OSK日本歌劇団トップスター翼和希の「ダークな部分」とはーー100周年&南座で初上演の『春のおどり』に向け「劇場でOSKの桜を見て」
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翼和希 撮影=ハヤシマコ
1926(大正15)年に始まり、現在まで大切に紡いできたOSK日本歌劇団の伝統ある公演『レビュー 春のおどり』。和物ミュージカルと洋物レビューの二本立てで、伝統を大切にしながらも、常に新たな表現に挑み続けるOSK日本歌劇団の圧巻のパフォーマンスを楽しめる。大阪に春の訪れを告げる風物詩でもある同公演だが、今年は初めて4月10日(金)〜19日(日)に京都・南座で上演。続いて4月30日(木)〜5月5日(火・祝)に東京・新橋演舞場で上演となる。上演に先駆けて行われた製作発表記者会見の模様とSPICEでは4年ぶりとなるトップスター翼和希(つばさ・かずき)への単独インタビューをお届けする。
第一部は北林佐和子作・演出による和物ミュージカル「たまきはる 命の雫」。W.シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の世界を古代ヤマトの時代に移し、愛の物語を描く。第二部は平澤智作・演出の洋物レビュー「Silenphony」で、「ダンスのOSK」の呼び声にふさわしい、情熱あふれるエネルギッシュなレビューを送る。
製作発表記者会見では、OSK日本歌劇団のトップスター翼和希、娘役トップスター千咲えみ(ちさき・えみ)を筆頭に、華月奏(はなづき・そう)や城月れい(きづき・れい)ら主要キャストの劇団員も登壇。配役への思いをそれぞれ次のように話した。
左から羽那舞、椿りょう、天輝レオ、城月れい、千咲えみ、翼和希、華月奏、登堂結斗、壱弥ゆう、唯城ありす
ロミオを演じる翼。「ロミオとジュリエットという若い二人の間に、短期間に起こった出来事を描いた作品です。若さゆえの眩しいくらいまっすぐな愛を演じられたらと思います。古代ヤマトという時代設定だからこそ表現できるものがあると思うので、稽古で模索しながら挑みたいと思います」と意気込む。
相手役のジュリエットは千咲が勤める。「皆さんがイメージするジュリエット像があるように、私にもジュリエット像があるのですが、今回はせっかくの日本物ですので、古代ヤマトの時代に恋に生きた一人の女性を演じられたらと思います。どんなジュリエットになるか、今はまだまだ未知数ですが、先入観を持ち過ぎず挑もうと思います」と気合いを入れる。
モンタギュー大臣(おとど)役の華月は、羽那舞(はねな・まい)と夫婦かつ、翼の父という役どころ。「私たちにとっては初めての設定なので楽しみです。新しい関係性を描いていけたらと思います」。
キャピレット命婦役の城月は、「台本を楽しみにしているところですが、今から印象づけると、最初に台本を読んだ時に先入観が出てしまうので、あんまり考えないように、情報を入れないようにしています」。
神父のロレンスを演じるのは登堂結斗(とうどう・ゆいと)。「今回、ちょっと年上の役になるだろうと想像しています。今までになかったお役をさせていただけるので、すごくワクワクしております。これからいろいろな方が演じるロレンス神父を拝見して、少しでも何か盗んでいけたらいいなと思います」。
天輝レオ(あまき・れお)はティボルト役。「今回は時代設定もあり、自分がイメージする『ロミオとジュリエット』と同じと考えないほうがいいのかなって思っています。城月さんがおっしゃったように、私もこうと決め込まないでいようと思っています。ロミオやマキューシオと決闘する場面は、どんな演出で描かれるのかワクワクしています」。
パリス役は壱弥ゆう(いちや・ゆう)。「ジュリエット役の千咲さんに振り向いていただけるように精一杯頑張りたいと思います!」
