細谷佳正インタビュー「僕を祝ってくれまい会」はファンの皆さんに来て楽しんでもらうイベント

2026年1月31日（土）、2月1日（日）に、細谷佳正のバースデーイベント『僕を祝ってくれまい会 2026』が飛行船シアターで開催される。2022年に自身の40歳の誕生日を祝して開催された『僕を祝ってくれまい会 40年分のやつ』に端を発し、その後も高頻度で開催されてきた「僕を祝ってくれまい会」シリーズ。2025年2月には芸歴20年記念も兼ね、『僕を祝ってくれまい会～ついでに20周年～』と題して催されると大好評を博した。そんな前年の盛り上がりを引き継いで開催される今回も、細谷と縁の深い豪華ゲストが多く招かれことが発表されており、その注目度は高い。果たして細谷がこのイベントにかける想いはどんなものなのか。過去に開催されたイベントの思い出と共に語ってもらった。

――まずは2022年の『僕を祝ってくれまい会40年分のやつ』開催のきっかけを教えてください。

40歳になった年というのが大きかったです。長らく自分を応援してくださっているファンの皆さんと直接対面しながらクローズドな空間でコミュニケーションを取ってみたかったし、それはどんな感じなんだろう？　と思って。そのタイミングでバースデーイベントのお話を頂いたのがきっかけでした。

――ファンクラブサイト開設以前はファンの皆さんとあまりコミュニケーションは取ってこなかったんですね。

そうですね。自分に対して「お前にファンって…何様よ？アイドルでもあるまいし」と照れ臭かったのがありました（笑）。実際にファンクラブを始めてみて、そこでブログを書いたり、ファンの皆さんからの質問に答えたり、LIVE配信をするようになったのですが、それを皆さんがすごく喜んでくれたんですね。立ち上げてしばらくは、変に誤解されたり、話を盛られてネタにされたりするのを恐れて、自分の内面や考えを見せることは避けていたんですけど、続けていくうちにファンの皆さんのコメントや、SNSでのポストを読みながら、このメンバーの人達なら大丈夫かも知れないと思って。それで、このサイト内でなら、自分の内面や考えを見せてもいいなと思えるようになったんです。

――細谷さんが自身の内面を見せてもいいと考えたきっかけはあったのでしょうか。

実は、現在のファンクラブサイトが出来るまで、二度サイトを引っ越しているんです。2024年9月に最初のサイトから新しいサイトに移行したんですけど、大人の事情でそれを一ヶ月で閉鎖しました。クレームが出て当然な状況だったんですけど、会員の皆さんからは「何かよっぽどの事情があったんだ」「新しい場所ができるまで待っています」といった好意的な意見が寄せられたんです。そのときに皆さんの優しさに触れたのは大きかったと思います。

――そんなことがあったとは……。引っ越しを経て2025年2月に開催された『細谷佳正バースデーイベント僕を祝ってくれまい会～ついでに20周年～』は大盛り上がりでしたね。

前年の2024年の2月が芸歴20年目のタイミングだったんですけど、諸事情で開催出来なかったんですね。そしたら会員さん達が「お祝いしたかった」「今年もイベントして欲しかった」とSNS上で沢山発信してくれたんですね。正直、イベントが無いことをそんなに残念に思ってもらえるとは思わなかったです。考えたら、2025年の2月に開催したらまだ“20周年”ではあるなと思って（笑）。それなら、誕生日と一緒に特別なものにしようと。ただ、僕は宣伝手段がInstagramとXしか無かったし、内容は舞台でもなく、何かの作品を背負ったイベントでもないので、客席がちゃんと埋まるのかと心配だったんですね。ですが、スターゲストの皆さんのご協力のお陰で宣伝ポストがかなり拡散されて、客席を埋めることが出来ました。本当に有り難かったです。お耳汚しではあるんですけど、20周年でファンの皆さんへ特別な事となると、自分に出来ることって歌うことかな…と思い、歌に挑戦しました。僕は過去に声帯結節で二度手術を受けており、今は仕事として歌うことは基本的にはしていないんですが、あのときは声が震えるぐらいに緊張しました（笑）。本当に恥ずかしかったです（笑）。

