Sou「新曲が生まれるたびにたくさん得るものがある」ーー「ブルースクリーン」の制作エピソード、1stアルバム『水奏レグルス』をフィーチャーした豊洲PIT公演に向けて語る

2025.9.22
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Souが、新曲「ブルースクリーン」を8月29日にデジタルリリースした。
本記事では、「懐かしさを感じる曲にしたい」という思いからうまれた楽曲の制作エピソードに加え、“小賢しいタイプ”だったという幼少期のことや今後リリースされる新曲のヒント(!)もお届けする。
そして、10月19日に豊洲PITで開催される『Sou LIVE 2025「水想レグルス」』に向けて、初ライブのこと、ライブ前にやること、Souなりの緊張を和らげる方法など、ライブにまつわる話をたっぷりと聞いてみた。

――2025年8月29日にデジタルリリースされた「ブルースクリーン」。どんなご縁があって、シンガーソングライター・mekakusheさんに作詞・作曲をお願いすることになったのでしょうか。

もともと、僕はmekakusheさんの楽曲を聴いていて好きだなと思っていまして。そのとき自分が好きなクリエイターさんやシンガーソングライターさんにお願いしたい、といういつもと変わらずの感じと、自分のいる界隈とはちょっと違うバンドさんやクリエイターさんとご一緒したいなという最近のモードもあって、お声がけさせていただいたら、ご快諾いただけたんですよ。これまで関係値のない方にお願いするときって、もしかして断られてしまうかも……という不安な気持ちもあったりするんですけど、mekakusheさんに即答で「是非!」と言っていただけて、今回こういう形でご一緒できて本当にありがたいし嬉しかったです。

――出来上がった「ブルースクリーン」、とても素敵な仕上がりで。爽やかさとともに懐かしさや切なさも宿した楽曲や歌詞について、mekakusheさんと事前にどんなお話をされたのでしょうか。

まず打ち合わせの段階で、こういう曲調にしたいとか、BPMはこのくらいでとか、僕の中にあるイメージを具体的にお伝えして。今回は懐かしさを感じる曲にしたいという方向性が自分の中である程度決まっていたので、それに近しい曲をリファレンスとして提示しながら、mekakusheさんとお話をしていきました。その中で、mekakusheさんに「懐かしいと思う写真があったらください」と言われまして、昔熱中したゲーム機の写真とか、小さいころに初めてギターを弾いたときの写真とか、それにまつわるエピソードなんかもお送りしたんですよ。

――そこから、<きみ>と<ぼく>の物語に広がっていったのですね。

そう広がっていくんだ、こんなに膨らませることができるんだっていう驚きがありましたね。最近、いろんなクリエイターさんと関わることが多いんですけど、それぞれ広げ方がすごいなって本当に思います。

――“ブルースクリーン”という言葉は、どのタイミングで出てきたのでしょうか。

僕は子どものころからゲームが大好きで、ゲーム機器の写真をたくさんmekakusheさんにお送りしたんですよ。その結果、電子機器やパソコンのイメージが湧いて、“ブルースクリーン”という言葉が出てきたという感じだと思います。

――Windowsで致命的なエラーが発生した際に表示される青い画面“ブルースクリーン”という言葉が、<きみ>がいない不安感に重なるなと感じたのですが、Souさんはどのような解釈をしていますか?

僕も同じ解釈です。君がいないっていうことが致命的なエラーみたいな。ただ、最近はブルースクリーンがデザインとかコンセプトとして扱われることが多かったりするし、心の中に刻まれているものの象徴という感じの解釈もできるのではないかなと。

――必ずしもネガティブの象徴ではないというか。

そう、悪い意味合いだけではないのかなという解釈もあるなと思います。僕は、自分の曲を聴いた方それぞれが自由にとらえて、いろんな解釈で聴いてもらうのが好きなんですよ。自分で曲を作るときも、これを伝えたくてこういう曲なんだっていう感じではないし。聴いてくれる人がそう思うならそれはもうそうだよねっていう派です。

――そういうとらえ方や解釈もあるのか!と驚かされたりすることもあったりしますか。

すごくあります。あと、全然これ伝えられていないや……って自分の力不足を感じたり、もうちょっと言い方を変えたら伝わったのかなって反省したりも(苦笑)。

――でも、そうした気づきが次の創作にもつながったりもするわけですよね。

そうなんですよね。リスナーさんの数だけいろいろな解釈があるだろうし、それが音楽の面白いところだなって思ったりもします。

――なお、「ブルースクリーン」の懐かしさを感じさせる柔らかな歌声には一途さや焦燥感のようなものも滲んでいて心がざわついてしまうのですが、歌うにあたってSouさんが心がけたこと、大事にしたのはどんなことなのでしょうか。

