福岡『CIRCLE'26』2日目は初登場の柴田聡子から大トリくるりまで、無限のビートが刻まれた平和な世界に

2026.6.19
レポート
音楽

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『CIRCLE'26』2026.5.17@福岡・海の中道海浜公園  野外劇場

福岡は海の中道海浜公園で開催された『CIRCLE’26』5月17日(日)2日目。この祭特有の良さは初日ライブレポートを読んでもらうとして、この日も博多港から9時40分発の市営渡船に乗って、10時過ぎには海の中道海浜公園内に到着していた。初日同様、11時からのライブを前に、福岡を拠点に活動するラジオパーソナリティの栗田善太郎がCIRCLE STAGEで前説を務める。この日も前説ながら約15分くらい時間をかけて丁寧に、まるで取説(取扱説明書)的に話している。

さて、今年で5年目となるライブレポートだが、初めて訪れた2022年から目を惹いていたのはステージの装飾。いわゆる典型的な野外大型ステージでは無く、例えば天井に布を張り、その布が風で揺れて涼しげな空気を醸し出していたりと味わい深く洒落た作りになっていたこと。5月でありながら、年々夏日の暑さなだけに、この装飾は観ているだけで涼しさに誘われる効果がある。

そうそう、今年は初日から時系列で1組ごとに分けて書いている。これまでは文章の中で自然にミュージシャンに触れながら書き進めたが、濃厚な個性を持つミュージシャン皆様の凄みをより際立たせて感じてもらうために、この書き方で今年は敢えて書いている。能書きはさておき、早速2日目のライブもじっくり振り返る。

柴田聡子(BAND SET)

11時・CIRCLE STAGE。柴田聡子(BAND SET)。何も言わず、柴田がハンドマイクで「Movie Light」を歌い始める。綺麗な声で朝から気持ちが良い。トップバッターとして2日目を朝イチから素敵な方向に導いてくれるような声。一般的にはPAとも呼ばれる客席後方に設置されたミキシングコンソールを操るのは、Dub Master X(FOH)。日本のサウンドエンジニア界における大御所。そりゃ、これだけ気持ち良いわと大納得してしまう音響。1曲終わるごとの「センキュー!」という外タレみたいな挨拶も誠にクールだ。

「Side Step」は、それこそサイドステップを踏みたくなるようなとベタなことを思わず恥ずかしげもなく書いてしまうが、兎にも角にもダンサンブルでリズミカルで踊りたくなる。観客エリア前方では、観客が気持ち良さそうに体を揺らす。続く「Synergy」も緩やかにグルーヴィー。全体的に外タレみたいなシンプルな挨拶も清々しかったし、潔き初『CIRCLE』ライブであった。

Small Circle of Friends

12時・KOAGARI STAGE。福岡が地元のSmall Circle of Friends。昨年秋、大分県別府市で開催の『small circle’25』に出演したが、『CIRCLE』自体は初出演。ムトウサツキとアズマリキのふたりはテーブルの上に置かれた機材をはさみ、椅子に座っている。そのテーブルには「NO WAR」と書かれた紙が貼られていた。ふたりのポエトリーリーディング的なラップと歌の合わさりが気持ち良い。緩やかなHIPHOPの中に緩やかにメッセージが込められているのが粋である。

「Right」終わりには 「戦争反対」という言葉を口にしたが、テーブルの紙同様に押しつけがましさが全くない。約40年前の福岡を想い出して作られた「西通りプリンの歌」や福岡の歌だという「夕焼けの歌」など日常が描かれている。ふたりが想うメッセージが日常の歌と自然に混ざり合っているのが素敵だった。クラムボンによるカバーでもお馴染みの「波よせて」を海街の公園で聴けたのも嬉しい。

小山田壮平BAND

13時・CIRCLE STAGE。小山田壮平BAND。Small Circle of Friendsに続く地元福岡出身の小山田。サウンドチェックでは、カーペンターズ「Top of the World」を聴かせてくれて、本番前からわくわくしてしまう。ステージ袖にはけずに、そのまま始まるが、最初から「Life is Party」→「ベンガルトラとウィスキー」の流れには、andymori時代からのファンたちが熱狂している。ファンファーレのようなトランペットを鳴らすファンファンの欠席は残念であったが、これまたandymori時代の「革命」など観客の熱狂は続く。

