タイムレスな音楽が彩る新たな“年の瀬の風物詩”が神戸に誕生 佐野元春、Original Loveら出演の『KOBE MUSIC COMMONS 2025』オフィシャルレポートが到着
Original Love
昨年末に神戸・GLION ARENA KOBEにて開催された、新たな音楽イベント『KOBE MUSIC COMMONS 2025 supported by スマレジ』のオフィシャルレポートが到着した。また、ダイジェストムービーも同時に公開された。
2025年12月30日、兵庫県神戸市にて『KOBE MUSIC COMMONS 2025』が開催された。舞台は神戸の最新ベイエリア・TOTTEIに昨年春オープンしたGLION ARENA KOBE。第1回となるイベントには、時代を超えてグッドミュージックを響かせる7組のアーティストが登場し、それぞれ力のこもったライブを繰り広げた。
転換中のロビーでも2組のミュージシャンがDJで盛り立て、会場外では地元の人気飲食店が並ぶ『神戸・三宮 名店横丁 肉推し祭 in TOTTEI』を実施。17:00からは『神戸TOTTEIイルミナイト』の光のアートがTOTTEI PARK緑の丘できらめいた。そんなお楽しみ満載のなか行われた7つのライブをレポートする。
MC・川田一輝
HY
開演定刻11:00、『KOBE MUSIC COMMONS』の幕開けを飾ったのはHY。「イーヤーサーサー」というエイサーの掛け声とともに登場すると、彼らの地元・沖縄の風を神戸に吹き抜けた。「みんな、今何時?」。新里(Vo&G)が呼び掛け、文字どおり「AM11:00」でさわやかなスタートを切る。いきなりの代表曲にファンは即反応。会場が一つになって歌声を響かせると、次は「きのこいぬ」へ。全員で踊る“きのこいぬダンス”にお祭り気分も高まり、続く「帰る場所」では三線と琉球太鼓が加わって脳裏に沖縄の景色が浮かんだ。そして「自分の人生に当てはめて聴いてください」(新里)と添える「恋をして」では、やわらかなピアノとハーモニーが名曲の続きの物語を紡ぎ、次第にドラマチックに変容。じわりと胸を締めつけるが、その後はいっきに空気を変え「明日種~アシタネ~」と「ホワイトビーチ」で上昇気流に乗ると、手拍子も同時にクレッシェンド。多くのピースサインが掲げられた。「まだ歌ってない曲あるね。聴かないと帰れないよね!」(新里)とくれば、鳴り出すのはキラーチューン「366日」。飛び切りエモーショナルなラストソングは観客の涙腺をたっぷりと刺激し、全7曲をじわりと締めくくった。
HY
HY
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SIRUP
年末らしく豪華にフルバンドを引き連れ、1曲目から曲名よろしく「KIRA KIRA」でキラキラとご機嫌に。レイブホーンも高らかに鳴りテンションも上がると、たくみに表情を変える自由度の高いボーカル&ラップで「Need You Bad」、「Superpower」と連ね、中盤は「LOOP」などの3曲で甘く深い夜へ。つややかなサウンドと湿度も粘度もある歌声は熱も静寂ももたらし、観客の体を揺らす。途中のMCは、関西出身だからこその神戸の思い出も関西弁で語りリラックスした時間。すると今度は「2025年もストレスだらけでしたね(笑)。発散してみませんか?」と「No Stress」で気持ちをグッと持ち上げる。「騒がしいKobeの夜を」とアドリブも盛り込んだ。さらにMCで「ピースに生きていきたいな」と2026年の希望を口にしたら、ダイナミックな「Your Love」で大解放して次の「SWIM」はよりアップリフティングに。人々の手が伸び、そこに「Do Well」を投下すればまさにパーティ。バンドのプレイも楽しげな上、シャウトも炸裂してクラップも特大だ。これには息を切らして「ぶっ飛んだ?」のひと言だが、最終は「今夜」の美しいメロディに日々の物語をのせ、ロングトーンでフィナーレ。「よいお年を!」と光の中にとけていった。
