古典の名作が岡本圭人、南沢奈央らによって現代劇として甦る 『月を抱く人魚』-雨月物語より-が開幕し、舞台写真&コメントが公開
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『月を抱く人魚』-雨月物語より- 舞台写真 撮影:細野晋司
2026年8月7日(金)東京・シアタートラムにて、あたらしい国際交流プログラム『月を抱く人魚』-雨月物語より-が開幕し、舞台写真と作・演出・キャストのコメントが公開された。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
上田秋成の『雨月物語』は、江戸時代の日本文学における傑作として今の世にも広く知られている。1776年に刊行された全9篇から成る短編集で、各話は幽霊や妖怪、人間の業といったテーマを扱い、その美しい文体と深遠な心理描写が特徴的だ。刊行から250年を迎える2026年、この江戸時代のベストセラーが、若きクリエイターらの手によって現代劇として舞台上に甦った。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
脚本は鈴木アツト。演出は生田みゆき。共に国内外での活躍を持つ二人が、日本の古典作品に新たな息吹を吹き込む。
絵画モデル勝四郎を演じるのは岡本圭人。日本画家の宮木を演じるのは南沢奈央、勝四郎の友人・作治には薬丸 翔、作治の恋人・夢子に、鈴木結里、勝四郎の父・大宅には上村聡、高名な画家・青頭金子には松岡依都美、そして、青頭金子の執事・丸谷役に相島一之という多彩な顔ぶれが揃った。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
今回の鈴木アツト×生田みゆき版の『雨月物語』も。日本文化がもつ幽玄的な美しさや不気味さを作品のベースにしながら、今に生きる人々の孤独と渇望、過去から続く人間の業と悲しみ、江戸時代の人々が怪奇や幽霊に仮託して見ようとした人間の情念が、時を現代に移して描かれていく。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
なお、本公演は8月23日(日)まで上演される。
日本画家宮木(南沢奈央)と、絵画モデル勝四郎(岡本圭人)。二人が宮木の部屋で一夜を共にしたことからこの物語は始まる。宮木はふざけて、勝四郎の背中に背ビレを描くが、翌朝、勝四郎が目覚めた時には既に彼女の姿は無かった。その後、宮木を忘れられない勝四郎は友人作治(薬丸翔)と夢子(鈴木結里)に助けを求め、宮木の部屋を再訪するが、部屋は荒れ果てており、水道や電気も通っていなかった。宮木の痕跡を探す中、見つかったのは一本の扇。そこに描かれた絵をきっかけに、勝四郎は高名な画家「青頭金子(松岡依都美)」を訪ねることを決意する。かつて自分を捨てた父・大宅(上村聡)から車を借り、作治と夢子とともに琵琶湖へ向かう。
琵琶湖近くの山道を抜け、青頭金子と謎めいた使用人の男・丸谷(相島一之)が二人で住む屋敷に辿り着く。異様な雰囲気の中、青頭と丸谷は壮絶な過去を告白する…。
鈴木アツト [脚本] コメント
「人魚」というキーワードで古典「雨月物語」を換骨奪胎した現代劇『月を抱く人魚』。
たった7人の俳優で、東京から琵琶湖へ、現代から戦国時代へ、と時空間を飛び跳ねていくこの物語を、観客の皆さんと一緒に旅していけたらと思っています。
思いっきり怖がれる亡霊のシーン、美しく幽玄な幻想シーン、そして、主人公の美術モデル・勝四郎が日本画家・宮木を一途に追いかける様を、じっくりと味わっていただけたら嬉しいです。
情熱的な勝四郎の姿から、現代の我々が忘れかけていたものを受け取れる作品だと信じています。
生田みゆき [演出] コメント
舞台は、幕が開いた瞬間からつくり手の手を離れ、客席にいる皆さまとの間で初めて完成していくものだと、常々思っています。特にこの作品では、「語り」が主題の一つです。この物語に耳を傾けてくださるお客様が、舞台に大きな力を与えてくださることを、初日の客席から深く感じました。
お盆という、死者と生者がつながるこの時期に、この作品がどのように皆さまの心に届き、どんな景色を残すのか。劇場で生まれる一度きりの時間を、ぜひ私たちと一緒に味わっていただければと思います。
キャストコメント
