朗読劇「富江」×「(有)カサマス企画」がタイアップ!笠間淳・増元拓也インタビュー
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撮影:大塚正明
ホラー漫画の鬼才・伊藤潤二のデビュー作にして代表作の「富江」が朗読劇となり、2026年1月12日(月・祝)より1月18日(日)まで、ヒューリックホール東京にて上演される。「富江」は、妖しい魅力をもった絶世の美女・富江の美貌と魔性に翻弄され、関わる者たちの運命が狂っていく人々の物語。そんな富江の美貌と魔性に翻弄されていく人々の物語を声優・俳優・怪談師たち総勢27名が10公演を日替わりで演じる。
今回、森光夫/雪夫を演じる増元拓也と小泉リョウ/岩田忠夫を演じる笠間淳は、「(有)カサマス企画」として楽曲「Be my one」のタイアップでも参加する。
「(有)カサマス企画」とは笠間と増元による声優初の都市伝説ユニット。「世の中のありとあらゆる不思議解明」を目的に設立した(有)カサマス企画は、これまでもコヤッキースタジオとの共同イベントの実施や、都市伝説や日本の伝説をモチーフにした楽曲を全世界配信し、iTunes・メタルトップソング・日本と香港で1位を獲得するなど、ユニークな活動で都市伝説界隈にて耳目を集めてきた。朗読劇「富江」は声優として、そしてタイアップ楽曲担当としても美しくも妖しく恐ろしい世界観を彩ることとなる。※作品名は「富江」、キャラクターとしての説明では富江と記載。
■「楽曲が「富江」を引き寄せたのか、引き込まれたのか」(増元)
――どのような経緯で朗読劇「富江」と「(有)カサマス企画」の楽曲がタイアップすることになったのでしょうか。
増元:もともと楽曲を先に作っていて。
笠間:仮歌ぐらいのタイミングでプロデューサーが営業をかけていたら……。
増元:楽曲の世界観や歌詞などがピッタリ合う朗読劇「富江」と出会って。気づけばトントン拍子に話が進んでいったという感じです。本当に偶然の出会いというか。
笠間:楽曲は限定した何かをイメージして世界観を作ったのではなく、愛ゆえに自分の欲に負けてしまって手にかけてしまう……ということを表現しています。もともとのコンセプトは“イエティの恋”(イエティはヒマラヤ山脈に住むといわれているUMA(未確認動物))。自分の欲、食欲に負けて手にかけてしまうという世界観が、「富江」の愛ゆえに、執着ゆえに、自分のものだけにしたくて手をかけて……という愛の持つ暗い側面というのでしょうか。そういう世界観が「富江」という作品と親和性があったのかなと思っています。
増元:楽曲が「富江」を引き寄せたのか、引き込まれたのか、みたいな。
笠間:改めて楽曲を聴いても「富江」っぽいと思うし、富江に執着した男が富江を手にかけているところに、この楽曲が流れるのもアリだなと思っていて。そういう意味でもコンセプトは合致したと感じています。
――さまざまな形態の朗読劇が増えていますが、朗読劇との楽曲のタイアップは珍しいですよね?
笠間:あまり聞いたことはないですよね。僕たちも朗読劇のどの場面で楽曲が使われるのかはまだ、分かっていなくて。
増元:もしかしたらイントロで終わるかもしれないし(笑)。
笠間:エンディングだけで流れるとか……。
増元:どのように使われるのかは分からないけれど、世界観に合っているので、どんな使われ方をしても大丈夫だとは思っていますし、楽しみ、という気持ちが大きいです。こんな贅沢なことってないですよね?
