The BirthdayとPaleduskに布袋寅泰、宮崎朝子、TAKUMA、ホリエアツシ、菅原卓郎らが集ったGTR祭など、ここでしか見られないセッションが実現した『ARABAKI ROCK FEST.26』2日目、濃厚レポート!

10:00
レポート
音楽

MICHINOKU PEACE SESSION GTR祭’26

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坂本サトル AOMORI Hometown Music Life ARABAKI special

2日目のトップのセッションは、坂本サトルが、2023年から地元青森で、毎年6月に、入場無料で行っているイベント『Hometown Music Life』(2026年は6月13・14日にワラッセ西の広場で開催)の、ARABAKI版。ホストは坂本サトルBANDで、昨年「ARABAKI ROCK FEST.未来サミット-FUKUSHIMA HAMADORI Revolution-」で優勝して、2日目の陸奥のトップに出演した、青森の3人組ボーカルユニットのライスボールと、青森の3ピース・バンドSWALLOWが出演した。最初にライスボールが2曲、次にSWALLOWが2曲、坂本サトルが1999年のソロデビュー・シングル「天使達の歌」など2曲。そして最後に、このイベントのテーマ曲「Hometown Music Life」と、1月にリリースされたばかりの坂本サトルの最新アルバムのタイトル曲「CRAZY DAYS」を、全員でパフォーマンスした。あと、ステージ前に稲穂を持ったファンがたくさんいて驚いた。ライスボールのグッズなんですね。レキシ以外で初めて見ました。

坂本サトル AOMORI Hometown Music Life ARABAKI special

怒髪天 還暦上等〜オトナノススメ荒吐SPECIAL〜

「オトナノススメ」を歌える人、全員をステージに上げて歌ってもらう、誰が出るかは当日の朝にSNSで発表、という企画。奈良美智イラストのスカジャンを着た増子直純、1曲目「酒燃料爆進曲」から、後半のブレイクでシンガロングが起こった7曲目「雪割り桜」まで、全開の歌いっぷり。3曲目「令和(狂)哀歌」のブレイクでは、この頃SNSで物議を醸していた「ハイスタはパンクじゃない」の件に触れ、「カッカッカ(笑う)……×すぞキ××イ! ハイスタはパンクだろ!」と叫ぶ。そして、フラワーカンパニーズの鈴木圭介&竹安堅一が加わっての「歩きつづけるかぎり」でオーディエンスを狂喜させてから、ラストの「オトナノススメ」へ。鈴木圭介、曽我部恵一、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)、山中さわお、堂島孝平(「ARABAKI大使!」と紹介される)、松田晋二(THE BACK HORN/「なんで(ドラムの)マツなんだよ」といじられる)、TOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)、そしてもちろん増子直純の8人が歌をリレーし(竹安もそのままギターで参加)、「最高!」「よいしょ!」と声を揃える。曲の最後は増子が「しゃがめしゃがめ、みんなそんなに若くないんだから、優しく上に飛ぶぞ。せーの!」と、オーディエンスをジャンプさせて締めた。ARABAKIプロデューサー菅&奈良美智&箭内道彦も姿を見せ、全員で手をつないで一礼。最後までステージに残った増子は、ひとりで長い長いお辞儀をしたあと、目元を拭いながら去った。

怒髪天

KEIJU

磐越のKEIJUと津軽のKvi Babaは、共にARABAKI初出演で、共にラッパー。KEIJUは東京ガーデンシアターを埋めるアーティストだが、初出演でロック・フェス、ということで、前半はアウェイ感を持っていたようだ。中盤で「よし、やっとみんな徐々にのってきたな。俺もやっとここに立ってる感じ、してきたわ」。曲が進むにつれて、本来の調子を取り戻していったのだろう。そしてKvi Babaを呼び込んで、彼が音源に参加している「backseat」をデュエット。その後、中学の先輩だというOKAMOTO’S(この日もドラムはオカモトレイジが叩いた)とコラボした「Seasons」や、1年前に亡くなったJJJと、(彼のラップの音源で)共演する「Wind Rise」などで、オーディエンスを魅了した。

