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『魔神英雄伝ワタル』&『魔神英雄伝ワタル2』兼崎順一&吉田俊之インタビューがコンプリート・サウンドトラック ブックレットから一部公開【後編】

2026.1.20
ニュース
クラシック
アニメ/ゲーム

左から 兼崎順一氏、吉田俊之氏

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2025年10月29日(水)に発売された「『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック」。40Pを越えるブックレットでは、3人の作曲家、兼崎順一、門倉聡、神林早人、各氏へのロングインタビューが掲載されている。ブックレットに掲載されているインタビューのなかから、兼崎順一氏&吉田俊之氏のインタビューの一部が公開となった(以下、ブックレットより抜粋)。12月公開の【前編】に引き続き【後編】を届ける。


『魔神英雄伝ワタル』&『魔神英雄伝ワタル2』
兼崎順一氏&吉田俊之氏インタビュー
聞き手:生地俊祐 (BNML)/鈴木則孝(BNML)
2025年7月21日 荻窪 ホワイトベース


作曲の兼崎順一氏に加え、今回、スペシャルゲストとして、ワタルシリーズでレコーディングエンジニアを務められました吉田俊之氏に参加いただきました。
「お互いに35年以上も前のことなので記憶もあやふやなので是非とも二人で喋りながら」と申し出いただき実現しました。
以下、兼崎氏:兼 吉田氏:吉 生地:生 鈴木:鈴、にて表記。

※今回インタビューにつきましては、CD挿入ブックレット未掲載を含むロング版をお楽しみください。

■『スペクトラム』解散からワタルまで篇~ワタル篇に流れで突入

:『スペクトラム』の活動は79年から81年。そこは割愛させていただき、81年で解散され『ワタル』が88年なのですけど、その間の7年のお二方は?

:自分は解散後もとにかくトランペットの演奏者として生きていこうと思っていたので、色々やりましたよね。スタジオミュージシャンとしてはイチからでしたが徐々に呼んで貰えるようになっていきました。そういう意味では太田敏明さん(音楽制作会社・ボーダーライン代表)との出会いは大きかった。

:『ワタル』の音楽制作はそのボーダーライン(神林早人さんも当時所属。吉田さんも後年所属)で、兼崎さんもそこの所属でしたが、それはいつごろからですか?

:『スペクトラム』が解散して、結構近かった気がします。太田さんから様々な録音現場に呼んで貰っているうちに、スケジュール管理もお願いするようになっていきました。

:吉田さんはいかがでしょうか?

:『スペクトラム』の解散が1981年9月22日の武道館でのファイナルなのですが、所属事務所のアミューズがその前の8月を完全オフにしてくれたのです。その先の自分の身の振り方をメンバーそれぞれ考えなさい、と。
自分の場合だと、スタジオミュージシャンで既にトロンボーンの名だたる方々が沢山活躍されてることもあり全く違う切り口を模索しました。色々なバンドの音を全部一人で制御しているLIVEのPAエンジニア(コンサートやイベント会場で音システムにて音を調整する専門家)ってかっこいいな、やってみたいなと思い、当時『スペクトラム』のレコーディングエンジニアだった高田英雄さんへ思い切って電話してみたのです。そこで伝えられたのが「PAのエンジニアさんは若い時から修行されているので24歳の自分ではスタートが遅過ぎる。どうしてもと言うのならスタジオのレコーディングエンジニアで基礎から多角的に学んでみれば」とのアドバイスを貰い、一歩話が進みます。
ビクタースタジオでは、たまたまその年が、レコーディングスタジオの定番になっていくSSL社の録音用の卓を、初めてスタジオに導入の年だった。偶然ですが「スタートラインは他のエンジニアさんと一緒だから君も参加するにはいいチャンスかもしれない」と言っていただいた。
また、譜面は当然だけど全部読めるじゃないですか。
絶妙なタイミングが要求されるパンチイン/パンチアウト(既に録音された音を部分的に差し替える録音方法)も演奏家をやっていたから簡単に出来たわけです。その流れで重宝して貰える部分もあったようで、1981年10月に入社。まずは機器の基礎を学ぶべくメンテナンス・エンジニアとして修業を開始することになりました。
ちなみに初のメインとしてのレコーディング&ミックスを担当したのが1985年録音の新田一郎『SAGA/冒険伝説』というアルバムです。(なお吉田さんは本アルバムにトロンボーンとSygnusというシンセサイザーでも参加。兼崎さんも参加されています)

:ちなみに兼崎さんの愛称の”ドンペイ”さんはいつどこからなのでしょうか?