笠間:自分が出ている作品で自分の歌う歌が流れるっていうのは、珍しいよね。こんな幸せに預かれることはなかなかないから、存分に噛み締めたいです。
増元:想像がつかないから、楽曲が流れてきてどんな気持ちになるのかも分からない。
笠間:楽曲自体が持っている力を最大限に発揮していただける演出になっていたら、この上なくうれしいです。僕が喋り出したら楽曲を流す、みたいなリクエストは絶対しません(笑)。
増元:朗読するたびに流れたら面白いけれど、いくら世界観に合った楽曲でも「うるさい!」ってなるかもね(笑)。まあ、でもタイアップが決まったと聞いた時は、「合うだろうな」という自信はありました。
笠間:(有)カサマス企画としては初のバラードで、こんなお話に繋がるなんて。
増元:ピンポイントの世界観ではなく、愛の悲しさや大きさを広く歌っているので、聴いた人には変に偏って聞こえないようにしたいという思いがあって。どういう表現ができるのかというプレッシャーや、自分がいままでやってきたスキルがどこまで通用するかという怖さもあったけれど……、頑張りました。
撮影:大塚正明
■(有)カサマス企画、初のバラード「Be my one」
――そんな(有)カサマス企画の初のバラードである「Be my one」のレコーディングの様子もお聞かせください。
笠間:バラードは誤魔化しがきかないから、本当に大変。バラードは自分もそうだけど、ちゃんと聴くモードに入って楽しむものなので、言葉や音の表現、伝え方の難易度がめちゃくちゃ跳ね上がります。そういう意味でレコーディングは「難しかった」という印象が強く残っています。
増元:1つ1つが気を抜けないというか。すごく緻密に積み重ねていく感じの収録だった気がします。レコーディングの最初に歌った音源を聴いた瞬間に「これは大変だぞ!」という思いが込み上げてきたことも印象に残っています。
笠間:バラードではある意味、表現として“やらない”ということも1つの表現になるので。
増元:声を出し切らない感じとか、押し引きが難しかったなぁと今、思い出しました。
笠間:バラードは聴かせなきゃいけないという命題はあるものの、聴かせすぎると食傷気味になってしまう。その塩梅を見つける難しさを感じるレコーディングでした。
撮影:大塚正明
――初のバラードでのコンビネーション、相性のようなものを感じることはありましたか?
笠間:(有)カサマス企画で一緒に歌う時は、実は相性みたいなところは気にしていなくて。お互いの歌に乗る世界観には結構明確な違いがあります。そのギャップが面白いところだと思いながら、毎回レコーディングしています。僕ができないことは増元さんができるし、逆も然り。そういったところが聴く人にとってのエンタメになってくれればいいなという思いがあります。だから、相性みたいなものは気にしていないし、そもそも(有)カサマス企画はオカルトマスターとオカルトルーキーという位置関係。同じ領域でなら相性みたいなものは出てくるかもしれないけれど、そもそもが全然違う世界観を持っている歌い方、表現なので、そこが面白いと思っています。
増元:それぞれの領域をもリスペクトし合うみたいな感じかな。
笠間:だから、割ともう“ごった煮感”があっていいと思っています。
――それは歌の時も?
笠間:そうですね。
増元:録る順番も毎回違っていたりするし、本当にそれぞれがやりたいことをやっている、それぞれができることを最大限でやるという感じかな。
撮影:大塚正明
■「(有)カサマス企画」とは?
――そんな「(有)カサマス企画」ですが、そもそもどのようにして生まれたのでしょうか?
笠間:僕のオファーです(笑)。
増元:僕は巻き込まれたというか……。
笠間:心霊スポットに行った増元さんが慌てふためく姿を撮りたいという不埒な理由で始めました(笑)。
増元:改めて聞くとヒドイよね。
笠間:いい画が撮れるんだろうな、って思って始めたのがそもそものきっかけ。都市伝説的なことにあまり詳しくない増元さんがいて、広く浅くの僕がいる。そこにゲストさんがきて、深い話を聞かせてくれる。お互いの立場で訊きたいことを訊いていく。そういったやりとりがいろいろな視聴者さんを巻き込んでいけると考えて始めたのですが、うまくバランスが取れたなぁと改めて思っています。
増元:僕はもともとオカルトとかサブカルチャーに憧れがあって。でも、あまりにも広いジャンルだから、闇雲にというのはなかなか難しい。笠間くんから「こんなことをやってみたいんだけど……」と企画を聞いた時は、本当に面白そうだと思ったし、有識者の方のお話を聞いて学べるなんてこんな機会はない。乗っからせていただこう!と思いましたね。楽しく巻きこまれました(笑)。詳しい方のお話を聞くだけで、本1冊読む以上の知識量を吸収することができるのは本当にありがたいです。僕の性分にも合っていたのだと思います。
笠間:オカルトって一括りにしてしまうのはもったいないくらい、さまざまなジャンルがあって。とにかくみなさんの熱量がすごいんです。自分の好きな領域に対する熱量のようなものが伝播していく。その熱に影響されて興味を持つことができるというのは、オカルトや都市伝説が持っている、言葉では説明できない“何か”だと思うんです。言葉や科学では説明できないことだけど、現実として起きている現象がそこにある。これって夢みたいな話じゃないですか? 夢みたいな話って“=エンタメ”だと思っているので、エンタメを届ける我々のような存在が、興味をそそられる部分はたくさんあると思います。そもそも我々はいろいろな験(ゲン)を担いだりもしています。例えば、厄年には厄祓いに行きたいけれど、“役をはらう”ことになるから行ってはいけない、みたいな。そういった我々の深層心理にある生き方、人生への向き合い方みたいなところにすごく親和性のあるジャンル。だから詳しい方々の話を聞いてその熱量を受け取るという作業は、すごく実りのあるものだと思います。
増元:今まで出会った方たちも、自分が趣味にしていることをただ素直に話しているだけで押し付けがましさとかは一切なくて。どう受け取るのかは本当にそれぞれの感性でいいわけだから、このジャンルの間口の広さが分かるといいな、なんて思っています。
――(有)カサマス企画の今後の展開についても伺いたいです。具体的な構想や予定はあるのでしょうか。
笠間:いろいろ考えているけれど、まだ言えないかな(笑)。
増元:何? また僕、どこかに行かされるの?
