石田泰尚×渡辺雄一――破格の“音楽魂”が静かに燃える 極上デュオ誕生
-
ポスト -
シェア - 送る
石田泰尚
2026年9月・10月、長野、埼玉にて『石田泰尚&渡辺雄一 デュオ・リサイタル』が開催される。かれこれ四半世紀の付き合いだという石田と渡辺。その歩みや今回の公演について、渡辺に聞いたオフィシャルインタビューが到着した。
清澄な音色に潜むパッションや詩情、コンサート
実はこの二人、レコーディングでタッグを組んで四半世紀になる名コンビ。数多のCDアルバムで特上のサウンドを紡いできた。そこで渡辺に、石田との心に残るエピソードや公演に関するあれこれを尋ねた。
「彼の集中力はすさまじくて、レコーディングは一発でOKって感じだし、コンサートのリハーサルも何度もウダウダ繰り返したりせず、ポイントを絞って短時間で仕上げる。エネルギーを温存して、本番でパワー全開なので、現場はメリハリがあります。彼が時間をかけるのは練習。本番の2カ月前には楽譜を渡していますが、当日は誰より早く現場に来て、静かに弾いてますね。始発でやって来て、ずっと弾いてたり……もう脱帽です」
渡辺雄一
共に国立音楽大学出身。石田の方が後輩で年下だが、在学中から図抜けた手腕を発揮していて、渡辺は「ずっと注視していた」という。仕事先で石田の父と偶然に出会ったことから、初仕事へと発展。渡辺のピアノアルバム『Piano Bellissimo(ピアノ ベリッシモ)~美しきピアノ』で、レコーディングは02年だった。
「とにかく素晴らしい表現力。以後、録音のたびに弾いてもらっています」
石田の演奏に魅了され、デビューアルバムの制作プロデュースを申し出たら、石田は「全部渡辺さんの曲なら、やりたい!」。渡辺の曲に大いに触発されていたのだ。
「うれしかったですね。僕は自然のものが好きで、ゆったり聴けるきれいなメロディーや、心休まる美しいメロディーの作品が多い。彼もきっとそういう音楽が好きなんだと思う。自然からインスピレーションを得て曲を書いたりもしますよ」
ほどなく石田のデビューアルバム『情熱のヴァイオリン~Violin Appassionato』が完成し、03年10月にベルウッドから発売された。好評で、05年に『優美なるヴァイオリン~Dolce Violin』、06年に『ピュア・ヴァイオリン~Pure Violin』と、リリースが続いた。すべて渡辺のプロデュースで書き下ろし作品がズラリ。それぞれテーマは違うが、互いの豊かな音楽力が融合して、聞き手の心を浄化したり、エネルギーを注入したりで、いずれも「明日への糧」となる出来栄えである。
「この3つのアルバムが今年の6月にキングレコードから再発売されて、デュオでのコンサートがスタートしたんです」
『情熱のヴァイオリン~Violin Appassionato』(キングレコード) 石田のデビューアルバム。ギタリストの鈴木大介も参加。コンサートでは「懐かしい浜辺」「星降る海」を演奏予定
『優美なるヴァイオリン~Dolce Violin』(キングレコード) 宮崎あおい主演映画『いぬのえいが』テーマ曲に「懐かしい浜辺」が採用されて再録。石田の「トリオ・リベルタ」によるピアソラのタンゴ演奏も必聴
『ピュア・ヴァイオリン~Pure Violin』(キングレコード) サードアルバムのテーマは「ピュア」。ヴァイオリンの雑念のない清浄な響きが、渡辺の癒やしの旋律に希望を添える。コンサートでは「想い出を紡いで」を予定
振り出しの東京で、いきなり
「クラシック、映画音楽やポップス、オリジナルを、だいたい1/3ずつですが、例えば、ヘンリー・マンシーニの『ムーン・リヴァー』は心地よく曲に浸ってもらえるアレンジで、メキシコの作曲家ポンセの『エストレリータ(小さな星)』は名手ハイフェッツ版で原曲の醍醐味を、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の音楽はメドレーでたっぷり……と、曲によって変化をつけています」
オリジナルは「懐かしい浜辺」「星降る海」「思い出を紡いで」など5曲を予定。どれも心和む作品で、複数のアルバムに収録されていたりする。例えば、瀬戸内の町での思い出から生まれた「懐かしい浜辺」は、渡辺の『ピアノカフェ』、石田の『情熱のヴァイオリン』に収録され、後日、宮崎あおい主演『いぬのえいが』のテーマ曲に採用されたことから、石田の『優美なるヴァイオリン』や渡辺のベスト盤『ベスト~Piano Tunes~』でも聴ける。
「よく『クラシックは再現音楽』なんて言われますけど、どんな音楽であっても、楽譜の再現だけじゃダメです。演奏者のハートがないとね……。彼のステージを聴けば一目瞭然ですよ。ノッてくると、もはや『神』の領域、トリルはため息が出るほど美しいし、ピアソラの『リベルタンゴ』の気合いの入ったパフォーマンスなど、まさに『生きた芸術』です。神がかったライブ演奏のアルバムをプロデュース出来ないかと,僕は真剣に考えています」
ぜひとも聴いてみたい。コンサートでは石田とともに渡辺のボルテージも自ずとアップし、二人のエネルギーが静かな炎を発する。決して暑苦しくない、けれどパワーに満ちたサウンドで聴衆の胸を打つ!
10数人の男性名手による弦楽アンサンブル「石田組」やオーケストラとのヴァイオリン・コンチェルトなどとはまた違う、最小のコンビによる無上の音楽創造が、各地の新たな聴衆の輪を広げていくに違いない。
12月には北海道札幌市と香川県高松市で「クリスマス・コンサート」も開催。クリスマスソングを盛り込んだ特別なプログラムを用意している。石田&渡辺による珠玉の音楽に包まれて、心に残るクリスマスのひとときを!
文=原納暢子
公演情報
日程:2026年9月3日(木)開演18:30
会場:千曲市更埴文化会館 あんずホール (長野県)
石田泰尚(ヴァイオリン)
宮坂俊一郎(チェロ)(友情出演)
渡辺雄一(ピアノ)
日程:2026年10月21日(水)開演19:00
会場:川口リリア・山伸サステインホール(音楽ホール)(埼玉県)
渡辺雄一(ピアノ)
カッチーニの「アヴェ・マリア」
「ムーン・リヴァー」/H.マンシーニ
映画『いぬのえいが』テーマ曲「懐かしい浜辺」
ワルツ・ノクターン
「メモリー」~ミュージカル『キャッツ』より
映画『ひまわり』より「愛のテーマ」
星降る海
「Smile」映画『モダン・タイムス』より/C.チャップリン
ほか
会場 :レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
リベルタンゴ A.ピアソラ
Smile 映画「モダンタイムス」よりC.Chaplin
他クリスマス・ソング 等