HOME、Black petrol、北村蕗による自由で至福で刺激的な夜――FM802『MIDNIGHT GARAGE』主催『ホームルーム』レポート

2026.7.21
レポート
音楽

撮影=SKINNY

画像を全て表示(20件)

『FM802 MIDNIGHT GARAGE presents ホームルーム Supported by Rookie A Go-Go』2026.6.28(SUN)CONPASS

大阪のラジオ局・FM802の番組『MIDNIGHT GARAGE』(毎週月曜24:00~27:00)が主催するライブイベント『ホームルーム』が6月28日(日)、大阪・CONPASSで開催された。

2017年以来9年ぶりの開催となる今回は、『FM802 MIDNIGHT GARAGE presents ホームルーム Supported by Rookie A Go-Go』と題し、日本最大級の野外フェス『FUJI ROCK FESTIVAL』の新人登竜門ステージ「ROOKIE A GO-GO」の歴代出演者の中から、沖縄出身でアジアを視野に入れたインディーロックを標榜するHOME、関西を拠点にジャズやヒップホップを基調としながら活躍の幅を広げるBlack petrol、ダンスミュージックと弾き語りを横断する奇才・北村蕗が出演。まずは25年の長きにわたり同番組のDJを務める土井コマキが、「今日は「今のガレージはこんな感じ!」というのを表すのにピッタリな3組が出演してくれます。最後までどうぞゆっくり楽しんでいってください!」と挨拶し、『MIDNIGHT GARAGE』が推す注目株が集まった、自由で至福で刺激的な夜がスタートした。

Black petrol

「音楽の妖精・北村蕗ちゃん、沖縄の最高にカッコいいバンド・HOMEと名を連ねられることを誇りに思います。僕らが一発目にしっかり盛り上げるので楽しんでいってください!」なんてSOMAOTA (Rap.Vo)の粋な宣言で『ホームルーム』の幕開けを告げたBlack petrolは、1曲目の「Overdrive Ⅱ」から初見でも目の前にビジョンが広がるほど、言葉の一つ一つが明瞭なフロウでロックオン。続く「mosaic」も不穏な時代を自らの目線で切り取ったワードがいちいち突き刺さる。それには、takaosoma(Gt)、石尾紘樹(Key)、たけひろ(Ba)らの繰り出すグルーヴが一役どころか何役も買っており、安原大貴(Sax)のドープなサックスソロでも見る者をぐいぐい引き込んでいく。

BPMを落とした「Dinner of Amy」でも矢継ぎ早なラップで畳み掛け、たけひろのワウベースを軸にメンバー各人の細やかなフレーズが絡み合った「Capital, sweat」から、内臓をこねくり回されるようなビートとメッセージがシンクロし沸点へと向かっていった「Sphere」への流れは圧巻で、「TURN」ではフルートとスクラッチ、長尺のギターソロとつないでいく得も言われぬエクスタシーに拍手喝采!

「『MIDNIGHT GARAGE』では「mosaic」をたくさんかけていただいて……土井さんありがとうございます! 3月に出したニューアルバムから表題曲をやろうと思います」といざなったSOMAOTAは、「Diaspora」のトラックが鳴るなり踊り出したオーディエンスに、「いいですね、踊っていきましょう!」と思わず顔がほころぶ。その絶景を前に、「世界で一番笑顔の多い『ホームルーム』じゃないですか!? とっておきのヤツをやります」と「Cardiogram」でもとことんブチ上げ、クライマックスはジャジーな「Kyoto State of Mind」~「PLUS ONE」のラッシュで見る者の心と体を揺らし切ったBlack petrol。京都から世界を見据えた大いなる刺客が、北村蕗へバトンをつないだ。

北村蕗

「Black petrolがフロアをめっちゃ熱くしてくれました。北村蕗も頑張ります」とメロウな旋律を奏で、一節歌い上げるだけでそこはもう北村蕗の世界。Black petrolがもたらした喧騒から一転、坂本龍一の大胆カバー「undercooled」では次々と音像を変えるシンセと歌でくぎ付けにしたかと思えば、「mirror」ではラップトップやドラムマシンを同時多発的に操り、たった独りで軽々トラックメイクしてみせたさまが何ともクール。会場が静かに熱を上げていくのは暗闇でうごめくシルエットを見れば明白で、「eclipse」ではフルートも演奏するマルチプレーヤーぶり。シームレスなライブ運びとリフレインが快楽へと導いていく「Used to Fall」も壮絶かつ美しく、みずみずしい才能と可能性に溢れた楽曲群を惜しみなく披露していく。