:渡辺茂樹がいる『ロックンロールサーカス』が解散し『ビート・オブ・パワー』が出来て、そこに加入した際に、渡辺茂樹が新加入メンバーの名前を覚えるのが面倒なので愛称を決めようと言いまして。そして自分がなんでドンペイになったのかって言ったら、よくお酒を飲んでいたから
”のんベえ=呑兵衛”を別読み→ドンペイ
になったと。

:じゃあ、吉田さんがお会いになった時点で既に”ドンペイ”さんだったんですね。

:へ一!経緯は今初めて知りました。ドンペイさん、ドンちゃんとか気軽に呼ばせていただいていますけど、改めて”かねざきさん”って言うと別の人かと思うくらいに。

:吉田さんはそのままビクターさんに入られて、その後、退職されて独立されたのですか?ということは、88年のワタルの録音はまだ社員ってことですかね。

:92年から独立なので、ワタルの時期はまだ契約社員(嘱託)ですね。

:吉田くんがメンバーで最初に身を固めた(笑)って感じだよね?もう決めてこっち行くって。新田くんは自分で会社を起こしたいって言ってたんだけど、実際に作ったのはだいぶ後だからね。ソロアルバムとか出し始めてアーティストとして活動という感じ。
自分はスタジオの仕事貰ったり、バック演奏の仕事貰ったり。

:ちなみにドンペイさんはいつから”書き(作曲)”はやってたの?

:昔からやってはいたんだけど、覚えてないなぁ。増えたのはさきほどお話したボーダーラインの太田さんと出会った後ですね。アニメの仕事もあった気がするけど、色々な仕事が来たんで。
あと、弦を書くようになってから依頼が増えた。あんまり上手く書ける人がいなかったみたいで。

:ドンペイさんの弦の書きって、学生時代からの積み上げなのかしら?結構かっこいい弦を書かれているので…。これ、ちょっと伺いたかった。

:完全に我流です。佐藤允彦さん(ジャズピアニスト)が隣のスタジオでレコーディングされていて、弦が素敵な音をしているものだからお願いして見学させて貰ったんですよ。なるほど、ととても参考になりました。それで長男がヴァイオリンをやってたから一応ヴァイオリンが何処までの音が弾けるかとか運指は分かるので大丈夫だなと思った。

:え?一回見ただけですか。

:そう。

:天才の言動ですね。。。
なお、『ワタル』以前も劇伴は少し手掛けられていたってことですか?

:そうですね、結構仕事を持ってきてくれたんですよ太田さんが。それで、なんかお手伝いさせていただいたのはあると思います。
ロボット系とか映画系とか色々やりましたけどね。それが『ワタル』へと繋がっていったんでしょう。

:そして、吉田さんが『ワタル』については基本レコーディングエンジニアをされているということですね。

:でも門倉さんの録音やMIXした記憶はないのですよね…。

:門倉さんも吉田さんはお会いした記憶はないというお話でして符合しているんです。

:なんせ35年前なので記憶は定かではないけど。マスターの音を聞いても自分の創った音とは違う気がするんだよなぁ、特にスネアや弦楽器の音作りとか…。

:門倉さんはあやふやだけど平沼浩司さんと録ったような記憶がぼんやりあると。

:平沼さん、亡くなっちゃったんだよね。(平沼氏は2020年没。Mr.Childrenや桑田佳祐氏などのレコーディングを手掛ける)

■ワタル篇

(C)SUNRISE・R

:ムック本(『廃神英雄伝ワタル創世伝記』新紀元社刊)によると、88年3月1日にアニメーションの音響である藤野貞義さんと音楽メニュー打ちを行い、当日~3月3日にかけて門倉さん、兼崎さんの順でメニュー打ち、11日~13日に録音、13日14日でトラックダウンし14日にアニメーションの音響会社クルーズさんへ納品。18日にはアニメ1話のダビングと記載されており、相当タイトだったことが分かります。

:映像が出来ていないで、大騒ぎされていた記憶はあります。そりや放送日は決まっている訳ですからね。音楽も、もうとにかく問に合わないってことで、メニュー打ちの後は急いで家に帰って(曲を作って)くれって(笑)。それはね、確かに覚えてますよ。

:どのような経緯や経路で『ワタル』のお話が来たのかご記憶にありますか?

