マリメッコのビンテージも『北欧のテキスタイルと暮らし展』東京と大阪で3月開催

2026.2.7
ニュース
アート

プリント布「ウニッコ」マイヤ・イソラ 1964〔マリメッコ〕 photo: Kentauros Yasunaga

画像を全て表示(12件)

『北欧のテキスタイルと暮らし展― Beauty for All ―』が3月25日(水)~4月13日(月)まで大阪髙島屋 7階グランドホールにて開催される。

1880s頃のテキスタイル 作者不詳 photo: Kentauros Yasunaga

北欧では古くバイキングの時代から、寒い冬を乗り切るため様々な織物が作られてきた。それがやがて手工芸となり、部屋を彩るインテリアとなり、アートへと発展。豊かな自然を感じさせる独特の色使い、思わず笑顔になる大胆で楽しい柄、感動を覚えるような芸術性に、時間を感じる圧倒的な手仕事の力。多種多様な美しいテキスタイル文化が花開いたという。

■主な見どころ
・北欧スウェーデンとフィンランドのテキスタイル約90点を現地から
・19世紀の手工芸から20世紀のアートまで、時代とともに移り変わる織物を展観
・ミッドセンチュリー期のプリントテキスタイルの名作をヴィンテージプリントで 

第1章 織の国、北欧 -家族のためのクリエイション 

テーブルクロス 作者不詳 1890 photo: Kentauros Yasunaga

ジャケット アンナ=カーリン・ヨブス・アルンベリ 2004 photo: Kentauros Yasunaga

 
北欧では古くからの手工芸である織物がインテリアとして発展してきた。 テキスタイルの原点といえる、名もなき農家の女性たちが、家族のために、そして嫁ぐ自身のために織った、美しい手仕事の数々を紹介する。 
 
キーワード① 思い出の詰まったテキスタイルを大切に使う 
 

ベッドカバー 作者不詳 1904 photo: Kentauros Yasunaga

第2章 Beauty for All -美しさを価値へ

【2-1】スウェーデン手工芸協会

19世紀後半、手工芸を営んでいた農村の生産者は、工業化の勢いに押されるように困窮していた。 1899 年に設立された「スウェーデン手工芸協会」は、手仕事の価値と尊厳を守ろうとした。手工芸協会の創者、リリィ・ジッケルマン(Lilli Zickerman 1858-1949)は1910年から1932年にかけて、カメラを片手に馬と橇(そり)でスウェーデン全土を巡り、撮影したモノクロ写真に手描きで色を塗って、伝統的なデザインの目録を完成させた。

【2-1】エレン・ケイと『Beauty for All』

美しさの中で暮らすことは、アーティストや目利きだけの特権ではなく「美しさを感受する心は誰にでもある」と、スウェーデンの社会思想家、エレン・ケイ(Ellen Key 1849-1926)は語る。 彼女の「美しいと感じるものと暮らすことが幸せをもたらす」という考え方は、北欧全域へと浸透し、ものづくりをするデザイナーをはじめ、民衆から国家に至るまで、大きな影響を与えた。 北欧の人々は、美しいテキスタイルがもたらす幸せとともに、豊かに暮らしてきた。そんな姿に思いを馳せながら、作品を鑑賞してみては。

エレン・ケイが暮らしたストランド荘 photo: 須長檀

第3章 デザインの黄金時代 -織とプリント、それぞれのモダニズム 

モダニズムの発展を経て、ミッドセンチュリー期にはテキスタイル・デザインの黄金時代を迎える。 

【3-1】アートへと昇華する織物 -特別な空間を象徴する存在へ 

ラグ「貝殻」バーブロ・ニルソン 1943〔MMF工房〕 photo: Kentauros Yasunaga

1920 年代頃から確立されていったモダニズムの潮流は、伝統的な織物技術を芸術の域へと高めた。 マルタ・モース=フィエッターストローム(Märta MååsFjetterström 1873-1941)は、手工芸協会の創設者、リリィ・ジッケルマンとともにモダンなデザインの開発などに携わったのち、1919年、スコーネ地方、ボースタッドに自身の織物工房〔MMF工房〕を開き、バーブロ・ニルソン(Barbro Nilsson 1899-1983)、マリアンヌ・リヒター(Marianne Richter 1916-2010)ら、優れた織り手を集めてラグを制作した。 

