ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団、25年ぶりの来日 ソリスト・東亮汰が語る大舞台への意気込みは

2026.8.12
インタビュー
クラシック

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フィンランドを代表する名門、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団が10月に25年ぶりの来日を果たす。シベリウスの交響曲第1番から第6番を作曲家自身の指揮で初演した歴史をもつオーケストラを率いるのは、フィンランド出身の名匠ユッカ=ペッカ・サラステ。14日の「オール・シベリウス・プログラム」では、気鋭のヴァイオリニスト東亮汰をソリストに迎え、ヴァイオリン協奏曲を披露する。大舞台を前に、東に作品への思いや共演への意気込みを聞いた。

――ヘルシンキ・フィルとの共演の話をはじめて聞いたときは、どのように思いましたか?

じつは、オファーをいただいたのは今年に入ってからでした。マネジャーからの電話で、「10月14日にこういう公演があって」と聞いたとき、はじめは何の話かわからなかったのですが、話が進むにつれて「え? もしかして僕が弾くの?!」となって(笑)。すでに年内のスケジュールがいろいろと入っているところに、大舞台のオファーが突然入ってきたので、とにかく驚きと焦燥感と……いろいろな感情が渦巻きましたが、とりあえず「本番の日のスケジュールは空いています」とお答えしました。

ヘルシンキ・フィルとマエストロ・サラステの指揮でシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏するなんて、このチャンスを手放したら二度と巡ってこないかもしれないと思うと、お引き受けする以外の選択肢はありませんでしたね。

――東さんは、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏するのは、今回が初めてでしたね?

はい、日本音楽コンクールの受賞者発表演奏会で演奏する予定でしたが、コロナ禍で中止になってしまって。その公演に向けて準備はしていたものの、本番で演奏するのは初めてです。

――ヴァイオリニストにとっては大切なレパートリーですが、この作品の魅力はどんなところにあると思いますか?

チャイコフスキー、ブラームス、ベートーヴェンに並ぶ屈指のヴァイオリン協奏曲ですが、シベリウスほど自然の風景が鮮明に浮かび上がってくる協奏曲は他になかなかないと思います。オーケストラが描き出す北欧の厳しい自然のなかで、ソリストも風景のひとつのピースとなり、その一部として息づいていく。そんな感覚があります。


 
――ソリストも風景の一部になるという言葉は、ソリストとしてだけでなく、オーケストラのコンサートマスターとしても活動する東さんらしい捉え方ですね。

言われてみれば、そうかもしれません。ソリストが自分の求心力でオーケストラを引っ張っていくような音楽も素晴らしいと思いますが、僕自身はオーケストラの中でも演奏している身だからこそ、よりオーケストラと一体となった音楽を目指していけたらと。

オーケストラのメンバーは、ただ指揮者の言うことを聞いているのではなく、それぞれが自身の音楽観と誇りをもって演奏しています。僕がソリストとしてステージに立ったとき、こちらから何かを届ける前に、まずオーケストラから受け取るものがたくさんある。マエストロとオーケストラ、双方とコミュニケーションを重ねながら、自分がどうあるべきかを考え、もっともいいポイントを探っていきたいと思います。

――初共演となるヘルシンキ・フィルとマエストロ・サラステについては、どのような印象をお持ちですか?

ヘルシンキ・フィルは、シベリウス自身の指揮でヴァイオリン協奏曲の初稿を初演し、作曲家から直接受け取ったものを受け継いできたオーケストラ。シベリウス自身がヴァイオリニストを志していたことに加え、マエストロ・サラステもヴァイオリニスト出身ですから、この作品を深く理解するマエストロと取り組めることを、とても光栄に思っています。さらに幸運なことに、今回は9月にヘルシンキに行って、現地でリハーサルができるんですよ。

――それは素晴らしいですね!

北欧に行くのは初めてなので楽しみです。これまで北欧の作品を演奏する機会も多くはなかったので、ドイツやオーストリアの音楽とは違う、シベリウスの作品に流れる独特の空気を、現地の風景や文化に触れながら肌で感じてきたいと思います。

どんな作品に取り組むときも、その作品が生まれた背景にある風土や文化、作曲家が話していた言葉などへの理解を深めることを大切にしています。やはり自分が生きてきた環境からの視点だけで作品を捉えると、作曲家の意図とは異なるものになってしまうと思うので。作曲家が思い描いていたものを汲み取りつつ、自分なりに可能性を広げていくことができたらと。

そういう意味でも、シベリウスの家や、ゆかりの場所にも足を運んで、そこで得たものを演奏にも反映していきたいです。楽譜を見ていているだけでは得られないものって、やっぱりどうしてもあるので。

――フィンランドでの経験を経て生み出される東さんのシベリウス、10月に聴けるのを楽しみにしています。

文=原典子(音楽ジャーナリスト)

公演情報

DS presents ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 ユッカ=ペッカ・サラステ ヴァイオリン 東亮汰
出演
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ユッカ=ペッカ・サラステ
ヴァイオリン:東亮汰

 
プログラム
オール・シベリウス・プログラム
シベリウス:組曲《ペレアスとメリザンド》より
第1曲「城門にて」第2曲「メリザンド」第7曲「間奏曲」第8曲「メリザンドの死」
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調  作品47
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 作品82
 
【日時】
2026年10月14日(水)19:00開演(18:15開場)
 
【会場】
東京オペラシティ
 
主催・お問合せ:テンポプリモ 03-3524-1221(平日10:30~17:00)
特別協賛:ダブルスタンダード
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