劇団☆新感線『乱鶯』大阪の会見もレポート!

2016.1.24
レポート
舞台

(左から)稲森いずみ、古田新太、いのうえひでのり 撮影:藤田晃史

「こういう大きな規模でやるチャンバラ活劇は、なかなか観れないと思う」(いのうえ)

すでに東京での会見の様子が、各メディアに取り上げられている、劇団☆新感線の新作『乱鶯(みだれうぐいす)』。こちらでは東京の会見の前日に、主宰&演出のいのうえひでのり、主演の古田新太、新感線2度目のゲスト出演となる稲森いずみを迎えて行われた、大阪の記者発表の様子をレポートいたします。

今回の『乱鶯』は、劇団の時代劇路線「いのうえ歌舞伎」の新たなるバージョン「《黒》BLACK」と銘打った公演。これはいのうえの言葉を借りると「通常のいのうえ歌舞伎が少年漫画だとすると、青年誌的な大人のニュアンスを狙った」世界になるそうだ。

撮影:藤田晃史

「ここ数本、割とお祭的な作品が続いたので、ちょっとカッコつけたよそ行きの芝居もしなきゃ、という気持ちになりました。昔は商業演劇でもTVドラマでも、本格的な時代劇っていっぱいあったじゃないですか? 人情があって、ほのかな恋心があって、最後は活劇になる、みたいな。今までいのうえ歌舞伎は「何となく平安時代の日本と思わせる国」とか、嘘の付きやすい設定でやってたけど、今回はセットもリアル目で、その時代のしきたりや風俗とかもある程度加えようと。だからって地味になるわけではなく、新感線の今までのノウハウとかスタッフ力を使って、その時代を頑張って描く、ということになります」(いのうえ)

時代は江戸時代の天明(1700年代末)の頃。大盗賊の「鶯の十三郎」は、瀕死の所を居酒屋の夫婦らに助けてもらう。その後盗賊稼業から足を洗い、旦那を亡くした未亡人を助けて、その居酒屋を繁盛させた十三郎。しかし恩人の息子がそこに現れたことで、十三郎は彼に手柄を立てさせようと、再び立ち上がることになる…。

「内容的には、クリント・イーストウッドの(映画)『許されざる者』にインスパイアされてるような感じです。闇の世界に生きた人間が、愛する人や、義理や恩のためにもう一度戦うという。脚本を倉持(裕)君にお願いしたのは、(今まで「いのうえ歌舞伎」を手がけた)中島(かずき)君や宮藤官九郎君とは、また違う本ができるんじゃないかと。彼自身も、今まであまり書いたことがない世界にチャレンジしてみたいということもありました」

撮影:藤田晃史

主演の古田はもちろん、鶯の十三郎役。そして稲森いずみは、彼が働く居酒屋の女将・お加代を演じる。この2人のほのかなラブストーリーも、一つの見どころになるそうだ。

「裸足で草履をはくという役は初めてなので、すごく新鮮です。江戸時代の居酒屋の女将ってどんな風なんだろう? と思うので、今からちゃんと調べなきゃと思います。前回新感線に出た時は、千秋楽が近づくに連れて「イヤだ、まだやっていたい」と思うぐらい楽しかったんです。(演じていて)日常の現実とは全然違う所に連れてってくれる快感が心地よかったし、ステージ裏のスタッフの方たちの仕事ぶりを見るのも楽しかった。今回もそういう気持ちになれるよう、ちゃんとお稽古して作り上げて行けたらなあと」(稲森)

撮影:藤田晃史

「いのうえさんが『古田君を中心に』って打ち合わせをしたら、倉持のバカが出ずっぱりの役にして(一同笑)。台本を見たら、もう全然(袖に)引っ込まないので、煙草一本も吸えない状態。明日会うんで、ぶん殴ろうと(笑)。みんな『今までの新感線とは違う』みたいなことを言ってるけど、いきなり大立ち回りから始まるし、何が違うんだろう? と。結局は(いつもの)「なんちゃって時代劇」だろうと思ってます(一同笑)。今回は本当に台詞が多いので、大東(駿介)とかはもうどうでもいいんで(笑)、稲森ちゃんに迷惑をかけないのが第一目標です」(古田)

会見の最後には「こういう大きな規模でやるチャンバラ活劇っていうのは、今なかなか観れないと思うので、ぜひ見逃さずにお楽しみ下さい…劇場で」というメッセージを寄せたいのうえ。『水戸黄門』や『必殺シリーズ』などのTVの時代劇を見て育った世代は猛烈にツボを突かれるだろうし、時代劇になじみがない世代も、人情と生死が複雑に絡む世界だからこそ生まれるドラマに興奮できることだろう。新感線ならではの本格的な時代劇を、いのうえの言葉通り、ぜひ劇場空間で体験してみよう。

公演情報

2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK『乱鶯』

《東京公演》
■日程:3月5日(土)~4月1日(金)
■場所:新橋演舞場
発売:1月24日(日)

 
《大阪公演》
■日程:4月13日(水)~30日(土)
■場所:梅田芸術劇場 メインホール
発売:2月28日(日)

 
《福岡公演》
■日程:5月8日(日)~16日(月)
■場所:北九州芸術劇場 大ホール
発売:2月27日(土)

 
■作:倉持裕
■演出:いのうえひでのり
■出演:古田新太、稲森いずみ、大東駿介、清水くるみ、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、山本亨、大谷亮介、ほか
■公式サイト:http://www.midareuguisu.com/