『あかね噺』の名のもとに当代きっての大看板たちが有楽町よみうりホールに集結!「あかね噺落語会~当世大看板百芸繚乱~」初日夜の部観劇レポート

2026.5.22
レポート
アニメ/ゲーム
イベント/レジャー

(c)末永裕樹・馬上鷹将/集英社

画像を全て表示(12件)

5月7日(木)・8日(金)の2日間、有楽町よみうりホールにて、『週刊少年ジャンプ』で連載中、さらにこの4月からTVアニメの放送もスタートした人気漫画『あかね噺』の落語会「あかね噺落語会~当世大看板百芸繚乱~」が開催された。

そのタイトルの通り、東西五派から当代きっての人気落語家、まさしく「大看板」たちが集まった。『あかね噺』から落語に興味を持って、生で落語を見るのは初めてという人にはうってつけの豪華な落語会だ。今回は5月7日(木)の夜の部、落語芸術協会所属の落語家が出演した回の模様をレポートする。

有楽町の駅前にドドンとそびえる読売会館。その7階にあるのが「あかね噺落語会」の会場となる有楽町よみうりホールだ。落語会を開催するホールとしては最大規模の1100席の客席を有するこの会場に老若男女問わず詰めかけている状況が『あかね噺』の人気の高さを物語っている。ロビーに入ると『あかね噺』の主人公・あかねとツーショットが撮れるフォトスポットがあったり、作画の馬上鷹将が描いた色紙が飾ってあったりと、『あかね噺』の落語会ならではの楽しみも満載だ。また、TVアニメの主題歌を歌っている桑田佳祐から祝い花も届いていた。

(c)末永裕樹・馬上鷹将/集英社

客席は2階席まで満員の様子。普段の寄席などで見かける層よりは少し若いように感じた。落語を見るのは今日が初めてという人も多そうだ。開演時間が近づくと生の二番太鼓が鳴り響く。緞帳が開くと、寄席を模した豪華なセットが目に飛び込んできて驚いた。出囃子も生演奏で細かいところまで本格的。落語とともに雰囲気も楽しんでもらおうというサービス精神を感じた。

開口一番は若手真打の実力者・春風亭昇々。通常、落語会では開口一番を前座が務めることが多く、真打である昇々はあまり一番手で高座に上がることはない、という事情を話した上で、「マジで何やったらいいかわかんない」と心情を吐露。戸惑う昇々の様子に客席から笑いがこぼれる。

春風亭昇々  撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

「僕の落語は『あかね噺』に出てくるような落語じゃありません。漫画は漫画でもギャグ漫画だと思ってください。」と言いつつ入った噺は、昇々自作の新作落語「裸ンナー!!」。

平凡なサラリーマンの田村が突然、会社の廊下を全裸で走りたいという欲求に駆られ、様々な障害や葛藤をくぐり抜けて、ついに全裸で廊下を走り抜けるという、荒唐無稽な噺だ。

春風亭昇々 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

やはり初めて落語を見るお客さんも多かったのか、初めは反応が固いように感じたが、噺が進むにつれて、なぜか感じられるサラリーマンの悲哀に昇々元来のキャラクターも相まって客席は笑いに包まれた。

二番手で登場したのはこちらも若手真打の実力派・柳亭小痴楽。「こちらに名前が出ております『柳亭小痴楽』と書きまして、『阿良川志ん太』と申します。」と、自身に風貌が似ている『あかね噺』の登場人物、志ん太の名前を出し、客席もどっと沸く。

柳亭小痴楽 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

「江戸っ子は五月の鯉の吹き流し 口先ばかりではらわたはなし」という名文句から入った噺は「大工調べ」。大工の与太郎が家賃を滞納したために、仕事道具である道具箱を家賃のカタにと大家に持っていかれてしまう。それを返してもらおうと与太郎の上司である棟梁の政五郎が知恵を貸すが、言葉の行き違いから大騒動になってしまうという、落語好きにはおなじみの古典落語だ。

柳亭小痴楽 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

『あかね噺』でも第1話で志ん太が「大工調べ」を稽古しているシーンが出てくる。まるで落語の世界から飛び出してきたような小痴楽の居ずまいに観客も聴き入る。見せ場の一つである政五郎が大家に向かって切る長い長い啖呵のシーンでは、気風のいい流れるような見事な啖呵に客席から思わず拍手が巻き起こった。

三番手で登場したのは、この「あかね噺落語会」の出演者で唯一、五代目円楽一門会に所属している三遊亭円楽だ。(円楽は客員として落語芸術協会にも所属している。)近年の世相や、父である三遊亭好楽をネタにしたまくらで客席を沸かせて入った噺は、円楽自作の新作落語「うつけもの」。

三遊亭円楽 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

三遊亭円楽 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

ヤンキーで勉強が苦手な兄が、歴史好きの弟に織田信長の逸話を教わる。翌日、その逸話を後輩に語ろうとするが、よく理解しておらずめちゃくちゃな内容でツッコミまくられるという古典落語にもありそうな楽しい噺。「あつ森」など最近のワードも入れたギャグのつるべ打ちに客席も爆笑に継ぐ爆笑。客席も笑顔にあふれた。

