’90年ー’00年代初頭の盟友・戦友が集結「ジャンルの壁を越えて、魂でつながる」BRAHMAN結成30周年『尽未来祭 2025』初日を紐解く
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いよいよ来月11月22日(土)〜24日(月・振休)の3日間に渡って開催となる、BRAHMAN結成30周年記念の『尽未来祭 2025』。バンドの盟友・戦友たちが祝祭に駆けつけ、錚々たる顔ぶれがそろい話題を集めている。なかでもひときわBRAHMANとの物語を感じずにはいられないのが初日だろう。今回SPICEでは、過去に『Fine』誌、『WARP』誌、『FLJ』誌の編集長を務め、現在は『SiiiCK』を主宰する大野俊也氏による、初日のラインナップの解説をお届け。当日に向けてぜひ、一読してほしい。
BRAHMANの30周年を記念して開催される『尽未来祭』の初日・11月22日(土)は、BRAHMAN自身を中心に、BACK DROP BOMB、THA BLUE HERB、EGO-WRAPPIN'、黒夢、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS、MONGOL800、RHYMESTER、Riddim Saunter、SCAFULL KING、さらにシークレットも加わる豪華な出演者となっている。この初日が象徴するのは、BRAHMANが自身の歴史をたどりながら、「これまでとこれから」をつないでいく最初の章であり、’90年代のシーンでともに活動した盟友から、音楽ジャンルを超えて共鳴するアーティストまで広がるラインナップは、「ジャンルの壁を越えて、魂でつながる」というBRAHMANの思いを形にしたかのようだ。
BACK DROP BOMB
BACK DROP BOMB(1994年結成)は東京を拠点に活動するミクスチャーロックのオリジネーターで、ロック、ヒップホップ、レゲエ、マスロックなど異ジャンルを自在に行き来する。’90年代後半のシーンで型にハマらない音楽性を追求してきた姿勢はBRAHMANとも通じるものがあり、シーンをともに作ってきた盟友で、’97年から始まったイベント『BAD FOOD STUFF』も両バンドを含む4バンドで開催。30周年アニバーサリー楽曲「Who’s got」ではTOSHI-LOWも客演参加している。
THA BLUE HERB
THA BLUE HERB(1997年結成)は札幌を拠点に活動するヒップホップ・グループで、ジャンルにとらわれず独自の言葉と音で世界観を表現してきた点はBRAHMANと共通するし、311の震災を契機に音楽の意味を問い続ける姿勢は、レベル・ミュージックの体現者としても共通している。2017年には初のコラボ曲「ラストダンス」を発表し、その後もライブで共演を重ねてきた仲である。
EGO-WRAPPIN’
EGO-WRAPPIN’(1996年結成)は中納良恵と森雅樹のユニットで、2009年にBRAHMAN主催イベント『tantrism vol.6』で共演。コラボ曲「WE ARE HERE」、「promenade」を制作、お互いの曲のカバーも含むコラボシングル「SURE SHOT」を2010年にリリース。ジャンルを超えた個性のぶつかり合いとリスペクトにあふれるコラボは話題を呼び、スペシャルライブも行われた。
黒夢
黒夢(1991年結成)は1999年に無期限活動停止後、2010年に再結成したロックバンド。’90年代をともに活動しながらも交わることの少なかった両者だが、日本のバンドカルチャーをともに作った戦友とも言える。BUCK∞TICKやLUNA SEAが出演する11月24日(月・振休)ではなく、あえて初日に出演するというのにも何か特別なものを感じる。
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUS
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS PLUSは、LOW IQ 01のソロプロジェクト。LOW IQ 01はBRAHMANの先輩であり、盟友。’94年にSUPER STUPIDを結成し、’99年よりソロ活動を開始。多様なメンバー、様々な人数編成で、様々な名義での活動を行っている。BAD FOOD STUFFのオリジナルメンバーでもあり、これまでの共演は数知れず、昨年のソロ25周年ワンマンライブではTOSHI-LOWがゲスト出演している。
MONGOL800
MONGOL800(1998年結成)は沖縄出身のロックバンドで、高校卒業後にBRAHMANとの共演を果たし、BRAHMANも彼らの主催フェス『MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!!』に何度か出演。彼らも2015年の『尽未来祭』に出演。パンクを軸にしながらも、自らのルーツを交え、音楽性を進化させてきたという点では共通している。
RHYMESTER
RHYMESTER(1989年結成)は3人組ヒップホップグループで、ライブパフォーマンスの高さから「キング・オブ・ステージ」とも称される。BRAHMANとは2011年の対バンイベントや2013年の『東北ジャム』などで共演し、ライブでセッションも行ってきた。2018年の主催イベント『人間交差点2018』にBRAHMANが出演した時は、以前も披露した「耳ヲ貸スベキ」のBRAHMANヴァージョンを1曲目にプレイ。自らの軸を崩さずに、異ジャンルとの交流や音楽的なチャレンジにも積極的な点は共通している。
Riddim Saunter
Riddim Saunter(2002年結成・2011年解散)は、2010年にTOSHI-LOWの誘いでBRAHMANの全国ツアーに参加。Keishi Tanakaのソロでも、2013年の『BRAHMAN Tour 相克』の松山公演に参加。2015年の『尽未来祭』でもTOSHI-LOWからの誘いはあったが、その時はやる気持ちになれなかったという。今回は感謝の意味を込めて、『尽未来祭 2025』の初日を皮切りに、Riddim Saunterとして1年間限定でバンド活動を行うことも発表している。
SCAFULL KING
SCAFULL KING(1990年結成)も’90年代のシーンからの盟友で、BAD FOOD STUFFの仲間でもある。2008年のトリビュート・アルバムの参加、2016年ツアー、2018年の主催イベント『TRIPLE TUCK OUT』などで共演。『尽未来祭 2015』にも出演。来年の『BRAHMAN tour viraha 2026』での大阪公演での共演も決定している。
以上、BRAHMANの30年の歩みを祝うという意味を持つと同時に、ジャンルの境界線ばかりか時空も超えていきそうなラインナップになっている。過去・現在・未来をつなぐ時間軸で未来を創造する『尽未来祭』だからこそ、BRAHMANが自身のルーツや仲間とのつながりをまず見せることで、以後の2日間へのストーリーをつなぐ起点を作ろうとしているのではないだろうか。そして、この特別な初日に残されたシークレットの枠を埋めるのは、果たして一体誰なのだろうか……。
文=大野俊也
イベント情報
『尽未来祭 2025』
会場:幕張メッセ国際展示場9-11ホール
【尽未来祭 2025 official】