「『ホームルーム』、残ってくれて本当に最高です。ありがとうございます! 私も過去に「ROOKIE A GO-GO」に出演していて、Black petrolとHOMEと大阪で対バンできてうれしく思います。最後まで楽しんでいってください」

シンプルな弾き語りで届けた新曲「3am」には観客も心地良さそうに身を委ね、「次の曲で最後になります」という知らせにお世辞抜きで大きなどよめきが起こっていたことからも、彼女のライブの圧倒的没入感がうかがえる。「でも、次の曲は長いのでたくさん踊っていただけたら!」と、ラストはロングセットの「wingbeatFreq」へ。時にターンテーブルのように鍵盤に指を走らせた北村蕗のハイブリッドでスリリングなパフォーマンスは、「ROOKIE A GO-GO」と『MIDNIGHT GARAGE』の確かな目利きを鮮やかに証明していた。

HOME

『ホームルーム』のフライヤーのアートワークも手掛けたという多才なクローザーは、「沖縄から来たHOMEです」とseigetsu(Vo)が開口一番、「Still Dreaming」でタイトルさながらの非日常へとあっという間に連れていく! その歌声を聴くだけで鳥肌が立ってしまう不思議な引力を放ち、o-png(PC)の構築する巧みなサウンドデザインに、shunta higa(Gt)のギターが激情を添える。その後も、シューゲイズな浮遊感漂う「Tell Me」、shunta higaとのツインボーカルでも魅せたエレクトロパンクな「Memories」、オートチューンと独自の言語感覚の黄金配合「木目」と、目まぐるしく表情を変えていく底知れぬセットリストには魅了されっぱなしだ。

神秘的な光の下、雑踏や汽笛などさまざまな音が入り混じったSEが流れるCONPASSはまるで映画の中にいるようで、ひときわメロディアスな「Maybe I should die with you」を浴びれば、HOMEの音楽が持つエナジーが全身に満ちていく。「Lucy」では、seigetsuが「もしこの曲を知っていて、すこぶる調子がいいなら一緒に歌ってほしい」と呼び掛け、『ホームルーム』にさらなる熱狂を生み出していた。

あまりの場内の熱気に息も絶え絶えのseigetsuだったが、配信されたばかりの「Deja Vu Slider」では透明感のあるハイトーンボイスを見事に響かせ、「土井さんには我々の新曲をめちゃくちゃ流してもらい、ありがとうございますという気持ちです」とshunta higaが感謝を述べた後は、シメの「skin」でボーダレス×ポップネスな現在地を提示。そして、ダメ押しのアンコールはshunta higaがステージを降りギターを弾きまくった「milgaus」! 光と音のカオスという強烈なエンドロールを刻んだHOMEだった。

エンディングには再び土井コマキが登場。「Black petrol、北村蕗、HOMEにもう一度大きな拍手をお願いします! 心も体も解放してくれるすごい3組で、まさに『フジロック』だなと思っちゃったけど、FM802のイベントでした(笑)。とにかく楽しんでもらえたならとてもハッピーです。これからも音楽の前で正直にやっていこうと思いますので、ぜひラジオで会いましょう!」と、9年ぶりの宴を締めくくった。

なお、この日のライブ音源や終演後の楽屋インタビューは、6月29日の『MIDNIGHT GARAGE』内でオンエア(※radiko「タイムフリー30」機能で1カ月後まで聴取可)。最高の遊び場を提供してくれた『ホームルーム』の次回開催が楽しみでならない。

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=SKINNY(『FM802 MIDNIGHT GARAGE presents ホームルーム Supported by Rookie A Go-Go』写真提供

イベント情報

FM802 MIDNIGHT GARAGE presents ホームルーム Supported by Rookie A Go-Go
日時: 2026年6月28日(日)16:00開場 / 17:00開演
会場: 大阪・心斎橋 Conpass
料金: 前売 4,500円 (ドリンク代別)
出演者: HOME / Black petrol / 北村蕗
MC: 土井コマキ

番組情報

FM802『MIDNIGHT GARAGE』
放送日時:毎週月曜日24:00-27:00
DJ:土井コマキ
番組X:@FM802_MG
番組Instagram:@fm802_mg
  • イープラス
  • Black petrol
  • HOME、Black petrol、北村蕗による自由で至福で刺激的な夜――FM802『MIDNIGHT GARAGE』主催『ホームルーム』レポート