ジョシュ・グローバン 山崎育三郎がゲスト出演する単独来日公演に向けたオフィシャルインタビューが到着
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ジョシュ・グローバン Photo by Sami Drasin
ジョシュ・グローバンが、単独来日公演を2月21日(土)・22日(日)に山崎育三郎をスペシャルゲストに迎えBunkamura オーチャードホールにて開催する。本記事では、同公演に向けたオフィシャルインタビューをお届けする。
ーー来月には「GEMS WORLD TOUR」で待望の来日も果たされますが、このツアーを通して観客にどんな体験を届けたいと考えていますか?
僕が何よりも大切にしているのは、観客との「つながり」なんだ。歳を重ねる中で、人生やキャリアの目標をいろいろ掲げてやってきた。いい曲を歌いたいとか、チャートのこととかを考えたこともある。でも、キャリアを重ね、世界中を回れば回るほど、人が同じ空間に集まって、心を通わせること以上に大事なことはないって思うようになったよ。クレイジーなことだらけの外の世界を少し離れて、同じ音楽を愛する人たちが集まる…その時間こそが大事なんだってね。
昔から僕の音楽を聴いてきてくれたファンのみんなには、ぜひ集まってほしい。そして一緒に歌えたらいいな。同時に、初めて僕のことを知る人たちにも、僕の曲を届けられたら嬉しいね。僕にとっては、愛がいっぱいの特別な数日間になるはずだ。待ちきれないよ。
ーーベストアルバム『Gems』を冠したツアーということは、ヒット曲満載のショーになるということでしょうか?
そりゃあもう!『Gems』からはたくさんやるよ。というか、初めての東京でのコンサートになるので、ファンの皆さんがずっと待っていてくれたヒット曲はやらなきゃいけないよね。ヒット曲は全部やるし、「To Where You Are」や「You Raise Me Up」といった僕のキャリアにとって特別な曲、みんながよく知っている曲、それに、ミュージカル・ナンバーも何曲かやるつもりだよ。日本は演劇やミュージカルが人気だし、素晴らしいパフォーマーも大勢いるからね。
それから、日本のためだけに録音した「この先の道」を今回、初めて披露するつもりなんだ。これまで一度もライヴで歌ったことがないから、すごく楽しみにしているよ。
ーー『Gems』にセレクトされたのは、あなたにとって重要な楽曲たちばかりのように思いますが、今、ご自身のキャリアをどのように見つめていますか?
この25年には、いい時も悪い時もあった。でも、キャリアを通してずっと「学ぶ立場」でいられたという点では、本当に恵まれていたなと思うよ。これは、誰もがそう言えることじゃないんだ。特に若くして大きな成功を収めると、同じことを何度も繰り返し続けなければならなくなる。
その点で、僕は本当に幸運だった。ファンの皆さんがそれを許してくれたからこそ、学び続け、成長し続け、そしていい意味で「怖さ」を感じ続けることができたんだ。彼ら自身も、僕と一緒に学び、成長したいと思ってくれた。だからこそ、僕たちは一つの場所に留まることなく、いろいろな形で音楽の力を一緒に探求してこられたんだと思う。
自分の道を自分で切り拓いてこられたことを、心からありがたく思っているよ。キャリアの初期は、本当に孤独だった。というのも、僕の音楽が一つのカテゴリーにフィットしなかったからだ。でもその孤独があったからこそ、自分自身のルールブックを書くことができたし、ファンとの特別な関係を築くこともできたんだと、今だからこそわかる。それは当時はわからなかったことだ。
その間には、いくつもの流行が生まれては消えていった。その中で活動を続けてこられて、しかも興味やインスピレーションを失わずにいられたのは、本当にラッキーだったと思う。そう思うと、すごく幸せな気持ちになるよ。
ーーアルバムに収録した曲の中で、今の自分だからこそ特別な想いを持って歌いたい曲はありますか?
キャリア初期の曲の中には、当時よりも今の方が、歌うのが好きだと感じるものもあるよ。それは、当時の自分がまだ経験をしていなかった感情を、今は知っているからなんだ。
歌い始めてから25年が経って、その間に人生経験を重ね、喪失や悲しみを知って、人を深く愛することも知った。ジョニ・ミッチェルが「Both Sides Now」で歌っていた人生の光と影、その両面が理解できるようになった今だからこそ、人生の両側を何も知らなかった17歳の自分が録音した曲と、改めて向き合うことができるんだ。
そして今の自分として、それらの曲に新しい意味、そしてより個人的な意味を与えることができる。たとえば「To Where You Are」は、大切な人を失うことを歌った曲だ。でも正直な話、あれを録音した当時の僕は、まだ誰かを本当に失った経験がなかった。祖父母も生きていたし、そうした感情を知らずにいられたのは、ある意味とても幸せなことだった。
しかし年齢を重ねるにつれ、心から大好きだった人たちを何人も見送ってきた。今では、その人たちを思い浮かべながら、あの曲を歌っているよ。そうした楽曲が僕にはいくつもあるんだ。
ーーその「To Where You Are」は間違いなく、セットリストに入りそうですね?
