日野健太 「僕の歌を聴いてくれる人を幸せにしたい。心の底から」――歌って踊る喜びで満ちあふれた新体制1stワンマンライブをレポート
日野健太
KENTA HINO ONE-MAN LIVE 2025 “ Echo ”
2025.10.24 duo MUSIC EXCHANGE
10月24日(金)、東京・duo MUSIC EXCHANGEで開催された『KENTA HINO ONE-MAN LIVE 2025 “ Echo ”』。アメリカ・NYのハーレムでクラシックソウルを中心としたブラックミュージックを学び、グラミー賞受賞シンガー・Brvon Nealに師事。その後の音楽活動、オーディション番組への参加を経て、今年の3月から新体制で動き始めた日野健太の1stワンマンライブは、歌って踊る喜びで満ちあふれていた。10月22日にリリースされた1stフルアルバム『Confluxion』の収録曲の他、大切に歌い続けてきた曲も披露されたこのライブの模様をレポートする。
SEが流れる中、ステージに登場したバンドメンバーのSHINTA (Gt/from tee tea, DURDN)、千葉岳洋(Key)、目純一郎(Ba)、原島燎平(Dr/from halfPale)、ダンサーチームのRyoTa、Ku-ha、Re-to、SEIYA。そして日野健太も登場すると、観客の間から歓声が上がり、「Rise」がスタートした。ファンキーなビートを乗りこなしながら歌い、踊る全身から熱いエネルギーが放たれている。ダンサーたちと一緒に繰り広げるキレの良いダンスパフォーマンスから目を離せなかった。続いて「Play On」。ステージ上にいるのは日野とバンドだけになったが、グルーヴィーなサウンドが観客の軽快な手拍子を誘った。ステップを踏みながら歌う姿が喜びで満ちていた3曲目「THEN」に至る頃には、爽やかなエネルギーで満たされていたduo MUSIC EXCHANGE。R&B、ソウルミュージックがバックグラウンドにある日野の高い表現力を序盤で早くもたっぷり体感できた。
「来てくれてありがとう! 改めまして、22日に1stフルアルバム『Confluxion』でメジャーデビューしました。新体制、日野健太という名前では1stワンマンライブ。タイトルは『Echo』。“響く”という意味なんですけど、今日は僕1人じゃない。仲間と一緒に作る音、パフォーマンスをする熱量、僕の歌声もそうだし、みんなの掛け声、お互いの想いも全部交えて、ここで一つの共鳴として僕のこれからの活動に響き渡らせていきたいなと思っております。よろしくお願いします!」――MCを挟み、「fall apart」と「Midnight」も披露されたが、歌声とバンド演奏が互いに刺激し合いながら熱量を高めていた。日野が一旦ステージから去り、ダンサーチームがパフォーマンスを繰り広げたインスト曲も大盛り上がり。観客の手拍子や歓声もバンド演奏の一部となっているのを感じた。
ダンサーチームとの息の合ったパフォーマンスを繰り広げながら歌った「Smooth In Motion」を経て迎えた小休止。共にステージを作っているメンバーを紹介する日野の言葉が、1人1人に対するリスペクトで溢れている。そして、その後に披露する2曲に対する想いが語られた。「僕は今年の3月から新しく活動を始めて、楽曲を作り始めたんですが、そのきっかけとなったオーディションがあったり、その前からジャズやR&Bのシンガーとして活動していたんです。ここで僕の過去の曲たちも知っていただきたいと思って。今までも、そしてこれからもなんですけど、支えてくれている仲間たちがいます。その仲間たちと作った2曲を今回限りのアレンジにしてもらって、みなさんに披露します。1曲目は平尾一馬と作った、“R&Bシンガー”と胸張って言えるようなオリジナルソング。そしてもう1曲は、ナンブユウキと作りました。コロナ禍で“音楽やめちゃおうかな”と思った時に音楽の道に戻してくれた曲です。この2曲を歌わせてください」――届けられた「I ain't got to love」と「Diary」を、とても愛しそうに歌い上げていた姿が思い出される。日野健太としての1stフルアルバム『Confluxion』には収録されていないが、彼にとってかけがえのない2曲であることが伝わってきた。
「もう悔いないかもしれない(笑)。僕の過去のことを知っていただけたので、みなさんはもう古参の日野健太ファンなんですよ。『Confluxion』と『Echo』は、日野健太の過去、現在、未来まで全部なんとなくわかるようにしています。ここからはラストスパート、全力で楽しんでください」と観客に呼びかけて、「404 : LOVE NOT FOUND」がスタート。観客の手拍子が加わり、瞬く間に爽やかな躍動感が生まれた。そして本編を締めくくったのは「Weightless」。RyoTa、Ku-ha、Re-to、SEIYAに囲まれながら歌い、サビでは一緒にダンス。バンド、ダンサー、日野――9人が共にステージに立つのを心から楽しんでいる。ソロアーティスト・日野健太は、素晴らしい仲間たち支えられていた。
