つきみ、Re:nameが学生に贈ったエール「お互いでっかくなって、また一緒にライブハウス作ろう!」ーー『大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻 presents “音サウナ”』DAY1レポート
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『大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻 presents “音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』 撮影=渡邉一生
2026年1月17日(土)と18日(日)の2日間、大阪音楽大学ミュージックビジネス専攻4期生が企画した『大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻 presents “音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』が行われた。本イベントは、2022年度より大阪音楽大学に開設された「ミュージックビジネス専攻」の授業の一環として、毎年1年生が自分たちで企画運営を担うライブイベント。今回は『音サウナ』と題して、25名の学生が2つのチームに分かれ、2日間でそれぞれテーマに基づき、音楽業界のプロのサポートのもと、ブッキングから当日の運営までを行った。
テーマは1日日が「ポップ! ロック!! HOT!!!」、2日目が「ROCKTOWNでChill down」。1日目にサウナのような「HOT」な時間を過ごし、2日目は水風呂でクールダウンするように「ととのい&癒し」を表現するという構成だ。本記事では、1日目の模様をレポートする。
『大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻 presents “音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』2026.1.17(SAT)大阪・阿部野ROCKTOWN
開演時間の少し前にROCKTOWNに到着すると、受付で学生たちが「こんにちは!」と明るく迎えてくれた。寒さ厳しい日だったので、この歓迎ムードに心がホッとあたたかくなる。ロビーには本イベント特製フラッグが飾られ、出演者のサインが書き込まれていた。
1日目に出演したのは、つきみとRe:name。ブッキングも学生たちが意見を出し合い、プロのコンサートプロモーター、プレイガイド、メディアなどのサポートで実現した。また、大阪のラジオ局・FM802主催のサーキットフェス『MINAMI WHEEL 2025』の連携イベントとしても実施されたことから、『MINAMI WHEEL 2025』のパスを持参した人にはステッカーをプレゼントするという企画も行われていた。学生たちは案内や誘導などそれぞれの役割を楽しみながら全うしているようだった。
つきみ
先攻は、福島県いわき市発のつきみ。イベントオリジナルのジングルが流れ、2NE1の『I Am the Best』をSEにして、ににちゃん(Vo.Gt)、りーたん(Bass.Cho)、しゅか(Dr.Cho)が元気にステージに現れると、お立ち台に乗ったににちゃんがいきなり「ウォー!!!」とシャウト! 場の空気を一変させるほどの咆哮で、一瞬にして観る側の集中力のスイッチがオンになった。幕開けはしゅかのカウントからドロップされた「ねー、ダーリン」。りーたんが前に出て華やかに煽り、しゅかも笑顔でビートを繰り出し、ににちゃんは感情を吐露するように歌声を響かせる。オーディエンスと目を合わせ、パワフルなロックンロールを真っ直ぐに届けていく。
続けざまに「寝込むくらい」を演奏し、「ワールドエンド」ではがなるように歌唱、床に転がってギターを弾いたかと思えば、ラストはピンスポを浴びてシリアスにプレイするににちゃん。静と動の対比が強烈なパフォーマンスで、表現力の高さを提示した。
ににちゃんは優しい瞳でフロアの学生を見つめ、「学生の皆さん呼んでくれてありがとうございます」と挨拶。「ライブ前に話したらとても良い子たちで、こういう子たちがつきみの音楽を聴くってことは、たくさんのことに悩んで、色んな音楽に夜を救われたのかもしれない。たくさんの愛で呼んでもらった分、うちらができることはカッコ良いライブをしてお返しすることだと思ってます。夢は見るものじゃなくて叶えるもの。そういう曲をひとつやらせてください」と言葉を添えて「LOVE KILLER」を披露した。冒頭、澄んだ高音ボーカルの弾き語りで聴かせると、一気に音圧がアップ。それにつれて歌声も熱を帯びる。曲中も「たくさんの不安を抱えながら学校に通ったり仕事に行ったりしてると思う。どうか届きますように」と観る者に寄り添い、「届け!」と全身で叫ぶ。命を燃やすような圧倒的な熱量に心を射抜かれた人も多いのではないだろうか。
学生主催のイベントに誘われたのが初めてで「とても嬉しい」と何度も伝えるににちゃん。「皆の目を見て思ったけど、多分音楽が死ぬほど好きなんだと思います。これは持論だけど、バンドを始める前は、音楽は人を救ったり助けると思ってなかったし、今だって自分が作る音楽で人を救ってやろうというのはおこがましいと思ってる。だけど、私たち若者はやりたくないことをやってる暇なんかなくて、やりたいことだけにただ真っ直ぐ走って、君たち自身が自分を見失わないよう、自分だけを生きていけるようにと祈ってます。お互いでっかくなって、また一緒にライブハウス作ろう!」とエモーショナルなメッセージを贈ったのだった。