ソロになってからの穏やか伸びやかな歌も素晴らしく、電車好きの息子の話から「電車に乗ってゆこう」へ。自身も子供時代にパラグライダーをする父と一緒に奈多の海岸を訪れて、釣りをしていたという。時代は巡り巡っている。ラストナンバーを地元を歌った「夕暮れの百道浜」で〆るのも語彙が乏しくて申し訳ないが、素敵としか言いようがない。

Ovall

13時55分・KOAGARI STAGE。Shingo Suzuki(Ba)、mabanua(Dr)、関口シンゴ(Gt)の3人を中心にしたOvall。1曲目「Velvet Dusk」から渋いギターに心を鷲摑みにされて、「Come Together」ではmabanuaの歌声に惚れ惚れとする。個人的には、「Green Glass」の粒子が弾ける音のようなエレクトロニカナンバーが気持ち良く踊れてたまらなかった。約20年のキャリアがある彼らだが『CIRCLE』は初出演。東京の関係者に「『CIRCLE』出るの良いなぁ。『CIRCLE』みたいなイベントを作りたいな」と言われたことを話す。「フェスの指標になるようなフェスなんで」という言葉が特に響いたが、演者や関係者にそこまで言わせるフェスだからこそ、観客の満足度も高いのだろう。

ラストナンバー「Cubism」では、mabanuaが「ひとりで歌っているので、みなさんの力を借りたい!」と語りかけ、観客も一体になって歌い踊る。香港のライブでも大合唱になったというが、本当に良い音楽は国境など関係ないのだなと大納得してしまった。

KIRINJI

14時50分・CIRCLE STAGE、KIRINJI。堀込高樹は、晴れたことや野外での雨のことやステージと観客の距離の近さなど話して、自ら「何を言っていいのかわかりませんが、ちょっと頑張って演奏するので」と言い出す、この緩やかな始まりも心地好い。早速2曲目「killer tune kills me」では小田朋美(Syn.Vo)の歌声も聴こえてきて、その心地良さにより浸る。

当の堀込は、1曲目「Rainy Runway」が雨の歌だったことを今更謝ったり、KIRINJIが雨男的に言われることを最初は笑っていたけど、今はむかついてきたなどと話し出す。歌と話のギャップというか振れ幅に、つい笑ってしまう。何はともあれ、こんな晴れの日にKIRINJIを聴けることが嬉しい。終盤の「flush! flush! flush!」のギターカッティングも痺れる。2日目の一番暑い時間帯ではあったが、観客エリア前方から後方までみっちり埋まり、皆が音に耳を傾けていたのは素晴らしい光景であった。

高野寛 MVF trio with ゴンドウトモヒコ & ITOKEN

15時50分・KOAGARI STAGE、高野寛 MVF trio with ゴンドウトモヒコ & ITOKEN。ずっと『CIRCLE』に出たかったという高野は赤いサングラス姿で、1曲目「相変わらずさ」を歌う。1997年の懐かしいナンバーだが、エレクトロニカポップナンバーとして更に現代の音として更新されている。TwitterがXになった時に作られた「青い鳥飛んだ」も歌われたが、常に現代を歌として表現し続ける姿は、やはり格好良い。

エレクトロ編成としては初の九州上陸ということだが、「STAY, STAY, STAY」で鳴り響くゴンドウのフリューゲルホルンも凄まじい。極めつけは、DEVO「Satisfaction」のカバー。まぁダンサンブルで踊るしかないナンバー。ラストの「BESTEN DANK」→「夢の中で会えるでしょう」という流れもぐうの音も出ないが、1990年と1994年のナンバーが現代に色濃く更新されて歌われているのは幸福でしかなかった。最後まで観客は飛び跳ねて喜び、終わりには歓声と拍手がやまなかった。

