Laura day romance『RUSH BALL 2025』クイックレポートーー没入感たっぷりのバンドサウンドで鮮烈な印象を刻む

『RUSH BALL 2025』Laura day romance

夜の帳が落ち、煌々と輝くステージの光だけが辺りを照らす。この時間、この空の色にぴったりの楽曲陣で、観客の視線を引き付けたのがLaura day romanceだ。まずは、鈴木迅（Gt）のメロが観客の心をバンドの世界観へするりと誘い込む「Sad number」から。井上花月（Vo）の清廉として、くっきりとした輪郭の歌声が長い一日で火照った体の奥に優しく浸透していく。

前曲とは一転、鮮やかなバンドサウンドで観客を躍らせた新曲「ライター」。礒本雄太（Dr）が描くグルーヴが心地良く響き、そこに井上の抑えた低音の歌声が絶妙に重なる。観客はバンドの音を全身に浴びながら芝生の上でまどろんだり、気ままに踊ったりと、昼間とは違った穏やかな表情を見せているのもなんとも素敵だ。

親密性の高いカントリー調の「heart」では、井上がバンドサウンドの中を泳ぐように歌い、タンバリンを鳴らす。3人体制のLaura day romanceだが、この日はサポートメンバーを入れて6人でのステージに。「去年は出れずにいたから、すごく楽しみにしてた！」と井上が語っていたように、『RUSH BALL』初出演となる彼ら。メンバー各々の個性を打ち出したサウンド、観客、そして『RUSH BALL』のステージ。この日限り、唯一無二のステージを楽しもうと、バンドも観客も夢中になっている。

ライブ後半「Young life」では奥行きたっぷりのバンドサウンドで、遠くからぼんやりとステージを観ていた観客を前へ前へと足を進ませてしまう。「『RUSH BALL』、本当に楽しかった！！」、井上が晴れやかな笑顔を見せ、最終曲「リグレットベイビーズ」へ。ベースラインはゆったりとしつつ、鈴木が描くメロディは切なくもしっかりと耳に刻み込まれる。楽曲の終盤、純度の高いバンドサウンドが一気に高みへと昇り詰め、深い余韻を残したままステージを後にした。

取材・文＝黒田奈保子　撮影＝河上良

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