マキューシオを演じる椿りょうは、「私事ではございますが……」と切り出し、「(OSKの)南座公演では亡くなる役が多くて、今回も無事、そうなるのではないかと期待しているところでございます」と茶目っ気たっぷりに語った。そして、「翼さん演じるロミオの親友役ということで、魂と魂がつながっているような深い友情をお届けできたらいいなと思います」と続けた。
千咲演じるジュリエットの侍女マリアは唯城ありす(ゆしろ・ありす)。「マリアはジュリエットが悲しい時も嬉しい時も、寂しい時も、喜んでいる時も、常に一緒だったのではないのかなと想像します。そんな千咲さんを近くで見ることができたら。頑張ります」。
そしてモンタギュー家室(いえとじ)を演じる羽那。「私は翼さんのお母様兼華月さんの妻という役をさせていただきます。このような役柄は初めてなので未知数ではありますが、北林先生が描かれる世界で生きられるよう頑張ってまいりたいと思います」と語った。
千咲えみ、翼和希、平澤智
第二部のタイトル「Silenphony(サイレンフォニー)」は、「サイレンス」と「シンフォニー」を合わせた造語で、作・演出の平澤は静寂にこそエネルギーがあると話す。「静寂って実は、すごく怖かったり、エネルギーがあったりすると思っていて、スタートの場面でそういったことをコンテンポラリーダンスのような演出で表現しようと思います。シンフォニーには“共に響く”という意味もあるそうなので、劇団のみんなが共鳴し合って、場面を作っていってくれたらいいなという思いを込めています」。
そんな平澤の言葉を受け、翼がこう話す。「平澤先生の作品は、本当にエネルギッシュに踊るイメージがあったので、最初に「サイレンス」という言葉が私の中では結びつきませんでした。今、静寂の中にもエネルギーがあるとお聞きして、ああ、なるほどと合点がいきました。静寂の中からふつふつと湧き出る新しいエネルギーもあるんだなと。コンテンポラリーも踊れるということで嬉しいです。頑張ります」。
続けて千咲も「平澤先生はよく“挑み感”とおっしゃいます。今回もどんな形で挑めるのか楽しみです。どんな踊りが来ても対応できるように、今からしっかり柔軟と筋トレをして、備えておこうと思います」と、笑顔を見せた。
千咲えみ、翼和希、平澤智
100年前、大阪松竹座で産声を上げた『レビュー 春のおどり』。OSKにとって大阪松竹座はいわば故郷のような場所だ。しかし、今年5月で大阪松竹座は100年の歴史に幕を閉じる。故郷がなくなる寂しさをかみしめながらも翼は、こう前を向く。「南座さんは少しコンパクトなので、お客様の存在感がより一層感じられると思っております。劇場に入るまでは京都の街並みを楽しんでいただき、劇場に一歩入ったらOSKのレビューの世界に浸っていただく。夢のような世界をお楽しみいただけると思いますので、春の風を感じながらOSKの桜を見ていただけたら」。
劇団創立から104年、常に挑み続けてきたOSK。今年もまた新たな1ページを刻む。
続いては、翼和希の単独インタビューの模様をお届けしよう。
翼和希
――まず、翼さんが思い浮かぶロミオ像とは、どういう人物像ですか?
真っ直ぐで、恋に恋する男みたいな、眩しすぎるほど若い人物です。ロミオは16~17歳ですよね。私はここ最近、17歳ばかり演じています。『へぼ侍〜西南戦争物語〜』の志方錬一郎、『三銃士 THE THREE MUSKETEERS』のダルタニャン、ロミオも17歳くらい。17歳に何かご縁があるのでしょうか。17歳の男子ということは、青すぎるがゆえに曲げられないこととか、折り合いをつけられないことがあって、それがいろんなことを起こしてしまう原因にもなっていると思うのですが、そんなぶれないところもロミオの魅力かなと思います。
――翼さんはどんな17歳でしたか?