:普通に太田さんとこからだとは思うんですけどね。絵コンテも来てました。キャラクターの絵もありましたね。家に多分まだあると思うんですけど。

:兼崎さんは3月2日に発注されて、作曲し譜面を書いて、11日と13日には録音してるんですね。9日しかないんですよ。そして14日にはもうトラックダウン(完成作業)してるんですよ。そうじゃないと間に合わなかったんですね…・きっと…。

:何十曲あったのでしょう。

:最初の録音分はステム(曲を構成する各パートを個別の音声ファイルに分けた音源)からの楽器抜きなどMIXやバランス違いなど除くと43曲ですかね。

:もちろんアイキャッチやブリッジなど短い曲も多かったとは言え頑張ったね(笑)

:それを2日で録ったんですね。

:いや、録りは早いですよ。

:譜面がしっかりしていればトラブルはほとんど無いですね。スタジオミュージシャンは1回通して試して雰囲気を修正、じゃあ次はOKテイク、とどんどん進んでいけちゃうので。

:特にあの兼崎さんの曲は、兼崎さん自身によるトランベットをはじめ打ち込みではなく生演奏中心だったんですけど、楽器はバラで録っているのか、ドンカマ(イヤモニでクリック音に合わせて同時に演奏する)でやっていたのですか?

:基本ドンカマ利用です。弦とプラスはさすがに分けてたような気がしますね。まあ、ブラスは間違いなく自分で吹いている訳だから。

:ステムという考え方っていうのは、いわゆる現在のデジタルシステムPro Toolsが台頭してきてからそうなってきた。ですので当時はステムという考え方は無かったです。この時代はあくまで2チャンネル(LR/左右)ステレオへのトラックダウンです。その代わりMIX違いでメロ抜きとかドラム抜きとかのMIXも作成しましたね。

:兼崎さんへの発注の際は音響監督の発注メニュー表をもって発注されていると思われます。普段その他の作曲されている時とそのアニメのこういうメニューありきで書くって、なんかやっぱり感覚違うものですか?

:『ワタル』に関しては全然制約なかったですよね。好きに書いてって言われました。

:また兼崎さんについては、同じ音楽メニューから同じMナンバーによる追加録音が行われ、4月2日に録音、4月3日にトラックダウンされておりました。
また『ワタル2』では当初は参加されていなかったんですが、龍星丸という龍神丸のパワーアップ形態の登場時に4曲(2曲✕2タイプ)が満を持して登場しましたが、ご記憶はありますか?

:『ワタル2』は太田さんから『ワタル』でまたちょっと書いてよと言われた気がします。
追加録音は、経緯はよくわからないんですけれど。ただイケイケになっちゃってる部分がいっぱいあって、曲自体、一曲一曲がすごい力入っちゃってる。こんなに豪華な編成で曲を録れるなんて本当に良い時代だったよね。

あ、そうだ。最初の録音の際だと思うけど、僕の譜面は書けたんだけど写譜が間に合わなくて、レコーディングの日に一緒に車で移動しつつ、更にスタジオでも写譜し続けて貰ってたのを思い出しました。まぁあの時代は日常茶飯事でしたけど。
そんな中でも、やっぱり結構久しぶりにでかい編成だっていうことで、こっちも気負ってたよね。

■■第2部:各曲について篇■■

略。CDブックレットにてお楽しみください。

 

:最後の最後に、35年越しにCDで『魔神英伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』の音楽がコンプリート・サウンドトラックされることはどう思われますか?そして35年という年月を経て、ワタルが、ワタルの音楽が愛されていることについていかがでしょうか?

:『スペクトラム』が45年前、ワタルが35年前ですね(笑)。どちらも今取り沙汰されるのは寝耳に水ですが、今も聞いていただけるということは大変嬉しいことだと思いますし、今聞いても懐かしさも半分はありますけど、自分本位な言い方をすれば、(トランベットが)まあ良く鳴ってたなこの時代は、というのがありますね。
こんな形で出るとは思っていなかったので感謝です。

:僕は作家という立場では無いですが、色々な経緯のなかで参加させていただきました。ドンペイさんとクロスオーバーしちゃうけど、今聞いて何の遜色も無いのが不思議でならない。このジイサンたちを持ってしてもワクワクするので、時代と世代を越えて永年ワタルファンの皆さんに聞いて欲しいなって思います。
それに、これを機にせっかくのご縁だから今回の皆で一緒に何かやりたいよね。我々の目が黒いうちは!何でも言って(笑)

:やった!逃がしませんので、何か企んだらお願いいたします(笑)

:生涯現役でやっていきたいなと。音楽を楽しくやっていきましょう!