まず意識したのは、やっぱりノスタルジックな感じで。歌でそういう懐かしさを表現するにはどうしたらいいんだろうなといろいろ考えた結果、あどけなさや幼さ、それこそ焦燥感だったりとか、そういう若いとき特有の青さみたいなものをたたえた声色、歌い方をしました。

――「<嫌>のところがかわいすぎる」という反応がSNSで多々見られますが、そこに駄々をこねる子ども感みたいなものを感じますし。

僕もそういう反応を目にしたんですけど、絶対イヤ!って言えちゃう子どもの無邪気さみたいなものが聴いている人にちゃんと伝わったみたいです。

――Souさん自身、駄々をこねる子どもだったのでしょうか。

僕は、シンプルに駄々をこねるタイプじゃなく、わりと小賢しいタイプだったらしくて。

――知能犯的な。

そうだったみたいです。たとえば病院で注射を打たれるとき、普通だったら「やだー!」とか泣き叫ぶじゃないですか。でも、僕は「痛いから腕をそっちに曲げないで!」とか、わりと注目を集めることを冷静に言っていたみたいで(笑)。

――そんな声が診察室から聞こえてきたら、びっくりして人が駆けつけちゃいますね(笑)。

そうそう。なんとか注射を阻止するためにそういうことを言って、親も先生もだいぶ手を焼いたみたいです(笑)。

――幼子にしてその知恵者ぶり(笑)。感心してしまいます。

「この子どもを育てるのは大変でしょう」って、いろんなところで親が言われたらしいです(苦笑)。ここまで育ててくれた両親に感謝ですよ。

――子ども時代にシンプルな駄々をこねなかったSouさんが今、駄々っ子感たっぷりに<嫌>と歌っているというのが……。

確かに面白いですね。1周まわってここで言うのかっていう。このときのために取っておいたのかもしれないですね(笑)。 

「ブルースクリーン」

――そんなSouさんの歌、「ブルースクリーン」のアレンジを手掛けたシナリオアートのハヤシコウスケ(Vo/Gt/Prog)さんも、Xの投稿で絶賛されていました。

ハヤシさんはミックスダウンのときに現場に来てくださって、いろんなことを話しながら一緒に作業したんですけど、そのときにも褒めてくださって。僕とは違う畑で音楽をやっている方に褒められるとすごく嬉しいです。

――なお、<半径30cm以内にいない>というフレーズが個人的に印象深いですが、Souさん的にはっとさせられたフレーズ、お気に入りのフレーズを挙げるとすると?

僕も<半径30cm以内にいない>好きですね。あと、<きみがいて ぼくがいるの 当たり前だろ>も好きです。いつかそうじゃなくなる日が来るかもしれないけど、当たり前だって思ってしまっている部分も本当にあって。これが当たり前だし、ずっと当たり前であってほしいっていう祈りみたいなものも感じてぐっとくるし、語尾の<だろ>もすごくいい味を出しているなと。

――無邪気でかわいい感じかと思っていたら……。

急に男らしいというか強気な感じで言うところ、すごくいいなと思うんですよね。

――<きみ>への想いの強さもそこに表れていますし、<きみがいて ぼくがいるの 当たり前だろ>と言い切れる人に出会えたというのはすごく素敵なことですよね。

心に決めた人がいるっていうことですからね、うん。でも、そう言い切ることで自分自身に言い聞かせているかもしれなくて。 

――なるほど、自己暗示をかけるというか。

そうです。まずは言葉にしてみることで、実現度を高めていくみたいな。そういうおまじない的なフレーズかもしれないし、そこも聴く人それぞれでとらえてもらえたらいいなと思います。

――Souさんも、そうやって自己暗示をかけることがあるのでしょうか。

そう問われると……自分で自分になにか言い聞かせること、あまりないかもしれないですね。

――だとしたら、今回歌っていて新鮮さもあったりとか。

確かに、それはあります。

――ご自身で書く歌詞では出てこないような……。

うん、絶対出てこないフレーズだと思います。そういう意味でも、ほかの方から曲や歌詞を提供していただくって面白さがあって、そのおかげで自分の表現の幅も広がっていくんですよね。今回もそうだし、新曲が生まれるたびにたくさん得るものがあって、それが次へ次へとつながっていっている感じがします。 

――理想的な連鎖ですね。それから、<きみのことばかり考えてしまう>という歌詞にちなんで、日常で〇〇のことばかり考えてしまうことありますか?という質問もさせていただきたいです。 

