「自分たちが自分たちを驚かせてくれている」新体制のPompadollSが語る、ロックバンドの進化
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PompadollS 撮影=桃子
五十嵐五十(Vo.Gt)、青木廉太郎(Gt)、但馬馨(Key)からなるロックバンド・PompadollSが新たなフェーズに入った。童話をモチーフに楽曲を制作し、卓越した演奏力と衝動性でロックに昇華する独自のスタイルが支持され、多くのフォロワーを生んでいるPompadollS。「ヘンゼルとグレーテル」を題材にした「悪食」(2024年11月)で人気に火がつき、韓国や国内でバイラルヒットを記録。結成からわずか1年で東阪ワンマンライブを即完した。そんな彼らは、2026年3月にメンバー2人が卒業し、3人編成へ。但馬はパートをドラムから鍵盤に転向した。そして4月。3人は、バンドにとって初のアニメタイアップとなる最新シングル「リトルワールド」をリリース。現在は韓国と日本国内5都市を回るツアー『SOUND OF ROCK』の真っ最中だ。SPICEへの登場は、2nd EP「Fantasism」リリース時の2025年8月ぶり。今回も五十嵐と青木に、バンドの現在地について語ってもらった。
人間として、ちゃんとバンドをやれてる
ーー前回のインタビューの後、9月に韓国でのワンマンライブ、11月からは初の東名阪ツアーを開催されました。さらに12月に1stフルアルバム『PompadollS』をリリース、そして今年に入って新体制になるなど、色々なトピックスがありましたね。
青木:「前にインタビューをしてもらった時は、僕たちはまだ韓国に行ったことがなかったんだ」と、いま気付いたぐらい、激動でした。
ーー10月には韓国のフェスにも出演されました。
青木:韓国には2025年秋以降、トータルで4〜5回行きました。だけど自分たちでは「韓国に慣れたな」とか「東名阪ツアーが初めてだったけどうまくいったね」とかあまり思わなくて、とにかく目の前のことをやっている感じでした。だからこの半年は自分たちで思ってるよりも忙しかったというか、がむしゃら感のある活動だったのかな。
ーーさっと過ぎ去っていった感じですか?
青木:本当に早かったですね。このオフィスでインタビューを受けたのがめっちゃ前に思えるというか。でも前に感じるというのは、長く感じているというよりも、物事が詰まりすぎているから長く感じる。「色々あったわ〜」という感じですかね。
五十嵐五十(Vo.Gt)
ーー五十嵐さんはいかがですか。
五十嵐:いろんなことがありすぎて、どこから振り返ればいいかわからなくて、一瞬フリーズしちゃいました(笑)。でも本当に一生懸命やってきたなと。
ーー前回のインタビューの『SOUND OF ROCK』ツアーの意気込みのお話で、「ここでちゃんとバンドになる」と五十嵐さんがおっしゃっていて。現時点で愛知と仙台が終わったところ(インタビューは4月上旬に実施)ですが、手応えは?
五十嵐:ロックバンドになれてますね(笑)。去年それを言った時は、漠然と「バンドになる」というのを掲げていたんですけど、私は今「人間としてちゃんとバンドをやれてるな」と思っていて。いろんなことがありましたけど、それをメンバーと乗り越えてきて、一緒にバンドをやってる。ちゃんとメンバーに預けられる感覚が少しずつ積み上がってきましたし、ツアーを通して自分の中にある伝えたいことを、だんだんお客さんに伝えることができるようになってきた。そういう意味で「これってすごいバンドだな」と思います。
ーーメンバーやスタッフ、チームの絆が固まってきた感じ?
五十嵐:そうですね。今まで「この人は何を考えてるんだろう?」「私はどう動けばいいんだろう?」と手探りだったのがわかるようになってきました。お客さんに対しても、今何を考えてるのか、少しずつわかってきた。それは音楽をやる上ですごく安心感がありますし、「バンドってこういう環境で大きくなっていくんだろうな」と思いましたね。
3人になったことで、総力戦で臨まないといけない
青木廉太郎(Gt)
ーー良い過程ですね。青木さんは前回「ステージにいるだけでカリスマ性があって、音を出したらもっとすごい、歌ったらもっとすごい、カッケえバンドになりたい」とおっしゃっていたんですけど、同時に「なりつつある」ともおっしゃっていて。今はそれが1段階増した感覚ですか?
青木:そうですね。個人的には、ロックバンドになることの意味が、皆さんの思う意味とは逆説的なんです。漠然と「カッコいいロックバンド」と言うと、ちょっと粗雑なイメージというか、ステージで大暴れしたり、血を流しながらライブをやって伝説になったり、喉ガラガラで全然歌えてないけど逆に良かった、みたいなことが往々にしてある。未だにそういうイメージがある人はたくさんいると思うし、自分も割とそういうイメージで「ロックバンドになる」と言ってたんです。でも今の感覚で言うと、めっちゃ丁寧にやってるという。
ーーへえ!