より生命力をみなぎらせたラストスパート。1月11日にリリースされたばかりの最新曲「べいびーぶれいかー」は、しゅかとりーたんのコーラスがキャッチーでキュートながら、過激な独占欲と孤独を歌った歌詞がどこか切ない1曲。「バカ男とバカ女に引っ掛かんないでね!」という先輩からのアドバイスもあり、フロアは拳をあげて呼応した。別れた恋人への愛憎渦巻く「ミッドナイトセブンス」を叩きつけた後は「うそロック」を全力投球。衝動性と攻撃性が入り混じったサウンドで疾走し、シンガロングでひとつになった。まさにサウナのごとく、抗いようのない音圧と熱波で身を焦がした35分だった。
Re:name
後攻は、大阪北摂発のRe:name。中学高校の同級生で結成した彼らは、今年3月に結成10周年を迎える。サポートメンバーのひがし(Ba)とステージに立った高木一成(Vo)、Soma(Gt)、ヤマケン(Dr)。まずはポップチューン「Saturday,Sunday.」を高らかに届けると、ロックに「People」を投下。床が揺れるほどのジャンプでのっけから会場がひとつに溶けあう。
高木は「今日は学生が多いらしいので一緒に歌える歌持ってきたんですけど、声出せますか? 10代もっと聴かせてくれ!」と叫び、コール&レスポンスを練習して「愛はきっとLonely」へ。疾走感のあるサウンドに乗せて伸びやかに広がる高木の歌声。自然発生したクラップに微笑んで「大阪上出来です! けど俺まだ求めちゃってるわ。なんでかと言ったら、今年初ライブなんですよ! 初ライブが今年の頂点であってほしい。大きい声出してくれますか!」と煽り、Somaのギターソロからフロアの温度はもう一段階上昇。熱くて心地良いグルーヴに飲み込まれていった。
バンドとして10年のキャリアを積み上げてきた彼らは、ここにきてより勢いを増している。洋楽ポップスにJ-POPやK-POPなどを織り交ぜ、オリジナリティ溢れる楽曲として昇華する力が進化し、唯一無二の音楽性を確立した。今の彼らの調子の良さはライブを見ればすぐわかる。さらにこの日はRe:nameが人生の先輩として経験してきた知見や希望を、楽曲を通して学生たちに届けていた。
MCで高木は改めて「今日、2026年の1本目(のライブ)があったのは、大阪音大の方が『MINAMI WHEEL 2025』で俺らを観て指名してくれたからだと聞きました。本当にありがとうございます」と感謝を述べて、11月にリリースされた冬ソング「Vintage Car」で優しく満たしていく。
Re:nameは16歳の時に結成し、現在26歳。メンバーはしみじみと10年を振り返る。高木は「学生の時から続けてるものがあるのを僕は誇りに思っていますし、メンバーのことも誇りに思っています」と述べて、「俺実は、マジ誰にも言ってないけど、大阪音大の作曲コースの資料取り寄せたことあるねん」とメンバーも知らないエピソードを明かす。「だから(今日誘われたのは)すごく感慨深いし、Re:nameを指名してくれた人の顔に泥を塗らないような良いライブをしたいと思うんです。「呼んで良かったな」と思わせたいし、「あいつRe:name呼んだのセンス良いな」と思わせたい。一緒にそれを証明してくれませんか!」とギアを上げる。この高木の言葉はブッキングした学生にとって大きな喜びとモチベーション、今後の学生生活の糧となったことだろう。
ラスト3曲。FM802 2023年3月度の邦楽ヘビーローテーション曲「prettyfine :)」、とびきりのポップチューン「24/7」を連投し、最後は「Happy End Roll」を披露。歌いながら高木は「大阪音大のあなたのおかげで、今日こんなに多くの人に出会えた!」と、出会いへの感謝を強調していた。歌詞にある<光の中で続いていく日々>は、特に学生生活を示しているように感じられた。人生の中で出会う音楽、人間、景色、感情に寄り添いながらドラマチックにアンサンブルを放ち、まばゆい光の中でフィニッシュした、2026年一発目のRe:nameのライブ。最高の余韻を残しつつ、力強く10周年イヤーをスタートした。
こうして『“音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』の初日は無事に終了した。学生たちの想いに応え、素晴らしいライブで魅了してくれたつきみとRe:name。テーマ通りの「ポップ! ロック!! HOT!!!」な時間を、会場にいた全員で共有することができた。学生たちには、この熱き場所を作った自分たちを誇りに思い、これからの学校生活を真っ直ぐに楽しんでほしい。
取材・文=久保田瑛理 写真=オフィシャル提供(撮影:渡邉一生)
2月5日(木)正午12:00〜2月28日(土)23:59まで、大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻のサイト内で、当日のダイジェスト映像が無料公開されることが決定した。当日の模様をぜひ映像でも追体験してほしい。
セットリスト
presents “音サウナ” -MINAMI WHEEL EDITION-』
協力:FM802/A.C.P.C.関西支部会/ROCKTOWN/イープラス 他