笠間:アハハハ。どちらかというと一緒に行くみたいな感じかな。番組で受け取った熱を今度は自分たちの体験に変えていこうみたいな。
――基礎編から実践編のような感じでしょうか。
笠間:まさに、そういう感じです。
増元:(有)カサマス企画の社員旅行もその一環みたいなところがあったかな。
笠間:まさにそう。せっかく番組でいろいろな場所に行く機会、チャンスに恵まれているのだから、活かさない手はないかなと。これまでもやってよかったと思うことばかりだったので。
増元:一人でどこかに行かされるのでないなら、大賛成(笑)。
撮影:大塚正明
■「日替わりの組み合わせでいろいろな富江、いろいろな絶望が楽しめると思う」(増元)
――(有)カサマス企画の始まりから今後について伺ったところで。改めて(有)カサマス企画としても参加する朗読劇「富江」についての話をお聞かせください。お二人の「富江」という作品との出会いや、作品に抱いているイメージなどをお話しください。
笠間:僕が最初に富江の存在を知ったのは、劇場版が作られた時のテレビCMです(劇場版は1999年に劇場公開)。なんて言えばいいのかな。日本人の男であれば、誰もが手に入れたいと思うようなアニメヒロインの5本の指に入ると思うんです!
増元:え? そんなに?
笠間:(峰)不二子ちゃんとかと並ぶよ。
増元:綾波レイとかと並んじゃうの? マジで?
笠間:僕の中では、一大ヒロインだと思っていて。CMを観た時の衝撃は今でも忘れられないなぁ。CMを観て映画館に行くことはなかったけれど、その後、漫画を読んで富江の持つ妖艶さという表現ですら薄いみたいな「何か」に惹かれました。奇怪で怖い存在ではあるんだけど……。
増元:見ずにはいられない存在?
笠間:そういう匂い立つようなものを感じています。まあ、間違いなくホラー部門ではトップ。僕はすごい好みです。
増元:僕は好みじゃなくて…(笑)。ただ、作品の中の男性が富江に狂っていくことの説得力がすごくあるし、富江のせいでみんな日常生活すら送れなくなって街までもが崩壊するって、ウイルスみたいだなって。蔓延していくという心理描写に僕はすごく人間の愚かさを感じたりもしています。かなりファンタジーだけどこういうことも起きかねないというのも分かるけれど、みんなが富江を求めているからという状況に乗じて好きになっている人もいる。人間の集団心理の怖さみたいなものは、初めて読んだ時に強烈に感じました。今回の朗読劇に触れるまで、僕が演じる森光夫が出てくるあたりまでしか読んでなかったので、あんなドラマティックな出来事が待っている、街が、みんなが、どんどん狂っていくという点には面白さを感じたし、とても惹き込まれました。
笠間:最後はコンクリートに詰められて。でも、抜け出してみたいな(笑)。
増元:あの世界観は天才だよね。
笠間:伊藤先生が、何をモチーフにして生み出したキャラクターなのかを訊いてみたい!
増元:モデルは絶対いるはず。何もないところから生まれたとは思えないよね。
撮影:大塚正明
笠間:伝播していく性質を持っているのは神様に多いんだよね。いろいろな文献や神話を読んで、違う姿になってそこにいるみたいな不滅性みたいなところを表現したのかなとか想像しています。富江の場合は同じ姿でいるのだけど、増殖していくとか、不滅の存在って神様くらいしか考えられないんだよね。神様って同じ神様でもいろいろな名前があったりするじゃない?
増元:土地によって呼び方違ったりするよね。
笠間:そうそう。だからある意味、そういう不滅性みたいなものが僕には割と神々しく映るし、富江には美しさもあるから、みんなが崇めている。美しさだけじゃなく、人を魅了するものを持っているんだと思うんだよね。
増元:え? マジで? 僕はあの性格は絶対に嫌!
笠間:いやいやいや。わがままで気まぐれって神さまって感じしません?
増元:振り向いてくれた時には嬉しいタイプってこと?
