3大テナー初来日から30年、ボッチェリ・IL DIVOそしてREAL TRAUMのジャパン・ツアーへ

2026.2.7
コラム
クラシック


故ルチアーノ・パヴァロッティ、ホセ・カレーラス、プラシド・ドミンゴ、3人の世界を代表するテノールたちが集い、「3大テノール(原語的には3テナーズ)」として初来日して、96年に旧国立競技場でコンサートをしてから30年である。ベルカント唱法を使って、朗々とクラシックやポピュラーの名曲を圧倒的な迫力で歌うと言うスタイルの魅力は、オペラやクラシックと違った新しいエンターテイメントとして世界中を魅了し、それと交代するように21世紀に音楽シーンに現れたのが、ミラノコルティナオリンピックの開会式にも出演した盲目のテナー=アンドレア・ボッチェリ、そしてIL DIVOであった。テナーにバリトンも加えた4人の声楽家たちで構成され、クラシック音楽の声楽メソッドでポピュラー音楽を歌うという、「クラシカル・クロスオーヴァー」というスタイルを確立し、自分たちの音楽をポペラ(ポップ+オペラ)と呼び、シーンを席捲した彼らがこの春に久しぶりの来日公演を果たすが、日本において彼らの系譜を継いだグループとして、2023年に浜離宮朝日ホールでデビュー公演を果たした、リアル・トラウムというグループの人気が急伸長している。2025年2月16日にBunkamuraオーチャードホールを完売にして、本年2026年3月29日には2度目のオーチャード・ガラを発表、ついに初の全国ツアー(福岡・京都・名古屋・町田)に挑戦することとなった。

ウィーン市立音楽大学でオペレッタを学び、メルビッシュ湖上音楽祭に参加するなど国際的なキャリアを歩むテノールの高島健一郎をリーダーとして、東京芸術大学を卒業した同門の声楽家たち4人が集ったユニットで、高島のほか、ミュージカル畑で活躍する杉浦奎介と新国立劇場の研修生出身の鳥尾匠海という2人のテナー、二期会に属しオペラの世界で活躍するバリトン堺裕馬の4人によって、実績を積み上げてきた。間違いなく世界のクラシカル・クロスオーヴァーのトップグループのひとつに成長したと言えるだろう。

キャラクターが四者四様でヴァラエティに富んでいるのは、IL DIVOと同様だが、これまでのグループがイタリアやラテンがレパートリーの中心であったのに対して、高島がウィーンで学びドイツの歌劇場でレハール44公演に乗ることからも分かる通り、リアル・トラウムはドイツ・ウィーンの香りがレパートリーからも漂う。レハールの名曲「君は我が心のすべて」をグループのシンボル・ソングのように歌い続け、シューベルトの歌曲「魔王」を4人で役を歌い分けてみたりと、これまでのグループになかったレパートリーの掘り起こしがユニークである。もちろん、「誰も寝てはならぬ」や「オ・ソレ・ミオ」といった三大テナーから脈々と続くレパートリーもきっちりとおさえている。また、メンバーの多くがYouTubeチャンネルを各々もち、SNSでの映像展開など個人での活動も充実させていることも、新しい時代のクラシカル・クロスオーヴァーの到来を感じさせてくれる。グループのチャンネルの動画「千の風になって」は164万再生を記録したり、メンバーの鳥尾匠海のショート動画で「鬼のパンツ」を歌ったものなど、YouTuberとしての活躍も見逃せない。

そして、2025年10月には高島の長年の夢であったレハールのオペレッタ『メリー・ウィドウ』を完全日本語翻訳で高島自ら翻訳し杉浦の演出で三越劇場での5公演も実現。2月8日(日)と9日(月)にはついにライブイマージュでも葉加瀬太郎や加古隆と同じステージでフロントアクトをつとめる(※ちなみにこの公演への出演を記念して、配信中の「メリー・ウィドウ」の配信期間が1週間ほど延長されている)。ドイツ語で「夢を実現する」といった意味のグループ名通り、夢を実現し続けるグループと言えよう。

ついにたどりついた2度目のオーチャードからスタートするジャパン・ツアーは、そんな彼らのユニークさと勢いが詰まったコンサートとなりそうだ。ミュージカル『オペラ座の怪人』から「Music of the night」や「All I ask of you」など新しい曲が聴けるのはもちろん、大好評のうちに終わった秋の『メリー・ウィドウ』を振り返ってその名場面集が予定されているのはファンも嬉しいところだろう。昨年も取り上げて、そのアレンジの素晴らしさが好評だった「アンパンマンのマーチ」アダルト版はもちろんのこと、「ボヘミアン・ラプソディ」やアバの「ダンシング・クィーン」などポップスの名作を彼らがどんな風に料理してくれるのかも楽しみなところである。そして当然「誰も寝れはならぬ」や「千の風になって」など彼らの定番曲となったものも演奏予定である。2月10日(火)深夜にBSフジで盟友ピアニストBudoをナビゲーターに迎えた特別番組『REAL TRAUM~ジャパン・ツアーへの道』の放送も予定されており、デビューからこれまでの彼らの姿をテレビでも堪能できる。

SPICEにグループのリーダー高島健一郎からコメントも寄せられた。

「今年もオーチャードホールという僕らにとって特別な場所に4人で立てることを嬉しく思います。
昨年の公演からそれぞれのメンバーが様々な舞台で経験を積み、グループとしてもパワーアップした姿を皆様に観て頂きたいです。
この4人の声だから出来る歌の新たな可能性を楽しみにしていてください。
夢の舞台、オーチャードホールでお待ちしています。」

文=神山薫

公演情報

『REAL TRAUM Tour 2026』
 
情報>
◎全席指定
先行受付:6,600円(税込)
一般発売:7,000円(税込)
※未就学児入場不可
 
<出演>
REAL TRAUM(高島健一郎・堺裕馬・杉浦奎介・鳥尾匠海)
高橋優介(Pf)(※3/29東京公演)/ 追川礼章(Pf)(※4/12福岡、5/5京都、7/4愛知、7/19東京(町田)公演)
大槻桃斗QUARTET(※3/29東京公演)
 
<曲目>
「トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ
「メリー・ウィドウ」より LOVE LOVE LOVE LOVE
Dancing Queen
千の風になって 他
 
<スケジュール>
日程:2026年3月29日(日)OPEN 13:00 / START 14:00
会場:東京・Bunkamura オーチャードホール
お問い合わせ:ライブエグザム
 
日程:2026年4月12日(日)OPEN 13:00 / START 14:00
会場:福岡・FFGホール
お問い合わせ:LAND TEL:092-710-6167 (平日 12:00~15:00)
 
日程:2026年5月5日(火・祝)OPEN 13:00 / START 14:00
会場:京都・ロームシアター京都 サウスホール
お問い合わせ:ライブエグザム
 
日程:2026年7月4日(土)OPEN 13:00 / START 13:30
会場:愛知・中電ホール
お問い合わせ:中京テレビクリエイション TEL:052-588-4477 (平日11:00~17:00 / 土・日・祝休業)
 
日程:2026年7月19日(日)OPEN 13:30 / START 14:30
地域:東京・町田市民ホール
お問い合わせ:町田市民ホール TEL:042-728-4300
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