material club、ワンマンライブ『物質的Ⅱ』恵比寿のリキッドルーム公演のオフィシャルレポートが到着
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material club
2025年6月6日金曜日、東京・恵比寿のリキッドルームにて、material clubのワンマンライブ『物質的Ⅱ』が行われた。
2024年10月30日リリースのセカンド・アルバム『material club Ⅱ』から、ボーカル&ギター・小出祐介、ベース・accobin(福岡晃子)、キーボード・成田ハネダ、ギター・キダ モティオ(toricot)、ドラム・YUNAの5人によるバンド編成となり、同年11月に大阪と東京でリリース・ライブを開催。その後、5月3日さいたまスーパーアリーナでのフェス『VIVA LA ROCK』の出演を経て、今回で4本目のステージである。
SEがフェイドアウトし、ヴォコーダーのボイスが「マテリアルクラブ」と告げ、YUNAがスティックで4カウントを打ってイントロが始まり、小出祐介が「こんばんはmaterial clubです」と挨拶すると、accobinが軽やかに歌い始め、続いて小出がラップに入る──というオープニングだった。曲は「Nicogoly」。ファースト・アルバム『マテリアルクラブ』の1曲目、つまりmaterial clubの最初の自己紹介であったこの曲は、前述の東阪のワンマンでは本編のラストだったが、今回はこうして1曲目に配置された。
この日、material clubが演奏したのは、本編16曲、アンコール二回で2曲の、計18曲。ファーストアルバム『マテリアルクラブ』は10曲収録。セカンド『material club Ⅱ』は8曲収録。それから、ファーストの後の2019年11月に、映画『ゴーストマスター』の主題歌として書き下ろした「Fear」。以上の19曲が、material clubの持ち曲のすべてである。
前述の東阪ツアーは、ファースト収録曲のうち(ゲストのTOSHI-LOWの代わりに小出祐介が歌った「告白の夜」なども含めて)ライブで再現が可能な7曲、セカンドの8曲すべて、それから「Fear」、さらにアンコールで「やれる曲は本編ですべてやり終わりました」ということで、1曲目の「水のロック」をもう一回──という、全17曲のセットリストだった。
今回は、ファーストの曲は、前回から「告白の夜」が外れた6曲、セカンドは8曲すべて、あと「Fear」、そしてダブル・アンコールでは「勘のいいみなさんはもうおわかりだと思います、すべての弾を出し尽くしました」(小出)と、「水のロック」をもう一回演奏した。だけでは、なかった。
新曲をやったのだ。二度目のMC明け、10曲目のタイミングで。さらに、一度目のアンコールでも、再度演奏された。そして、本日の来場者特典として、帰りに全員にプレゼントされた(ジャケットは4パターンで、メンバーの手描き)。小出曰く、「今日のライブを前回からさらに更新するために、新しいカードを切らないといけないね、ということで」作ったという。
「Aマイナーの曲でテンポはこれくらい」「Aメジャーの曲でテンポはこれくらい」というふたつのお題を出して、小出も含むメンバー全員で、プレゼン形式で曲を出し合ったという(作曲経験のなかったYUNAも含む)。
という末に選ばれた曲を、小出、「キダさんに歌ってもらいたいな、と」。ツアーの時、打ち上げで行ったパセラでキダの歌を聞いた小出が「なんでこんなに歌えるんですか」と尋ねると「歌うのは好きです」と答えた。それを(本人はそういうつもりではなかったのに)「ライブで歌いたい」ということだな、と、小出は解釈したという。
というわけで、キダがミュージシャンとしてのキャリアの中で、初めてメインボーカルをとる曲が生まれた。小出曰く「仮タイトルは『キダディスコ』」。キダの曲紹介曰く「Sleepover」。シックに始まって、Bメロからぐっと温度が上がるダンス・チューンだった。今後もライブで活躍しそうな楽曲である。