KEIJU×Kvi Baba

Kvi Baba

ARABAKI初出演のラッパー、という点でKEIJUと同じKvi Baba。「はじめましての人もけっこういますか? よし、これから僕と友達です。ロック・フェスなんで、いつもよりロックでいきます」と言うも、「Ms.U」のイントロが始まると、「ごめん、全然ロックじゃなかった! 歌える人いますか?」とシンガロングを起こしたり、「ここからがロックです!」と「TOMBI」を熱唱したり、ステージの下と距離感の近いパフォーマンスで、参加者を巻き込んでいく。「ロック・フェスってことなので、いつもとは違うやり方で」と、「二つ目の家族」をアコースティック・バージョンで歌う。後半ではさっきと逆でKEIJUが登場、「Luv Myself」と「Friends,Family & God」のKEIJUが客演している2曲で、皆を踊らせ、歌わせる。さらにそのあと、「最近僕が新曲を出したの知ってますか?」と、4日前にリリースしたばかりの「BPM」をライブで初披露。と、サプライズに満ちた約40分だった。

Kvi Baba

荒吐エレアコ powered by 東北ライブハウス大作戦 <ARAHABAKI ELEACO>

開催前に行ったプロデューサー菅氏のインタビューでも触れられていたように、今年のARABAKIでステージがリニューアルされたのは、荒吐と花笠。前者は「荒吐エレアコ」と名を変え、アコースティック・ライブのステージに。初日には、1年間限定だったRIP SLYMEの復活を終えて間もないPESも登場。歌&ラップ&ギターの自身とキーボードetc.の二人編成で、ここでも「黄昏サラウンド」「熱帯夜」「ONE」「楽園ベイベー」を披露、参加者を大喜びさせた。2日目は、山中さわお→中田裕二→堂島孝平→曽我部恵一、という豪華なメンツの最後の締めは、向井秀徳アコースティック&エレクトリック。ものすごい人の集まりっぷり。アンコールはおなじみ、YUI「CHE.R.RY」のカバーでした。

向井秀徳アコースティック&エレクトリック

花笠スクエア <HANAGASA SQUARE>

ライブもDJもトークセッションもありの、自由なステージになった花笠では、初日のトップに今大注目のRol3ert弱冠20歳が出演したり、ARABAKIの象徴=奈良美智がDJプレイを聴かせたり。2日目のトリは忘れらんねえよ柴田で、ラストの「忘れらんねえよ」では、そのエリアがスマホの光で埋まった。去り際に柴田、「ありがとう、菅田将暉でした」。あと、2日目の14:35から曽我部恵一がDJで出たのだが、ちょっとだけ聴くつもりが、選曲が良くて最後まで離れられなくなったので、書いておきます。
HOW DO YOU FEEL?(Yogee New Waves)/エイリアンズ(YASUYUKI HORIGOME & THE NEW SHOES)/LAST TANGO IN JUKU(財団法人じゃがたら)/ナイトクルージング(金佑流)/空洞です(る鹿)/忘れていたのさ(シャムキャッツ)/甲州街道はもう夏なのさ(Lantern Parade)

曽我部恵一

SHISHAMO

6 月13・14日のUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで、活動を終了するSHISHAMOにとって、これが最後のARABAKI出演。CDデビュー10周年の時もこのステージだったなあ(2023年。スカパラのホーン×4、ピーズ大木温之、the pillows(当時)の山中さわお、チリヌルヲワカのユウが出演)、あと「Theピーズ30周年スペシャル」に宮崎朝子が出た時も、このステージだったなあ(2017年。「クズんなってGO」を歌った)……などと、観ながらつい、いろいろ思い出してしまう。「初めては2014年。高校出てすぐ、まだこいつ(松岡彩)もいなかった頃から、ほんとにずっと近くでSHISHAMOを見守ってくれたフェス。SHISHAMOはARABAKIに本当に愛してもらって、SHISHAMOもARABAKIを愛してます」。ARABAKIを特別に好きなのは、本当に音楽を大好きなお客さんがたくさん集まっているフェスだと感じるから、だそうだ。なお、この6日後に千葉のJAPAN JAM、9日後に大阪のOTODAMAでもSHISHAMOを観たが、3本すべてセットリストが違った。7日後の埼玉のVIVA LA ROCKも?と、後日、事務所の社長に訊いたら「もちろん」。最後のフェス出演を、全身全霊で、思いを込めて、丁寧に回るSHISHAMOでした。

