ノスタルジーと新しさが溶け合った、GOOD BYE APRILのサマーチューン「リ・メイク」のこと、そして結成15年目も変わらない開拓精神を語る

21:00
インタビュー
音楽

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結成15周年イヤーに突入しているGOOD BYE APRILから、令和の夏を爽やかに、みずみずしく彩るとびきりのサマーチューン「リ・メイク」が届いた。今年5月にブレッド&バターの「ピンク・シャドウ」、6月に大瀧詠一の「Velvet Motel」のカバーを連続リリースし、70、80年代に生まれたスタンダードポップスを色鮮やかなアレンジでGOOD BYE APRILの色に染め上げていた。それに続く「リ・メイク」は80年代以降のJ-POP、J-ROCKリスナーなら誰もがこの人のギターを聴いているに違いない名ギタリスト、佐橋佳幸をプロデューサーに迎えている。コーラスワークやサウンドアプローチの妙、透明感溢れる歌声やグッドメロディーとともに、この曲の大きな魅力である歌詞にフォーカスし、曲作りを手がける倉品翔(Vo.Gt.Key)にインタビュー。彼自身のバックボーンや15年目を迎えたバンドの息の長さの秘訣についても話を聞いた。

「リ・メイク」は“◯◯っぽいもの”じゃなく、
普遍的な表現で本質的なメッセージを届けたかった

ーー「リ・メイク」がリリースされてしばらく経ちますが、どんなリアクションが届いていますか?

すごく新鮮味を感じてくださっている声もあり、予想通りなリアクションもあり、どっちも嬉しいですね。これまでのGOOD BYE APRILの曲と共通したジャンル感であるところは変わっていないんですが、自分たちとしてはアレンジのアプローチとか毎回ちょっとずつ新しいチャレンジをしているんですね。今回もそういうチャレンジがあったので、新鮮に感じてもらえるのはすごく嬉しいです。

ーー「リ・メイク」は一年以上前から温めていた曲だったそうですね。

一年間寝かせて、今年になって佐橋佳幸さんにプロデュースで入っていただいたことで、自分たちだけでは作れなかったアレンジに仕上がりました。歌詞の書き方も、今までより一歩踏み込んで、より普遍的なメッセージを書いてみようという自分たちなりのチャレンジをしました。

ーー私が最初に「リ・メイク」を聴いたのは、仕事中につけていたラジオから流れてきた時でした。80年代に10代を過ごした音楽リスナーとして、曲の端々に見え隠れする80’sポップスの片鱗にグッときつつ、今ならではの新しさや楽曲、ボーカルの持つみずみずしさが溶け合って世界をパッと明るく照らしてくれたように感じました。

ありがとうございます。よかった(笑)。

ーー「リメイク」の歌詞は、倉品さんと延本(文音、Ba)さんとプロデューサーの佐橋佳幸さんと3人で作られたそうですね。ささいなことで気持ちがすれ違ってしまった2人がもう一度お互いを見つめ直し、あの頃のように恋に落ちたいと願う……ラブソングであることはもちろんですが、たとえば人間関係でつまずいたり後悔するようなことに直面しても、何度でもやり直せるというメッセージが歌詞の言葉にあふれているようにも感じました。

レコーディングに入る前に、佐橋さんと僕と延本の3人で歌詞の会議をしまして、歌い出しの<何度でも君となら恋に落ちたい>という1行は佐橋さんと考えた一番最初のとっかかりだったんですね。その1行がこの曲のテーマそのものになるねってことで、そこからワーッと書いていきました。“恋に落ちる”というのは一瞬の出来事というか、瞬間的なことだから、<何度でも恋に落ちたい>というのは矛盾しているようにもとれるけど、“それを繰り返すってどういうことなんだろう?”と掘り下げていく中で、何度でも関係性を構築していくことが、一生ものの関係を作っていくことにつながるんじゃないかって。自分たちも年齢を重ねたからこそ実感できることでもあるので、それをテーマにした大人のラブソングにしたいねということを話しましたね。

