大和高田さざんかホールのレジデントアーティスト、須川展也(サクソフォン)、藤木大地(カウンターテナー)、金子三勇士(ピアノ)が一期一会の共演を果たす
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金子三勇士、藤木大地、須川展也(左より)による夢の顔合わせが実現する! 写真提供:さざんかホール
奈良県大和高田市のさざんかホール(客席数1,036席)の開館30周年を祝し、3名のレジデントアーティストが夢の共演を果たす。そのアーティストとは、須川展也(サクソフォン)、藤木大地(カウンターテナー)、金子三勇士(ピアノ)と人気と実力を併せ持つスタープレーヤーだが、これまで3人が一緒に演奏した事は無いそうだ。そんな一期一会の共演がどれほど本気モードなのかはプログラムを見れば分かる。3人が初めて一堂に会し、あんなコトやこんなコトを語ってくれた。
――さざんかホール3名の豪華レジデントアーティストの共演が話題になっていますが、そもそも「レジデントアーティスト」というのは金子さんの発想だそうですね。
金子三勇士:スタッフの皆さんから須川さんや藤木さんのコンサートやアウトリーチの様子、市長とこんな会話をしたといった話を聞き、お二人とも自分と同じくホールに特別な思いをお持ちなのだろうと「レジデントアーティスト」という制度を作ってみてはどうか? と提案しました。
「金子三勇士 気軽にクラシックコンサートvol.2」(2026.8.1) 写真提供:さざんかホール
須川展也:今回のさざんかホールにお世話になっている演奏家3人が集まってのコンサートは、金子さんの「レジデントアーティスト」の発想が無ければ実現する事はなかったはず。お二方とも共演したことはなく、まさに一期一会のコンサートと言えるでしょう。さざんかホールでは僕のコンサートを聴いてもらうだけでなく、クリニック(演奏指導)を始めたこともあって、みんなが本番のステージで共演するスタイルで、老若男女が世代を超えて一つの音楽を作り上げています。レベルも上がって、最近では凄い演奏が誕生しています。音楽で地域の皆さんと結びつくというのは、僕がずっとやりたかったことで、それを実現してくれるありがたいホールです。
「須川展也SAXフェスティバルvol.4」(2025.9.21) 写真提供:さざんかホール
藤木大地:さざんかホールとのお付き合いは2022年からなので、3人の中で僕がいちばん新しいと思います。初めてホールに伺った際、開館から30年近く経っているのに手入れが行き届いていて、丁寧に使って貰っている幸せなホールだと思いました。その後ホールのスタッフに接するようになり、どんどん関係性が深まりました。短期間に藤木大地&みなとみらいクインテットを2回、ソプラノ田中彩子さんとのデュオコンサートや「やまとたかだの第九」にも参加させていただき、アウトリーチも含めると出演回数が多いホールです。
ーー藤木さんは須川さんや金子さんのことをどの様に見ておられましたか。
藤木:須川さんは藝大時代に仲の良かった同級生の師匠で、彼はいつも「俺は須川展也の弟子だ!」と自慢していました。僕ら世代にとっては師匠クラスの方で、尊敬の目で見てました。金子さんは「リサイタルパッシオ」を毎週聴いている僕からすると、声はメチャ知っているのにお会いしたことがないという、何か不思議な感覚でした。今日お会い出来て嬉しいです。
「田中彩子×藤木大地デュオリサイタル2026」(2026.4.11) 写真提供:さざんかホール
ーー金子さんはいかがですか。
金子:須川さん、藤木さんとご一緒出来るのがとても楽しみです。憧れの先輩方ですが、好きなホールのために色々と動かれている事に勝手に親近感を抱いてしまいます。今回さざんかホール開館30周年ですが、実は僕の日本デビュー15周年でもあります。コロナ禍のホール開館25周年が僕のデビュー10周年という事もあって、リストのピアノ協奏曲第1番、第2番を大阪交響楽団と演奏させて頂きました。さざんかホールが地元の音楽文化を盛り上げようとの取り組みとホールの魅力を、市民はもちろん、対外的にも知っていただきたい。それを象徴するような企画が今回のガラコンサートだと思います。
写真提供:さざんかホール
ーーコンサートの中身について教えてください。