SHISHAMO

MICHINOKU PEACE SESSION GTR祭’26

東日本大震災のため、開催が8月末に延期になった年に行った「MICHINOKU PEACE SESSION GTR祭(「ギターまつり」と読みます)」を、震災から15年なのでやろう、という企画。15年前はGRAPEVINEとTHEATER BROOKだったホストバンド、今回はThe BirthdayとPaleduskである。両者にキーボードで高野勲が加わることは事前に発表されていたが、あとふたりサポートがいた。ゲストの方でクレジットされていた、うつみようことフラカン竹安堅一である。主にThe Birthdayのサポートメンバーとして、演奏に参加した(時々参加しない曲もあり)。では、セットリスト。

1「PALEHELL」 ゲストなし
2「BATTLE WITHOUT HONBOR OR HUMANITY」 布袋寅泰
3「PURPLE HAZE」 Duran
4「HELTER SKELTER」 Duran、松尾レミ(GLIM SPANKY)
5「BEAT IT」 菅原卓郎(9mm Parabellum Burret)
6「第ゼロ感」と7「LOVE ROCKETS」 TAKUMA(10-FEET)
8「カルチャー」 ホリエアツシ(ストレイテナー)
9「Song 2」 山田将司&菅波栄純(THE BACK HORN)
10「ブランニューキャデラック」 TOSHI-LOW&KOHKI(OAU、BRAHMAN)
11「MOVE OVER」 松尾レミ(GLIM SPANKY)
12「カレンダーガール」と13「君の大事にしてるもの」 宮崎朝子(SHISHAMO)
14「ここで逢いましょう」 曽我部恵一
アンコール「ドカドカうるさいR&Rバンド」 ゲストほぼ全員

というわけで、ゲスト自身の曲、The Birthdayの曲、ミッシェルの曲、洋楽のカバーなどが入り乱れるセットリスト。1曲目とアンコールは、The BirthdayとPaleduskの合体バンドで演奏。ホスト・バンドは、2〜6曲目までがPaleduskで、7〜14曲目までがThe Birthdayだった。1曲目の「PALEHELL」は、「世界の終わり」にインスパイアを受けて書かれたPaleduskの曲で、アウトロで「世界の終わり」のサビが歌われる。音源では「ラララ」だが、ライブでは元の歌詞で歌っており、この日もそうだった。それから、一応書いておくと、最初のゲストの布袋寅泰とPaleduskの「BATTLE WITHOUT HONBOR OR HUMANITY」は、通称『キル・ビルのテーマ』のあれです。すごかった、ギターで挑むTubasaとDAIDAI、それを正面から受け倍のエネルギーで返す布袋、という殺気に満ちていて。以降も、Duran、菅波栄純、KOHKIが、ボーカリストと共に登場、ギターを弾きまくる。松尾レミとDuran、ジャニスとジミヘンのよう。TAKUMAが歌ったのは、『THE FIRST SLAM DUNK』のオープニング曲とエンディング曲。ホリエアツシは「カルチャー」、宮崎朝子は「カレンダーガール」。TOSHI-LOW&KOHKIの「ブランニューキャデラック」は、2018年にKen Yokoyamaがチバユウスケを迎えてカバーした曲──と、貴重な瞬間だらけ。

Paledusk×布袋寅泰

The Birthday×宮崎朝子(SHISHAMO)

なお最後のゲスト、曽我部恵一の「ここで逢いましょう」は、サニーデイのライブにおける「後半で延々と長尺ギター・ソロを弾きまくる曲」の役割を、2016年に「セツナ」に譲って以降は、なかなか演奏されなくなったので、そういう意味でもレアだった。アンコールは、出番終わりで即出だった布袋寅泰と宮崎朝子以外の全員で、RCサクセションの「ドカドカうるさいR&Rバンド」。セッション企画のアンコールでRCと言えば「雨あがりの夜空に」が定番だが、「ドカドカ〜」を選んだのは、ARABAKIと同じくGIPが運営し菅氏がプロデュースする、2025年9月27日の『オハラ☆ブレイク』にThe Birthdayが出演した時、この曲をやったから、かもしれない(その時のボーカルはクハラカズユキだった)。