さて、ここで少しばかりの余談を。高野のライブが終わり、CIRCLE STAGEへと移動しようとすると主催者の是澤氏に呼び止められる。外国の方が横におられるので、てっきり何かしら関係者の方かと思えば、カナダはトロントからシンプルに遊びに来られた観客の方だという。別府での『small circle』にも足を運ばれていたという生粋なる日本の音楽好き。『CIRCLE』も20年目にもなるとワールドワイドになるのかと感心してしまったが、日本を飛び越えて海外の方とも音楽で繋がれるなんて、まさしく『CIRCLE』という言葉の意味通りだなと感激すらしてしまった。

SPECIAL OTHERS

てなわけで16時45分・CIRCLE STAGEは、SPECIAL OTHERS。いわゆるインストバンドであるのだが、本当にポップでキャッチ―で聴いているだけで毎回ウキウキしてしまう。この日も「Wait for The Sun」から始まるが、イントロが鳴り出した瞬間から、音が楽しくて仕方ない。リズムもビートも全てウキウキするが、シンプルメロディーながら深みがあるから、より惹きこまれる。ふと周りを見渡すと、そのリズム・ビート・メロディーに合わせてカレーライスを食べている人もいて微笑ましい気分になる。

リズム・ビート・メロディーは的確に繰り返していくと、どんどん盛り上がっていく。キラーチューン「AIMS」は鉄板のダンスチューンでもあり、観客は飛び跳ねて前方へと集まっていく。『CIRCLE』は10年ぶりらしいが、デビュー20周年を迎える彼らは熟しきっている。公園内で2人乗り自転車が走る光景を観て、この世の平和を詰め込んだという表現をした上で「世界で一番平和」と言っていたが、「あなた方の音楽が鳴り響いているから世界で一番平和な光景なんですよ」と言いたいくらいであった。

EGO-WRAPPIN’(Acoustic Set)

17時45分・KOAGARI STAGE、EGO-WRAPPIN'(Acoustic Set)。『CIRCLE』お馴染みのメンバーだが、中納良恵と森雅樹の2人編成とはいえ、コンパクトなKOAGARI STAGEで観れるのは贅沢な気がする。サウンドチェックの時点から多くの人が集まってくるが、「30年ということで生々しくいかせて頂こうかなと」という言葉からもう期待は膨らむばかり。序盤からムーディーでロマンチックな「満ち汐のロマンス」は、もうたまらない……。ロマンチックで言うと、「衛星ハロー」では、いつか月に住めるのではというロマンチックな話へ。

ただ、中納は月に住んでも美しい地球がいいぞと想う気持ちを打ち明ける。いつまでも美しい地球を探しながら願いながら祈りながら歌われたナンバーは、心に深く深く残った。中納がピアニカを吹いたり、ダビーなサウンドが響いたりと、ゆったり心身踊れた時間。ラストナンバー「サニーサイドメロディー」。ただただグッドメロディー……。「帰りたくない。愛しています」という最後の言葉も沁みた。

常盤響

一方、その頃、同じ時間帯のDJブースであるKAKU-UCHI Annexでは、DJ中の常盤響に角張 渉、GODBIRD、EDANIというDJ陣に加えて、岡村靖幸姿のボギー、先程出番を終えたばかりのゴンドウがケーキを持って登場。そう、この日は常盤の還暦を迎える誕生日。こういったファミリー感、フレンドリー感がフェスで観れるのは人情味を感じるし、温かい雰囲気でほっこりする。常盤さん、改めまして、お誕生日おめでとうございます!

くるり

18時45分・CIRCLE STAGE、くるり。いよいよ2日間の大トリ。サウンドチェックからステージ袖にはけることなく、1曲目「ブレーメン」へ。この曲が1曲目で始まるかという高揚と興奮で、のっけから大喜びしてしまう。続く2曲目「琥珀色の街、上海蟹の朝」。観客全てのリアクションが観たくて、一番後方のテントまで出向いたのだが、観客たちは幸せそうに歌って踊っている。また、16年前のナンバー「The Veranda」が2026年の今、胸に迫ってくるエモーショナルさを持ち合わせているのにも驚く。