最近、「たまごっち」の新シリーズ『Tamagotchi Paradise(たまごっちパラダイス)』にハマりまして。餌をやらないと元気がなくなったり病気になったりするし、同じ成長パターンになっちゃったりするんですよね。なので、しばらくは時間があれば餌やりのことばかり考えていました。ただ、最近のたまごっちはお世話をサポートしてくれる“たまシッター”というお助け機能もあったりして。たまごっちの進化に驚くとともに、感動したりもしました。……他愛ない話ですみません(笑)。

――最近の「たまごっち」がそんなに進化していたとは……。そういう気分転換や癒しも創作活動には必要です。そして、懐かしさ漂う街並みの実写映像にパソコン画面やイラストを重ねたMVもすでに公開されていますが、このMVに関してもSouさんがアイデアを出されたのでしょうか。

そうです。僕がアイデアを出した上で、映像担当のさかもとさかしさんとイラスト担当の宇野山 むじさんの3人で、「このCMのこの演出めっちゃいいね」とか「この人の映像作品のここが参考になりそう」とか、いろいろ話し合いながら進めていきました。

――日ごろそれぞれにインプットをしている3人が集まると、次々と名案が生まれそうです。

それぞれが持つ手札を見せ合いながら、ひとつの映像作品をいかにいいものにしていくかを考え抜いていくのがすごく楽しくて。MVも素敵に仕上がったと思うので、たくさんの人に観てもらいたいです。 


――そして、10月19日開催の『Sou LIVE 2025「水想レグルス」』を前に、ライブに関してのあれこれもお聞きしたいと思います。初めてライブをしたときのこと、憶えていますか?

初ライブとなると11年前かな……結構小さめのライブハウスだったなとか、ほかの出演者のこと、楽屋がどんな感じだったかとか、そういうことはうっすら憶えているものの、ステージでのことは全然記憶にないんですよね。あまりに緊張しすぎて。僕はそもそも自分の好きな曲を歌ってそれがたくさん再生されれば満足で、人前で歌うなんて想定していなかったから、ライブに誘われたとき結構渋ったんですよ(苦笑)。でも、仲間がたくさん出るし熱心に誘ってもらっているし、とりあえずこれが最初で最後だくらいの気持ちで出ることになって。気づけば毎年ライブをしていますけど、最初は本当にそんな感じでした。

――意を決してステージに立ってみれば、緊張はするけど楽しさを見出せたのでしょうか。

自分の歌を直接人に届けて反応をもらえる、そういうライブならではの楽しさはやっぱりありますね。いっぽうで、僕は本当に自分に自信がなくて、自分のことを観に来てくれる人なんていないだろっていうスタンスだったし、ステージに立つ僕を観てがっかりしないかなとか、そういう不安がずっと尽きなかったんですよ。でも、ステージに立つという経験を重ねていくうちに、自分自身と向き合って、それまで意識していなかった見た目とかも気にするようになって。

――ステージに立たなかったら考えなかったようなことやしなかったこともあり、歌はもちろんライブもSouさんの人生を変えたのですね。

まさにですね。ステージ立つとなったら衣装とか見せ方も大事だからファッションを勉強したり、それまでまったく頓着しなかった部分も意識するようになったり。ただのオタク属性だった僕が、大きく変わりましたから。今でもライブが得意なわけではないし、ちょっと自信がついてきたかな?くらいですけどね。人生、なにが起こるかわからないです。

――11年前、ちょっと無理してでもステージに立ってよかったですね。

あのとき僕を誘ってくれた仲間に、本当に感謝ですよ。

Sou

――ライブ前日や当日、必ずすることはあるのでしょうか。

前々日くらいから、塩分の多い食べ物を控えるようにしていますね。塩分を摂るとむくみやすいと聞くので、ライブ前には塩抜きをします。あと、ライブ当日の朝は早起きをしてお風呂に入りますね。当日歌う曲をBGMに、ゆっくり半身浴をしながら心を解放して。僕、スイッチが入るまですごく時間がかかるんですよ。

――そうすると、最近はあまり緊張されないですか。

いや、します。ステージに立つにあたって緊張したほうがいい、というのもよく聞くことではあるんですけど、それにしたってなんでまだそんな緊張するの?っていうくらい無限に緊張するんですよ(苦笑)。

――その緊張を少しでもほぐすための、Souさんなりの術はなにかあるのでしょうか。

ライブ当日に舞台裏をひたすら歩き続けるというのが、唯一の緊張対策術であり僕の伝統芸でもあるんですよ(笑)。

――回遊魚のように? 

