永田崇人「劇場で、自由に楽しんでくださいね」~親子で楽しむ『あらしのよるに』読み聞かせと音楽スペシャルイベント

インタビュー
舞台
12:00
永田崇人

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ヤギのメイとオオカミのガブの種族を超えた友情を描く名作絵本『あらしのよるに』が、“親⼦で楽しむ読み聞かせと⾳楽 スペシャルイベント”として登場。そこにあるのは300インチのスクリーンに映し出される絵本の世界をバックに生演奏と生朗読を組み合わせた素敵な時間。子どもたちにとっておきの劇場体験を、という願いを込めた本イベントにガブ役で参加する永田崇人に、その楽しみどころを語ってもらった。

ーー本作に出演が決まった際のお気持ちは?

まず、こういう柔らかくてあったかい世界の企画に呼ばれたのがすごく嬉しかったです。親子で来ていただくものなので、僕がすごく悪印象だったら呼んでもらえないじゃないですか(笑)。それに、こういう取り組みの初回に誘っていただけるのはすごくわくわくします。もうね、このまま地方とか回りたいですもん! 学校とか、子供たちが集まる場所でぜひやりたい。僕は九州出身なんですけど、学校の体育館でやってくれる芸術鑑賞会はあったような気もしますが、“劇場体験”はなかなか難しかった。そういう環境の中、劇場で何かを鑑賞する体験を子供たちにしてもらう、しかもそれがその子にとっての「初めて」になるかもしれないっていうのは本当にすごく素敵な企画ですよね。

永田崇人

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ーー今回取り上げるのは『あらしのよるに』。長い間世代を超えて愛されている名作絵本です。

プレッシャーもありますけど…やっぱりみんなの中にいろんな『あらしのよるに』があると思うので。僕はここ最近仲の良い友人たちが子供を持つようになってきて、それを機会にいろんな絵本に触れることが増えています。その流れでたまたま病院の待合室でも「雑誌を読むより絵本を読むほうが面白いかもな」と思って読んでみたりも。そして大人になって読んでみると、シンプルだけどすごく大切なことが絵本にはたくさん描かれていることに気づきました。『あらしのよるに』もそういった「シンプルだけど大切なもの」が詰まっているので、それを届けられたらいいなとは思っています。

ーー「読み聞かせ」と言う表現スタイルについてはどんなイメージを?

まだ僕も想像がついていないのですが、「どこを見てもらってもいい」公演になったら良いなと思っています。よく舞台でご一緒する演出家のウォーリー(木下)さんは常に“どこを見ても面白い”演劇を作っていて…「見たいとこ見ればいいじゃん」って、お客さんに好きなように決めて良いあの感覚、これもそういうものになっていったら面白いのかなって思いますね。大きなスクリーンもあるし、瓜生明希葉さんの生演奏の音楽もあるし、受け取る側の自由度がすごく高いスタイルなのかもって。もちろん、読み聞かせではあるけれどお芝居ならではの瞬間の呼吸といいますか、そういうライブ感もぜひ楽しんでいただきたい要素じゃないでしょうか。ホント、子供の頃の自分も連れてってあげたい!

永田崇人

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ーー永田さんが担当されるのはオオカミのガブ。なんとも憎めないキャラです。

憎めないやつ。ガブはおっちょこちょいだったりするから、そういうところが自分と似ていて、「わかるわかる」って共感しています。

ーーヤギのメイは中越典子さん。

初めてご一緒するので…なんか、「自分、大丈夫かな」ってドキドキしています。事務所の大先輩でもありますし、頑張るぞっていう気持ち。ひとりで絵本を見ているともうすでにメイのパートは頭の中で中越さんのお声で再生されて、「うわ、めっちゃいいな」ってなってます。一応ひとりで何回か練習したんですけど…今のところ僕だけでは30点くらいですかね(笑)。中越さんとふたりで100点を目指していきたいです。

ーーこうした読み聞かせや朗読劇といった「声での表現」への興味はいかがですか?