ーー歌詞に<君>と<あなた>が登場しますね。最初は、かつて<君>と呼んでいた相手を、年月を経て<あなた>と呼ぶようになった2人が描かれているのかなと思ったのですが……実はさっきここに来る電車で聴いていて、“これは2人それぞれの目線で書かれているんだ”と気づきました(笑)。

いろんな捉え方がありますよね。1番は男目線なんですけど、2番で<あなた>が出てくるセクションは女性から相手の男性を見ているんですね。男女両方の視点を入れてみようってことも佐橋さんとの最初の会議の時に話していて。ただ、さっき言われたように、必ずしも恋愛だけじゃなくて、物でも人でも一生ものの出会いというものはあると思うから、そういったところにもリンクするといいなとは思いました。例えばお気に入りの服でも、着ているうちにほつれたり、どこかにひっかけて破れちゃったりしたところを直すことで、味が生まれてさらに愛着が湧いて、一生ものの服になっていくようなことがありますよね。人間関係にも同じようなことがあると思うので、そういったことを書きたかった曲ですね。

ーー歌い出しの<何度でもあなたと恋に落ちたい>というフレーズは、初めてラジオで聴いた時から特に強く印象に残りました。今って、SNSやサブスクで60年代の曲も先週リリースされたばかりの曲も並列で聴くことができて、特定のジャンルが突出して流行るわけじゃなく音楽のジャンルも多様です。そんな時代に、目が覚めるようなキラキラしたサウンドに乗った冒頭の歌詞は、表現もとてもストレートで際立って聴こえました。

まさに、そういう今までにないぐらいシンプルな言葉づかいにしようというのが、今回一番踏み込んだポイントなんですね。言葉として分かりやすいものにすること。シンプルにすること。それが一つのチャレンジでもあったし、なぜそれがやりたかったかというと、まさに今おっしゃってたような年代もジャンルもすべて並列で聴ける時代で、大きなムーブメントや流行りもあまり関係なくリスナーが音楽を聴く時代じゃないですか?サブスクでもラジオでも、何気なくフラットな状態で聴いた時に耳に飛び込んでくるもの、際立つものって, “◯◯っぽいもの”じゃなく普遍的な表現であり、本質的なメッセージなんじゃないかと思ったんですね。本質的といってもいろいろありますが、人間が生きていく上で誰しもが必ず出くわすような感情だったり、テーマだったり、そういう本質的なものこそが届くんじゃないか。なので、歌詞の言葉もシンプルに、本質的なものにしたいということを考えてましたね。

ーー一歩踏み込んだ歌詞であり、正面から切り込んだ歌詞ともいえるでしょうか。これまでにも、たとえば「長い夜」の<どんな朝でも美しいはず>とか、「ニュアンスで伝えてfeat.ヒグチアイ」の<溜め息で風を作ろう 自分にだけ聞こえる風>など耳を惹く一節はたくさんありますが、今回は一味違いますね。

そうですね。もともと僕も延本も、解釈の余地の広い表現を好んで使いがちなんですね。ただ今回はちょっと一歩踏み込んで、捉え方がいっぱいあるわけじゃないけど、一聴して、“あ、そうだよね”と思える、伝わる歌詞を書いてみたかったんですね。

バンドの音楽性と個々のメンタリティーが
一致していないとよく言われます(笑)

ーーGOOD BYE APRILはメジャーデビュー3年目に入ったところですが結成からは15年。不思議ですが、作品を重ねるごとにどんどんフレッシュになっているように感じます。長く続ける秘訣というか、“こんなことを思いながら活動してきたな”ということが何か思い当たりますか。

これは結成初期の頃から延本がよく言っていたんですが、自分たちらしさみたいなものに囚われて同じ場所に居続けるんじゃなくて、どんどん新しい自分たちを開拓していこう、と。彼女は同じ場所に留まらないというか、自分が作ったものを壊しながら次に進んでいくというのを人生のスタンスとしている人なんですね。僕自身はもともとそういうタイプではなかったんですが、そういうバンドのモットーみたいなことを結成初期の段階からみんなで話していました。少しでも“もうこれでいいや”とか、“自分たちってこうだよね”って決めつけちゃったらそこで停滞しちゃうから、常に自分たちに対して“壊す”視点も大事で。それは割と初期の頃から大事にしてきましたね。

