新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』が開幕し、レポート&舞台写真、波乃久里子のコメントが公開

2026.9.6
レポート
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新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『風流深川唄』(撮影:塚田史香)

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2026年9月5日(土)歌舞伎座ホールにて、新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』開幕した。この度、開幕レポート&舞台写真、波乃久里子のコメントが公開された。

新派のみならず、歌舞伎やミュージカル、ストレートプレイなど多彩なジャンルで活躍する劇作家・演出家の齋藤雅文が主宰する演劇ユニット「新派の子」。

2020年の結成以来、数々の話題作を発表してきた「新派の子」が、2026年9月5、6日に新涼特別企画として、歌舞伎座ホールで『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』を開催。

新派女優・波乃久里子の愛称「マロン(=栗・くり)」を冠した特別企画はその名の通り、波乃久里子が当り役とする新派作品を大劇場公演と遜色のない濃密な形の朗読で上演する贅沢な内容で、過去二回の公演で大好評を博した。今回は
初めて歌舞伎座ホール(歌舞伎座タワー5 階)で開催されるが、いずれの公演も販売後すぐに完売となる人気ぶり。5 日の初日も満員札止め、歌舞伎座ホールに“新派”の世界が充満する、熱気溢れる空間となった。

138年を超える歴史を持ち、日本人の心の機微を描いてきた「新派」。コロナ禍にことごとく劇団公演が中止となる中、危機感を募らせた新派文芸部の齋藤雅文を中心とする有志が集結した「新派の子」。2020年11月の第一弾公演では水谷八重子、波乃久里子、河合雪之丞はじめ新派の面々が顔を揃え、第三弾公演として2023年4月に一日限りの特別な朗読会『さろん・ど・まろん~波乃久里子を聴く宴』を開催。二回の公演はいずれも満席となり、北條秀司作『太夫さん』では曽我廼家文童を相手役に迎え、大劇場さながらの上演で喝采を浴びた。コンサートホールとして名高い会場に役者の科白が心地好く響き、『明治の雪』ではチェロの生演奏との共演も話題となった。好評に応える形で2024年12月に『さろん・ど・まろん~波乃久里子を聴く宴』を再び開催し、久保田万太郎作『大つごもり』、泉鏡花作『日本橋』、井上ひさし作『頭痛肩こり樋口一葉』、川口松太郎作『遊女夕霧』という波乃久里子が当たり役とする四作品からなる「久里子四段返し」と、前回公演で好評を博した北條秀司作『太夫さん』を再び上演。京都島原の遊郭を舞台とした傑作戯曲を波乃久里子のおえいで、曽我廼家文童を再び相手役に迎えて上演。二回の公演はいずれも満席となった。

『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』開幕レポート

冒頭に「新派の子」主宰であり、構成・演出をつとめる齋藤雅文より、「日本舞踊でいうところの“素踊り”と同じように、朗読はとても技芸を必要とするものです。今日はそのまま本舞台で使える技芸を持った方々による、生意気ですけれど(笑)、本物です」と、邦楽による生演奏と共に上演される今回の朗読への期待を窺わせる挨拶から始まった。

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『十三夜』尾上紫(撮影:塚田史香)

今回上演されるのは、波乃久里子が新派に入るきっかけとなり、師として崇め奉る初代水谷八重子の当り役を集めた「八重子十種」より二作品。樋口一葉の原作を、久保田万太郎が脚色した新派珠玉の名作『十三夜』から。初代八重子から継承し、久里子が当り役として名舞台で魅せてきた、おせきの役を今回は日本舞踊尾上流の尾上紫(ゆかり)が勤める。かねてより「(初代水谷)八重子先生の芸を繋ぐ伝道師でありたい」と熱い想いを胸にしてきた久里子の指導により、初代八重子から受け継いだ芸の神髄を伝えた尾上紫による清新なおせきが観客の心を惹きつけた。

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より齋藤雅文(撮影:塚田史香)

続いて、主宰の齋藤雅文が「本番も同じ邦楽で、ノンストップ、フルサイズで」と宣言し、「川口松太郎の真骨頂」と評する『風流深川唄』。波乃久里子が当り役のおせつを大劇場公演同様の気迫のこもった科白で聴かせ、熱い想いを胸に抱く料亭の娘を気丈に演じた。相手役の長蔵役には石橋直也、常磐津の師匠・文字力役に篠井英介がゲスト出演する魅力的な顔合せで、新派の面々が脇を固める充実の配役。堅田喜三代が率いる邦楽の演奏が歌舞伎座ホールに威勢よく響き渡り、久里子はじめ出演者の発する科白に合わせて照らさせる明かりが印象的な舞台となった。

