劇団四季『恋におちたシェイクスピア』京都公演 主演・武藤洸次に聞く、作品の魅力と挑戦

2026.1.20
レポート
舞台

武藤洸次

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劇団四季のストレートプレイ『恋におちたシェイクスピア』が、4月25日(土)~5月24日(日)まで京都劇場で上演される。若き日のウィリアム・シェイクスピアが経験したとされる“禁断の恋”を、史実とフィクションを織り交ぜて描いた作品で、ミュージカル作品が多い劇団四季の中では異色の存在だ。現在、東京・自由劇場で2月8日(日)まで上演中で、京都での公演は7年半ぶり、2度目となる。
原作は、1999年に米アカデミー賞7部門を受賞した同名映画。2014年に英国で舞台化され、劇団四季では2018年に青木豪の演出で初演された。劇中では、創作に苦悩するウィル(シェイクスピア)が恋に落ち、その情熱が名作誕生へとつながっていく姿を描く。
主人公ウィルを演じるのは、今回がストレートプレイ初挑戦となる武藤洸次。これまで『リトルマーメイド』のエリックや『ウィキッド』のフィエロなど、ミュージカル作品で主要な役を務めてきた武藤が、言葉と演技で物語を紡ぐ新境地に挑む。京都では、どのような若きシェイクスピア像を提示するのか、武藤に話を聞いた。

撮影:上原タカシ

――ウィルはどんな人物ですか?

ウィルは実在した劇作家のシェイクスピアがモデル。『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』など数々の名作を生み出す才能を持ちながら、物語の冒頭ではスランプに陥り、言葉を失っています。そんな彼が、ヴァイオラという女性に出会い、恋をすることで、言葉や演劇への情熱を取り戻していく。才能だけでなく、弱さや迷い、葛藤、衝動も抱えた人間くさい一面がある人物ですね。

――作品の魅力や見どころを教えてください。

フィクションでありながら、シェイクスピアの人生や当時の劇場文化を史実に基づいて、リアルに描いています。演劇が生まれる瞬間をのぞき見るような感覚を楽しめる上、コメディ要素も豊富でテンポも軽快。ストレートプレイを見慣れていないお客様でも楽しんでいただける作品です。

武藤洸次

――稽古期間や東京公演を振り返ってみて、いかがですか?

稽古期間は徹底的に言葉と向き合う時間でした。ミュージカルナンバーがない分、言葉がすべて。言葉の一言一言とどう立ち向かっていくか、演出家の青木さんと丁寧に探りました。初めてご一緒した外部の青木さんは、役者1人ひとりに対して演出をつけてくださり、その過程がすごく刺激的で楽しかったです。言葉と感情と行動が自然とつながっていくという感覚があり、それは新しい発見でしたね。青木さんは稽古始めに「新しく軽快に、そして深く今回の公演を作っていきたい」と話していて、その通りに演出をつけてくださった。キャストも空気も一新され、より軽快な作品に仕上がったと思います。

――シェイクスピア特有の言葉の難しさはどう乗り越えましたか?

恥ずかしながら、これまでシェイクスピア作品に深く触れる機会がありませんでした。今回、あらためて作品に登場するシェイクスピアの言葉たちを理解するために戯曲を読み返し、歴史的な背景も調べました。現代では聞きなれない言葉も多いですが、俳優がそう感じると、お客様にとってはさらに聞き慣れない言葉になってしまう。自分に中に落とし込み、体と声を通してダイレクトに伝えられるよう、台本を徹底的に読み込むことを繰り返しました。

――ストレートプレイは今作が初挑戦ということですが、不安はありましたか?

最初は不安でしたが、初演を見て、「いつかかかわりたい。ウィルを演じてみたい」と思っていた作品。稽古を進めていく内に、不安はなくなり、言葉を深めるごとにいい雰囲気で公演を進められました。いままでストレートプレイはあまり多くは見てこなかったのですが、ストレートプレイの面白さを再認識しましたね。言葉が楽しく、演者もイキイキしていて、すごくいいなと思いましたね。

――劇団四季研究所入所から10年。武藤さんにとって芝居とは?

僕自身、芝居が本当に好きなんです。子どものときから内向的な性格で、人の顔色をうかがい、人に合わせて行動するタイプでした。思っていることを心の内にたくさん秘めていたんですが、芝居を始めてから、いろんな役を演じるうちに、(心の中に)ストックされていた感情が役とともに出ていきました。芝居は、自分にとって浄化作業であり、ためこんだ感情の供養でもある(笑)。芝居をしていると自分を解放できるんです。芝居を始めてから、自分自身も変わって明るくなり、考え方も前向きになりました。芝居は特別な行為です。

撮影:上原タカシ

――ストレートプレイは、ミュージカルとは違いますか?

ミュージカルのように歌のあとに拍手がある……というのが、ストレートプレイではありません。自分自身が芝居をする中で、(ストレートプレイだからと)芝居を大きく変えるということはありません。それでも、観客の熱量はミュージカルとは違うような気がしますね。笑いが起きるタイミングも日によって違うし、俳優たちの空気感がダイレクトに伝わります。そのライブ感は、ミュージカルとは少し違うのかなと肌感で感じています。

撮影:上原タカシ

――シェイクスピア戯曲やストレートプレイを見たことがない人にもオススメできますか?

最初は「歌がなくても大丈夫?」と身構える方もいるかもしれませんが、男性4人で歌う美しいコーラスが挟まれ、軽やかに見られます。シェイクスピアの言葉は、時には難しいと思うかもしれませんが、その難しいと思う言葉が美しくて、(自分で)調べてみようと思ってもらえるかもしれない。そういうのがシェイクスピア作品を知るきっかけになるのでは。最初は身構えていた人でも物語が進むにつれて、物語に没入できる作品です。

――京都公演への意気込みを教えてください。

劇団四季の原点であるストレートプレイを京都でもお届けできること、とても光栄で、うれしく思っています。人を愛する喜び、演劇への愛や情熱を京都でより深くお届けできたら。

――京都公演中のオフは、どう過ごしたいですか?

コーヒーが好きで、豆からひくのが、毎日の習慣になっています。京都には、行きたいカフェがたくさんあるので、オフの日は1日3~4軒は回りたいですね。

取材・文=Nagao.M

公演情報

劇団四季『恋におちたシェイクスピア』京都公演

日程:2026年4月25 日(土)~5 月24 日(日)期間限定公演
会場:京都劇場
予約方法:インターネットネット予約 SHIKI ON-LINE TICKET http://489444.com
(24 時間受付)
お問い合せ:劇団四季ナビダイヤル 0570-008-110
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