松尾スズキ、間宮祥太朗、江口のりこらが完成度に太鼓判 PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』が開幕
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PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』開幕前会見より (左から)松尾スズキ、坂東龍汰、間宮祥太朗、江口のりこ、皆川猿時
1960年代の精神病院を舞台に、人間の尊厳と社会の不条理を描いたケン・キージーの小説『カッコーの巣の上で』。1975年にはジャック・ニコルソン主演で映画化され、1963年に舞台の初演が行われると、2001年の再演でトニー賞リバイバル作品賞を受賞。日本においても、1978年の初演以降、繰り返し上演されてきた。
自由に生きようとする人間の力強さと美しさ、理不尽な抑圧に立ち向かう勇気と意義。喜びや怒りを素直に表し、他者を尊ぶ心。大切なテーマを、アウトローな主人公・マクマーフィーを通して描く本作。演出を手がけるのは、演劇界の奇才・松尾スズキ。主人公マクマーフィーを間宮祥太朗が演じ、坂東龍汰、皆川猿時、江口のりこといったキャストが集結した。
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
プレスコールで披露されたのは、厳しく統制されている精神病院にランドル・P・マクマーフィー(間宮祥太朗)が入院し、患者たちと親交を深めていく場面。陽気で破天荒なマクマーフィーが看護婦長・ラチェッド(江口のりこ)や医師のスパイビィ(皆川猿時)、個性的な患者たちと対峙する様子が面白い。だが、入院している患者たちの事情はシリアスなものが多く、物語にはヒリついた空気が漂っている。
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
主人公・マクマーフィーを、間宮は荒っぽいが魅力的に描き出していた。「この男なら何かやってくれる」と思わせ、病院の閉塞感を吹き飛ばすようなパワフルさと求心力を見せている。患者の一人・ビリー(坂東龍汰)は、人懐っこい笑顔が可愛らしい。一方で抱えている苦しみの深さがや気の弱さが随所からうかがえ、ハラハラさせられる。
患者たちを管理するラチェッド婦長を演じる江口は冷たく厳しい態度で物語を引き締めており、医師役の皆川は婦長よりも気さくに見えるぶん頼りなさも感じさせるユーモラスなキャラクターになっていた。
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』舞台写真
患者たちも病院スタッフたちも一人ひとりがキャラ立ちしており、物語にどう絡んでくるのか期待が高まるプレスコールだった。
開幕前会見には 演出・松尾スズキ、間宮祥太朗、坂東龍汰、皆川猿時、江口のりこが登壇した。
ーー松尾さんはこの作品が非常に好きだそうですが、作品の魅力、演出してみての感想などいかがでしょう。
松尾:人間って自由に生きたいのが当たり前ですが、意外とちゃんと自由に生きようとすると不幸になる。そういう悲劇的な物語が、エンターテインメントとして優れていると思います。一人ひとりのキャラがしっかり立っているのも好きです。演出をしてみて、実力者が集まってくれました。間宮くんや江口さんは読み合わせ等出来上がっているような感じで、とても頼りになりました。僕は稽古を3時間するとクタクタになるんですが、今回は4時間もできて嬉しかったです(笑)。
ーー間宮さんと江口さんは2022年の『ツダマンの世界』以来4年ぶりの松尾作品ですが、ご一緒していかがですか?
間宮:今回の台本を読んで、より松尾さんのセリフとして入ってきました。セリフのリズムや面白さが掴めたというか。あと、相変わらず演出の一つひとつが面白くて。前回はコロナ禍で稽古場で雑談もしにくかったので、今回は解放された楽しい稽古でした。
江口:またご一緒できて嬉しいです。稽古時間が短いのも嬉しいことで(笑)。短時間ですごく集中できたんですが、昨日のゲネプロでもう少し稽古すれば良かったなと思いました。松尾さんはとても優しい方ですが、私にとってはどこか怖さもあって。こちらがある程度できるまで見守ってくれるような大きな優しさがあるなと改めて感じました。
ーー坂東さんは松尾作品初参加、皆川さんは長い付き合いですが、稽古中の印象的なエピソードはありますか?