仲入り休憩を挟んで、続いては円楽、小痴楽、昇々による座談会。お囃子の稲葉千秋が奏でるアニメ『あかね噺』のオープニングテーマ「人誑し / ひとたらし」に乗って三人が登場した。

まず、小痴楽から「なぜ開口一番であんなネタをやったんだ?」と昇々が標的に。円楽が「そうだよ」と加勢すると「お前もだよ!」と小痴楽から強烈なツッコミが飛ぶ。

撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

それから話は「なぜ落語家を志したか」という話題に。円楽と小痴楽は劇中のあかねと同じく落語家を親に持つ二世落語家だ。円楽は「笑点は全く見てなかったし、落語にも興味がなかった」、小痴楽は「父(五代目痴楽)の落語は一度も聴いたことがない」と父の落語に憧れたあかねとは真逆のエピソードが。それから二人ともきっかけがあって結局落語家になるのだから不思議なものである。三人の仲の良さが伝わる楽しい座談会だった。

座談会の後に登場したのは、メディアでもおなじみのナイツの二人。この会では色物として漫才を披露した。

ナイツ 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

大爆笑が巻き起こる実に見事なステージだったが、ネタの内容があまりにもだったので、ここでは割愛させていただく。テレビの人気者、ナイツが生のステージでしかやらない漫才を体感したい方はぜひとも寄席に足を運んでいただきたい。

そしてトリで登場したのは本日の主任。落語芸術協会会長で、笑点の司会でもおなじみの春風亭昇太。これまでの出演者を引き合いに出し、「見てもらったらわかる通り、現実の落語家で『あかね噺』に出てくるような人はいません!ちゃんとした人がいないんですよ!」と言い放つと客席は大爆笑。

春風亭昇太 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

「日本人は省略するのが得意。演劇を究極的に省略したものが落語。」といった話から、「上下を切る」落語の表現方法についての解説を挟むと、客席から「おお~」と感嘆の声がもれる。その反応に思わず「素直なお客さんだね」とつぶやいた。

そうして始まった噺は「時そば」。そば屋でそばを食べた男が勘定の支払いの際に店主に時間を尋ねて一文ごまかすという、落語を知らない人でもあらすじくらいは聞いたことあるであろうおなじみの古典落語だ。

昇太が演じる「時そば」は、上方落語で演じられる「時うどん」をベースにアレンジしており、他の落語家の「時そば」とは一味違う。兄貴分と弟分の滑稽なやり取り、そして、うまくできない弟分のシュールなセリフや仕草で、客席を爆笑の渦に巻き込んだ。会の締めくくりにふさわしい、さすがの高座だった。

春風亭昇太 撮影:武藤奈緒美  提供:あかね噺落語会実行委員会

初めて落語に触れた方も、寄席の常連も非常に満足度の高い会だったのではないだろうか。漫画の連載はまだ続いているし、TVアニメも始まったばかり。『あかね噺』をきっかけに落語に興味を持つ人はまだまだ増えるだろう。そんな人に向けた落語入門の会として、今後もこういった落語会を開催し続けてほしい。次の機会があったら、今度はぜひ協会をごちゃ混ぜにした番組編成をしていただきたい!

レポート・文=山崎淳 撮影:武藤奈緒美 提供:あかね噺落語会実行委員会

放送情報

【TVアニメ『あかね噺』】

▼放送情報
テレビ朝日系全国24局ネット“IMAnimation”枠:2026年4月4日(土)より 毎週土曜 夜11時30分~
BS朝日:2026年4月5日(日)より 毎週日曜 深夜1時~
AT-X:2026年4月5日(日)より 毎週日曜 夜10時~ ※リピート放送:毎週木曜 朝5時30分~/毎週日曜 朝7時~
CSテレ朝チャンネル1:2026年4月12日(日)より 毎週日曜 夜9時~
アニマックス:2026年5月23日(土)より 毎週土曜 夜8時30分~ ※リピート放送:毎週日曜 朝8時30分~


▼配信情報
ABEMA・Netflixにて4月5日(日)午前0時~先行配信!
他各配信プラットフォームにて順次配信開始

■TVアニメ『あかね噺』 公式サイト(https://akane-banashi.com/

【原作情報:『あかね噺』】
その身一つと噺だけで全てを表す、話芸の極致――「落語」。  
この究極にシンプルなエンタメに魅せられた噺家・阿良川志ん太と、その娘・朱音。 真打昇進試験に挑む志ん太、その一席を目の当たりにした朱音が歩む、噺家の道は―― 噺家たちが鎬を削る本格落語ものがたり、開幕!!  
『あかね噺』公式 X:@akanebanashi_PR  
「週刊少年ジャンプ」公式サイト  『あかね噺』作品ページ:https://www.shonenjump.com/j/rensai/akane.html  
  • イープラス
  • 春風亭昇太
  • 『あかね噺』の名のもとに当代きっての大看板たちが有楽町よみうりホールに集結!「あかね噺落語会~当世大看板百芸繚乱~」初日夜の部観劇レポート