金子:全体の大きな流れは須川さんが考えてくださいました。オープニングはリストの『ハンガリー狂詩曲第2番』を私のソロでお聴き頂きます。後半に須川さんとガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』を演奏するので、アメリカン・ラプソディーとハンガリアン・ラプソディーを合わせて聴いて頂こうと考えたのです。須川さんと共演するガーシュウインの『ラプソディー・イン・ブルー』は、協奏曲だけでなく独奏曲としてもコンサートで弾く機会はありますが、サクソフォンのような格好いい響きが入って来ないと弾いていて燃えません。今回、アレンジが素晴らしいので思いっきり弾きたいです。
写真提供:さざんかホール
藤木:僕は金子さんには、ベートーヴェンの連作歌曲『遙かなる恋人に』を演奏したいとお願いしています。
藤木大地 (c)Hiromasa
金子:嬉しいリクエストを頂きました。私にとってベートーヴェンは、リストと並び音楽的なルーツです。特に『遥かなる恋人に』はベートーヴェンの作品上とても特別な曲。藤木さんとご一緒に演奏出来るのが嬉しいです。
写真提供:さざんかホール
須川:ピアニストとサクソフォンの曲は沢山ありますが、本当に対等にやり合える曲はそうある訳ではありません。せっかくの機会なので、金子さんの凄さを隣で体験したいと思い『ラプソディー・イン・ブルー』を提案したところ、快く引き受けてくださいました。
ーー須川さんと藤木さんが共演される、池辺晋一郎さんの『軌道エレベータ』には驚きました。
須川:サクソフォンとカウンターテナーの曲というのは、世の中で唯一無二だと思います。池辺先生の曲は強烈ですが、後世に伝えていきたい曲です。池辺先生が僕に献呈してくれた曲で、2004年の初演時に藤木さんにお願いしようか迷ったのですが、人気者の藤木さんに些少なお礼では失礼だと自重した経緯がありました。今回、待望の初共演です。
写真提供:さざんかホール
藤木:いやいや、言ってくだされば喜んでやらせて頂きましたよ。しかし皆さんの話を聞いていて、この3人は拘ってプログラムを作り込むタイプなので、結果としてこんなに凄いプログラムが完成したのだと思います。
金子:その通りですね。
ーー皆さんのこのコンサートに向けた熱い思いが読者に伝わったと思います。最後にメッセージをお願いします。
須川:3人それぞれの共演に加えて、さざんかホールと関係の深い作曲家の加藤昌則さんに一緒に演奏できる曲という事で、『日本の歌メドレー』を編曲してほしいとお願いし、快諾を頂いています。こちらも楽しみになさってください。
須川展也 (C)Toru Hasumi
金子:ピアノ好きのクラシックファンはピアノのコンサートにしか足を運ばない傾向があります。同様に吹奏楽ファンは吹奏楽だけ。歌のファンは歌のコンサートだけ。また歌といっても声楽と合唱もファン層は違うでしょう。今回はそういった傾向を超えて、音楽愛好家が一堂に会する機会となればいいのですが。是非、一人でも多くの方にお聴きいただきたいです!
金子三勇士 (C)Seiichi Saito
藤木:人口6万人の街に、これだけアーティストに愛されているキャパ1036席のさざんかホールがあり、そこのスタッフは常に市民が喜ぶ企画を作っている事を、この機会に広く伝えたいです。このコンサートは絶対に他では出来ないコンサート。さざんかホールでお待ちしています。
皆さまのご来場をお待ちしております 写真提供:さざんかホール
取材・文=磯島浩彰
公演情報
テジデントアーティスト・ガラコンサート
「三響の祝祭」
会場:大和高田さざんかホール 大ホール
出演:須川展也(サクソフォン)、藤木大地(カウンターテナー)、金子三勇士(ピアノ)
曲目:リスト/ハンガリー狂詩曲第2番
ベートーヴェン/「遥かなる恋人に」 Op.98
佐藤卓史(池澤夏樹詩)/この世界のぜんぶ
池辺晋一郎/「軌道エレベーター」
ガーシュウィン/「ラプソディー・イン・ブルー」
ヴォーン・ウィリアムズ(加藤昌則 編曲)/Silent Noon
加藤昌則/「日本の歌メードレー 」
料金:一般 4,000円 高校生以下2,000円
問合せ:さざんかホール 0745-53-8200
公式サイト:https://www.city.yamatotakada.nara.jp/sazankahall/index.html