阿部快征×橋本全一、陰のある役の醍醐味は「お客さんを掴んだ感覚」~『帝都残響 天鈿女は微笑まない』インタビュー

インタビュー
舞台
12:00
(左から)橋本全一、阿部快征

(左から)橋本全一、阿部快征

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舞台『帝都残響 天鈿女は微笑まない』が2026年2月11日(水)〜15日(日)、東京・あうるすぽっとにて上演される。実在する事件の模倣事件解決に挑む男たちが混沌とした戦後の街を駆け抜ける生き様を描く、演劇プロジェクト“アメツチ”によるオリジナルストーリー。“群像ポップクライムサスペンス演劇”と銘打たれた今作の魅力や役どころについて、長正 俊役の阿部快征と堂島 薫役の橋本全一に語ってもらった。

ーー脚本を読まれた感想を教えてください。

阿部:事件を解決していくサスペンスであり、それぞれのキャラクターについてのお客様と一緒に辿っていく作り方になっていると感じました。過去も背景も、すべてを描き切らずに考える余地が残されている。見に来てくださる方がたくさんいらっしゃって、もし続きが描けるのであれば、さらに深く掘っていける可能性がたくさんある物語になっています。

阿部快征

阿部快征

橋本:戦後の日本が舞台で、しかも731部隊など実在の出来事が取り込まれている。「もしかしたら、本当にこういうことがあったんじゃないか」って考えさせられますし、事件の概要を知っている方からすると胸アツな展開になっていると思います。

ーー帝銀事件などもモチーフになっている印象を受けました。ちなみに、実在する題材についてはリサーチなどされますか?

阿部:若い頃に勉学に励んでいたので、そのときに培った知識から……。

橋本:ちょっと待て。全部嘘くさいな(笑)。

阿部:はい、まったく知りませんでした(笑)! 台本を読んでからネットで調べましたね。読んだ時点では創作だと思っていた要素が、あの時代に本当に実在していたという驚きもありました。当時、すでにこんなに科学が発展していたのかと。

橋本:僕も事件自体は知っていましたが、やっぱり詳細は今回初めて知りました。

橋本全一

橋本全一

阿部:リサーチっていえば、全さんって普段からよくニュース見てますよね。

橋本:うん。毎朝、ニュース見るよ。

阿部:携帯でもチェックしてません? しっかりした大人だなあって思っちゃうんですよ。

橋本:もうおっさんだからね(笑)。

阿部:やっぱり、僕も習慣にしたほうがいいんですかね。

橋本:あんまりニュースとか見ないタイプか。今、3分くらいにまとめられた番組とかあるよ。

阿部:うーん……あ、でも「なんでこんなに卵が高いんだろ?」って検索したら鳥インフルエンザのニュースにたどり着きました!

橋本:興味あることは調べられるんだ(笑)。いいと思うよ。

(左から)橋本全一、阿部快征

(左から)橋本全一、阿部快征

ーー演じる役のイメージについてお聞かせください。

阿部:僕が演じる長正 俊の記者という設定を初めて聞いたときは、台本の1ページ以上使った長台詞があるんじゃないかとドキドキしました(笑)。人物像としては、ひょうきんな感じ。掴みどころのない記者……というイメージに作っていくのが一番近道かもしれないですね。

橋本:明るくて、ひょうきんな感じはすでにピッタリだよね。まあ、彼は僕が演じる堂島 薫の駒ですが。

阿部:そう、駒です!

橋本:裏社会の資金ブローカーである堂島は、街を裏で仕切っているボスの立ち位置。個人的にはこういうタイプの役をいただくことが多いんです。不思議なことに(笑)。

阿部:不思議ですね~(笑)。見た目はたしかにイメージありますけど、中身は本当に優しすぎるので……人に飼われたクマって感じです。

橋本:いい意味だよね、それ(笑)!? 