それで言うと25年前の「ばらの花」が持つ永遠なるスタンダードナンバー感にも感動してしまう。前日に出演していたフルカワミキが音源ではコーラスを担当していたなと思わず想い出す。その後の「oh my baby」「C'est la vie」「ワンダリング」という今年リリースされたばかりのアルバム『儚くも美しき12の変奏』からの選曲にも唸らされる。

岸田繁いわく「好き勝手に好きな曲を演奏して参りましたくるりですが、いかがでございましたでしょうか?」とのことだが、とんでもなく大満足大充実させてもらっているという言葉しかない。どの時代のくるりもすごいことがわかるラインナップ。「ワンダリング」では観客にコーラスをお願いする一幕もあったが、みんなで音楽を創り上げているようであった。ラストナンバーでは、陽が暮れかける中、壮大なミディアムバラッド「潮風のアリア」に聴き入った。

アンコール。時間が巻いたのでもうちょっとやってくれと言われたという説明をしながら、岸田たちは「今日初めてやるんよ」、「頑張って歌詞を想い出しながらやります」「歌えるかな?」などと口にしている。最初は冗談を言っているのかなと、のんびりと聴いていたが、すぐに今のメンバー編成では特に用意していなかった曲であることを理解する。そして、流れてきたのは「ロックンロール」。メンバーが口にしていた言葉が嘘かのような完璧な美しき音楽が我々の心に飛び込んでくる。

どんな時でも素晴らしい音楽を鳴らす姿勢に痺れまくる……これぞロックンロール。でもって、興奮が冷めやらぬ中、あのギターの音が聴こえてきた、……そう「東京」。もうどうにかなっちゃいそうなくらいに大興奮。で、素敵にとどめを刺されるとはこういうことだとばかりに「ワールズエンド・スーパーノヴァ」が畳みかけられる。参りましたとしか言えない凄すぎるアンコール。

観客が家路へと帰る道すがら、大貫妙子「Happy-go-Lucky」が聴こえてくる。そう言えば、初日はシュガー・ベイブ「DOWN TOWN」が流れていた。日本人だけでなく海外の方までもが日本の音楽を愛しているように、素晴らしき日本の音楽の歴史を重ね重ね体感する。素晴らしき日本の音楽を心から大事にして、毎年毎年体感させてくれる素晴らしき祭である『CIRCLE』が永遠に続きますように。そう願いながら、今年もフェリー乗り場へと歩いた。また来年も逢えますように。

取材・文=鈴木淳史 写真=『CIRCLE』提供(撮影:ハラエリ、勝村祐紀、chiyori)

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『CIRCLE'26』2026.5.17@福岡・海の中道海浜公園  野外劇場

柴田聡子(BAND SET)

Small Circle of Friends

小山田壮平BAND

Ovall

KIRINJI

高野寛 MVF trio with ゴンドウトモヒコ & ITOKEN

SPECIAL OTHERS

EGO-WRAPPIN’(Acoustic Set)

くるり

イベント情報

『CIRCLE '26』
日程:2026年5月16日(土)、5月17日(日)開園9:30/開場9:30/開演11:00
会場:福岡・海の中道海浜公園 野外劇場
 
■出演者(アイウエオ順)
5月16日(土) Day1
Andr/思い出野郎Aチーム/kanekoayano/ZAZEN BOYS/Ginger Root(Solo Set)/D.A.N./toe/ハンバート ハンバート/フルカワミキ÷ユザーン×ナカコー
 
5月17日(日) Day2
EGO-WRAPPIN’(Acoustic Set)/Ovall/小山田壮平BAND/KIRINJI/くるり/柴田聡子(BAND SET)/SPECIAL OTHERS/Small Circle of Friends/高野寛 MVF trio with ゴンドウトモヒコ & ITOKEN

DJ:常盤響/角張渉(KAKUBARHYTHM)/EDANI(trouville)/DJ GODBIRD(STEREO RECORDS)

■CIRCLE ’26 Spotify公式プレイリスト
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DXebjPzM8sHrq

■クレジット
主催・企画・制作: TONE / BEA
後援:FM FUKUOKA / CROSS FM / LOVE FM
お問い合わせ:BEA【http://www.bea-net.com/info@bea-net.com

■オフィシャルサイト 
https://circle.fukuoka.jp/2026/
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