ーー壊しながら進んでいく。それが4人の共通認識としてあると。

その思考はバンドがもたらしてくれたものなんですけど、今思うと自分のソングライティングにおいてもめちゃくちゃ大事なことだったなと思っていて。バンドで僕が曲を書いている以上、僕の書く曲が停滞して毎回同じような曲ばかり作っていたら、メンバーはつまらないだろうなと思うんですね(笑)。曲だけじゃなく各パートのプレイもそうですけど、お互いに“お、また新しい引き出しが開いたな”と思い合えて、お互いに新鮮味を感じ続けることを意識してやっていくうちに、それぞれが新しい扉を開けることに対する抵抗がなくなったし、壊すことにも抵抗がなくなった。結果、どんどん自分たちの天井が高くなり続けていて、いまだに見えない状態になっている。それがあったから続けてこれたんだろうなと思うし、バンドの可能性に今もずっとワクワクしていて、自分に対してももっと新しい手触りの曲が書ける、やれることはまだまだたくさんあるなって思っていますね。

ーーいいお話です。延本さんはなかなかなパンクな方なんですね(笑)

ゴリゴリに(笑)。僕も別のベクトルでパンクなところはあるんですけど。

ーーというと?

僕は、“明日死んでもいいや”みたいなマインドではあるんで。

ーー激しいですね。そういうマインドでGOOD BYE APRILの心地よい音楽をやっているんですね(笑)。

そうですね(笑)。投げやりではなく、自分が明日死んでも後悔のないように生きようと思っている。なので、小さなこととかはどうでもいいと思っていて、それよりも自分がやりたいことをまっとうして終わりたい。たぶん精神的にはすごくパンキッシュなバンドだと思いますね。よく言われるんですが、音楽性とバンドのメンタリティーが一致していないですね(笑)。ただ、ポップスの先輩方の話を聞いていると、長く活動されている皆さんはどこかそういうマインドを持っている方が多いなと思います。反骨精神だったり、自分の芯みたいなものを持ってやっている人が作る音楽は普遍的になる。そう実感しますね。

ライブではパンキッシュな精神でやってきた
4人組のグルーヴをぜひ聴いてほしい

ーー倉品さんは10代の頃はロックバンドを組んでいたそうですが、これまでいろんな音楽を聴かれてきて、その中でも現在のGOOD BYE APRILに通じるニューミュージックや80’sポップス、AORといった音楽の影響が特に色濃いんでしょうか?

一番濃いと思います。

ーーそれは触れてきた時間の長さによるのか、それとも思春期とか自分の人生に大きな影響を及ぼす時期に聴いていたからでしょうか?

両方ですね。ニューミュージックとか80’sポップスに関しては小さい頃に親の影響で聴いていたことがまず自分の土壌としてあって。結構な時間聴いていると思うんですけど、一番多感な10代の頃はロックに傾倒しているんで一番影響を受けているのはギターロックなんですよね。それはすごく自分の血肉になっているんですけど、なぜニューミュージックやジャパニーズポップスがこんなに自分の中で一番影響が強いのかと考えると、1つはメロディがノスタルジックであること。その郷愁性があるメロディはジャパニーズポップス特有のもので、そこにさらに日本の四季の季節感があるんですよね。やっぱり日本の夏の曲って日本の夏の景色にぴったりじゃないですか?

ーーそうですね。

そういう日本固有の風景とか風の匂いって旋律に宿っていると思うんですよ。日本の四季の情緒って洋楽には絶対ないというか、カリフォルニアの夏もきっとちょっと違うでしょうし、ビーチボーイズも夏に聴きたいけど、ビーチボーイズが江ノ島の夏の感じにハマるかというとちょっと違うかなと思うし、やっぱり夏の日本の海辺で聴きたいのは(杉山清貴&)オメガトライブなんですよね(笑)。

ーーわかりますその感じ。

これまで海外のロックも含めて聴いてきた自分が、たとえば夏の景色を音にしたいとなった時に一番共鳴するのは、日本のジャパニーズポップスの、80年代だったらオメガトライブだったり、シティポップには夏のフレーバーがたくさんあるんですが、そういうところなんですよね。それに一番共鳴して、自分もそういうアウトプットをしたいって気持ちになる。10代の頃の自分にオアシスはめちゃくちゃセンセーショナルですごい影響を受けたんですけど、自分たちのアウトプットに直結しないのはそういう理由がある気がしますね。