俳優としてすごく大事なことだと思います。自分自身まさに「一番繊細で、一番面白い分野だよな」っていうのをつくづく感じているというか。ガブはト書きに「低い声で」とあったり、語尾なんかもちょっと独特な節回しみたいなのがあるしゃべり方なんですけど、それって自分には全くない引き出しで、でも今回こうやって出会わせてもらったことでその体験は今後また僕のこの地の声に深みを足してくれるのは確かなんです。例えば10年ぐらい経って、「あのときの声とあのときの声がこうやって重なってきて今の声ってあるんだな」って思えたら、すごく貴重な財産ですよね。そもそも僕は地の声が低くないから、そこはやっぱり今回大きなチャレンジにはなるし、でもそれも楽しみながら、チャレンジしながら、新しい声の表現に向き合うつもりです。

永田崇人

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ーー今回のイベントは“親子で楽しむ”とついていますが、回によっては「お⼦様のおしゃべりや途中退席も可能」と、より自由に参加できる準備がされています。

素敵ですよね〜。例えば僕の知り合いを出演作に誘ったりした時、「行きたいんだけど子供が騒いで迷惑になってしまうかもかもしれないから、今回はやめておくね」ということもあって。もっと気にせず、自由に楽しんで欲しい。いつからか、自分が観劇するときは自分が面白いと思ったところでは絶対空気を読まないって決めて、面白かったら笑うし、リアクション取ることもあります。おそらく海外の劇場ではもうちょっと客席も湧くし、そうあるべきだとも思うんです。たぶん、日本人は観劇の姿勢も真面目なんだと思います。だからそういうのは気にせずに演目を楽しんでもらえるのはすごくいいなと思います。

ーー永田さんは『あらしのよるに』という物語のどんなところに魅力を感じていますか?

やっぱり「友達」というかけがえのないものについて描かれているところですね。この歳になってより思うんですけど、人によっては友達のことを「自分で選べる家族」と表現することもあるくらい、すごく貴重で大切なもので、そのことについてをしっかり伝えてくれる作品だと思います。僕も常々身を持って「友達、いいぞ」って伝えたいなと強く思っているので。もちろんひとりで背負えるものではなく、ステージはカンパニーみんなで作っていくものだと思っていますし、変にこの世界観をどう伝えよう…なんてこと考えなくても、まず聴こえてくる瓜生さんの音楽がみなさんをすぐにガブとメイのいるところへといざなってくれるはずです。本当に素敵なんです! あと、ガブとメイのやりとりってチャーミングなところもたくさんあって、そういう部分は普段から演劇で役作りする上でも結構好きで入れたい要素だったりもするので。今回はオオカミですけど、そういう憎めないやつ、かわいらしい側面を自分自身、演じることがとても楽しみです。エンターテインメントって究極遊びの延長だと思うんですよね。なのでお客さまもそういう気持ちで見ていただいて、一緒に遊んでいただいて、「楽しかったな」って言いながら手を繋いで家路に着く。そんな1日を過ごしていただけたらいいなと、妄想してます(笑)。

永田崇人

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ーーちなみに絵本や児童文学でご自身が思い入れの深い作品はありますか?

なぜかずっと覚えてるのは『ぐりとぐら』の絵本を母の友達が読み聞かせしてくれたこと。その記憶は小さい頃からずーっとあって、でも『ぐりとぐら』がどのお話よりも一番好きっていうことじゃなくて…なんでだろう? たぶん、その時の思い出のどこかに自分にとって忘れたくない「何か」があるんだと思います。忘れたくない素敵な気持ちが。

ーー子供時代の体験丸ごとが大切な思い出、なんですね。

そうなんですよね〜。なので、もしこの読み聞かせでも誰かにとっての“そういう瞬間”にこの公演がなれたりとかしたら、すごく豊かじゃないですか。有名なお話なのですでに読んでる方もたくさんいらっしゃると思いますし、もしかしたらこの読み聞かせで初めて聞くお客さまもいらっしゃるかもしれないし、『あらしのよるに』って読むときの気持ちで悲しかったり楽しかったり、どうにでも色が変わっていく作品だと思うんです。僕も当日は楽しんで読み、演じ、届けたいと思っています。みなさんもご自身の気分で自由に体験し、自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。シブゲキで待ってます! ぜひ来てくださいね。

永田崇人

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取材・文=横澤由香    撮影=奥野 倫

公演情報

CUBE presents 親子で楽しむ
『あらしのよるに』読み聞かせと音楽 スペシャルイベント
―きむらゆういち・作 あべ弘士・絵 講談社「あらしのよるに」シリーズより―
 
[日程] 2026年1月12日(月・祝) 11:00/14:00/17:00開演
[会場] CBGKシブゲキ!!
 
[出演]
<よむ人>メイ役:中越典子 ガブ役:永田崇人
<かなでる人(音楽と歌)>瓜生明希葉
[演出] 登米裕一
 
[料金]おとな(中学生以上)3,000円   こども(小学生以下)500円
※全席指定・税込
※[おとな]1枚につき、未就学児1名まで膝上での観覧が可能です。
※未就学児でも席を使用される場合、[こども]が必要となります。
※17:00公演は未就学児入場不可。
 
 
[主催・お問い合わせ]
株式会社キューブ https://www.cubeinc.co.jp/
03-5485-2252[平日12-17時]
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