青木:それこそ、ライブのための練習や曲作りの丁寧さがどんどん増していってる。だからこそライブで出たもの……「こういうものを目指して今日はこうした。でもこうだった」という結果が自分たちでもすごくわかりやすい。僕のイメージとは全然違ったんですけど、結果的にカリスマ性のあるバンドになることって、こういうステップが必要なのかなと今思ってる状態ですね。
ーーなるほど。
青木:今回の『SOUND OF ROCK』ツアーは、前回より本数が多いのも良くて。毎回いろんなことができるから、思ったより丁寧にやるのは必要なことなんだなって。僕の大好きなパンクバンドも、ステージ上では粗暴に振る舞っているように見えてたけど、こういう丁寧な時間があるからステージで輝いてるんだなと思うと同時に、自分たちが自分たちにどんどん納得している。そういう時間が積み上げられているのはすごく良いなと思っています。積み上げている段階って、本人たちは「地道な作業だよね」と思ってるんだけど、ブロックを持って1段積んでみたら「このブロック、思ったよりでかかったな」と後から思う、みたいなことが増えている。自分たちが自分たちを驚かせてくれているのがいいなと。そうじゃないとおそらく観客にもカリスマ性や驚きは伝わらないから、「なるほどなー」と納得しています。
ーー自分たちの秘めているものがまだまだあると。
青木:メンバーが卒業して3人になって、やっぱり単純にパワーが落ちてしまうのかなと思っていたんですけど、5人から3人になったからこそ「総力戦で臨まないといけない」みたいなことも考えていて。「この3人で生み出し続けるしかないよね」という気持ちでやっていると、まだまだ持ってるものがたくさんあるなって感じがしてますね。
ーーそれこそ但馬さんがドラムからキーボードに転向されましたが、やはりPompadollSにとってピアノが非常に大事なパートであるから、正規メンバーがいる方がいいという理由で転向されたんですか。
青木:まさにそうです(笑)。ピアノはPompadollSのサウンドの要というか、やっぱりリスナーが1番グッと聴いてくれているところだよねと。僕たちは自称してないけど、メディアやレコードショップのポップアップに「進化型ピアノロックバンド」と書かれるじゃないですか。「ピアノロックバンドなのに、ピアノが正規メンバーじゃないのはよくない」とずっと思っていて。但馬馨はピアノが元々弾けるのは知っていて、むしろピアノ歴の方が打楽器よりも長いらしいので、僕と五十嵐的には「ぜひやってほしいな」と思っていたけど、ドラマーとして積み上げてきたものもあるから、あまり言えないかなと思ってたんです。でもバンド会議の時、但馬本人から「俺がやろうかな」と言ってきた。彼も彼なりに3人になったことを受け止めて、さっき言ったように総力戦じゃないですけど、使えるものは全部使っていこうという気持ちが芽生えているのかもしれないですね。
初のアニメタイアップは「繊細さと理性」が鍵
ーーそんな総力戦で作った最新シングル「リトルワールド」は、初のアニメタイアップで、TVアニメ『愛してるゲームを終わらせたい』のエンディングテーマですね。お話が決まった時はどう思いましたか?
五十嵐:決まった時は緊張しましたね。今まで自分たちの中だけで完結していたものが、やっぱり原作を背負うことにもなりますし、そこから放送されるアニメを背負うことにもなりますし、プレッシャーがあるというか。でも作り始めるとすごく楽しくて、プレッシャーも良い刺激になって。初めてやる音楽制作ができたなと思います。
ーーいつもは童話をモチーフに曲を書かれているところが原作に変わったことで、何か変化はありました?
五十嵐:大枠にそんなに変わりはないんですけども、童話は作者の顔が見えにくいものではあるし普遍的なお話だったりするので、細部を殺さないように、でも自分の解釈を入れつつ作品を作っていくのは、同じようでちょっと違う。より繊細さと、作品を作る上での理性が必要だったかなと思います。
ーーなるほど。楽曲には原作の可愛らしくて甘酸っぱい世界観が閉じ込められていましたが、制作の上で苦労はなかったですか?
五十嵐:お話が高校生のラブコメディで、私はもう高校を卒業をしているので、心情をリアルに描くことはできないのが最初は「どうしようかな」という感じだったんですけど、街に出て高校生を観察したり。
青木:なんかちょっと、その言い方は気をつけた方がいいね(笑)。
五十嵐:(笑)。今の時間軸に生きてる人たちを観察するといったらあれなんですけど、当時の気持ちを思い出したり「こういうことあったな」と思ったり。自分の気持ちを物語の舞台に近づけるのはちょっと大変でしたね(笑)。
ーー歌詞では、青春時代の恋のきらめきと、些細なことが大きな後悔になる繊細な心の揺れ動きを歌いつつ、最後に<Every fair from fair sometime declines.=どんな美しいものもいつか色褪せていく>と現実をしっかり歌っているところがいいなと思ったんですけど、こだわったポイントはありましたか?
五十嵐:学生時代は、周りの人間関係だけで独自の世界が確立されているけど、それは外に出たら通用しないというか儚いもの。「だからこそ美しいな」というのは、自分も外から見て思っていたので、今のきらめきとそれが含む切なさをどっちも表現したくて。あと「綺麗なだけじゃ終わらない」というのはPompadollSの楽曲らしさでもあるかなと思いました。
ーー制作サイドから感想はありました?
