あほの坂田。(浦島坂田船) “しあわせとはなにか”を描いたワンマンツアー・両国国技館公演をレポート
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あほの坂田。
AHO NO SAKATA LIVE TOUR 2026 -STAR [T] RAIL-
2026.6.28 両国国技館
音楽ユニット・浦島坂田船のメンバーであるあほの坂田。(以下 坂田)が、『AHO NO SAKATA LIVE TOUR 2026 -STAR [T] RAIL-』と題したツアーを全国6都市で開催。“銀河鉄道”をテーマにした幻想的な星空への旅、その終着点で見つけたのは「しあわせとは?」という問いに対する答えだった。ここでは、2026年6月28日に東京・両国国技館で行われた最終公演の模様をお伝えする。
ステージ後方上部のメインスクリーンにはホームに停車中の蒸気機関車風列車が映され、時折鳴り響く汽笛。どんな冒険の旅になるのだろうかと期待に胸膨らませていると、レトロな内装の車両に見立てたステージに、キービジュアルそのまま、ロングコート姿が麗しい車掌の坂田が登場。ホイッスルで旅立ちのときを知らせると、5月31日に発表されたアルバム『STAR [T] RAIL』の1曲目を飾る「STAR TRAIN」へ。伸びやかな歌声が響き、車窓を思わせる3つのスクリーンにはびゅんびゅんと景色が流れ、星空へ。気づけば、観客はすでに銀河鉄道の乗客になっていた。
「ファイナルへようこそ! 最高の思い出をみんなで作りましょう!」と坂田が呼びかけた「イデア」では、彼のイメージカラーである赤のペンライトを坂田家(あほの坂田。ファンの呼称)が振りながら大声援で応える。そして、「間もなく月、ムーンステーションです」というアナウンスに続き「月光ピクニック駅」と書かれた駅名標が車窓に見えると、「月光ピクニック」へ。没入感を生む粋な演出にも、表現者である坂田のこだわりが見える。
あほの坂田。
『星の王子さま』をモチーフにした「Le Petit Prince」、中毒性の高い「惑星ループ」と、坂田の表現の振れ幅に翻弄されていると、銀河鉄道はサービスステーションに停車。「いい旅になるかはこれからの私たち次第。しばらく歩いてみませんか? 一緒に」という坂田の言葉が導いた「IN THE NEON」でメインスクリーンに映し出されたのは、坂田が夜の両国をそぞろ歩く自撮り散歩動画だ。動画内で最後に両国国技館前に辿り着いた坂田は、相撲の聖地に相応しく締めにどすこいポーズ。坂田家を楽しませたい!という一心で、このツアーではそれぞれに場所が異なる散歩動画を日替わりで上映したとのことで、ステージも観たいし動画も観たい!という嬉しい悲鳴が会場を包んだ。
「このあたりは蛍も出るみたいで、少しみんなで見ていきませんか? 電気を消して」と坂田が呼びかけ、坂田家が腕につけた制御バングルSTAR [T] LIGHTで見事な光の演出が実現したのは、「夜明けと蛍」。「Fairytale, -ANDRIVEBOiz arrange ver.-」では、サビで感情を解き放つように響かせた歌声が、胸の奥に沈めていた感情まで揺り起こしていく。
あほの坂田。
「お手元の灯りをつけてお待ちください」というアナウンスが流れ、銀河鉄道は雪の舞い散る氷の惑星へ。せつなくも温かな歌声が響く「ショパンと氷の白鍵」、目にも耳にもあまりに美しい。
トンネルを通過し、ついに虹色の天の川を通る銀河鉄道。深宇宙の神秘的な星雲たちを背に、永遠の愛を誓う「年に一夜の恋模様」、さらには『STAR [T] RAIL』収録の新曲「銀河の底で恋をする」でも、坂田の歌声に大合唱を重ねた坂田家。たいせつなものは目には見えないけれど。愛と信頼で結ばれた両者が共有する“しあわせのかたち”が、はっきりと感じ取れた。
「到着いたしました、天の川銀河です。次は……」という到着アナウンスに坂田が続けたのは、「どこまでもどこまでも一緒に行こう。」という言葉。そうだ。坂田と坂田家が紡ぐ物語は、まだまだ終わらない。