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『風流深川唄』(撮影:塚田史香)

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『風流深川唄』篠井英介(撮影:塚田史香)

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『風流深川唄』石橋直也(撮影:塚田史香)

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『風流深川唄』波乃久里子(撮影:塚田史香)

波乃久里子より「今後とも新派をお愛しくださいまするよう、お願い申し上げます」と挨拶で締められると、満場の客席からは温かい拍手が送られた。会場には、『風流深川唄』が新橋演舞場で上演された際に使用された深川亭の暖簾や、花柳章太郎が考案した序幕のおせつの衣裳が展示された。

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『風流深川唄』波乃久里子、篠井英介(撮影:塚田史香)

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』より『風流深川唄』波乃久里子、石橋直也(撮影:塚田史香)

波乃久里子 コメント

役者冥利に尽きます。
齋藤雅文先生から、またまたお声掛けを頂戴しまして、「さろん・ど・まろん」を開催していただきました。
「久里子さんの、科白が聞きたいんだよね」と仰ってくださり、2020 年に『八つ墓村』が流行り病で公演中止となって以来、新派公演が儘ならない状況の中、身銭を切って、「新派の子」を立ち上げ、私たち役者やスタッフへ仕事を作ってくださっています。あんなにキレイな音で柝まで打てる演出家は初めてです(笑)。本当に感謝しかありません。
今回は「八重子十種」から、最近では大劇場でなかなか掛からなくなってしまった素敵なお芝居をふたつ。
弟(十八世中村勘三郎)から「お姉ちゃま、教えたいでしょ?」とよく言われていました。私は「大好きな(初代水谷)八重子先生の貴重な教えを伝える伝道師でありたい」と常々思っていて。歌舞伎の家で育った私の、歌舞伎的な発想なんだと思います。『十三夜』では、尾上紫さんに八重子先生の一挙手一投足をすべてご伝授しました。本当に踊りができる方は、科白を言ってもそこにドラマを感じさせますよね。『風流深川唄』では篠井英介さんとご一緒でき、お稽古から毎
日楽しく、とても嬉しいです。お相手役の石橋直也さんは「この人はね、スターになるから!」と弟がその才能に目をつけていた役者さんなんです。
「新派新派」と言う私に対して、良重姉ちゃま(二代目水谷八重子)は「ジャンルはないのよ。演劇はひとつよ」と。いつも喧嘩していました。でも、今日、お三方とご一緒しながら、「良重姉ちゃま、いいこと言ったな」と今更ながらに(笑)。みんな、新派になってくださっていて、新派を描いてくださった。一芸に秀でた方は何でもお出来になる。演劇はひとつか…と。お姉ちゃまとはきょうだいのように、いつも喧嘩していました。
(中村)吉右衛門にいさんとお姉ちゃまが『風流深川唄』を演ったときは嫉妬して、「なんで私じゃないのよ、ダブルキャストで演らせてよ」と言う私に、「いいじゃない、選ばれたんだから」と。そんな感じでかみ合っているんだかいないんだか(笑)。良重姉ちゃまは、今日もきっと必ずどこかで見ています。「ダメね、久里子は。私が演りたかったわ」と。
以前、「ふたりはウスバカゲロウみたいだ」とある方に言われて、それなら一緒にいようねと言っていたのに、先に逝っちゃった。ですから昨日、お骨の前で怒ってやったんです。「ウスバカゲロウになっちゃうじゃないの、私が!」と。
わがままでいじわるで憎らしいやつだったけど、言うに言えない可愛い人でした。やっぱり好きですよ、きょうだいですよね。勝手に思っているけれど、ライバルですから。
科白を言うとすぐに動きたくなってしまって、朗読はやりなれないから怖いです。でも、今日いらした新派の舞台をまだご覧になったことがないという方が「舞台を観たくなった」とおっしゃられていて、嬉しかった。私たちはいつでも、オファーが来るのをお待ちしています(笑)。
皆様、今後とも、新派をお愛しくださいまするよう、お願い申し上げます。

 

公演情報

新派の子『さろん・ど・まろん~木挽町番外編』
 
日程:2026年9月5日(土)・6日(日)
会場:歌舞伎座ホール
 
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