公演・CD情報

CD『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック

⚫︎発売日:2025年10月29日(水)
⚫︎品番:SRML-1127〜32
⚫︎価格:¥9,800(税抜き)
 
【収録楽曲】
DISC1-2
『魔神英雄伝ワタル』オリジナル・サウンドトラック(DISC1,DISC2:Tr.1-31)
『魔神英雄伝ワタル』サウンドトラック・ヴァリエーション(DISC2:Tr.32-68)
DISC 3-4
『魔神英雄伝ワタル2』オリジナル・サウンドトラック(DISC3,DISC4:Tr.1-7)
『魔神英雄伝ワタル2』サウンドトラック・ヴァリエーション(DISC4:Tr.8-46)
DISC 4-5
『魔神英雄伝ワタル2』エディットVer. ①(DISC4:Tr.47-53)
『魔神英雄伝ワタル』エディットVer. (DISC5:Tr.1-11)
『魔神英雄伝ワタル2』エディットVer. ②(DISC5:Tr.12-19)
仙台フィルハーモニー管弦楽団 エンターテインメント定期 第4回
魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~
演奏:仙台フィルハーモニー管弦楽団/指揮:神成大輝/歌唱:a・chi- a・chi
オーケストラ編曲:佐野秀典、鈴木雄大、穴沢弘慶、山本 純
DISC 5
魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~【前半】(DISC5:Tr.20-25)
DISC 6
魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~【後半】(DISC6:Tr.1-11)
DISC 6

Tr.12 Step by Step (TVサイズ)
Tr.13 君に止まらない〜MY GIRL, MY LOVE~ (TVサイズ)
TVサイズ主題歌集(MONO)※
Tr.14 Step (TVサイズ前期SEあり)
Tr.15 Step (TVサイズ後期SEあり)
Tr.16 a・chi-a・chiアドベンチャー (TVサイズ)
Tr.17 Step by Step (TVサイズSEあり)
Tr.18 君に止まらない〜MY GIRL, MY LOVE~ (TVサイズ)
Tr.19 Fight! (TVサイズSEあり)
Tr.20 虹の彼方に (TVサイズ)
※映像の音声トラックから収録。オープニングについてはSE(効果音)入り。
 
【仕様】
・三方背スリーブケース
・METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN> 龍王丸
とディスプレイ連動したコラボCDパッケージ仕様
・封入40Pブックレット。作曲家、兼崎順一・門倉聡・神林早人、インタビュー、解説。
・別冊トラックリスト・歌詞集
 
【Links】
⚫︎レーベルサイト
https://www.sunrise-music.co.jp/list/detail.php?id=1439

『魔神英雄伝ワタル 超!感謝祭』
【出演キャスト】 田中 真弓、伊倉 一恵、高乃麗、山寺 宏一
【声の出演】林原 めぐみ
【出演アーティスト】a・chi-a・chi、高橋 由美子
【MC】天津飯大郎
【日時】2026年2月1日(日)
昼の部 開場 13:30/開演 14:30
夜の部 開場 17:30/開演 18:30
【場所】:LINE CUBE SHIBUYA(東京)
https://eplus.jp/wataru_cho-kansha-sai/
【主催】バンダイナムコフィルムワークス
【制作】バンダイナムコミュージックライブ
【お問合せ】インフォメーションデスク https://information-desk.info/

(C)SUNRISE・R

公演・CD情報

仙台フィルハーモニー管弦楽団 「エンターテインメント定期 」関連情報
 
※「エンターテインメント定期 第4回 魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~」を収録しました仙台フィルハーモニー管弦楽団の情報です!
 
●『エンターテインメント定期第6回 ラブライブ!School idol project~叶え!μ’s Orchestra Dream Concert!~』
日時:2026年3月20日(金・祝)
開場 14:00 開演 15:00 
場所:仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
https://www.sendaiphil.jp/e6/
 
●CD「交響組曲『Zガンダム』(仙台フィルハーモニー管弦楽団 エンターテインメント定期第2回 LIVE)」
音楽:三枝成彰 仙台フィルハーモニー管弦楽団 指揮:太田 弦 ピアノ:田村 響 
発売日:2025年12月10日(水)
品番:SRML-1138(初回)/  SRML-1139(通常)
価格:初回盤 ¥5,800(税抜き)/ 通常盤 ¥3,200(税抜き)
2024年8月10日(土)宮城・仙台銀行ホール イズミティ21
「仙台フィルハーモニー管弦楽団(仙台フィル)エンターテインメント定期第2回」LIVE録音
https://www.sunrise-music.co.jp/list/detail.php?id=159