五十嵐:原作者の堂本裕貴先生からコメントをいただきました。それこそ最後の英文のところを褒めていただいて。「オシャレですごく良いです」と言っていただいて嬉しかったですね。
青木:英文のところもそうだけど「作品をすごく解釈してくれて、こういう歌詞にもサウンドにもなっていると感じられて、本当に感無量です!」と全体をすごく褒めてくださって。「そんなこと言ってくれるんだ!」みたいな。現場でお顔は合わせていないですけど、すごく良い制作環境だったなと思いますね。
ーーサウンドではコーラスが印象的でした。それこそ最後の英文のパワフルなコーラスや、1番のサビの途中に<イエーイ>と入るのが若々しさを感じられて。
五十嵐:コーラスは私が曲を作る時に入れたんですけど、できる限りリアルな高校生の空気感を入れたかったので、聴覚的にもみずみずしさが表現できたらいいなと思って入れましたね。
ーー<イェーイ>は皆さんで歌われたんですか?
青木:そうです。PompadollSのレコーディングでは割とあるあるなんですけど、みんなで合唱するみたいなのは今回もやりましたね。
ーーピアノソロもしっかり入ってますね。
青木:そうそう、ピアノのソロもすごいオシャレな感じになってるので。あそこはピアノソロがゆっくりなところからちょっと速くなるんですけど、終わらないと思ってたものが終わりに向かっていく感じが表現されていて、時間の経過を感じさせるので、個人的にいいなと思っています。
ーーバンド的にもステップアップするための大事な楽曲になりました?
青木:そうですね。まさかアニメタイアップをやれると思ってなかったので、本当にありがたいなと。PompadollSらしさを失わないように、でもアニメに寄与できるように考えながら制作できたのが、新しい扉を開いた感じで良かったですね。
夏には2度目の『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2026』に出演
ーーツアーが6月まで続いた後、夏には『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2026(以下、ジャイガ)』への出演が決まりましたね。
青木:去年夏フェスは『ジャイガ』だけ出させてもらって、今年も出演できるのが本当に嬉しいです。「去年よりも良いライブを」と言うと月並みですけど、去年はちょっと初々しさも残るステージだったなと僕たち的には思うので、今年はそれこそ「ロックバンドになったな」と思ってもらえたら幸いですね。大きいステージにも立たせてもらうと思うんですけど、「メンバーが卒業して但馬馨のパートが変わったけど、それでもPompadollSはPompadollSだよ」ということを伝えに行きたいです。
五十嵐:自分たちらしさを忘れずに、今までやってきたことの延長であることを忘れずに、どこのステージに立ったとしても、いろんな人に感謝してやっていきたいなと思います。
取材・文=久保田瑛理 撮影=桃子
リリース情報
TVアニメ『愛してるゲームを終わらせたい』エンディングテーマ
放送情報
■放送情報:
TOKYO MX:毎週火曜日23:00〜
MBS:毎週火曜日26:30〜
BS朝日:毎週金曜日23:30〜
■配信情報:
ABEMA、dアニメストアにて毎週火曜日23:30~WEB最速配信
そのほか配信サイトでも順次配信
※放送・配信日時は変更になる場合がございます。
アニメ公式サイト:https://www.aishiteru-game.com
公式X:https://x.com/aishiterugame
■原作:
堂本裕貴『愛してるゲームを終わらせたい』(小学館『サンデーうぇぶり』連載中)
試し読みページはこちら
https://www.sunday-webry.com/episode/3269754496654596722
コミックス第1巻〜第8巻発売中
サンデーうぇぶりSSCS 発行/小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/volume/51095
(C)堂本裕貴/小学館/『愛してるゲームを終わらせたい』製作委員会
ツアー情報
2026年
11月1日(日)高松 TOONICE
11月3日(火・祝)広島 ALMIGHTY
11月7日(土)宮城 enn 2nd
11月13日(金)北海道 SPiCE
11月26日(木)愛知 Bottom Line
11月28日(土)新潟 CLUB RIVERST
12月4日(金)福岡 OP's
12月6日(日)大阪 BIGCAT
2027年
1月17日(日)東京 Zepp DiverCity (TOKYO)
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スタンディング ¥4,500(税込) ※東京以外
東京公演:スタンディング ¥4,800 / 2F指定席 ¥5,500(税込)
イベント情報
日時:2026年7月25日(土)・7月26日(日)・8月1日(土)・8月2日(日)
会場: 大阪・舞洲スポーツアイランド
4DAYS:大人 ¥42,000 / 小学生 ¥16,500
3DAYS:大人 ¥33,000 / 小学生 ¥14,000
2DAYS:大人 ¥22,000 / 小学生 ¥10,000
1DAY:大人 ¥12,000 / 小学生 ¥5,500
▶︎DLこちら https://giga.link.fespli.com
企画/制作:KYODO KANSAI
後援:FM802/SPACE SHOWER TV