坂東:僕は出ていないシーンもあるので、松尾さんを見られる時間が結構あって。例えば、激しい衝突があるシーンを見られている時は演者と一緒の顔になっていてすごくかっこいいなと。
一同:(笑)。
坂東:楽しくもあり怖くもあったのは、稽古前のカーゲームの罰ゲーム。トップになった人のいいところを最下位になった人が1分間褒めるというのを僕は両方経験して。褒められたし褒めたしで、面白いこと言わないと松尾さんに怒られるのかなとハラハラしました(笑)。
間宮:あと、作中には色々なバックボーンを持った登場人物がいるんですが、演じる役者が調べてきてみんなの前で歴史や背景を発表するっていう。あれは面白かったです。
皆川:松尾さんはこの作品に真正面から向き合って、みんなで真剣にやろうとしていたんですよ。それを僕が理解できずにいつも通りふざけたら「普通にやれ」と言われました(笑)。松尾さんの本気を感じて、そこから心を入れ替えましたね。
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』開幕前会見より(左から)松尾スズキ、坂東龍汰、間宮祥太朗、江口のりこ、皆川猿時
ーー世界各国で上演されてきた作品に対する思いを教えてください。
間宮:過去にたくさん上演されてきた作品に携われるのはありがたいし誇りです。このお話をいただいた時、松尾さんがやるなら絶対面白いと思いましたし、稽古中にその思いは高まりました。期待と自信を持って挑めていると思います。
坂東:僕も海外の舞台版なども観ましたし、映画も好きですし、知名度も高い作品です。すごすぎるキャストの皆さんと松尾さんの演出の中でどうビリーを演じられるか日々考えながらやっています。一つの象徴的なキャラクターでもあるので、皆さんのお芝居をちゃんと感じながら演じたいです。
江口:私は何年か前にあるカンパニーが『カッコーの巣の上に』を上演しているのを観ました。面白かったんですが、私たちがやっている方がものすごく面白いです。
一同:(笑)。
松尾:大丈夫か?
江口:前に観たものも面白かったですが、音楽も素敵ですし舞台美術もいいし、役者の皆さんも面白いですし。やればやるだけ良くなっていると感じます。
皆川:私の役は出番が少ないです。だからずっと稽古を見ていて、お客さんに一番近い立場です。そんな僕が言うんだから間違いないです。これは面白いです!
ーー観客の皆さんからの期待値も高いと思いますが、演出としての松尾さんの思いはいかがですか?
松尾:トリッキーなものを想像されるかと思いますが、今回は誠実に作っています。ワンセットでやるのも中々ないですし、役者の演技をとことん楽しめる舞台になったと思います。そういう意味では今までの松尾とは少し違うかもしれないです。
ーー楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
間宮:すごく面白い作品になっていると思いますし、これからどんどん面白くなる作品だと思います。観にきてくださる方が感じることはそれぞれ違うと思いますが、とにかく楽しんで観ていただき、原作にあるスピリットを感じて帰っていただけたら、すごくいい観劇体験になると思います。
江口:東京公演はありがたいことに
坂東:今日の初日から、1ステージ1ステージ大切に全力で演じていきます。よろしくお願いします。
皆川:とても緊張感のある芝居です。緊張しながら、笑えるところは笑っていただいて、元気になって帰ってください。
松尾:先ほど江口さんが「前に観たカンパニーより面白い」と断言してくれました。僕もYouTubeなどで各国のものを見ますが、どれより面白かったです。まあ英語だからわからないんですが(笑)。自信がありますのでよろしくお願いします。
PARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』開幕前会見より(左から)松尾スズキ、坂東龍汰、間宮祥太朗、江口のりこ、皆川猿時
本作は2026年6月7日(日)〜6月29日(月)まで東京・PARCO劇場、7月4日(土)・5日(日)に愛媛・愛媛県民文化会館 メインホール、7月10日(金)〜13日(月)に大阪・森ノ宮ピロティホール、7月18日(土)・19日(日)に福岡・J:COM北九州芸術劇場 大ホール、7月24日(金)〜26日(日)に宮城・仙台銀行ホール イズミティ21 大ホールで公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