同志であり戦友の高野菜々×咲妃みゆ対談インタビュー〜高野菜々ソロコンサート『GIFT』での初共演に向けて〜

2026.1.9
インタビュー
舞台

左から 咲妃みゆ、高野菜々

画像を全て表示(7件)


高野菜々が独立後初めて開催するソロコンサート『GIFT』が、2026年3月に広島・東京の2都市で上演される。全3公演で異なるゲストを予定しており、広島公演には咲妃みゆ、東京公演には新妻聖子と福井晶一がそれぞれ出演する。

今回はミュージカル『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』の音楽座ミュージカル版と東宝版で同役を演じた縁がある、高野と咲妃の二人に話を聞いた。

プライベートでは食事や観劇に行くこともあるほど仲が良い二人。まるでカフェでお茶をしているような和やかな空気の中、劇団出身の俳優ならではの想いや、同世代の女優として活躍する互いへのリスペクトが様々語られた。

出会いから一気に距離が縮むまで

咲妃みゆ

ーーお二人が初めてお会いしたときのことを教えてください。

高野:ゆうみちゃん(咲妃)が出演していた、東宝版の『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』(2020年)を観に行ったときでした。同作品に出演されていた福井晶一さんのご紹介で、楽屋でご挨拶する機会をいただいたんです。ゆうみちゃんが演じる折口佳代が本当に素晴らしかったんですよ!

咲妃:ありがとうございます。私は役作りのために、(高野)菜々さんが出演している音楽座ミュージカル版のサウンドトラックを繰り返し聞いていました。だから初めてお会いしたときは「わ、ご本人だ!」という印象(笑)。菜々さんはふわふわのファーベストを着ていたのですが、私は汗だくでボロボロで、隣に並んで嬉しいやら恥ずかしいやら(笑)。

高野:そうだったっけ?(笑)東宝版はシアタークリエだけで1ヶ月近くの上演期間があったので、体力的に大変だろうなあと思いました。あの役をシングルキャストで、マチソワ(昼夜公演)もやるなんてすごいなあって。同じ役の大変さをお互いに実感しているので、すぐに分かち合えたのを覚えています。

咲妃:『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』は音楽座ミュージカルさんの代表作であり、今も大切に守り継がれている作品です。東宝版を創作するにあたり演出の小林香さんをはじめ、我々はその歴史に対する敬意をずっと持ち続けていました。音楽座ミュージカルさんで上演されてきた様々なバージョンの台本からピックアップして、それらを融合したものを東宝版としてお届けしたんです。少しずつ形を変えながら躍動し続けている作品なのだと感じました。

ーーその後はどうやって仲が深まっていったのでしょうか?

高野:出会ってから比較的すぐに、二人でご飯へ行ったんです。意外だったのが、ゆうみちゃんが最初から包み隠さずいろんなことを話してくれたこと! 「実はね……」と悩んでいることも全部話してくれたので、一気に距離が近付きました。

咲妃:意外だった? 最初に行ったのは「ガルエデン」だったね。

高野:そう! 懐かしい〜! 外苑前のイタリアンレストランに行ったんだよね。

咲妃:実は私、あれから結構通っているんだ(笑)。菜々さんが選んでくれたお店で、感動的な美味しさだったんです。特にマッシュルームサラダがすっごく美味しくて、行く度におかわりしちゃうんですよ。

高野:最初に食事へ行こうとなったとき、元々私が気になっていたお店だったのでそこを選んだんです。ゆうみちゃんはすごくグルメなんですよ。何度も行ってくれているなんて、今知りました(笑)。今度また一緒に行こうね!

咲妃:ぜひ、行きましょう!

高野菜々

ーーお二人で会ったときは、いつもどんなお話をされるんですか?

高野:私はゆうみちゃんと知り合うまで、音楽座ミュージカル以外に役者さんの知り合いがほとんどいなかったんです。だからゆうみちゃんには、どこの耳鼻科に通っているのかとか、おすすめの整体とかを教えてもらっていました。今でも鮮明に覚えているのは、連絡を取り合っていたときに「“芸談”しましょう」と送られてきたこと。かっこよくないですか!? 芸に対してとてもこだわりがあって、公私ともに奥行きを感じる素敵な方だなあとずっと思っています。

咲妃:嬉しいです! 菜々さんの舞台を拝見してまず思うのは、どの瞬間も全力でエネルギッシュ。しかも隙がなくて常に完璧なんです。数々の作品で主演を担われていて、その重責は計り知れませんがそれすらも力に換えて輝いていて。その姿を見る度に元気をいただいていました。この方の並外れたエネルギーは一体どこから湧き上がっているのだろうと、いつも不思議に思っています。

高野:嬉しい〜! 私は役作りも含めて完璧にやりたくなっちゃうタイプだから、逆に隙がないことが自分の弱点だとも思っていて。あまりに隙がないと、相手役の方と本当の意味で芝居の呼吸ができなくなってしまうことがあると思うんです。一方で舞台上のゆうみちゃんは、相手役の方やお客さんとしっかり呼吸ができているんですよね。憑依型でありながらも柔軟なところを兼ね備えている、稀有な女優さんだなと感じました。

咲妃:ふふふ、何だか照れちゃいますね(笑)。私たちは普段会ったときもこんな感じなんですよ。褒めていただいたら「じゃあ私も言わせていただきます」と、お互いに褒め合っています(笑)。

音楽座ミュージカルと宝塚歌劇団は似ている? 劇団出身という共通点

ーー改めて今、お互いに聞いてみたいことはありますか?

