中村梅雀&紫吹淳&礒部花凜、豪華キャストで30年ぶりに復活! オールディーズ・ミュージカル『リトル・ダーリン』

2026.2.5
インタビュー
舞台

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1998年に岡本さとる原作で初演を迎えたオールディーズ・ミュージカル『リトル・ダーリン』が、約30年の時を経て、この冬待望の再演を果たす。

物語は高度経済成⾧期の1965年、新宿の片隅にあるライブハウス『ゴールデン・パレス』が舞台。『ゴールデン・パレス』のオーナーは元ロックスターの柳二郎で、彼のもとには夢を忘れられないミュージシャンたちが集っていた。その一人、専属歌手の定金幸は、スキャンダルで子どもと引き離された過去を持ち、トラウマから十八番の『テネシー・ワルツ』が歌えずにいる。そんななか、二郎は食堂の出前持ちの下川恵子の秘めた可能性に気づきーー。

主演の二郎に扮するのは、役者のほかベーシスト・作曲家の顔も持つ中村梅雀。さらに定金幸役の紫吹淳、下川恵子を演じる礒部花凜に、宮原浩暢、清水彩花、室たつき、金井勇太と、バラエティに富んだ実力派キャストが集結。懐かしのオールディーズナンバーと共に、ハートフルな作品世界を描き出す。

開幕直前、稽古場にお邪魔して中村梅雀&紫吹淳&礒部花凜の3者にインタビュー。本作にかける想いを聞いた。

――梅雀さんは元ロックスターでライブハウスオーナーの二郎を、紫吹さんは過去にトラウマを持つ歌手の幸を、礒部さんは二郎に才能を見出される恵子を演じます。みなさん役作りはどのようにされていますか。

梅雀:自分自身と重ね合わせたり、想像したり、いろいろですね。二郎はバンドで成功を掴んだと思ったら、最愛の人を失った。バンドも解散して、受け継いだ店もうまくいかず、体調もよくないし、酒を飲むしかなくなっている。そういう二郎の過去の経緯が、曲と共に観ている人に伝わるといいなと思っています。

紫吹:私が演じる役は、『テネシー・ワルツ』に思い入れがある。彼女の過去が明らかになり、そこでまた歌い方が変わっていくんですよね。女性のダークな部分も見えてくるし、すごく感慨深いなと思いながら演じています。

礒部:私が演じる下川恵子は、岡持ちを持って登場する食堂の出前担当の女の子です。役作りについては、なるべく自分の中でイメージを固めすぎず、みなさんの空気や、演出、そして台本に実直にやっていたら、その役が形作られていくんじゃないか、という気がするんです。だから、役が自分の中で完成するまで、少し時間がかかるタイプです……。

紫吹:私も舞台に立たないと出来上がらない人(笑)。それまで、ああでもないこうでもないって、いろいろやってみたらいいと思うよ。

梅雀:お客さんが入って初めてわかることの方が多いから。

紫吹:全然違いますよね。稽古場だとエネルギーが飛んでいかないというか。だけど幕が開けた瞬間、バン!と何かが変わるのを感じます。

梅雀:みんなスイッチが入るし、ここでお客さんは反応するんだというのもわかる。どこでメリハリをつけたらいいかって、そこからやっとわかってくる感じかな。

中村梅雀

紫吹淳

礒部花凜

――稽古の様子はいかがですか?

梅雀:僕以外みなさん歌専門の方たちばかりで、その中で元売れっ子歌手役を演じなきゃいけない。非常にどぎまぎしています(笑)。

紫吹:梅雀さんが中心となって穏やかな雰囲気を作ってくださっていて、すごく楽しい現場になっていますよね。

梅雀:紫吹さんとは以前僕のドラマ『BAR レモン・ハート』でご一緒したことがあって。ずいぶんお久しぶりですけど。

礒部:私はお二人と共演させていただくのは今回が初めてで、とても緊張しています。実は、私が人生で初めて舞台を観たのが、リカさん(紫吹)が主演された宝塚の作品で、あまりのかっこよさに衝撃を受けて、この世界に入りたいと思うきっかけになりました。以前リカさんが、私の出演した舞台を観に来てくださったことがあったのですが、客席でひときわ光を放っている方がいて、「あの方は、絶対リカさんだ!」と思いました。それくらいオーラがすごかったですね。

紫吹:フフ(笑)。

礒部:だからまさか共演できるなんて、本当に夢のようです。あとシンさんもそうですが、優しい先輩方ばかりで楽しいです。

紫吹:梅雀さん、シンさんって呼ばれているんですよね。

梅雀:礒部さんに「梅雀さんって本名ですか?」って聞かれて、「いやいや本名は三井進一だよ」と言ったら、「じゃぁ、シンちゃんって呼ぼう!」って(笑)。

礒部:でも、演出の中本吉成さんに「シンちゃんは絶対にダメ!」と、シンさんと呼ぶようにしています(笑)。

――物語の舞台は1965年、日本が高度成長に沸いていた頃でした。この時代にどんなイメージがありますか?