キーワード② 教会などの特別な空間を装飾する 

《スウェーデン》 バーブロ・ニルソン/ヴィオラ・グロステン/マリアンヌ・リヒター/イングリッド・デッサウ/ほか 《フィンランド》 ドラ・ユング/マルヤッタ・メッツォヴァーラ 

【3-2】日常を彩るプリントデザイン ―テキスタイルがもたらす豊かな暮らし

プリント布「タンゴ」マイヤ・イソラ 1968〔マリメッコ〕 photo: Kentauros Yasunaga

もう1つのモダニズムの潮流は、1930~40年代のプリント技術の発展を背景にしたものだった。 才能あるデザイナーたちが、スクリーン捺染という新しいキャンバスを得て、自由で大胆なクリエイションが普及。工業製品として届けられたプリント生地の中から、人々は好みのデザインを選び、自分の手で空間を飾り、服を縫うことで、自分自身の日常を彩るクリエイションを楽しんだ。 

プリント布「トゥリプー」ヴィオラ・グロステン 1951〔NK百貨店〕 photo: Kentauros Yasunaga

キーワード③ 自分のセンスで部屋のインテリアをコーディネートする

《スウェーデン》 ヨセフ・フランク/スヴェン・マルケリウス/ゴータ・トレガルド/ゴッケン・ ヨブス/アストリッド・サンペ/ヴィオラ・グロステン/スティグ・リンドベリ/ハンス・クロンダール/ほか 《フィンランド》 マイヤ・イソラ/マルヤッタ・メッツォヴァーラ/ヴォッコ・エスコリン=ヌルメスニエミ 

第4章 さらなる自由へ ―表現の場として広がる可能性

テキスタイルは実用から解き放たれ、アーティストの内面や社会へのメッセージを表現する、純粋な「個人のクリエイション」のメディアとなった。アートとして、部屋に飾られて心を満たすだけでなく、誰もが目にする公共的な空間にも展示され、人々に安らぎをもたらすなど、社会的な役割を果たしている。 

ラグ「ヘファイストス」リトヴァ・プオティラ 1965 photo: Katja Hagelstam

キーワード④ 部屋にアートとして飾って心を満たす 

《スウェーデン》 アニタ・グラフマン/アグネータ・フロック/エヴァ・ロデニウス 《フィンランド》 ウフラ=ベアタ・シンベリ=アールストロム/リトヴァ・プオティラ/メリッサ・サンマルヴァーラ/ほか 

エピローグ -未来へ紡がれるテキスタイルと暮らし

北欧の基礎学校(小中一貫校)には、伝統的手工芸について学ぶ「スロイド」という授業があり、実際に大きな機織り機で織物づくりを行うこともある。また、大人になってから手工芸学校に通い、学び直すこともできる。誰にでも開かれた、手仕事や自然素材に触れられるこうした経験が、北欧のテキスタイルを未来へとつないでいくのである。

若者たちが結成した織物工房「スーパー7」の制作の様子 photo: Kentauros Yasunaga

キーワード⑤ 誰もが目にする公共の場の文化的な景観をつくる 

は、イープラスにて販売中。

イベント情報

『北欧のテキスタイルと暮らし展― Beauty for All ―
<東京>
会期:2026年3月4日(水)~3月16日(月)
会場:日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール
入場時間:午前10時30分~午後7時(午後7時30分閉場)
※最終日3月16日(月)は午後5時30分まで(午後6時閉場)
<大阪>
会期:2026年3月25日(水)~4月13日(月)
会場:大阪髙島屋 7階グランドホール
入場時間:午前10時~午後6時30分(午後7時閉場)
※最終日4月13日(月)は午後4時30分まで(午後5時閉場)
お問い合わせ:06-6631-1101(大阪髙島屋代表)
【入場料】
一般1,200(1,000)円、大学・高校生1,000(800円)、中学生以下無料
※( )内は前売り料金。前売り券は、イープラスにて各会場の会期前日まで購入できる。
 
主催:北欧のテキスタイルと暮らし展実行委員会
後援:スウェーデン大使館、フィンランド大使館
監修:川上玲子(北欧建築・デザイン協会 前会長)
協力:カスタール、スウェーデンハウス、天童木工
企画協力:JR東海エージェンシー、Handcrafteriet