咲妃:はい! 何でそんなに軽々と羽ばたくように歌えるの?

高野:え! 何でだろう?

咲妃:きっと歌うことが好きなんだよね?

高野:うん、それはめっちゃ好き!

咲妃:うんうん、伝わってくるよ。世の中には歌が好きな人はいっぱいいるけれど、菜々さんみたいに重力を感じさせない歌声を持つ人はそうそういないと思うんだ。

高野:そうかなあ? もしかしたら、私の場合は音楽座ミュージカルの教えが土台になっているのかも。音楽座ミュージカルの作品は、基本的に激動の物語が多いんですね。だからこそ「歌は美しいものであれ」とよく言われていたんです。聞いた人の琴線に触れるような歌であるように、と。

ーー宝塚歌劇団ではどうでしたか?

咲妃:宝塚時代は、とにかく歌唱力を高めることに重きをおいたご指導をいただいた記憶があります。でも今改めて振り返ると、音楽座ミュージカルと宝塚には近しいものがあるなと思うんです。作品が似ているというより、劇団に在籍している方たちが大切にしている信念が似ているというか。

高野:私は宝塚を目指していたことがあり、受験のために宝塚の予備校に通っていたんです。その当時の先生が「音楽座ミュージカルと宝塚は似ている部分がある」とおっしゃっていました。「どちらにもそれぞれ、一本筋の通ったピュアなものがあるように感じる」と。劇団だから、ひとつのゴールに向かってみんなで心を揃えていくところは同じなんですよね。私は高校を卒業してすぐ音楽座ミュージカルに入ったので、外の世界を知らないまま価値観やマインドを受け継いできました。2025年3月に退団したばかりなので、まだ染まっている感じがあります。

咲妃:劇団という環境は、良くも悪くもそういう面があると思います。巣立って外の世界を知っていく中で故郷の良さにも改めて気付かされるし、新しい考え方にも出会える。だから人生って面白いですね。 

ーー咲妃さんは2017年に宝塚歌劇団を退団されたので、劇団を巣立ったタイミングという意味では高野さんの先輩になりますね。

高野:だから私、ゆうみちゃんに聞きたいことがたくさんあるんです! 例えば音楽座ミュージカルは演出家さんが指導して作品を作るというよりも、代表の「こんな作品にしたいよね!」を真ん中に置いて、その上でみんなで意見を出し合ってカンパニー全体で作品を作っていく現場でした。でも外部の作品では基本的にひとりの演出家さんがいて、その方が主軸になって作っていくことが多いんだよね?

咲妃:そうだね。でも音楽座ミュージカルさんのように、カンパニーのみんなが意見を持つのは大事なことだと思うな。

高野:ゆうみちゃんは、演出家さんとよくお話しするの?

咲妃:自分の役に対しての疑問点は、作品の要である演出家さんにご意見を仰ぐようにしているかな。疑問を溜め込まないで、わからないときや演出家さんの考えと自分の考えが違うかもと感じたら、すぐに相談しに行くタイプかも。

高野:なるほど! もうひとつ聞いていい?(笑)例えば台本の本読みがあるときに、劇団ならいつも同じやり方だけど、外部の作品では作品毎にそのやり方も違うんだよね? 外部では本当にいろいろな出自の方がいらっしゃるから、どれくらいのテンションや声の大きさでやればいいのかがわからなくて。今は見様見真似でやるしかないんだけど、ゆうみちゃんはどうしていたのかなあって。

咲妃:私は毎回、全部が正解だと思ってる! もちろん最低限の気遣いは必要だけど、そこに集まった仲間の中で対等だという意識を持って、まずは自分が思った表現を勇気を出してやってみる。もし違ったら、軌道修正してもらえると思うんだ。こちらが遠慮していたら、きっと折角のアドバイスもいただけないと思うから。

高野:自分から恥を晒していけばいいんだね。ありがとう! やってみる!

咲妃:私も今お稽古中だけど、日々恥をかきながらやっているよ。一体どんな人なんだろうと探られるよりも、人間臭く足掻いている姿を見ていただいた方が、より早く親睦を深められると思うんだ。でもこれは最近できるようになったこと。退団したばかりの頃は、「こうあらねばならない」みたいな考えがあったし、ずっと模索してきて今があるから。退団して間もない今の時点で、周りの方を意識してアプローチの仕方を考えられる菜々さんは十分すごいと思うよ。

高野:本当に? ゆうみちゃんにそう言ってもらえると安心です!