ーーなるほど。

音以外の景色とか風とか、目に見えない何かや音でもない何かが自分たちの作る音楽から聴こえて欲しい。そういう音楽をやりたいと思うのはどうしてかなと考えると、70年代、80年代のポップスってとても緻密に作られていて、風景描写もすごく美しい。そういうところに感化されているからなんだろうなと思いますね。

ーー8月31日(日)名古屋・NAGOYA JAMMIN’公演より「リ・メイク」を携えた15周年記念ツアー『GOOD BYE APRIL 15th TOUR BEYOND the FULL MOON』がスタート。9月5日(金)梅田・Banana Hall、9月13日(土)に東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで行われます。私はまだGOOD BYE APRILのライブ未体験で、ライブ盤『anytime,anywhere』を聴きながら想像しているんですが、今回はどんな感じになりそうですか? 

ありがとうございます。そのライブ音源は2021年のものなんですけど、当時と今の自分たちのライブを比べても変わったなと思うし、15年というバンド歴の割に新人みたいなライブの変わり方をしているような気もしています(笑)。もともと僕はあまりライブが得意じゃないというか、人前に出るのがあまり好きじゃなかったんですけど、それがだんだん楽しくなってきて、それが加速し続けての今なので、ライブで音楽を表現することの面白さとか醍醐味みたいなのは今が一番濃いんですよね。

ーーライブが得意じゃなかったとは意外です。

結成当初はそんな感じでしたね。僕らの音楽性ゆえかもしれないけど、ライブ=一方的に見せる&聴かせる場という感じで終わっちゃいがちだった時期もあったと思うんです。それがだんだん双方向的な、その場にいてくれる皆さんの表情だったり、一緒に歌ってくれてる様子だったり、そういうのもひっくるめてその日のその曲になる感覚みたいなのをだんだん感じられるようになってきて。ポップスって音源を聴いてなんぼみたいに思われるかもしれないけど、ポップスでもロックでもやっぱりライブで聴く醍醐味や、音源とは違う別の表情があるというのを、コロナ禍以降ライブを再開できるようになったこの3、4年で僕自身がすごく実感しているんですね。今回のツアーでもそういうものを感じてもらえると思うし、何よりパンキッシュな精神でやってきた4人組のグルーヴをぜひ聴いてほしいです(笑)。

ーー楽しみです。GOOD BYE APRILはメンバー4人のうち吉田卓史(Gt)さんと延本さんが大阪のご出身なのでほぼ関西のバンドだと勝手に思っていますので、特に大阪公演が楽しみです(笑)。

たぶん大阪公演では、2人は水を得た魚のようにMCをすると思います(笑)。ライブにおいて妥協がないのは当たり前ですけど、僕らが安定というか停滞みたいなものを避けて自分たちをビルドアップし続けてこれている実感があって、それはグルーヴとかアンサンブルに絶対結実しているので、ぜひライブで体感していただきたいですね。僕らのライブでみなさんに日々の癒しやエネルギーを届けられると思っているので、ぜひ来てください。お待ちしています! 

取材・文=梶原有紀子 撮影=浜村晴奈

リリース情報

デジタルシングル「リ・メイク」

2025年7月2日 リリース
 
Pre-add/Pre-save:https://lnk.to/pre_remake
公式サイト:https://www.goodbyeapril.com/

ツアー情報

東名阪ツアー
「GOOD BYE APRIL 15th TOUR BEYOND the FULL MOON」
・2025年8月31日(日)愛知・NAGOYA JAMMIN'
・2025年9月5日(金)大阪・BananaHall
・2025年9月13日(土)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
 
・前売料金 ¥6,500(税込)全自由席
  • イープラス
  • GOOD BYE APRIL
  • ノスタルジーと新しさが溶け合った、GOOD BYE APRILのサマーチューン「リ・メイク」のこと、そして結成15年目も変わらない開拓精神を語る