アンコールを求める声、手拍子に応えて、最初にステージに戻ってきたのは、ベースの目純一郎。彼が演奏を始めた後、千葉岳洋、原島燎平、SHINTAも合流。日野も再登場して「Soft For You」がスタートすると、温かなメロディが観客に降り注いだ。そして、その後の小休止では、観客が歌う「Happy Birthday to You」が誕生日を迎えた彼を祝福。《Happy Birthday to Me》と自身に対して歌って笑顔を浮かべた彼は、抱いている想いを語った。「duo MUSIC EXCHANGE、憧れだったのね。何年か前に友だちがここでライブをやっていて、“こんなところでやったらかっこいいなあ”って思ってた。去年のワンマンライブは誕生日の1日前だったのね。オーディションをやっている最中だったりもして、未来のことがわからない中でした。僕はオーディションを受けているチャレンジャーだったけど、もう半分はプロのkntという名前のシンガーだったわけさ。心のバランスが不安定な中、ワンマンライブをやりました。今年は31歳になる瞬間に次の道をみんなに示したいなと思ったから、絶対に誕生日の当日にワンマンをやりたかったんです」――届けられた言葉を受け止めた観客は、約1年の中で大きな変化を経てきた彼の軌跡を思い出したのではないだろうか。
その後の言葉は、彼の活動の根本にあるものを伝えてくれた。少し長めにはなるが、紹介しておきたい。
「僕の歌を聴いてくれる人を幸せにしたい。心の底から。なぜかと言うと、僕は歌を歌うために生まれてきているのね。これはかっこつけじゃなくて、本当にそう思っています。それが僕が生まれた特別な意味。僕が歌を歌うのは聴いてくれるみなさんがいてくれるからこそ。作る曲も僕のものじゃなくて、出来上がったらみなさんのものなんですよ。この先のみなさんの人生のBGM、何かのきっかけになったらいいなと。今日来てくれた人たちが、“来て良かった”と思ってほしい。何かのきっかけに日野健太がなってほしい。欲を言ったらもっと広げたいし、世界中の人に僕の歌を聴いてもらって、感情のきっかけになってほしい。みなさんも何か特別なものを持っているはずなんです。その特別なものを誰かに与えて、幸せ、愛がどんどん広がって、日常を楽しく過ごしていけたらいいなと思っています。何が言いたいかというと……僕は今年の3月に新しい一歩を踏み出したわけです。その一歩がやっとこのライブで着地したなと感じるのね。そして二歩目を踏み出すわけです。その二歩目もどうかみなさん、ちょっとだけでもいいので気にかけてください。幸せです。これを更新していくのみ。みなさんが聴いてくれる時点で僕は満たされています。日常の小さな幸せを僕で満たしてください。日常のそばに日野健太を置いてください。周りに生かされて、周りの愛に助けられて生きていきましょうよ。今日は『Echo』、いい響きだったんじゃないですか?」
歌への強い想いを示すと同時に観客の心も鼓舞するMCだった。そして「最後、僕の愛を歌って、僕の生きた愛をみなさんに届けたいと思います」という言葉が添えられて、ラストを飾ったのは「Living Love」。スタートした直後、突然「Happy Birthday to You」が始まって演奏が中断。スタッフが運んできたケーキに立てられたロウソクの火を吹き消した後、「びっくりしたあ! 間違えたかと思った」と動揺していたのが微笑ましかった。水を飲んで気持ちを落ち着けてから再スタートさせた「Living Love」。ゴスペルのような清らかなサウンドが、力強く前に進もうとしている彼の姿を印象づけてくれた。バンドメンバー、ダンサーチームを改めて紹介した後、歌いながら浮かべた表情がとても幸せそう。愛に包まれているステージは、観客にもたくさんの愛を届けていた。
今回のライブの模様、バックステージの様子、1stフルアルバム『Confluxion』に関するインタビュー映像で構成された番組がSPACE SHOWER TVで12月10日(水)23:00~24:00に放送されることが発表されて観客は大喜び。そして、バンドメンバー、ダンサーチーム、日野が肩を組み合って記念撮影。観客に何度も手を振った後、ステージからの去り際に投げキッスをした日野を歓声が包んだ。今回のワンマンライブの手応えは、今後の彼の活動を支える大きな力となっていくに違いない。
取材・文=田中大 撮影=盛 孝大
放送情報
『KENTA HINO ONE-MAN LIVE 2025 “ Echo ”』ライブ&ドキュメンタリー
放送日程:12月10日(水)23:00~
https://tv.spaceshower.jp/p/00089351/
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