SIRUP
SIRUP
SIRUP
木村カエラ
神戸でのライブはなんと9年ぶり。見えない雪を降らすように「A winter fairy is melting a snowman」から。スタンドでもファンがサイリウムを手に踊って会場は急速に華やぐが、直球のロック「BEAT」、ポップな「リルラ リルハ」と並べて多面的な魅力を見せつけ、かき鳴らすギターでも、みずみずしい歌声でもとりこに。またトークでも「12月30日なのにどういう気持ちで(ここに)? 私に会いに?? 最高じゃない!」と、観客を魅了。やわらかく強いボーカルでライブ初披露したのは「君の傘」、続いて冬のバラード「Snowdome」も。寒さのなかの温もりを感じさせつつ、ハイトーンは透明感に満ちる。再びMCも笑い多めで、子どもには激甘。ファンは彼女の手のひらで転がされるのを楽しんでライブはいよいよ終盤へ。まずは衝動が詰まった「KEKKO」でリミッターを解除したら、続く「TODAY IS A NEW DAY」では切れ味よくハイカロリーに。天を指さし歌う姿を刻むも、最後は「Butterfly」を清らかに広げ、全員で「ラララ」と声を合わせて1年の記憶を浄化してくれた。曲中の「今年もよく頑張ったね、私もみんなも。来年もいい年にしよう」の言葉は、多くの人の心に明かりを灯したに違いない。
木村カエラ
木村カエラ
木村カエラ
KREVA
「No Limit」、「基準」のスタートダッシュはのっけから狂おしく。ラップでもストロボでも突き刺して会場のボルテージを上げる。そして「年末にこうやってここにいる。これこそが俺なの。人生だな…」と、次は「人生」へ。落ち着いたトラックと流れるフロウにのせて染みるリリックを届ければ、オーディエンスの手はずっと掲げられたままだ。すると今度は「ひとりじゃないのよfeat.SONOMI」でメロウなムードに変え、SONOMIと2人でストーリーを描き出し、サビではファンにマイクを向けて歌声を拾うシーンも。また「第1回目のイベント、あん時のKREVA見た!って言えるようなライブにしたいと思います」と宣言したら、「パーティはIZUKO? 」と「C'mon, Let's go」でパーティタイム。「このイベントが続いていくか、お前ら次第なんだよ!」とあおり、コール&レスポンスやバンドのソロなど楽しみどころもたっぷり。場内の熱はますます高まるが、早くも残すは「Expert」、「音色」、「イッサイガッサイ」の3曲に。スケール感やセンチメンタルな旋律、キャッチーなフレーズや神聖な空気感、あの手この手で観客を釘づけにし、彼らの手を目一杯左右に振らせれば一体感も十分。約45分間のライブは大団円の様相で終わりの時を迎えた。
KREVA
KREVA
KREVA
佐野元春 & THE COYOTE BAND
イベントの折り返し地点を過ぎたころ、姿を現したのは2025年にデビュー45周年を迎えた佐野と、現在彼が活動する、結成20周年のTHE COYOTE BAND。そのアニバーサリーと年の瀬のめでたさが相まって、いつもよりゴージャスに響く「Youngbloods」で爽快に走り出したあとは「ガラスのジェネレーション」の再定義ナンバー「つまらない大人にはなりたくない」へ。J-ROCKの地平を切り開いたまばゆい言葉が大空間に行き渡り、骨太でエッジのきいたサウンドとともに無数の拳を突き上げさせる。また「La Vita è Bella」の推進力で幸せに弾ませたら、次は「もっとロックしよう」と、「ENTERTAINMENT! 」などを連続させ、軽やかにも重厚にも時代と人生観をロックで表現。ギターとベースも吠える。そして「未来へつなぐ気持ちを込めて歌います」と鳴らされるのは「SOMEDAY」。ハーモニカも歌い、サビでは再度人々の拳が力強く上がって最高潮…と思いきや、追いうちを掛けるように「約束の橋」と「アンジェリーナ」という名曲ラッシュでもう一段上の沸騰へ。ファンは口ずさみ、手拍子と「ユーラブミー!」のコールが大きくなれば、佐野も「アイラブユー」のシャウトを返して盛大にフィニッシュ。存分に心を通わせるラストシーンとなった。
