日程:2025年9月12日(金)
OPEN 18:00 / START 18:30
会場:渋谷eggman
出演:カラノア
ゲスト:雨のパレード / 大橋ちっぽけ
席種:スタンディング
料金:¥3,800-(1D別)
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