オーストリア出身のウィーン伝統の響きを受け継ぐピアニスト、クリストファー・ヒンターフーバー「最もウィーン的」なリサイタル開催【本人動画コメントあり】
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クリストファー・ヒンターフーバー
オーストリア出身のピアニスト、クリストファー・ヒンターフーバーが、10月14日(火)にあいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールにてリサイタルを行う。ウィーン国立音楽大学に学んだヒンターフーバーは、ウィーン独特の優雅なピアノの響きを現代に伝えるピアニストのひとり。同時にラザール・ベルマン、ウラディミール・アシュケナージらをはじめとする世界的巨匠の薫陶を受け、現在、国内外で精力的な活動を行っている。ウィーン国立音楽大学の教授でもあり、この夏には第45回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルのために来日。卓越した演奏を聴かせたことも記憶に新しい。
「今回の私のプログラムは、ウィーンで作曲された音楽(ベートーヴェン、シュトラウス/シュルホフ、シューベルト)、またはウィーンとの強い関連を持つ音楽(ラヴェル、ゴドフスキー)を中心に構成されています。それらは2025年の2つの記念年-アントニオ・サリエリ没後200周年とヨハン・シュトラウス2世生誕200周年-にもちなんでいて、さらに、すべての楽曲がワルツと何らかの関連を持っています」
リサイタルに向けてヒンターフーバーはそのようなコメントを寄せている。特に前半のヨハン・シュトラウス2世の作品に基づくレオポルド・ゴドフスキーの作品や、オットー・シュルホフによる編曲作品は、古き良きウィーン情緒を20世紀の音楽技法で描き出した作品として興味深い。これらの作品からラヴェルの『ラ・ヴァルス』に至る一連の響きは、きらびやかなウィーン文化とその光芒を聴く者に届けてくれるだろう。
「ゴドフスキーの《オペラ『こうもり』の主題による3つの交響的変容》は1907年に完成されました。シュトラウスのオペラ第1幕と第2幕の主題を巧みに組み合わせた華やかな作品で、そのポリフォニックな響きは「ヨハン・シュトラウスがヨハン・セバスチャン・バッハとワルツを踊っている」と評されるほどです。また『ラ・ヴァルス』は1919年から1920年に作曲された、ラヴェルの有名な管弦楽曲の彼自身による編曲作品。この曲は1906年にウィーンのワルツとヨハン・シュトラウス2世への賛辞として構想されましたが、第一次世界大戦のために作曲は延期されました。戦争の衝撃はこの曲により暗く、より強烈な内容を加え、終結部は元のワルツの素材の暴力的で終末的な破壊のように思われます」
そして後半に置かれたのが、シューベルトのピアノ・ソナタ第18番D 894 「幻想」である。シューベルト28歳、その作風が完成された時期の作品だ。瞑想的なモルト・モデラートに始まり、左右の指が互いに語り合うように全4楽章の音楽を紡いでいく。
「シューベルトのト長調ソナタD894は、1826年の彼の死の2年前に書かれ、演奏者と聴き手にとって超越、憂愁、内なる静寂の世界への感動的な旅です。このソナタは、この作曲家による私の最も好きなソナタだと思います」
ウィーン伝統の響きを受け継ぐヒンターフーバー。古典派とロマン派のはざまから数々のワルツにまで、その美しさをたどるような「最もウィーン的」なリサイタルとなることだろう。
文=逢坂聖也
公演情報
入場料:一般前売り4500円・当日5000円、学生(25歳以下)前売り・当日ともに2500円
~ヨハン・シュトラウスII 生誕200周年・サリエリ没後200周年記念プログラム~
▼ベートーヴェン:サリエリの歌劇「ファルスタッフ」の二重唱「まさにその通り」の主題による10の変奏曲 WoO.73
▼J.シュトラウスII:仕掛時計のポルカ~ O.シュールホフ編曲:ヨハン・シュトラウスのモティーフによる3つの編曲 op.9より 第3番
▼ゴドフスキー:J.シュトラウスIIのオペラ「こうもり」の主題による3つの交響的変容
▼J.シュトラウスII:新ピッツィカート・ポルカ~ O.シュールホフ編曲:ヨハン・シュトラウスのモティーフによる3つの編曲 op.9より 第2番
▼ラヴェル:ラ・ヴァルス
▼シューベルト:ピアノソナタ 第18番 ト長調 D 894 「幻想」