ちゃんみな パーソナルな痛みが普遍性に昇華された人生の軌跡、初の東京ドームライブ『AREA OF DIAMOND FINAL』Day2レポート
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ちゃんみな
CHANMINA “AREA OF DIAMOND FINAL”
2026.7.12 TOKYO DOME
ちゃんみなが自身初の東京ドーム2Days公演のファイナルを7月12日に開催。タイトルの『AREA OF DIAMOND』は彼女が2023年から続けてきたツアーのタイトルであり、ダイヤモンドの原石が磨かれるプロセス、つまり彼女の人生の軌跡を選曲や演出全てで表現したもの。と、同時に近年、その自己開示に基づく作品が幅広いリスナーに響き、2020年代後半の日本のポップミュージックのど真ん中に上り詰めたことも明らかにする、今を感じるエポックにもなった。何しろこの10年で東京ドーム2Daysを満員にできた女性アーティストは片手で数えられるほどしかいないのだ。
オープニングは原石が意志を象徴するような剣との化学反応で、ちゃんみなを覚醒させるSF的な映像が展開。中には深海に沈んだ教室や雨に打たれるピアノなど、ちゃんみなの人生の中で象徴的な場面も盛り込まれ、その先で東京ドームへの扉が開かれていくという流れが大袈裟さを感じさせない。扉が開いた先でショーケースに閉じ込められたちゃんみなが姿を現すと大歓声が湧き上がる。が、一部のスピーカーが鳴っていないようだ。もしやファンの歓声の大きさでケースが破壊される演出なのか?と思ったが、2曲目の冒頭、警報音が鳴ると場内騒然。「無理無理無理! ちょ、東京ドームにバケモンいるって聞いてたけどこういうこと?」と、一旦制止し音響トラブルを解決。約20分後、オープンング映像からリスタート。自らがトロフィーのように見えるショーケースの中で《席替えは終わった 今や私が王様》と歌う「KING」でスタート。「今までどんな魔物と闘って来たと思ってんだよ。東京ドーム行くぞ!」と、幾重もの意味を感じる咆哮を放つ。システムエラーを思わせる映像と警報音、真っ赤なレーザー、そしてスパイ風のダンサーが“お宝=ちゃんみな”を強奪するような演出での「RED」。ショーケースから解放され、花道をダンサーを従えてセンターステージに向かう演出がハマりすぎな「NG」では、ファンの歓喜が爆発。《お前のNOは無意味》のシンガロングの大きさは一人ひとりの感情の爆発だった。続く「Sober」ではアクロバティックなダンスも見せた。
「初めての東京ドームでカッコよく出てきたら(幕を)閉められた(笑)。魔物がいるって分かったからみんなの力と私でボコボコにして帰るね」と、トラブルもエネルギーに転化。「今日終わったらしばらくライブしないんですけど、魔物も一緒に踊っちゃうぐらいラブ&ピースで。今日は懐かしい曲もやるので」と、『未成年』から「FXXKER」のショートバージョン、「Princess」をホラーなピアノとラウドロックのダイナミズムで展開。高速ラップをブチかまし、《今、東京ドームに立ってる》とライブアレンジしたリリックに大歓声が上がる。そして大階段を上る彼女のマントが広がるとライブタイトルが。もはやリトルプリンセスはキングになったのだ。人気曲「^_^」の《女王になる方が簡単》というリリックにも接続するようで、男性ダンサーとのアクロバティックでセクシーなダンスも単にセクシーなだけには映らない深みを感じさせた。
幕間の映像ではちゃんみなが言葉を綴り続けたことが自分自身の灯台になり道を切り開いて来たことが男声のナレーションと映像で表現され、次のセクションの予想を促す。なんとステージに巨大なノートが現れ、ページをめくった先にちゃんみなが現れる。曲はもちろん「note-book」で、リリックを投影しながらの歌唱は彼女のパーソナルで柔らかい心の奥底を覗かせた。さらにフロアではエアリアルダンス、ステージのは豪雨が降る中での「太陽」は単に破格の演出というより、かけがえのない存在のメタ的表現としてとても繊細なものだった。聴かせるナンバーは続く「Good」でバンドがフィーチャーされたことで、オーセンティックなシンガーとしてのちゃんみなもクローズアップされた印象だ。
この日は配信も映画館でのライブビューイングも行われていることから、画面越しのオーディエンスにも現場のみんなで熱を届けようねと伝え、本来ライブをやる場所ではないのでスピーカーにはお金をかけた、とも。全方位に彼女のプロとしての配慮と意気込みが溢れている。
初期ナンバーや繊細な内面を開示した後は、彼女流のエレジー「ダリア」をステージに這いつくばったりしながらムービングステージに乗り、渾身の歌唱を聴かせながらアリーナ後方のサブステージに到着。多くのリスナーがちゃんみなの核心に触れるきっかけになったであろう「PAIN IS BEAUTY」に繋がる流れは、目には見えないが4万2000人それぞれの葛藤が空気を伝って共振していた。この痛みはどこまでも自分のものではあるけれど、孤独ではない、そんな実感と共に。そしてギターを携えた彼女は正直にこの数ヶ月の不調による不安を吐露し、「今までで一番大丈夫じゃなかった。でもここに立たせてくれたのはみんなでした。I'm Notって言ったらOKって言ってくれる?」と、どこまでもリアルな「I'm Not OK」がドームに響き渡り、力を得たちゃんみながロングトーンで自分自身を解き放つようだった。