梅雀:僕の初舞台は1965年6月1日。9歳でした。なのであの時代の雰囲気はわかっていて。オリンピックの後で、高速道路ができたり、カラーテレビが出てきたり、あと音楽も変わっていった。70年代に向けてビートルズがものすごい勢いで出てきて、同時に69年のウッドストックがあったり、音楽と文化がドラッグと一緒に発展してた。危ない勢いがあって、それがすごく魅力だった頃。僕も影響されて髪の毛を伸ばし始めて、最終的に肩までありました(笑)。

紫吹:1965年というと、私はかろうじて生まれてないけれど(笑)、すごく勢いがあった頃ですよね。たぶん女性もその辺りからちょっとずつ強くなってきた時代ではないでしょうか。

礒部:私は1994年生まれなので、当時のことは想像でしかありませんが、台本からも活気を感じますし、みんなヤル気や勢いがあって、羨ましい時代だなって感じます。

梅雀:1994年生まれというと、バブルを知らないんだね。それはちょっと可哀相(笑)。

紫吹:私はバブルの時期に宝塚に入っちゃったから、こんなんなっちゃいました(笑)。まだ入団直後のぺーぺーなのに、人数合わせで夜な夜な高級店に連れて行かれるんです。毎日お寿司を食べて、「お寿司はもういや!」なんて、まだ10代の頃に言ってましたね(笑)。

礒部:すごい世界!私もそういう時代を体感してみたかったです!

――作中はオールディーズの名曲の数々を生歌と生演奏で披露されます。

礒部:私はもともと中学・高校時代に60年代の楽曲を好んで聴いていたので、作品内で使われている楽曲は、聴いたことがある曲がほとんどでした。それに最近は昔の曲がまた流行っていますよね。例えば劇中に出てくる『ヴァケーション』は、みんな旅行先で動画を撮ってSNSに投稿したり。ただ英語の歌詞を歌う機会があまりないので、どうしよう!と思っています。

梅雀:僕はずっと洋楽に夢中で、日本のポップスは全然聴かなかったので、英語の方がむしろ耳が慣れていて。だけどいざ歌うと違う。何しろベースを弾きながら英語でロックを歌うのは50数年ぶり。相当苦労しています。特に『リトル・ダーリン』は歌詞カードも一般的に出回ってないし、原曲を聴くとどれが本当の歌詞だかわからないくらいいろいろな声が入っていて。『ブルー・スエード・シューズ』もすごい早口で、いまだに口が回らないし(笑)。

礒部:シンさんの歌声、深くて、大人で、素敵だなって思います。あと、ベースがめちゃくちゃかっこいい!

梅雀:ありがとう(笑)。12歳から弾き始めたので、ベース歴は58年。でも歌いながら演奏するのは久しぶりで、歌詞が飛んでいっちゃったりすることも。今回はバックでベースを演奏する曲もたくさんあるけれど、それはうれしいですね。歌のバックって、歌い手の呼吸に合わせて弾かなければいけないので、結構難しいんです。だからこそ、やりがいがあって。

紫吹:私はやっぱり英語の歌詞に苦労させられています。英語の歌詞をそのまま発音すると、どうしても日本人が喋る英語になってしまう。なので、まず原曲を聴いて、それを聴こえた通りにカタカナで書き出しています。

梅雀:とにかく聴きまくるといいよね。それでコピーして、口慣れした方がいいかもしれない。

紫吹:そうですね。いろいろな想いや歴史が見えるように歌いたい、というのが自分のテーマであり、課題でもあります。なかでも『テネシー・ワルツ』が聴かせどころだとは思いつつ、最後でずっこけたらどうなっちゃうだろうって、ちょっと責任を感じていて(笑)。

梅雀:歌っているうちに、感極まってしまう、っていうのはどう?

紫吹:その手があるか! いいアイデアかも(笑)。

――作品を通して、お客さんにお伝えしたいものとは?

礒部:誰も成功すると思っていない女の子が、梅雀さん演じる二郎、そして紫吹さん演じる定金幸に支えられて花開いていきます。見てくれている人がいることで人は変わっていける、そんな恵子の心の成長を見ていただきたいです。登場人物の誰もが一生懸命に生きようとしていて、それぞれに寄り添って観ていただける作品になると思います。ちょっとしんみりもするし、ほっこりもする。あたたかい気持ちを持ち帰ってもらえたらうれしいです。

紫吹:ちょっとほろ苦く、切ない物語だけど、ハートフルな部分が流れています。とてもいい時代の懐かしい曲ばかりで、あの時失恋した曲だ、結婚した頃の曲だとか、それぞれみんなスイッチを持っていると思うんですよね。さまざまな思いを馳せながら楽しめる作品になればと思っています。

梅雀:二郎と定金幸は、恵子に出逢い人生に変化が起きます。恵子に一生懸命教えることで、止まっていた自分の時間が動き出して自身も蘇生していく。そんな二郎の姿を見届けてください。
登場人物それぞれの人間模様があって、それがだんだんほどけていく。観ている人の人生のどこかに触れてくれるといいなと思うし、それぞれ見ながら自分の歴史を思い出してもらえたらいいですよね。

取材=小野寺悦子 写真=谷中理音

公演情報

オールディーズ・ミュージカル『リトル・ダーリン』

原作:岡本さとる 
脚本:万葉 
演出:中本吉成 
音楽監督:ただすけ
出演:
中村梅雀、礒部花凜、清水彩花、室 たつき、馬場亮成、
金井勇太、宮原浩暢(LE VELVETS)、紫吹 淳
演奏:ゴールデン・ブラザーズ
ピアノ・キーボード ただすけ
ドラム 池本公生 サックス 西野右善
日程:2026年2月6日(金)~8日(日)
会場:あうるすぽっと
料金:S席9,900円 A席8,800円(税込・全席指定)
は各プレイガイドにて発売中。
お問合せ:アーティストジャパン 03-6820-3500
公式サイト:https://artistjapan.co.jp/aj_little-darling2026/
公式X:x.com/aj_information/
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