それは間違いないね。他にも「You Raise Me Up」「You Are Loved」「February Song」「この先の道」、そして山崎育三郎さんとのデュエットもね。今から日本に行くのが待ちきれないよ。
ーー山崎育三郎さんは映画『美女と野獣』の日本語吹き替え版で野獣役を演じられていて、あなたとも共通点がある方ですが。
ああ、彼とは野獣の兄弟同士になるんだ(笑)。なので「美女と野獣」はやるかもしれない。っていうかやらなきゃいけないね。彼に聞いてみるよ。そうだ、ビースト対決っていうのはどう?
ーーまだどの曲で共演するか、決まっていないのですか?
うん、まださ。来週からリハーサルを始めるので、そこですべての曲や参加してくれるアーティスト一人一人について、掘り下げていくよ。彼の大ファンなので、会えるのがとても楽しみだ。今回、ショーに参加してもらえるのは本当に光栄さ。
山崎育三郎
ーー山崎育三郎さんのどんな所がお好きですか? コラボレーションで、特に楽しみにしていることは?
彼には物語を語る力があるんだ。そして声には人の心を打つ情緒がある。世界中に、完璧なシンガーは大勢いるけれど、僕が心惹かれるのは、唯一無二の個性を持つシンガーだ。デヴィッド・フォスターがよく言ってたよ。「単に完璧に歌えるシンガーになるな。満席のレストランで、スピーカーから流れてきた声を5秒聴いただけで誰だかわかる、そんなシンガーになれ」ってね。育三郎の声にはまさにそんな豊かさがある。だからこそ、野獣のような役にピッタリなんだ。彼の声は聴く人に鳥肌を立たせ、素晴らしい物語を語れる声なんだよ。
僕ら二人が声を重ねたら、まるでチェロの二重奏のようになるはずだ。待ち遠しいよ。
ーー2Cellosならぬ、2Voicesですね。
そうだね。
ーー他にも、どんなステージにしたいと思っていますか?日本のために特別な趣向は?日本語でお喋りをしたりしますか?
うん。ぜひ日本語のメッセージを覚えて、皆に伝えたいと思っているので、その時は日本語を教えてね(笑)。
僕のバンドと共にステージに上がるのは、東京の素晴らしいオーケストラとコーラス隊なんだ。そして山崎育三郎さんも加わって、日本だけの特別なショーになるよ。何を歌うかは、その時、何を感じるかを大切にしたいので、本番直前まで何度も調整することになると思う。日本に着いて、強く心に感じるものがあったら、当日にリハーサルをしてやるかもしれない。
でも約束できるのは、日本のみんなにとっても、僕にとっても、これが唯一無二のショーになるということ。だってみんなも僕も、本当に長い間、この日を待ってたんだもの。僕にとって必ずや特別な夜になるし、それが客席にもきちんと伝わってほしいと心から願っているよ。
ーーこれまでにも数多くのアーティストとコラボレーションを行ってこられましたが、コラボ曲やデュエット曲を制作・準備する際に、音楽的に特に大切にしているポイントはありますか?
僕にとってデュエット曲は、相手とダンスを踊るようなものなんだ。だからそこを一番大切にしているよ。どんなシンガーが相手でも、最初は少し緊張する。特に、子供の頃からずっと聴いてきた偉大なレジェンドが相手ならなおさらだ。でも、二人の声が溶け合った時、特に自分とは少し違うタイプの声と歌う時にこそ、素晴らしい瞬間が訪れる。それぞれが一人では絶対に出来ないことが、そこでは生まれるんだ。
だから僕がデュエット曲で目指しているのは、自分にとっても相手にもとっても、新しい何かが生まれること。二つの世界が溶け合うような瞬間を作り上げること。素晴らしい声とハーモニー重なりあい、高音を一緒に決められた時ほど、最高の瞬間はないよ!
これまで、数え切れないほどの偉大なシンガーたちとレコーディングする機会に恵まれてきたし、そのすべてから多くを学んできた。実は3〜4ヶ月前には、バーブラ・ストライサンドと3度目のデュエットを録音したばかりなんだ。他にもトニー・ベネット、アレサ・フランクリン、ポール・サイモン、ニール・ヤング…たくさんのヒーローたちと歌ってこれた。これからも新しい夢や新しい”夢のデュエット”を追い続けていきたい。そうした機会をもらえることを、心からありがたく、そして光栄に思っているよ。
ーーUSツアーではジェニファー・ハドソンをゲストに迎えますよね?