佐野元春 & THE COYOTE BAND
佐野元春 & THE COYOTE BAND
Chara
踊るようにして舞台に進むと、まずコール&レスポンスで会場を温め、初っ端からヒットチューン「やさしい気持ち」。チャーミングでコケティッシュな歌声とパフォーマンスでハートを射抜き、当然歓声が起こると「そういうの欲しいです。あまり年末(のフェスには)来ないけど来てよかった」。次の「僕は残像」では浮遊感をまぜつつ観客の集中を高め、続く「A・O・U」ではグルーヴィに。会話するような楽器の音色が加わりパーティになだれ込めばワイパーも発生。曲後には本人から「もっとやりたかったね(笑)」。その小悪魔的破壊力は「しましまのバンビ」でもっと強力に。あのパンチラインだけでなく、ミュートでは「見てる、Charaのこと?」と、とどめ。あちらこちらで「かわいい」の声が聞こえ、そこに放つカラフルで華やかな「Junior Sweet」で気分はより上々に。ここで「新曲を歌うよ」と「Lush Life」。今度は静かで美しい白昼夢にも似た音像で時を止め、さらに「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」で深淵へ。だれもが動きを止めて耳を傾けてライブは終了。多くの人がしばらく余韻に浸らずにはいられなかったことだろう。
Chara
Chara
Chara
Original Love
トリのステージは長く愛され続ける曲「Million Secrets of Jazz」。小気味よくダンサブルに始まると、次の「Music, Dance & Love」で即着火。迫力のグルーヴが体を揺さぶり、ボーカルも鼓膜を強く刺激する。早々に「神戸!」の咆哮も上がる。続くのは大ヒット曲「接吻 kiss」で、サビの始まりから歓声。ソウルフルな歌声に会場の温度は上昇する一方で、ロマンチックな耳心地だが年末の今日はいつにも増してエネルギッシュに轟く。まだまだ!とばかりに「フィエスタ」では軽快なビートがクラップをともなって楽しさ全開。さらに続く「bless you!」では冒頭から焦らすギターでサービス。またすべての楽器がたっぷりと聴かせて満足度も大だ。いったん「I WISH」のシャッフルビートにのせてゆったりとしたひと時に。観客がハンズアップでその響きを堪能したところで、「満タンのソウルパワーをのせてやってきました」のMCから「The Rover」へ。ライブの定番曲はリフレインを焼きつけながら、遊び心ある展開で進んでアジテーションも増量。まくし立て、キスを投げ、「夜をぶっとばせ」のうれしいアンコールに突入。「歌いましょう」と田島がリードし、バンドも駆け抜けるようにプレイすれば、最後は全部出し切るべくロングトーンでゴール。割れんばかりの歓声と拍手が長く続くなか、全員が完全燃焼でついに『KOBE MUSIC COMMONS 2025』は幕を閉じた。
Original Love
Original Love
Original Love
なお幕間には、イベント前半は西寺郷太(NONA REEVES)が、後半は田中知之(FPM)がロビーでDJを務め、国内外のエバーグリーンな音楽をつないでビール片手の人々を踊らせただけでなく、ステージではKiss FM KOBEのサウンドクルー・川田一輝がイベントのグルメ情報などを発信。さらに終演後には大抽選会も行われ、出演アーティストのサイン入りグッズをはじめとする豪華商品を手にした。過ぎた約9時間半はあっという間。会場には前方に入れ替え制の優先エリアもあり、来場者は自分好みの観覧スタイルで1日を過ごしていた。老若男女を問わず、快適に上質の音楽を楽しめる貴重なイベント『KOBE MUSIC COMMONS』の来年の開催も期待してほしい。
西寺郷太
田中知之
Photo by 河上良(@bit_direction)