阿部:もちろん。読み合わせのときに席が隣だったんですけど、色気がすごかったです。

ーーお二人とも、近しい部分もありつつ開拓しがいのありそうな役になりそうな印象を受けました。

橋本:こういう役は、やっぱり楽しいですね。似たタイプの役であっても、もちろん全然違うから。こう見えて、堂島って結構いい奴なんですよ。彼には彼の正義があるので。「誰の正義が一番正しいのか?」という見方をしてみると面白いんじゃないでしょうか。

阿部:過去に何度かアメツチ作品に出演させていただいているんですけど、毎回「当て書きか?」っていうくらい当ててくるんです(笑)。長正の場合は、僕が持つ“陽”の部分がすごく出しやすい。自分に近い感覚がありつつ、自分じゃない部分も出していけるというやりがいが各キャラクターにもあると思います。

(左から)阿部快征、橋本全一

(左から)阿部快征、橋本全一

ーー毒殺事件と失踪事件、2つの事件が交錯していくサスペンス。「新聞記者」や「裏社会の資金ブローカー」といった役どころとしては観客を翻弄する役割もありそうですが、どんな演じ甲斐がありますか?

阿部:陰のある役って、お芝居していると面白くないですか?

橋本:うん、面白い!

阿部:舞台だと、自分のセリフや動きでお客さんを掴んだ感覚があるんです。「今、空気が変わったな」って。一回「ん?」って止まる感覚。たぶんお客さんが「今、私が思ったことってなんだろう?」って考えている……あの瞬間は本当に気持ち良くなれますよね。

橋本:面白いよな。その一瞬で気付くんですよ。「今、食いついたな!」って。舞台の醍醐味だな。本当に空気が動く感覚。劇場が一気に締まるというか……これは、舞台をやらないとわからない感覚。

阿部:言葉にできないですよね。

ーーこの取材時点の稽古としては本読みを終えられた段階とのこと。カンパニーの印象や本読みの感想を聞かせください。

橋本:主演の(松井)勇歩くんは何度も一緒にやらせてもらっているので、安心しています。今後の稽古がたのしみです。

阿部:勇歩くんとは舞台『黒子のバスケ』以来の共演なんですが、「役者の勇歩くんだぁ……!」って思っていました。プライベートと違って、ボケないしツッコまないんだなって。

阿部快征

阿部快征

橋本:台本になければボケもツッコミもやらないよ(笑)。本読みについて言うと、役者としてあまり良くないことかもしれないんですが、僕は顔合わせで台本を初めて読むことにしているんです。これはあくまで僕の持論なんですが、読み合わせ一発目の感想って、劇場で作品を初めてみたときのお客さんとおそらく近いものになっている。キャラクターやストーリーを立てるところ、大切にしたいところを感じた上で稽古に臨みたいので。

阿部:本読み当日、話題に上がっていたのは(磯野)大くんが演じるジョセフ・ベル。スケジュールの都合で代役の方が読んだのですが、これを大くんが演じるとなるとかなり面白くなりそうで怖いなと。(松井)勇歩くんも「笑わないようにしないと」って言っていました(笑)。耐久力をつけたいですね。

ーーサスペンスの醍醐味といえば、緊迫感あふれる駆け引き。お二人が最近した、ちょっとした駆け引きを教えてください。

阿部:いっぱいありますよ。プライベートは駆け引きの世界で生きているので……。

橋本:なにしてんの、普段(笑)?

阿部:カードゲームです! 友達や先輩とあるカードゲームをビデオ通話でやるんですよ。

橋本:なるほど、カードだけ映して対戦するんだ。

阿部:そうです。カードの効果によっては山札から4枚引けるんですけど、そのときに数を偽って5枚引いたりしていて。それがいかに、ビデオ通話の対戦相手に見えないようにするかっていう。

橋本:イカサマだ!

阿部:終わった後にちゃんと申告しますよ! それに、ビデオ通話の特性を生かしているだけです。相手にはイカサマを見抜けなかったという落ち度がありますから。その時点で相手が指摘していれば僕の負けですからね。

橋本:ビデオ通話だけの特別ルールってこと? いや、普通に勝てよ!