高校2年生で、宝塚(歌劇団)受験のために必死にレッスンしていた時期ですね。毎日レッスンに行っていました。振り返ると、あの頃は本当に一生懸命な時期でした。
――SPICEでの翼さんの単独インタビューは2022年1月から7月まで掲載した、次のスターへと繋ぐリレー形式のインタビュー連載企画『OSK Star Keisho』以来です。その時にちょうどOSK100周年記念公演『レビュー春のおどり』で演じられた写楽のお話をされていて「お芝居で素の部分を見せることがちょっと難しかった」とおっしゃっていました。あれから約4年を経て、お芝居に対して大きな変化はありましたか?
ありました。お芝居に対しての感覚が変わりました。一番大きなキッカケは『ブギウギ』の出演でした。お芝居は元々好きで、演技中に自分の感情を動かしてはいるものの、「これをやらなきゃいけない」という意識が大半を占めていました。「なんで取りたいと思って手を伸ばしたのか」という過程に頭が行っていなかったなと、振り返ると思います。今は、役の人物でいるということを大事にしつつ、芝居の中で起きたことを新鮮に感じることを意識するようになりました。お芝居の捉え方が本当に大きく変わりました。
――どんな4年でしたか。
濃かったですね。いろんな体験をさせてもらえて、捉え方も変わって。ありがたい経験でございます。
――第二部では平澤先生が「ダークな翼さんも見たい」とおっしゃっていました。その時、去年の大阪国際文化芸術プロジェクト『レビュー Road to 2025!!』の第一部で演じられた菊慈童を思い出しました。「ダークな部分」と聞いて、翼さんご自身はどんなことを思い浮かべますか?
私は本来はダークな方です。皆様の前に出るとしゃかりき元気になっちゃうので、こう言うと「ええ!?」と思われることも多いのですが。ただ、ダークな部分というのは、暗いとかそういうことではなくて、自分の中の奥の方にあるものが出たらいいかなと思います。菊慈童もそうでしたが、自分の中にぐっと深く引き込みつつ、お客様の心の奥の方にもグーっと入っていくようなイメージです。平澤先生が「静寂の中に強いものを感じる」とおっしゃっていましたが、音を遮断した時の空間の張り詰めた感じとか、空気が全く動いていない時に感じる恐怖感、虚無感、孤独感とかもあると思うので、そういうものが「Silenphony」で表現できたらいいなと思います。
――毎年、『春のおどり』の製作発表記者会見があると、まだ寒くても桜のことを考えたり、もうすぐ春なんだなと思ったりするのですが、翼さんはこの時期、どんな心持ちでいらっしゃいますか?
いよいよだなと思います。『春のおどり』は年に一度のお祭りだし、それこそ一つの公演が100年続くって、どれだけすごいことか。劇団が100周年を迎えた時にも痛感しましたが、今回は特にそう思います。『春のおどり』に毎年、出させていただけることも当たり前じゃありません。製作発表記者会見に出させていただくようになってからは、その時のトップさんたちの言葉を直接聞ける機会ができて、より一層、先輩方の劇団に対する気持ちや、大阪松竹座の皆様の愛情を感じていました。今回も発表することができて、いよいよ始まるんやなと思いますし、今年は新橋演舞場でも公演がございますので、より一層、拍車がかかるように気合いを入れて演じていきたいと思います。
――南座は4月12日(日)、新橋演舞場は5月3日(日・祝)がイープラスの貸切公演です。貸切公演ではよくイープラスのポーズをさりげなくされていらっしゃいますが、今回も何かお考えであれば、ぜひヒントを教えてください。
そうですね……平澤先生はいつもショーに遊び心を入れてくださるので、自由なところもあると思います。なので、第二部でさっと入れられるのでは? ともくろんでおります。
――両日ともアフタートーク付きです。
ようしゃべる関西人やから、楽しみです。早口やから、ゆっくりしゃべるよう気を付けます!
取材・文=Iwamoto.K 撮影=ハヤシマコ
翼和希
登壇スターのソロカットも掲載中!「画像を全て表示」からチェック!
公演情報
\京都・東京2会場で実施決定/
南座:4月12日(日)15:30開演
新橋演舞場:5月3日(日・祝)16:00開演
詳細・お申込はこちら
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