■岡本圭人 [勝四郎 役]
自分が演じる勝四郎は、空っぽで、何も持っていない人間が、宮木という女性に出会い、色が無かった世界に彩りが加えられていきます。初日を終えて、自分と勝四郎はとても似ているな…と思いました。僕も何も持っておらず、空っぽと感じる時はありました。ですが舞台に立ち、変わりました。変わり続けています。勝四郎の気持ちが痛いほど分かった初日の公演でした。勝四郎は必死に変わろうとしています。その様子を皆様に見届けていただけたら幸いです。きっと彼も皆様の想いを感じとって一生懸命、前に進もうとするはずです。よろしくお願いします。
■南沢奈央 [宮木 役]
無事に幕が開けたこと、そして初日から沢山の方に観ていただけたこと、心から嬉しく思います。稽古中は、この日本の古典作品を現代劇にした新しいチャレンジをどう受け取ってもらえるのか、不安と楽しみとあって、正直不安の方が大きかったかもしれません。それがいざ、観客の皆さんの前に立ってみたら、杞憂だったことに気づきました。これまでキャスト・スタッフで積み重ねてきた時間に自信を持たねばと思わされました。この作品は、観客の皆さんがいることで、またさらに進化/深化していくのだと思います。千秋楽までそれを楽しんでいきたいです。
■薬丸 翔 [作治 役]
芝居の中身と同じように、日々が残像のように過ぎていきました。その疾走感の中で、必要な輪郭だけが残っていきました。開幕して、その輪郭がグラデーションのように少しずつ発光しはじめて、今はその光をもっと大きく、もっと多くの色に変えることに向かっています。稽古場ではできなかった、お客さんとの共同作業です。
初日には初日の景色、楽日には楽日の景色。それは優劣ではなく、ただの差異なのだと思います。どの回も一回きりの景色。はち切れそうな輪郭の日も、静かに輝く輪郭の日もある。そのどれもが、その日にしかない美しさです。
15日18:00の回と20日14:00の回は、終演後に世田谷パブリックシアターと新しい試みをやります。演劇が少しずつ音を立てて動きはじめる瞬間を、その回に居合わせた人だけが体験できます。
■鈴木結里 [夢子 役]
舞台は決して一人では作ることができません。ここまで辿り着くまでに、多くの方々の支えがあり、こうして無事にお客様をお迎えできることを心より感謝しております。
「背筋が凍る」という言葉がありますが、怪談を聞いてどこか涼しさを感じる——そんな日本の文化を演劇でも味わっていただけるものなのでしょうか。
『雨月物語』が描く幻想的で妖しい世界を、どうぞお楽しみください。
幻想と現実の狭間で、皆様をお待ちしております。
■上村 聡 [大宅 役]
誰かに想いを馳せる。そんな時なんだかとても豊かな気持ちになって、それはきっとその人と出会った時のことや交わした会話ごと甦ってくるからではないだろうか。今ここにはいない誰かに無性に会いたくなって、その人から送られてきたLINEを読み返しては不在を確認する。わかっていながらそうしてしまうのはなぜか。雨の音や陽の光に誘われ、宮木を探す旅に出る勝四郎。衝動的に。たしかな手がかりもないまま。『月を抱く人魚』は彼の成長譚でもあります。物語を通じて彼はどのように変化していくのか。暑い夏に稽古を重ねてつくりあげた『月を抱く人魚』をぜひ劇場で観ていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
■松岡依都美 [青頭金子 役]
無事に幕があき、今はただただホッとしています。
舞台は、劇場にお客様がいて、観ていただいて、初めて完成するもの。
初日のお客様の緊張感やワクワク感、その空気を肌で感じながら、改めてそう実感しました。
毎回、お客様も違えば、私たちも変わっていく。
その日、その瞬間にしか生まれない空気を全身で感じながら、楽日まで一回一回を大切に、思い切り楽しんで、全力で演じきりたいと思います。
■相島一之 [丸谷 役]
初日はいつも特別な日です。今まで、この作品だと2ヶ月近く、努力して来たことを初めてお客様に観ていただく日。緊張と不安と興奮と喜びと。そんな中で幕を開ける初日。『月を抱く人魚』の初日も特別なものでした。難産でした。だからこそ愛おしい作品です。そして公演は初日がスタート地点です。ここからどこまで遠くまで行けるか僕らは日々頑張って行きます。どうかみなさま劇場に観に来てください。