そうです、止まったら死ぬのかな?っていうくらい(笑)。一番多いのは、楽屋の廊下をずっと往復し続けるパターン。僕の緊張を和らげるには、それしかないんです。

――ということは、10月開催の『Sou LIVE 2025「水想レグルス」』の本番前も……。

直前まで、楽屋あたりをぐるぐる動き続けちゃうと思います。不審に思うスタッフさんがいたら申し訳ないですけど、これは譲れません(笑)。

――では、Souさんがステージに立つ際に心がけていること、大事にしているのはどんなことなのでしょうか。

さっきの「自分と向き合う」みたいな話と通ずるんですけど、自分のことをどこまで受け入れられるか、みたいなところですかね。ステージに立つこと、ライブに関しては未だに自信がないしネガティブに捉えがちなので、それをどこまでポジティブに持っていけるかっていうのは、永遠の課題でもあります。もちろん自分の音楽には絶対の自信があるんですけど、その延長線上にあるライブとかそこでのパフォーマンスって自分的にはちょっと別枠というか、人間性が大事だと思っていて。そうなってくると、歌だけ裏で歌わせてください!って気持ちのシャッターを下ろしちゃいたくなるんですよね(苦笑)。でも、そういう気持ちでステージに立っちゃいけないし、観に来てくださるみなさんに申し訳ないので……という気持ちのバトルは今もずっと続いています。

――だからこそ乗り越えるべく自分を研鑽できるのでしょうし、そういうSouさんの姿はたくさんの人にとっての光や希望、憧れになっていますから。

そうだったらいいな。うん、そうなれるように頑張りたいですね。

――さて、10月19日に豊洲PITにて行われる『Sou LIVE 2025「水想レグルス」』は、リリースから10周年となった1stアルバム『水奏レグルス』をフィーチャーした一夜限りのプレミアムライブになるそうで。2ndアルバム『深層から』以降、アルバムのリリース時にそのタイトルを冠したライブを行ってこられましたが、ここにきて『水奏レグルス』に光を当てたのはどうしてだったのでしょう。

10周年はやっぱりひとつの節目ですし、『水奏レグルス』をリリースしたときには、自分がワンマンライブをするなんてまったく考えていなかったんですよ。でも、2ndアルバム『深層から』リリース時に初ワンマンライブを開催して以降は、毎年ワンマンライブをするようになって。今になってみると、『水奏レグルス』リリース時にワンマンライブをしなかったことが心残りだったんですよね。ライブでまだやったことがない収録曲もあるし、置き去りになった『水奏レグルス』を迎えに行って、ちゃんと光を当ててあげたいなと思ったんです。

Sou

――その上で、『Sou LIVE 2025「水想レグルス」』を楽しみにしているリスナーの方にどんなことをお伝えしておきたいですか?

昔から僕のことを知ってくれている人がセットリスト見たらひっくり返っちゃうんじゃないかなっていうくらいの激アツなセットリストになっていると思うので。ぜひ覚悟して会場に遊びに来ていただきたいです(笑)。最近知ってくれた方は、『水奏レグルス』をたくさん聴いておいてもらえたらしっかり楽しめると思います。

――最後に、2025年のうちにやっておきたいことをお聞きしてもよろしいでしょうか。

活動に関係ないことになっちゃうんですけど、部屋の模様替えをしたいんですよね。昔は2年に一度くらいのペースで引っ越していたからいいんですけど、今の部屋に引っ越してから4〜5年、まだ一度も模様替えをしていなくて。しばらく引っ越す予定はないし、あまりにも見栄えが変わらなさすぎて新鮮味がなさすぎるので、心機一転したいんです。

――それだけ、今の配置が心地よいということなんでしょうけど。きっと部屋がすっきり片付いているタイプな気がします。

いや、それが全然そんなことはなくて!……部屋の話はこれ以上はNGです。部屋NG(笑)。

――承知しました(笑)。でも、模様替えによって気分一新すれば、生み出すものに新風が吹き込まれたりもしそうですよね。

そういう環境変化による影響は少なからずあるんじゃないかなと。2026年、新しいSouを見せられたらいいなと思っています。
 
 
取材・文=杉江優花 

『Sou LIVE 2025「水想レグルス」』

 

ライブ情報

Sou LIVE 2025「水想レグルス」 
10月19日(日) 16:00 OPEN / 17:00 START 
会場:豊洲PIT 
全自由 6,500円(税込) ※ドリンク代別 
オフィシャルサイト:https://sou-official.jp/

リリース情報

「ブルースクリーン」
https://lnk.to/sou-bluescreen
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