笠間:そうそう。
増元:僕には猫のような女性に思えるんだけど…。
笠間:猫も神です(笑)
増元:アハハハ。
笠間:でも、本当に一度伊藤先生に増えることの意味とかも訊きたいよね。増えないほうが一人の女性を奪い合うという構造になるわけじゃない?
増元:そうだよね。富江の場合、面白いのは増えると本人同士がやり合うというか。ここにジレンマがあるし、増えることにメリットがないんだよね。
笠間:ないと思う。だから訊きたい!
増元:増えたらみんなの手に入る。でもそうしたら価値がなくなるしね。
笠間:誰のものにでもなるから、誰もが奪い合う。それが人間の醜さみたいなことなのかな。
増元:それもあるかもしれない。おとなしく自分の富江を持っていれば誰もいがみ合わないのに、自分の富江を見せたくなるから、富江同士がぶつかって争いが起きる。
――人間って……って思ってしまいますね。
笠間:だから結局、富江がというより、富江の周りにいる人間の業みたいなところを描いているんだろうな。
増元:そういうところが愛される理由になっている感じだよね。
撮影:大塚正明
――お二人が演じるのはそんな富江を取り巻く人々ですが。朗読劇ではどのようなアプローチ、表現を考えていますか?
笠間:僕はある意味、「富江」という作品の下地はある程度構築しているので、演じる方たちそれぞれの富江を楽しみたいと思っています。いろいろな富江を見られるのが僕の唯一の楽しみです。
増元:唯一なの?
笠間:だって役を「やりきった!」と思ったところで、自分の歌が流れてくるかもしれないでしょ(笑)。そしたら、楽しいどころの気分ではなくなってしまうかもだから。
増元:確かにそれはあるかも(笑)。僕は、絶望が待っていることを知りながらもどれだけワクワクしながらできるのかが楽しみです。どんなふうに絶望してやろうかな? といろいろと考えています。日替わりの組み合わせでいろいろな富江、いろいろな絶望が楽しめると思います。さらに、語り手にもさまざまなジャンルの方が参加しているので、どういう雰囲気作りをしてくださるのかも、注目したいです。
笠間:化学反応がとても楽しみです!
取材・文:タナカシノブ 撮影:大塚正明 ヘアメイク:Yuu.(Leading)、前田菜穂 スタイリスト:yukiko...
上映情報
Lemino presents アニマックス朗読劇「富江」
■会場:ヒューリックホール東京
■原作:伊藤潤二『伊藤潤二傑作集』(朝日新聞出版刊)
■脚本・演出:烏丸棗劇団『牡丹茶房』主宰
■出演者・スケジュール:
2026年
1月12日(月)
【19:00開演】佐倉薫、井澤詩織、中澤まさとも、高塚智人、村上ロック
1月13日(火)
【19:00開演】佐倉薫、紡木吏佐、増元拓也、寺島惇太、たっくー
1月14日(水)
【19:00開演】伊藤かな恵、福圓美里、中澤まさとも、岩崎諒太、はやせやすひろ(都市ボーイズ)
1月15日(木)
【19:00開演】佐藤日向、伊瀬茉莉也、増元拓也、仲村宗悟、九十九黄助
1月16日(金)
【19:00開演】松井恵理子、紡木吏佐、野津山幸宏、笠間淳、はやせやすひろ(都市ボーイズ)
1月17日(土)
【13:00開演回】内田彩、福圓美里、山下大輝、寺島惇太、たっくー
【16:00開演回】内田彩、伊瀬茉莉也、山下大輝、竹内栄治、たっくー
【19:00開演回】松井恵理子、伊瀬茉莉也、野津山幸宏、竹内栄治、村上ロック
1月18日(日)
【13:00開演回】井上麻里奈、高森奈津美、河西健吾、阿座上洋平、九十九黄助
【16:00開演回】井上麻里奈、高森奈津美、河西健吾、阿座上洋平、はやせやすひろ(都市ボーイズ)
※開場時間は開演の30分前
■料金:全席指定席10,000円(税込11,000円)
https://eplus.jp/animaxreading-tomie/famipay/
【ファミペイ先行】
受付期間 2025年11月19月(水)10:00~2025年11月30日(日)23:59
入金期間 2025年12月4月(木)13:00~2025年12月6日(土)21:00
【一般発売】
2025年12月13日(土)10:00~
https://eplus.jp/animaxreading-tomie/
楽曲情報
(有)カサマス企画「Be my one」
作詞:PA-NON 作曲・編曲:秋山健介
Guitar:秋山健介
Bass:岩切信一郎
Drums:生田目勇司
共同プロデューサー:堀内清悟
https://www.tunecore.co.jp/artists/kasamasukikaku
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(有)カサマス企画公式SNS
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