橋本全一

橋本全一

阿部:男にはどうしても勝ちたいときがあるんです。もちろん、対面ではやらないですし、大会など公式の場では絶対にやっちゃダメですからね!

橋本:駆け引き……ホントにないかも。日常でそんなにある?

阿部:ありますよ。僕、500円玉貯金やってるんですけど「会計が800円のときに1300円出したら、500円玉でくれるかな?」って。

橋本:なるほどな、そういうのも駆け引きか。それでいうと、このあいだお昼にケバブを食べたんです。おいしかったから、仕事終わった後に夜ご飯用に買いに行って。同じ店員さんが対応してくれたみたいで「また来てくれてありがとう!」って、サービスで大盛りにしてくれてたんですが……一回で食べきれなかったんですよ。これ、駆け引きですかね(笑)?

阿部:駆け引きですね。大盛りサービスを勝ち取れたのに、食べきれずに負けたっていう(笑)。

ーー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

阿部:アメツチ作品、奥が深い題材を扱ったお話になっている。一筋縄ではいかない難しさに役者たちが向き合い、稽古してお届けしています。僕らの演じる姿、発するセリフをただ捉えるのではなく、考えながら見てほしい。一緒によく見て、よく聞いて、観劇していただけるとより面白いはずです。

橋本:同じく。これから一生懸命稽古していきます。このインタビューを読んだ人は、全員見に来てください!

阿部:(笑)。ぜひ、楽しみにしていてください!

(左から)橋本全一、阿部快征

(左から)橋本全一、阿部快征

取材・文=潮田茗       撮影=山崎ユミ

公演情報

『帝都残響 天鈿女は微笑まない』
 
日程:2026年2月11日(水・祝)~15日(日)
会場:あうるすぽっと
 
企画:安藤匠郎
脚本:鈴木佑輔:
演出:扇田賢(Bobjack Theater)
 
キャスト:
松井勇歩
黒木文貴 氏家蓮
阿部快征 前嶋曜
夏陽りんこ 千広真弓
磯野大 橋本全一 高田淳
梅澤 裕介
加藤良輔

■アフタートーク回
12日(木)14:00
登壇者:
梅澤裕介/加藤良輔/高田淳
千広真弓/夏陽りんこ
 
13日(金)15:00
登壇者:阿部快征/氏家蓮/黒木文貴/前嶋曜
 
14日(土)17:30
登壇者:松井勇歩/橋本全一/磯野大


SS席 ¥15,000(最前列センターブロック/先行入場)
S席 ¥12,000(前列/先行入場)
A席 ¥8,800
B席 ¥7,700
U-18席 ¥5,500
※前売平日割-1,000円(SS,S,A,B)
※A/B席は当日+500円
当日同伴割-500円
 
[先行入場特典について]
60分前から会場に入場できます。物販も入場時点から購入できます。
客席開場は30分前です

※未就学児入場不可
※車椅子席をご利用のお客様は、【A席】のを購入・発券後<サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日 12:00~15:00)>までご連絡ください。
※申込状況により、一般発売まで抽選の受付がない公演日(土日・千秋楽日等)、または受付がない席種があることもございます。予めご了承ください。
 
【U-18限定席注意事項】
※U-18限定席は各公演数量限定
※U-18限定席は、来場時に18歳以下のみ購入可。
※U-18限定席は、公演当日「当日引換え券受付」にて、年齢明記の身分証提示の上、座席指定券と交換。
※U-18限定席は、2名以上の場合はお並びのお席をご用意できない場合がございます。
※引き換えは必ず、お持ちのに記載されている開場時間から開演時間の間にお越し下さい。
 
製作:アメツチ
協力:
イマシブ/A&H Promotion/X-QUEST/オムニア/加藤企画/dynamize/株式会社狸プロダクション/bamboo
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