「君のハートに、レボ☆リューション!」の決めゼリフでおなじみの芸人・宇宙海賊ゴー☆ジャスがまさかのゲストとして登場した幕間VTRでは、銀河最強を目指して坂田が本気のゴー☆ジャスメイクをしてネタの完コピにチャレンジ。猛特訓のおかげで師匠に認めてもらえた“キャプテン坂☆田。”こと坂田は、師匠と2人でオリジナルコントをつくることに。師弟2人の息の合った「アゼルバイジャン!」が繰り出されたコンビ“となりのゴー☆ジャス。”は、今回限りにしておくのはもったいないほど銀河レベル(?)の完成度だったように思う。
第2部的な後半戦の口火を切ったのは、坂田家の全力コールを浴びながら坂田がダンサーとともに軽やかなステップを踏んだ「Datency」。坂田をダンサーが手持ちのカメラでワンカットでとらえた「リビングハート」では、カンペのムチャブリに坂田だけでなくバンドメンバーもこたえていくことに。バンドメンバー、ダンサーとのチーム力の高さにも、白い刺繍に背中の赤い花が映えるドレッシーな黒のロングジャケットがよく似合う坂田のスタイル、パフォーマンスにも、視線を奪われずにはいられない。
あほの坂田。
事前に募ったアンケートに坂田がその場で答えていくトーク企画“銀河鉄道で往く、坂田との旅のしおり”をはさみ、「後半戦も爆発していこうぜ!」と気を吐いて「スーパーヒーロー」へ。アドリブで盛り上げ坂田家の大合唱とコールを浴びて輝くその姿は、やっぱりスーパーヒーローだ。
ファイヤーボールが噴き上がり赤いレーザー光線が飛び交う中、ハイキックやターンもきめた「純粋リバース ~Hell or Heaven~」。渾身のロングトーンで鮮やかに彩った「とても素敵な六月でした」。昭和歌謡テイストやカラフルライトがスター性を際立たせた「チェック・ナイト」。<えらい><すごい>の連呼で坂田家の自己肯定感を爆上げした「えらくてすごい」。これまた新曲とは思えない一体感が生まれた「ワンルーム・ヘブンリー」。「一生ついてこいよ!」と叫び、バンドメンバーやダンサーと横並びになって高揚感をあおった「生き証人」。坂田の命燃やすかのような歌とパフォーマンスは、どうしたって観る者の血をたぎらせる。
あほの坂田。
あほの坂田。
「こんなイカれた姿を見せられるのはみなさんだからです。今回のツアーで宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに“しあわせとはなにか”を考えた時に、浦島坂田船の坂田でいられること、これ以上のしあわせを俺は知らなくて。思い出の地(両国国技館には2017年と2019年に浦島坂田船として立っている)まで僕を連れてきてくれてありがとうございました。還暦まで、頑張らなきゃいけないんだよね。俺、本気だよ?」
そう告げて、『STAR [T] RAIL』に収録の「夜に浮かぶ」へ。坂田家へのありったけの愛を込めたその歌声は、永遠を信じさせてくれる強さと誠実さに満ちていた。
あほの坂田。
「ホシアイ」で始まったアンコール。赤の誇り高さ気高さをたたえた「Redo Parade」に続き、「せっかくの思い出の地なので思い入れのある一曲を歌ってもいいですか?」という言葉が導いたのは、2017年に浦島坂田船が両国国技館公演のアンコールで披露した「Mermaid」だった。坂田と坂田家が気持ちひとつに響かせた歌声も、ステージを緑、紫、赤、黄色と浦島坂田船メンバーカラーで照らしたライトも、尊かった。お互いにしわくちゃになっても、そばにいられたら。坂田と坂田家が見つめる未来は、これからも同じ線路の先に続いている。
あほの坂田。
あほの坂田。
あほの坂田。
文=杉江優花
撮影=堀卓朗(ELENORE)、加藤千絵(CAPS)
セットリスト
2026.6.28 両国国技館
01. STAR TRAIN
02. イデア
03. 月光ピクニック
04. Le Petit Prince
05. 惑星ループ
06. IN THE NEON
07. 夜明けと蛍
08. Fairytale, -ANDRIVEBOiz arrange ver.-
09. ショパンと氷の白鍵
10. 年に一夜の恋模様
11. 銀河の底で恋をする
12. Datency
13. リビングハート
14. スーパーヒーロー
15. 純粋リバース ~Hell or Heaven~
16. とても素敵な六月でした
17. チェック・ナイト
18. えらくてすごい
19. ワンルーム・ヘブンリー
20. 生き証人
21. 夜に浮かぶ
[ENCORE]
22. ホシアイ
23. Redo Parade
24. Mermaid