というのが、前回の東阪でのライブと、もっとも大きく異なった点だった。逆に、3〜4曲目が「Amber Lies」と「まだ全然好き」だった点や、ほぼインストの「Curtain part.2」と、トリプルファイヤー吉田靖直のボイス等が入ったサンプラーを小出が叩きまくる「閉めた男」の2曲を中盤(8〜9曲目)に持って来た点や、本編最後のブロックは「Fear」「Naigorithm」「恋の綾」「Altitude」で畳み掛けた点は、前回のセットリストを踏襲している。
ライブが一度目のピークタイムを迎える(オーディエンスが異様に盛り上がる) 「Curtain part.2」と「閉めた男」は、「他の位置に置きようがない」という理由で、中盤で演奏されたのだと推測する。「Fear」「Naigorithm」「恋の綾」「Altitude」を、二度目のピークタイム=本編ラストに配置したのも、同じく、だろう。
ちなみに「閉めた男」では、成田ハネダはフロアに背中を向けて逆方向から鍵盤を弾きまくり、曲の後半でアクションが最高潮に激しくなったaccobinは、演奏を終えると同時にしゃがみ込んだ。曰く「ちょっと、あの、ヘドバンしすぎて、脳震盪を起こしそうになった」。「material clubのライブって、こんなに身体を使うんだね。俺、自分ちより全然動いてるわ」と言った小出は、ちょっと間を置いて「……楽しいなあ」とひとりごちた。
あと、前回は本編ラストの1曲前だった「Altitude」は、今回は本編ラストに演奏された。で、それが良かった。先程も書いたように、material clubの最初の自己紹介的な曲である「Nicogoly」で始まり、material clubがいかなる音楽を志向しているかを「実際にやってみせながら伝える」曲である、セカンド・アルバム『material club Ⅱ』の最後の曲「Altitude」で終わる。というのは、とても伝わってくるものがあるストーリーになっていたので。
それから。4曲目「まだ全然好き」を終えたところでの最初のMCで、小出は「年内のスケジュール、今日以降決まってないんですよ。これで『よいお年を』になる可能性もあるのかと思ったら、途端に、今日のライブ、大切、尊い、となってきましたよね」という話をした。
そして、アンコールでは、前回のライブの時に「みんな『VIVA LA ROCK』に『material clubを出せ』とメッセージを送ってください」と頼んだら、本当に出られた、とお礼を言う。
「僕らは(音楽ビジネスの)システムの中にいないバンドなので、誰も予定を決めてくれないんですよ」
「みんなの声が大事、みんなが育くんでいく、たまごっちみたいなバンドなんです」
「今んとこ夏フェス決まってませんよ? 危機感を持って!」
と、また呼びかける小出。
「ライジングに出なくていいんですか?」
「比較的話を聞いてくれそうなのは『TOKYO ISLAND』」
「あと、サーキットとかね。僕ら、『MINAMI WHEEL』に出たいんですよ」
「四国にもあるじゃないですか、フェスが。四国出身のメンバーがいるんだから!」
などと小出、好き放題に言いまくり。オーディエンスはみんな大爆笑&大拍手、だったが、思えば「『VIVA LA ROCK』に出せとメッセージを送ってください」の時も、オーディエンスは同じように大爆笑&大拍手だった。と、考えると、小出のこのようなトーク・パフォーマンスには、笑っておしまい、ではない可能性があるということだ。今後の活動も楽しみに待ちたい。
文=兵庫慎司
撮影=AZUSA TAKADA
ライブ情報
2025/11/26(水)
1stステージ 開場17:00 開演18:00 / 2ndステージ 開場20:00 開演21:00
accobin (Ba)
成田ハネダ(Key)
キダモティフォ(Gt)
YUNA(Dr)
DXシートDuo ¥19,400-(ペア販売)
Duoシート ¥18,300-(ペア販売)
DXシートカウンター ¥9,700-
S指定席 ¥8,600-
R指定席 ¥7,500-
カジュアルシート ¥7,000-(1ドリンク付)
2025/9/30(火)正午12:00=ゲストメンバー・一般発売(ビルボードライブ/e+)
*ビルボードライブ公式HPで
*HH cross IDとは阪急阪神ホールディングスグループが提供する様々なサービスを、
ひとつのIDでご利用いただくためのIDです。(https://www.hhcross.hankyu-hanshin.jp/ 参照)