多様性を体現する女性ダンサーのパフォーマンスが挟まれると、それぞれの高いスキルと自己表現に拍手が起こり、ファンのチーム全体への愛も、チームちゃんみなの意識の高さにも感銘を受けていると、ブラックのブラトップとショーツ、プロテクターで攻めのステージを予感させるちゃんみなが登場し、これまたファンならずともリスナーにブッ刺さる「美人」をシャウトのロングトーンで締める。先ほどのダンサーのタームにもしっかり意味が接続されているのだ。未発表の新曲「Name Card」ではダーティなビートとラップが煽り立て、さらにバンドサウンドのスケール感でハイパージャジーな「WORK HARD」でカオスに突入。クリティカルにプロの仕事を突き詰める彼女のスタンスを知る最近の楽曲が並んだのも痛快だ。そしてステージは意表をつく展開に。「WORK HARD」のアウトロでちゃんみなは空中30メートルの高さを舞うワイヤーアクションにスムーズに移行、アブストラクトな空間を作るラップナンバー「무중력 (harmless 無重力) Feat. CHANMINA」をドームを広く使って表現するのだが、途中からコラボしたiKONのBOBBYもワイヤーアクションでパフォーマンス。曲のイメージを体現するのに実際、空中を舞うなんてどんな発想?と驚きながら笑うしかない。ちなみにBOBBYはちゃんみなが16歳の時から大ファンで、オファーにノーギャラで応えた彼の真心、そしてお互い腰を低くして感謝し合う様子に思わず和んでしまった。「みんなの力を貸して欲しいんだよね」の一言でドームがカラオケ会場と化した「B級」、歌始まりのイントロに爆発的な感性と悲鳴が上がった「ハレンチ」。洒脱なアレンジと歌いたくなるメロディに女子ならではの戦闘モードも忍ばせるここの2曲の愛されっぷりにも、J-POPにおける彼女の本音ソングの必要性を見たりもした。
バンドセッションにも熱い声援が送られる中、3度目の衣装替えをしたちゃんみなはカジュアルなスタイルでドームの中に設られたリビングルームのセットから「Angel」を歌いステージに現れると、バレエのようなコレオで魅了した。すると後方から悲鳴が上がり、サブステージを見るとINIの西洸人の姿が。彼とのコラボナンバー「Let you go feat. HIROTO (INI)」を二人が交互に歌いながら、西がムービングステージでちゃんみなに近づいていく演出はまさに再会。双方のファンには既知だが、西は以前ちゃんみなのダンサーとして活動していた、いわば同志。西からの手紙にお互い感極まり、他のダンサーも西と共に泣きながら「Never Grow Up」を観る光景はこの曲のラブソングの意味合いを超えて、共にした時間を体現しているようで、背景の満月の演出も美しかった。青春を想起させるセクションは続く「花火」にも繋がり、「本当に長くて短い日々でした」と、作品で、歌でその軌跡を置いていくと話したちゃんみな。いよいよ『AREA OF DIAMOND』の幕を閉じる本編ラストの場面で、彼女は物心ついてからの人生を手紙に書いてきたと話し、それ以上の説明はせずに新曲「LEGEND」に突入。それは自分と自分の音楽を聴いている人への告白でもありラブレターでもある、彼女のライフストーリーだ。もはや歌やラップでもなく、演説に近いテンションのリーディングの迫真は『AREA OF DIAMOND』の答えにも思えるし、デビュー10年のその先へ踏み出すジャンピングボードでもあったのではないか。一気呵成に言葉を放った後の彼女は飾り気のない生身の人間だった。
アンコールではトロッコに乗ってステージから遠いファンにも感謝を届けながら「LADY」「SAD SONG」を披露。最後をスクリームで決めてエディングと相なった。「終わったんだね、ほんと。もっともっとみんなを綺麗な景色に連れていくね」と、プレッシャーからの解放と夢の実現、そして未来に向かう意思をのぞかせたちゃんみな。最後にダンサー全員の特徴を一言コメントしながら紹介する、大きなファミリーを束ねるパワー、と同時にその一員である姿には尊敬の念が自然に起きる。その総合力と素直さは現代を代表するポップアーティストに相応しい。
取材・文=石角友香 撮影=田中聖太郎
セットリスト
2026.7.12 TOKYO DOME
01. KING
02. RED
03. NG
04. Sober
05. Fxxker
06. Princess
07. ^_^
08. note-book
09. 太陽
10. Good
11. ダリア
12. PAIN IS BEAUTY
13. I’m Not OK
14. 美人
15. NAME CARD(新曲)
16. I’m a Pop
17. WORK HARD
18. 無重力 feat. BOBBY (iKON)
19. B級
20. ハレンチ
21. Angel
22. Let you go feat. HIROTO (INI)
23. Never Grow Up
24. 花火
25. LEGEND(新曲)
<ENCORE>
26. LADY
27. SAD SONG
配信情報
ちゃんみな『AREA OF DIAMOND FINAL』
視聴ページ:https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000014943
ライブ配信:7月12日(日)18:00 ~ライブ終了まで
見逃し配信:配信準備完了次第~7月26日(日)23:59まで
配信公演:7月12日 東京ドーム 公演