ああ!ジェニファー・ハドソンとはまだデュエットの経験がなかったんだ。しばらく前から、彼女は「僕が死ぬまでにデュエットしたいシンガーのリスト」の一人だった。だから、ツアーを大いに楽しもうと思ってる。本当に素晴らしいシンガーだからね。
ジョシュ・グローバン
ーー今年の前半は、多くの時間をシンガーとしてステージで歌うことに費やすようですが、後半や来年以降もそうした活動が続きますか?他にもミュージカルや俳優の仕事もしていく可能性もありますか?
ああ、そうであってほしいね。テレビの仕事もまたぜひやりたいと思ってるよ。
ブロードウェイ版の『スウィーニー・トッド』には、自分の全てを注ぎ込んだ。1年間でほぼ300公演、あの重くて暗い役をやり続けるのは、精神的にも肉体的にも本当に過酷だった。だから千秋楽で最後の一礼をした時、「次にまたここまでの役を演じる前に、少し時間を置こう」と自分に言い聞かせたのを覚えている。
とはいえ、先のことは誰にもわからない。『スウィーニー・トッド』をやることだって、全く予想していなかった。もしふさわしいと思える作品にめぐり会えたら、もちろんやらずいはいられないよ。今でも舞台が僕の「初恋の相手」であることには変わりないし、素晴らしい演劇作品で物語を語っている時こそ、僕の魂と声は最も自然に一体になると感じている。
だから、また必ず舞台には戻るよ。ただ、次はコメディがいいかな。
ーー『The Good Cop』の新作とか?
いいね!『The Good Cop』ならまたやりたいよ。あれは本当に楽しかった。
ーーシンガーとしての、今後の目標を教えてください。まだやり遂げられていないことはありますか?
いい質問だね。というのも、僕はすごく若い頃から仕事をしてきて、44歳になった今思うのは「あの頃やろうと思ってきたことの多くはやってこれた」ということなんだ。幸運にもたくさんの夢を叶えることができて、時には新しい夢を見つける必要があると思えるほどだよ。そして嬉しいことに、僕はいつも探求し、成長するにはどうすればいいか、見つけようとしている。
例えば、これまでも作曲はしてきたけれど、今後もさらに映画やテレビ、ゲーム音楽といった、映像のための音楽を作っていきたい。元々、大の映画ファンだし、映画音楽も大好きで、これまでもたくさんレパートリーとして歌ってきているので、いつか僕自身が、映画のための音楽を書いてみたいよ。
実は日本公演の後には、映画音楽を集めたアルバムがリリースされるんだ。オーチャードホールのステージでは、そこからの曲を何曲か歌うつもりなので、日本のお客さんには一足早くお披露目できるのが楽しみだよ。
ボーカリストとしては、さらにいい歌を歌い続けたいし、正直でい続けたいよ。今度のアルバムは映画音楽のアルバムということもあって、壮大なスケールの作品になったけど、その次は少し小さめに、親密なアルバムを作ってみたい。例えばピアノと歌だけで、小さな会場で、より近い距離で音楽を届けるのもいいかもしれない。
ジョシュ・グローバン
ーー音楽活動の中で、一番嬉しかった瞬間や忘れられないステージと言ったら?
いくつかあるよ。長年の夢だったブロードウェイ・デビューがかなった『ナターシャ、ピエールと1812年の偉大な彗星』。スーパーボウルでパフォーマンスできたことも、本当に名誉なことだった。ネルソン・マンデラの誕生日に彼に歌を披露できたことも、実際に会えたことも忘れられないよ。
そしてつい最近のことだけど、ストーンヘンジでスパイナル・タップ(*ロブ・ライナー監督の名作モキュメンタリー映画『This Is Spinal Tap』に登場する架空ヘヴィメタル・バンド)と一緒に歌ったんだ。これまでの人生で、あんなクールな出来事はなかった!ロブと奥さんのミシェルもいたよ。それがつい最近のことさ。だからあんなことになってしまって(*実の息子によって夫妻が殺害されるという事件が12月に起きた)、みんな本当にショックを受け、打ちのめされているよ。でも僕は楽しかった思い出だけを胸に留めていたいんだ。実際、本当に楽しかったんだ。ストーンヘンジの遺跡を訪れたのは初めてだったけど、その前でクリストファー・ゲスト、ハリー・シェアラー、マイケル・マッキーンと歌ったんだよ。彼らはコメディ界のヒーローたちさ。それだけでも最高だったけど、ロブとミシェルがああいうことになった今、あの映画に関わるすべての人たちとって大きな意味がある場所で(*ストーンヘンジの巨大なモニュメントをステージに登場させる予定が、サイズをフィートではなくインチで書いてしまったため、小さな模型になってしまったという、映画最大のギャグのネタ)、二人が本当に楽しそうにしている姿を見られたことは…悲しいけれど、これからもずっと心に抱き続けていくと思う。
ーーそれは映像として公開されるものなのですか?