――あの歌はすごく沁みるものでした。歌唱をはじめ、イベントの内容はどのように決めているのでしょうか。

バースデーイベントって制作会社やスタッフの皆さんが内容を決めてくれて、祝われる側は演者として当日行くだけってことが多いんですよ。でも僕は制作会社のスタッフの方達と打ち合わせをして、内容を相談しながら、アイディア出しも含めて自分で決めています。そのお陰で稼働も多くて大変ではあるんですけど（笑）。僕のファンの皆さんは達観している人が多いというか、「細谷さんが楽しいことならなんでもいいです」と言ってくれるので、有り難いんですけど、同時に「なにをやればいいんだ……」と毎回困っています（笑）。MCをお願いさせて頂いているシークエンスはやともさんにも打ち合わせに参加して頂いて、アイデアや意見をいただきつつ、内容を決めているという感じです。

――これまでに開催された『僕を祝ってくれまい会』の思い出話もお聞きしたいです。印象に残っている出来事はありますか。

このイベントを初開催したときのことが思い出深いです。当時はMCを担当してくれる方がおらず、イベント進行も全て自分でやっていたんですね。昼夜2公演、通しで来てくださる方もいらっしゃるので公演ごとにトーク内容を変えないといけないんですけど、台本は無いんですよ（笑）。タイムスケジュールしかない(笑)。あれは大変でしたね。近年はシークエンスはやともさんがMCで入ってくださるので、やっと「自分が祝ってもらえる側なんだ」と実感できるようになった。『僕を祝ってくれまい会』とのタイトルに内容が追いついた感じがあります（笑）。

――ゲストで思い出に残っている方はいますか。

安元洋貴さんがゲスト出演してくれた回が印象的でしたね。安元さんとは以前『天才軍師』（超!A&G+で配信されていたインターネットラジオ番組。細谷佳正さんは2014年4月から2020年9月まで出演）というラジオ番組で一緒にパーソナリティをやらせていただいていたのですが、そのときのノリが好きだと言ってくれる方がたくさんいて。それで安元さんにはオファーの段階で「天才ホニャララを一緒にやって下さい」とお願いしたんです。そうしたら快く引き受けてくださって。当日はあの頃の過激なバラエティをやらせていただきました。

――過激なバラエティとはどういった……。

文字にすると誤解されそうなのでザックリ言うと、リスナーとのプロレス的なやり取りの中で、『お焚き上げ』と称してメールを破いてみたり、上手くいってない恋愛話に鋭く切り込んでみたり…みたいなことをやってました。あくまでも『プロレス』なので、気になった方は良かったら『天才軍師』視聴してみて下さい（笑）。ファンの皆さんは僕に対して「綺麗にあってほしい」と何となく思っているのかな？　と感じるのですが、それをいい意味で裏切るようなキャラクターとして発言をしていたと思います。もちろん普段は穏やかですよ（笑）。

――普段の細谷さんとのギャップがあるからこその面白さがあったのかもしれませんね。今年の『細谷佳正バースデーイベント僕を祝ってくれまい会』で注目してほしいポイントはありますか。

やっぱり素晴らしいゲストの皆さんですね。ゲストと僕との組み合わせによって生まれる化学反応を楽しみにして頂けたら嬉しいです。どんな内容になるかは現在鋭意制作中なのですが、お客さんが求めているであろうものから、挑戦的なものまで色々考えていますので楽しみにしていてください。

――最後に、今回のイベントを楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

自分の誕生日イベントに、自分でお客さんを呼んで『僕を祝ってくれまいかい？』って何だそれ？　って感じじゃないですか。なので、ご来場頂いた皆さんに楽しんで頂けるイベントにしなければなと思っています。タイトル通りの変な感じでは無いので安心してください（笑）。僕自身が楽しめて、かつお客さんが望んでいる内容にしていけたらと考えています。先ほどもお話した通り、自分が内容を作る側に立っているのでウケなかったらどうしよう？　という怖さはあるのですが、初見の方でも楽しんで頂けるようなイベントに出来るように、開催まで頑張ります。楽しみに待っていてください。

取材・文：一野大悟