最後に菅氏が、ARABAKI終了の挨拶。「15歳以下のお子さんはいらっしゃいますか? 夢じゃないよ、ぜひギターやってください。で、プロになったらここで弾いてほしいなと思います。そんな気持ちで、『GTR祭』をやりました。また来年!」。

今年のARABAKIは、ダイブやモッシュを含む危険行為を行った退場者は、即刻退場となることが、開催の4日前に発表になった。これまでもダイブやモッシュは禁止だったが、厳しく取り締まってはいなかった。そこを変える、ということだ。「近年、危険行為に巻き込まれ大きな怪我をした方がいた」ことが理由。2年くらい前から、関西や四国などのイベンターも同じルールに変わっていったので、それだけ深刻な問題になっているのだろう。ただ、今回のARABAKIは、その発表が開催直前だったので心配したが、結果は、2日とも退場者ゼロで終わった。すべてのステージの最初のアクトの前に説明、全アクトのスタート前にそれを伝えるアナウンスを流す、そして特にモッシュ/ダイブが起きそうなアクトは、開始前に菅氏などのスタッフがステージに出て説明──と、丁寧に理解を求めたゆえだろうが、それにアーティストも協力する姿勢だったのも、とても大きいと思う。細美武士は、菅氏と一緒に前説に出た。TAKUMAは前説の途中で菅氏のマイクを奪って「ぶっとびたいなら今度ライブハウス来い!」と叫んだ。ホルモンのナヲは、柵前のスタッフたちがオーディエンスの視界の妨げになっているのが気になったようで、「セキュリティの方、大丈夫かな、って見守ってくださってるのはわかるんですけど、この子たち、言えばわかるんで、信じてもらっていいですか? 大丈夫ですよね?」とオーディエンスに呼びかけた。個々それぞれ考えがあっただろうが、それよりも、今年のARABAKIを平和に幸福に終わらせたい、という気持ちの方が勝ったのだと思う。で、それ、やはり、ARABAKIだから、そう考えるのだと思う。

ちなみに。「今年よかった、OAUで。じゃないと俺、退場になっちゃう」と言って笑いを起こし、「いろんなルールとか変わっていくけど、楽しむことはいっぱいできると思うんで」と続けたTOSHI-LOW、今年はOAU以外に、怒髪天と、両日のトリのセッションに出演したが、その2日目「GTR祭」でのこと。自分とKOHKIが呼び込まれ、曲に行こうとしたところで、サポート・ギター竹安堅一の機材がトラブって、その対応のため、間が空いた時。「じゃあギター3本いらなくない? 竹安の分、誰か弾けばいい」と言い、高野勲が「それ言っちゃダメ」とつっこんで、笑いが広がった。この「GTR祭」は、ボーカルだけ入れ替わっていくセッションと違って、それぞれのギタリストのセッティングが必要なので、ゲストの度に間が空くのですね。だから、それでなくても待ちが多い上に、竹安のトラブルで、また待ちが……というオーディエンスの空気を読み取り、「ギター3本いらなくない?」と一部のオーディエンスの本音を代弁して笑いを取り、自分を「そんなことを言うひどい奴」の役にすることによって、竹安に向けられるストレスをそらしたのだ。笑わせるMCもシリアスなMCも、もちろんボーカルも天下一品の男なのは周知の事実だが、さらに、こういう細かなところにも素早く対応するのも、TOSHI-LOWの並外れた能力だ。というか、気配りだ。ライブの時も普段も含めて、何度かそれを目撃したことがあって、「すごいなあこの人」と思ってきたが、ここでもまた思いました。本当に、TOSHI-LOWがいるといないでは大違い。

文=兵庫慎司 撮影=Team SOUND SHOOTER

※開催前のARABAKIのプロデューサー菅氏のインタビューはこちら

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