リリースが予定より遅れることは間違いないだろうけど、いずれかの時点で、ロブ&ミシェルのこれまでのレガシーへのトリビュートとして、発表されるのは間違いないと思う。コンサートとしてもだけれど、愛と笑いに溢れた本当に美しい夜だったからね。あとは遺族である二人の子供たち(Jake とRomy)次第だと思う。
ーーこれまで音楽的に影響を受けたアーティストは?
子供の頃から、いろんなタイプのシンガーを聴いていたけど、ミュージカルの分野だと、マンディ・パティンキン、ブライアン・ストークス・ミッチェル、ジョン・レイットが特に好きだったよ。
ロック・ファンでもあったから、10代だった90年代は最高の時代だった。ニルヴァーナやパール・ジャム、サウンドガーデンの…クリス・コーネルの声!ビョークのワイルドさや実験性も大好きだったし、ピーター・ガブリエル、アニー・レノックス、フレディ・マーキュリーもね。完璧さには興味がなくて、それよりはちょっと荒削りでも”感情を表現している”声に惹かれていたんだ。
ワールド・ミュージックも大好きで、ポール・サイモンからは本当に大きな影響を受けたよ。優しい声で心に響く美しい歌詞を書く一方で、ブラジルのドラムや南アフリカのクワイアを取り入れていて、そういう彼の曲を通して、子供だった僕はいろんな音楽に触れることができた。自分のアルバムが一つのスタイルにとらわれていないのは、子供の頃から、いろんな音楽をミックスすることにワクワクさせられてきたからだと思う。アルバムを作るたび、それはいつも意識していることなんだ。
ジョシュ・グローバン
ーーせっかく年が明けたばかりですので、2026年の抱負を聞かせてください。
新年の抱負って正直ちょっと苦手というか、一度として守れたことがなくてさ(笑)。みんなそうなのかわからないけど、だから大げさな目標は掲げず、ごくシンプルなことを願いたい。それは自分が愛する大切な人たちを、できる限り強く、たくさん抱きしめて、1日1日を精一杯生きること。だって、感謝すべきことは本当にたくさんあるし、その一方で、世界ではいろんなことが起きているからね。大きな目標や理想論にとらわれるより、幸せを感じられるシンプルなことに目を向けるべきだって、実はみんな感じているんじゃないかな。
僕の大好きな本は、実は日本の本でね。『IKIGAI』といって、文字通り、人の”生きがい”について書かれた一冊なんだけど、すごく共感できるんだ。コミュニティや家族の中で、自分の価値を実感させてくれる、ささやかな生きる目的を見つけることの大切さを教えてくれる本だよ。「幸せの探求」ということを人はよく言うけれど、幸せは一過的なものだから、いつまでも続くとは限らない。でも生きる目的は永遠のものだ。今年も「自分には”生きがい”がある」、そう思い続けられることが、僕にとって大切なことだと思うよ。
ーー茂木健一郎の『生きがい』ですね。
ああ。素晴らしい一冊さ。
ーー最後に、ジャパンツアーを楽しみにしている日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
僕から、日本のファンの皆さんに伝えたいのは、25年間にわたって注いでくれた愛への感謝です。日本には行けたり、行けなかったりで、これまでコンサートを実現することができなかったけれど、ずっとみんなの愛は感じてきました。コメントも読んできたし、日本を訪れた時には実際に会えた人たちもいる。そして今回、キャリアを通してずっと待ち続けた日本でのショーを2日行えることを、大げさじゃなく、心から本当に嬉しく思っています。ステージに立った時、それがみんなにも感じてもらえるはずです。僕が今、音楽を続けていられるのは、皆さんがインスピレーションを与え続けてくれたから。僕からはありったけの愛をステージから送るつもりなので、ぜひ会場でお会いしましょう。
インタビュー・通訳=丸山京子
公演情報
GEMS World Tour
2/21(土) Bunkamuraオーチャードホール 18:15開場/19:00開演
2/22(日) Bunkamuraオーチャードホール13:15開場/14:00開演
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999 https://udo.jp
S席 ¥18,000/A席 ¥17,000
企画・招聘・制作:ウドー音楽事務所
公演ページURL:https://udo.jp/concert/JoshGroban26