尊敬し合う二人の初共演はコンサートで

ーーこれまでの交流から感じる、お互いの共通点はありますか?

咲妃:菜々さんは、思い切りのある挑戦をされる方という印象があります。私自身も人生目標のひとつとして「挑戦し続けること」を掲げているので、共通点と言えるかもしれません。私は物怖じしてしまうような、海外への挑戦もされていて本当に尊敬しているんです。きっとすべての経験が人生の財産になるのだろうなと、羨望の眼差しで見ています。

高野:ありがとうございます! 確かに私は人が進むような道をあえて選ばず、違う道に挑戦する人間かもしれません。俳優という仕事は、どんなことでも芸の肥やしになると思っているんです。今は独立したばかりでわからないことだらけですが、それらがすべて芸に繋がるのはすごくありがたいこと。どんなに悩むことがあっても、楽しいと思える職業だなあと思います。ゆうみちゃんもコンスタントに話題作に出演し続けていて、本当に憧れの女優さんです。

ーーそんな尊敬し合っているお二人が、高野さんのソロコンサート『GIFT』広島公演で初共演します。

高野:そうなんです! 独立してから初めてのコンサートにどうしても出演してほしくて、私からゆうみちゃん本人に長文で依頼を送ったんです。故郷の広島公演に来ていただけることになったので、それもとっても嬉しいんですよ。

咲妃:『GIFT』へお声がけいただいたときは、嬉しいのと同時に「私でいいんでしょうか」という気持ちもありました。だって菜々さんにとってすごく大切なステージだから。ご一緒させていただけるのは幸せでしかないです。大好きな菜々さんの歌声を間近で浴びられるのを楽しみにしています!

高野:コンサートでは、ゆうみちゃんにソロとデュエットをお願いしようと思っています。せっかくなので、ゆうみちゃんのお芝居心が伝わるような曲にしたいなあと。ソロは私がゆうみちゃんにどうしても歌ってほしい曲を、デュエットは舞台上で心を通わせながら歌える曲を考えているところです。

咲妃:楽しみに、ドキドキしながらお待ちしています。あんまり難しいのはやめてね(笑)。

高野:相談しようね(笑)。

咲妃:乞うご期待(笑)。でもなんだか不思議。共演は初めてのはずなのに、初めてと思えないこの感じ。同じお役に向き合わせていただいたところが出発点だから、同志感があるのかも。直接会える頻度は決して高くはないけれど、いつも気になる存在なんです。「元気にしているかな」とか「わ〜こんな活躍をしているんだ」とか、物理的な距離はあったとしてもずっと側に感じています。

高野:私もゆうみちゃんのことは戦友だと思っています。いつか絶対、お芝居でも共演することが夢なんです。まずは3月のコンサート『GIFT』での共演を楽しみにしています!

ヘアメイク= 西 由里加

取材・文=松村蘭(らんねえ) 撮影= Mayu Yamaguchi

公演情報

高野菜々ソロコンサート『GIFT』
 
【広島公演】
日程:2026年3月13日(金)19:00開演(18:30開場)
会場:JMSアステールプラザ 中ホール(広島県広島市中区加古町4番17号)
ゲスト:咲妃みゆ
 
【東京公演】
日程:2026年3月22日(日)14:00開演(13:30開場)/18:00開演(17:30開場)
会場:I'M A SHOW(アイマショウ)(東京都千代田区有楽町2丁目5番1号 有楽町マリオン(有楽町センタービル)別館7F)
ゲスト:14:00公演:新妻聖子/18:00公演:福井晶一
 
情報】
広島公演 SS席:8,800円/S席:6,600円/A席 4,400円(全席指定・税込)
東京公演 SS席:8,800円/S席:6,600円(全席指定・税込)
 
<一般発売>
2025年12月1日(月)12:00~
 
主催/企画:nana lab. (公式サイト:https://nanakono.com
制作:ジェイ・ツー
運営:広島公演・キャンディープロモーション/東京公演・サンライズプロモーション
後援:テレビ新広島、広島エフエム放送
協力:イープラス、洗足学園音楽大学
 
≪本公演に関するお問い合わせ≫
【広島公演】キャンディープロモーション 082-248-8334(平日11:00~17:00/土日・祝休)
【東京公演】サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日12:00~15:00/土日・祝休)
 
【公演の詳細はこちら】https://nanakono.com/news/GIFT-Concert
  • イープラス
  • 咲妃みゆ
  • 同志であり戦友の高野菜々×咲妃みゆ対談インタビュー〜高野菜々ソロコンサート『GIFT』での初共演に向けて〜